#ばけばけ
普通なら寿ぐべき祝言を怖いと言い、誰もが近づきたがらない怪談をおもしろがる主人公
たぶんこのドラマのおもしろさはこのちぐはぐさ(価値の転倒)にあると思うのだが、それを受け入れられるかどうかは人による。前作あんぱんはひっくり返らない正義を求めたが、今作はむしろ価値の転倒(ひっくり返っているさま)を楽しめと言っているようである。無理に言えば、2つの真逆なドラマを楽しめるかどうか、度量が試されていると言えなくもない。
#ばけばけ
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そもそも松野家の借金は司乃介の事業失敗が原因なのだが、それを勘右衛門に認めさせたのはトキであり、家の方針に幼いトキが口を出すことは本来ありえないのだが、勘右衛門も「おじょが言うなら」と認めてしまう。松野家は共犯なのである。
#ばけばけ
そもそも松野家の借金は司乃介の事業失敗が原因なのだが、それを勘右衛門に認めさせたのはトキであり、家の方針に幼いトキが口を出すことは本来ありえないのだが、勘右衛門も「おじょが言うなら」と認めてしまう。松野家は共犯なのである。
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古事記ではイザナギがイザナミを連れ戻そうと黄泉の国に行く。黄泉の国の入口は出雲だと言われる。無理して言えば、ヘブンは死んでしまった愛する女を生き返らせるために島根に来たのかもしれない。が、イザナギはイザナミの死の姿を見てしまう。イザナギは死んでいくものを振り返ってはいけないと悟る。
でも、時代の流れによって死にゆく日本古来の精神性は振り返ることができる。それがヘブンの救い(慰め)になる、のかもしれないという妄想。
#ばけばけ
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古事記ではイザナギがイザナミを連れ戻そうと黄泉の国に行く。黄泉の国の入口は出雲だと言われる。無理して言えば、ヘブンは死んでしまった愛する女を生き返らせるために島根に来たのかもしれない。が、イザナギはイザナミの死の姿を見てしまう。イザナギは死んでいくものを振り返ってはいけないと悟る。
でも、時代の流れによって死にゆく日本古来の精神性は振り返ることができる。それがヘブンの救い(慰め)になる、のかもしれないという妄想。
#ばけばけ
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古事記ではイザナギがイザナミを連れ戻そうと黄泉の国に行く。黄泉の国の入口は出雲だと言われる。無理して言えば、ヘブンは死んでしまった愛する女を生き返らせるために島根に来たのかもしれない。が、イザナギはイザナミの死の姿を見てしまう。イザナギは死んでいくものを振り返ってはいけないと悟る。
でも、時代の流れによって死にゆく日本古来の精神性は振り返ることができる。それがヘブンの救い(慰め)になる、のかもしれないという妄想。
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ヘブンには士族であると嘘をつくな(だますな)と言われ、フミには花田旅館で働くと嘘を言い、三之丞には傳のお金だと嘘を言う。トキがお札をくしゃくしゃにしたのは傳からもらったお札であることを装う嘘であり、トキの嘘は用意周到である。嘘も方便という言葉もあるとおり、嘘は負の効用ばかりではなく、嘘をついたと許しを請い、許されることもあるだろうが、ひとつだけけどうやっても元に戻せない嘘がある。それは自分自身に対する嘘である。トキは女中(ラシャメン)になぞなりたくないのである。
#ばけばけ
ヘブンには士族であると嘘をつくな(だますな)と言われ、フミには花田旅館で働くと嘘を言い、三之丞には傳のお金だと嘘を言う。トキがお札をくしゃくしゃにしたのは傳からもらったお札であることを装う嘘であり、トキの嘘は用意周到である。嘘も方便という言葉もあるとおり、嘘は負の効用ばかりではなく、嘘をついたと許しを請い、許されることもあるだろうが、ひとつだけけどうやっても元に戻せない嘘がある。それは自分自身に対する嘘である。トキは女中(ラシャメン)になぞなりたくないのである。
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朝ドラは自己決定の物語であるとよく言われる。しばしば語られる「あなたの好きなことをしなさい」とか「あなたの思うままにやりなさい」も自己決定ではあるのだが、自己決定の核心はトキのように利益も不利益も知りながらあえて選択する覚悟にあるんだよね。
#ばけばけ
朝ドラは自己決定の物語であるとよく言われる。しばしば語られる「あなたの好きなことをしなさい」とか「あなたの思うままにやりなさい」も自己決定ではあるのだが、自己決定の核心はトキのように利益も不利益も知りながらあえて選択する覚悟にあるんだよね。
#ばけばけ
昨日の謎は一つ解けたような気がする。タエらが松江に戻って来たのはそこに自分たちの家(家族の思い出)があったからなんだろう。三之丞は何度も雨清水家であることを強調する。家の再興、それができなければせめて雨清水家のあった土地で死にたい。それに呼応するようにトキもわざわざ「家族のために」と言う。そこに保守的で旧弊な家族像をみつけて、束縛しあう家族を否定する(錦織が「怪談は古い」と言ったように)のは簡単なのだが、ここからどうやって「家族のために」を反転させるのか、が見どころですね。
#ばけばけ
昨日の謎は一つ解けたような気がする。タエらが松江に戻って来たのはそこに自分たちの家(家族の思い出)があったからなんだろう。三之丞は何度も雨清水家であることを強調する。家の再興、それができなければせめて雨清水家のあった土地で死にたい。それに呼応するようにトキもわざわざ「家族のために」と言う。そこに保守的で旧弊な家族像をみつけて、束縛しあう家族を否定する(錦織が「怪談は古い」と言ったように)のは簡単なのだが、ここからどうやって「家族のために」を反転させるのか、が見どころですね。
#ばけばけ
・タエは松江を離れたのではなかったのか?(松江に知人もあるだろうに、なぜ帰ってきた)
・なぜタエは物乞いをしているのか?(武家の誇りがあるなら死を選ぶのではなかろうか)
・士族の娘が欲しいのなら、まず松野家の当主に筋をとおすのではなかろうか?(いきなりトキに頼むのか)
そのうち種明かしがあるのだろうと思いつつ、握手という身体的接触にさまざまな意味を持たせているのは上手だなとは思った(銀二郎が2人で東京に行こうとトキの手を握るのと、最初にヘブンとトキが握手したのと、女中にならないかと言われて握手をするのはそれぞれ違う)。
#ばけばけ
・タエは松江を離れたのではなかったのか?(松江に知人もあるだろうに、なぜ帰ってきた)
・なぜタエは物乞いをしているのか?(武家の誇りがあるなら死を選ぶのではなかろうか)
・士族の娘が欲しいのなら、まず松野家の当主に筋をとおすのではなかろうか?(いきなりトキに頼むのか)
そのうち種明かしがあるのだろうと思いつつ、握手という身体的接触にさまざまな意味を持たせているのは上手だなとは思った(銀二郎が2人で東京に行こうとトキの手を握るのと、最初にヘブンとトキが握手したのと、女中にならないかと言われて握手をするのはそれぞれ違う)。
#ばけばけ
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・島根の命運を新聞記者に握らせようとする
・ヘブンが何者であるか錦織に知らせない
これらは江藤の知事としての無能を示すものだが、それをトキだけがヘブンの本当を知っているという朝ドラヒロインしぐさに変換してるんだよね。
また、確かにヘブンは天狗でも河童でもないのだが、子どもでもない。自ら行動し、選択し、助けを求めることができる。それを錦織の「私がいます(I'll be there)」というケアに変換している。
そこに作り手の作為を透かして見てしまうか、素敵に騙してくれたと素直に感傷に浸れるか。
#ばけばけ
・島根の命運を新聞記者に握らせようとする
・ヘブンが何者であるか錦織に知らせない
これらは江藤の知事としての無能を示すものだが、それをトキだけがヘブンの本当を知っているという朝ドラヒロインしぐさに変換してるんだよね。
また、確かにヘブンは天狗でも河童でもないのだが、子どもでもない。自ら行動し、選択し、助けを求めることができる。それを錦織の「私がいます(I'll be there)」というケアに変換している。
そこに作り手の作為を透かして見てしまうか、素敵に騙してくれたと素直に感傷に浸れるか。
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トキの疑問は、なぜ錦織=教師の仕事から逃げるのか?と思うが、ヘブンは最初から滞在記を書き終えたらすぐアメリカに戻るつもりでいる。ヘブンは一刻も早く愛する人の元に帰りたい。愛する人の元を離れたトキとは正反対である。今のヘブンには、なぜトキが銀二郎と別れたのか理解できないだろう。
昨日も書いたとおり、日本の朝の風景がどれほど素晴らしくとも、ヘブンは日本の表面しかなぞっていない。ヘブンが松江(日本)に定着するには深化して日本に触れる必要がある。そのカギがトキであり、自分とは正反対の選択をする、いわゆる「他者」になるのではなかろうか。
#ばけばけ
トキの疑問は、なぜ錦織=教師の仕事から逃げるのか?と思うが、ヘブンは最初から滞在記を書き終えたらすぐアメリカに戻るつもりでいる。ヘブンは一刻も早く愛する人の元に帰りたい。愛する人の元を離れたトキとは正反対である。今のヘブンには、なぜトキが銀二郎と別れたのか理解できないだろう。
昨日も書いたとおり、日本の朝の風景がどれほど素晴らしくとも、ヘブンは日本の表面しかなぞっていない。ヘブンが松江(日本)に定着するには深化して日本に触れる必要がある。そのカギがトキであり、自分とは正反対の選択をする、いわゆる「他者」になるのではなかろうか。
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「怪談は古い」と言う錦織は進歩主義者である。錦織が東京で出会った西洋人が錦織の求める答え(日本は遅れている)しか出さないならヘブンは「ずばぬけて風変わり」になる。
ヘブンは東京ではなく松江が日本の中心(首都)だという。古き日本の暮らしの中にある音(人参売りや朝日に向かって柏手を打つ音や鐘の音)に神秘を見つける。でもヘブンは日本の表面しか見ていない。その神秘な音に紛れてシジミ売りの娘が指を切り、へたり込む姿を見ていない。
そういえばこのころ内村鑑三の不敬事件があった。錦織の危険が何かはわからないが、日本のそこかしこに危険はあった。
#ばけばけ
「怪談は古い」と言う錦織は進歩主義者である。錦織が東京で出会った西洋人が錦織の求める答え(日本は遅れている)しか出さないならヘブンは「ずばぬけて風変わり」になる。
ヘブンは東京ではなく松江が日本の中心(首都)だという。古き日本の暮らしの中にある音(人参売りや朝日に向かって柏手を打つ音や鐘の音)に神秘を見つける。でもヘブンは日本の表面しか見ていない。その神秘な音に紛れてシジミ売りの娘が指を切り、へたり込む姿を見ていない。
そういえばこのころ内村鑑三の不敬事件があった。錦織の危険が何かはわからないが、日本のそこかしこに危険はあった。
#ばけばけ
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松野家への養子縁組はトキの意思を無視してなされたが、銀二郎に別れを告げるトキは自らの意思によって松野家に戻る。松野家か銀二郎かの選択は赤ん坊のトキが松野家か雨清水家かの選択の再現になる。もし赤ん坊のトキに意思があったらトキは松野家を選ぶであろう。
錦織らは「怪談は古い」と言う。最近でも日本はガラパゴスと揶揄されるが、トキは海の向こうの先進性ではなく、日本の古さ(松野家や怪談)の中に良さを見出す。しかもそれを一緒に再発見するのは西洋人(小泉八雲)である。いわゆるオリエンタリズム。
#ばけばけ
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松野家への養子縁組はトキの意思を無視してなされたが、銀二郎に別れを告げるトキは自らの意思によって松野家に戻る。松野家か銀二郎かの選択は赤ん坊のトキが松野家か雨清水家かの選択の再現になる。もし赤ん坊のトキに意思があったらトキは松野家を選ぶであろう。
錦織らは「怪談は古い」と言う。最近でも日本はガラパゴスと揶揄されるが、トキは海の向こうの先進性ではなく、日本の古さ(松野家や怪談)の中に良さを見出す。しかもそれを一緒に再発見するのは西洋人(小泉八雲)である。いわゆるオリエンタリズム。
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#ばけばけ
#ばけばけ
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三波春夫の「チャンチキおけさ」という曲があって、飲み屋(路地裏の屋台)で知らぬ同士が小皿叩いて故郷を思いながら一緒におけさ節を歌うという歌詞なのだが、今では考えられないかもしれないが、昔の日本では田舎から出てきた人たちは同郷であるだけで仲良くなれた(パトリオチズムの源泉)。ちなみに銀二郎は鳥取県因幡の出身なのだが、錦織はトキに「出雲の人間か?」と尋ねる。たぶん銀二郎は松江から来たとしか言ってないんだな。
#ばけばけ
三波春夫の「チャンチキおけさ」という曲があって、飲み屋(路地裏の屋台)で知らぬ同士が小皿叩いて故郷を思いながら一緒におけさ節を歌うという歌詞なのだが、今では考えられないかもしれないが、昔の日本では田舎から出てきた人たちは同郷であるだけで仲良くなれた(パトリオチズムの源泉)。ちなみに銀二郎は鳥取県因幡の出身なのだが、錦織はトキに「出雲の人間か?」と尋ねる。たぶん銀二郎は松江から来たとしか言ってないんだな。
#ばけばけ
先週、傳から「おまえはこれからもずっと松野家の子だ」と言われ、トキは「そのこと"も"知っちょります」と答えてる。トキにとって縁によって家族になったらずっとに離れないという感覚は当たり前すぎて銀二郎も同じだと思い込んでいたのだろう。
前に「トキは松野家の中で唯一武士のようにふるまう」と書いたが、そんなトキが銀二郎を連れ戻すことに迷いがないのも当然である(司乃介が出奔したときには放っておいた)。
ちなみにナレーションで「松江を出て1週間と2日」と言っていたが、7日を1週間とする暮らしが日本に根付いたのは明治以降である。
#ばけばけ
傳が「さみしい」と言った怪談も、借金を返すだけの暮らしが「豊かではない」という話も、トキにとっては正反対になる。
松野家はトキを中心に回っている。それには理由があって「あの話」に直結するのだが、そのために武家にアイデンティティを求めるはずの司乃介や勘右衛門が小市民的にふるまってしまい、一方でトキは人柱になって家を守ろうとする松野家の中で唯一武士のようにふるまう。このねじれた関係が松野家を特徴づける。世間ではさみしいとされる怪談も豊かではないとされる暮らしもトキにとっては幸いなのである。
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先週、傳から「おまえはこれからもずっと松野家の子だ」と言われ、トキは「そのこと"も"知っちょります」と答えてる。トキにとって縁によって家族になったらずっとに離れないという感覚は当たり前すぎて銀二郎も同じだと思い込んでいたのだろう。
前に「トキは松野家の中で唯一武士のようにふるまう」と書いたが、そんなトキが銀二郎を連れ戻すことに迷いがないのも当然である(司乃介が出奔したときには放っておいた)。
ちなみにナレーションで「松江を出て1週間と2日」と言っていたが、7日を1週間とする暮らしが日本に根付いたのは明治以降である。
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