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7追加の放置してるとこを書く
毛利可愛い可愛いする
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毛利可愛い可愛いする
俺はやっと仮の宿から抜けて、元就の待つ御殿に行けるので清々しい心持ちだ
お前らとは二度と会う事もないがよろしくやってるのでまあ泣くな
元親からの文に書かれてあった仮の宿とは京の伏見屋敷の事で、それでは元就の待つ御殿とは小耳に挟んでいたが誰も訪れた事のない瀬戸海の小島の小さな屋敷であろう。
若い時分の二人が逢瀬に使って過ごしたというそこは、無人の今でも清潔に整えられているそうだ。そして、分骨された元就の墓があるとも。
政宗を伴い家康が到着すると、やはりどこからか聞きつけたのであろう山中と大友がいた。少年の頃のようにぽろぽろと涙を流している二人を見て家康と政宗は苦笑した。
俺はやっと仮の宿から抜けて、元就の待つ御殿に行けるので清々しい心持ちだ
お前らとは二度と会う事もないがよろしくやってるのでまあ泣くな
元親からの文に書かれてあった仮の宿とは京の伏見屋敷の事で、それでは元就の待つ御殿とは小耳に挟んでいたが誰も訪れた事のない瀬戸海の小島の小さな屋敷であろう。
若い時分の二人が逢瀬に使って過ごしたというそこは、無人の今でも清潔に整えられているそうだ。そして、分骨された元就の墓があるとも。
政宗を伴い家康が到着すると、やはりどこからか聞きつけたのであろう山中と大友がいた。少年の頃のようにぽろぽろと涙を流している二人を見て家康と政宗は苦笑した。
⭐︎少ないだろう。そう笑った元親は膝を寄せ、家康の杯に並々酒を注いだ。
元親逝去の報が家康の耳に届いたのはその日よりわずか数ヶ月後の事だった。再び伏見屋敷に向かった家康は、やはり元親の友人である伊達政宗に会う。待ってたぜ、と政宗が差し出す文を家康は受け取り、読んだ。
「俺に寄越したモノと同じだそうだ」と告げられた文にはこうあった。
屋敷にいた子供たちには手出し無用である。お前らに関わったら否が応にも政に関わるだろうから。けれどもし長じてあいつらが自発的に行動したいとなったら頼らせてやってくれ。
俺と元就の子なので才覚力量間違いないだろう。
⭐︎少ないだろう。そう笑った元親は膝を寄せ、家康の杯に並々酒を注いだ。
元親逝去の報が家康の耳に届いたのはその日よりわずか数ヶ月後の事だった。再び伏見屋敷に向かった家康は、やはり元親の友人である伊達政宗に会う。待ってたぜ、と政宗が差し出す文を家康は受け取り、読んだ。
「俺に寄越したモノと同じだそうだ」と告げられた文にはこうあった。
屋敷にいた子供たちには手出し無用である。お前らに関わったら否が応にも政に関わるだろうから。けれどもし長じてあいつらが自発的に行動したいとなったら頼らせてやってくれ。
俺と元就の子なので才覚力量間違いないだろう。
「…可愛いだろう、やらねえぞ?」
そんなつもりでは、と申し訳なさげに返す家康に元親はからからと笑った。つられた童二人も同じように笑う。
あっちで遊んでこいと元親に促され、童らはまた襖の向こうに駆けて行った。
「なるほど、あの子らのおかげか……」
悲しみがない訳では決してないだろうが、しゃんと立って笑いも出来るのは。家康の言外の含みを汲み取って元親が応える。
「それだけじゃあねえよ。無論、遺せた事は嬉しいぜ」
──もうすぐ、また逢えるからな
え、とよく聞こえない呟きを聞き返そうとした家康の声は、侍女の持ってきた酒と肴に遮られた。
呑めるだけ、喰えるだけ喰え。お互い残りも⭐︎
「…可愛いだろう、やらねえぞ?」
そんなつもりでは、と申し訳なさげに返す家康に元親はからからと笑った。つられた童二人も同じように笑う。
あっちで遊んでこいと元親に促され、童らはまた襖の向こうに駆けて行った。
「なるほど、あの子らのおかげか……」
悲しみがない訳では決してないだろうが、しゃんと立って笑いも出来るのは。家康の言外の含みを汲み取って元親が応える。
「それだけじゃあねえよ。無論、遺せた事は嬉しいぜ」
──もうすぐ、また逢えるからな
え、とよく聞こえない呟きを聞き返そうとした家康の声は、侍女の持ってきた酒と肴に遮られた。
呑めるだけ、喰えるだけ喰え。お互い残りも⭐︎
当の元親はあっけらかんとしている。多少足元をすくわれた気分でいる家康の耳に、畳を駆ける軽い足音がいくつか届いた。
「じじさま!」
「……どなた?」
襖に小さな手をかけ、ひょこひょこと童が二人、顔を出した。
元親がその子らのものであろう名を呼び、かたわらに引き寄せた。
老いてなお大柄な肩や膝に可憐な子らは無邪気にひっつく。
「元親、この子らは……」
無論、落胤がいてもおかしくないのだが、家康の目を引いたのは童らの容姿である。
一人は柔らかな茶の髪に、海のように鮮やかな瑠璃色の瞳。もう一人は艶めく銀髪に瞳は濃い琥珀色……元親と亡き元就の髪と瞳の色をそっくり交換した色をしている。
当の元親はあっけらかんとしている。多少足元をすくわれた気分でいる家康の耳に、畳を駆ける軽い足音がいくつか届いた。
「じじさま!」
「……どなた?」
襖に小さな手をかけ、ひょこひょこと童が二人、顔を出した。
元親がその子らのものであろう名を呼び、かたわらに引き寄せた。
老いてなお大柄な肩や膝に可憐な子らは無邪気にひっつく。
「元親、この子らは……」
無論、落胤がいてもおかしくないのだが、家康の目を引いたのは童らの容姿である。
一人は柔らかな茶の髪に、海のように鮮やかな瑠璃色の瞳。もう一人は艶めく銀髪に瞳は濃い琥珀色……元親と亡き元就の髪と瞳の色をそっくり交換した色をしている。
⭐︎元親はまるで頓着せずに放っておき、この伏見で静観していたと。
家康は情に厚い元親らしくない行動だと疑問に思ったが、当時から今もってしても曖昧にはぐらかされるだけだった。
彼の生涯の連れであった元就は、老境に入ってもなお往年の麗しさが残っていた。かと言ってその美に誑かされた元親が良いように使われている訳ではないようだった。中四国の政治が彼らの影響で動いている様子ももはや無く、どちらかと言うと元就の方が寄り添いたがっていて、元親も喜ばしく受け入れている。──そんな風に家康の目には映っていた。
であるから、元就の死に元親の嘆きはそれほどだろうかとこうして見舞った家康であったが、
⭐︎元親はまるで頓着せずに放っておき、この伏見で静観していたと。
家康は情に厚い元親らしくない行動だと疑問に思ったが、当時から今もってしても曖昧にはぐらかされるだけだった。
彼の生涯の連れであった元就は、老境に入ってもなお往年の麗しさが残っていた。かと言ってその美に誑かされた元親が良いように使われている訳ではないようだった。中四国の政治が彼らの影響で動いている様子ももはや無く、どちらかと言うと元就の方が寄り添いたがっていて、元親も喜ばしく受け入れている。──そんな風に家康の目には映っていた。
であるから、元就の死に元親の嘆きはそれほどだろうかとこうして見舞った家康であったが、
今や天下人として敬われるばかりの家康に、以前と同じような、一回り歳上の兄貴分として接してくれる男に安心感を感じた。
──明朗に見える。少なくともワシの前ではそう振る舞えるのか。
男は、家康の古い長い友人である元親は、つい先日最愛の人を亡くしたばかりだ。
かつて中国の大毛利の長として苛烈な采配を振るった毛利元就その人と元親は、やはり長く情人として連れ添っていた仲である。
毛利家嫡男に家督を譲った後も陰から政を支え、やがて孫が生まれその子が家督を継いだ頃完全に隠居の身となって元親の屋敷に身を寄せたという。
長曾我部家中は元親が隠居した後、子や甥らで家督争いが起こったが、⭐︎
今や天下人として敬われるばかりの家康に、以前と同じような、一回り歳上の兄貴分として接してくれる男に安心感を感じた。
──明朗に見える。少なくともワシの前ではそう振る舞えるのか。
男は、家康の古い長い友人である元親は、つい先日最愛の人を亡くしたばかりだ。
かつて中国の大毛利の長として苛烈な采配を振るった毛利元就その人と元親は、やはり長く情人として連れ添っていた仲である。
毛利家嫡男に家督を譲った後も陰から政を支え、やがて孫が生まれその子が家督を継いだ頃完全に隠居の身となって元親の屋敷に身を寄せたという。
長曾我部家中は元親が隠居した後、子や甥らで家督争いが起こったが、⭐︎
⭐︎個としての二人がこの世に遺して置く血の子ではない。
国や民、家の為でなく、政にもこれから先起こるかもしれない戦にも関わらせず生かす子供。
そのような子が見る衆生はいかなるものか、そこからいずれ連れ立って旅立つ父らの姿はどう見るか。どう繋ぐのか。
そういう者を、二人は遺して行きたいのだ。
永遠の晴原へ行く前に、六道の世に。
泰平の世になって随分と長い年月が過ぎ、老の深みもその目尻に隠せぬようになった徳川家康は、京は伏見に建てられたとある屋敷に訪れた。
そこの主人に「久しいな」と挨拶をすれば、「おうよ」と若かりし頃を変わらず気さくに返してくれる。
⭐︎個としての二人がこの世に遺して置く血の子ではない。
国や民、家の為でなく、政にもこれから先起こるかもしれない戦にも関わらせず生かす子供。
そのような子が見る衆生はいかなるものか、そこからいずれ連れ立って旅立つ父らの姿はどう見るか。どう繋ぐのか。
そういう者を、二人は遺して行きたいのだ。
永遠の晴原へ行く前に、六道の世に。
泰平の世になって随分と長い年月が過ぎ、老の深みもその目尻に隠せぬようになった徳川家康は、京は伏見に建てられたとある屋敷に訪れた。
そこの主人に「久しいな」と挨拶をすれば、「おうよ」と若かりし頃を変わらず気さくに返してくれる。
山奥の秘められた寺院の中に、名を捨てられた女が産み落とした男児を二人は変わるがわる腕に抱いた。
まだ完全には開かない瞼が時折わずかに上がると、その奥には煌めく蒼眼が見えた。
元親の血で生まれた子。
その子を元就は「我と、元親の子」と言って柔く見つめる。しかし、
「……女児であれば、いずれ我が種で子を成せたやもしれなんだが」
さすれば真、我とそなたの血を継いだ子が出来た、そう元就は微かに悔やむ顔をした。
「土佐に置いてるあいつらじゃあ足りねえか」長曾我部嫡男とその妻にした毛利の姫を指して元親が言った。
「あれらは、国と民に捧げた子らよ」
愛しさは間違いなくあるが、 ⭐︎
山奥の秘められた寺院の中に、名を捨てられた女が産み落とした男児を二人は変わるがわる腕に抱いた。
まだ完全には開かない瞼が時折わずかに上がると、その奥には煌めく蒼眼が見えた。
元親の血で生まれた子。
その子を元就は「我と、元親の子」と言って柔く見つめる。しかし、
「……女児であれば、いずれ我が種で子を成せたやもしれなんだが」
さすれば真、我とそなたの血を継いだ子が出来た、そう元就は微かに悔やむ顔をした。
「土佐に置いてるあいつらじゃあ足りねえか」長曾我部嫡男とその妻にした毛利の姫を指して元親が言った。
「あれらは、国と民に捧げた子らよ」
愛しさは間違いなくあるが、 ⭐︎
いつか来る神さん同士の戦に備えて永劫斬り合えるって話よ
そのいつかは決まってないんだが」
「ああ……欲こそが、我らを我らたらしめる縁であるものな
──生まれ変わったそなたが、そなたであるとは限らぬ……」
「俺も、今のお前から離れる気はさらさら無え」
「その地の名は何と呼ばれるか」
「黄金で出来た巨大な御殿で……」
はるはら
そこに、俺たちは行くんだ。
握った手を離さぬように。永遠に共にいるために。
いつか来る神さん同士の戦に備えて永劫斬り合えるって話よ
そのいつかは決まってないんだが」
「ああ……欲こそが、我らを我らたらしめる縁であるものな
──生まれ変わったそなたが、そなたであるとは限らぬ……」
「俺も、今のお前から離れる気はさらさら無え」
「その地の名は何と呼ばれるか」
「黄金で出来た巨大な御殿で……」
はるはら
そこに、俺たちは行くんだ。
握った手を離さぬように。永遠に共にいるために。
〜逢瀬に浸る。
「──お前がくれた舶来本のな、訳がやっと終わったぜ」
「ほう、して、どのような?」
「地獄の話だ、いや、事によると極楽かもしれねえ
命を惜しまず戦って死んだ兵が行ける場所で、そこでは死んじゃあ蘇りいつまでも斬り合い殺し合いが続けられるんだと」
「等活地獄ではないか」
「どうも戦ってるのは朝から日暮れまででよ、夜は酒と美女とで宴が……ああ、そんな嫌な顔するなよ──
でな、等活と……俺らのいる六道と違うのは、どうやらずぅっと自分のままでいられるらしいんだなあ」
「……輪廻が、無いと?」
「そうそう、罪咎が責められる訳でもねえから清められる訳でもねえ
〜逢瀬に浸る。
「──お前がくれた舶来本のな、訳がやっと終わったぜ」
「ほう、して、どのような?」
「地獄の話だ、いや、事によると極楽かもしれねえ
命を惜しまず戦って死んだ兵が行ける場所で、そこでは死んじゃあ蘇りいつまでも斬り合い殺し合いが続けられるんだと」
「等活地獄ではないか」
「どうも戦ってるのは朝から日暮れまででよ、夜は酒と美女とで宴が……ああ、そんな嫌な顔するなよ──
でな、等活と……俺らのいる六道と違うのは、どうやらずぅっと自分のままでいられるらしいんだなあ」
「……輪廻が、無いと?」
「そうそう、罪咎が責められる訳でもねえから清められる訳でもねえ
逢瀬に浸る。から数年経ち〜の間に追加。
舶来本と晴原について。
また、それより前の何処かに修羅道にも触れておく。
逢瀬に浸る。から数年経ち〜の間に追加。
舶来本と晴原について。
また、それより前の何処かに修羅道にも触れておく。
徳川が天下を取った時勢に合わせての発表で、今や誰も中四国同盟に異を唱える者はいなかった。
元親が徳川総大将の家康と古くからの私的な友人であり、その縁もあって外様大名であるにも関わらず領地の支配の大部分は守られた。
無論、元就の安芸国も。
日ノ本全体が寿ぎ明るい空気の中、元親と元就は薄闇の中で寄り添い合っていた。
瀬戸海の小さな小島の一つに屋敷を建て、政務の合間を縫って逢瀬に浸る。
数年経ち、元就は嫡男に家督を譲り、政務の補佐をするものの隠居の身になった。長曾我部の嫡男と毛利の姫が正式に婚姻を結んだと同じ時期に、もう一つ、新しい命がこの世に生まれ落ちた。
徳川が天下を取った時勢に合わせての発表で、今や誰も中四国同盟に異を唱える者はいなかった。
元親が徳川総大将の家康と古くからの私的な友人であり、その縁もあって外様大名であるにも関わらず領地の支配の大部分は守られた。
無論、元就の安芸国も。
日ノ本全体が寿ぎ明るい空気の中、元親と元就は薄闇の中で寄り添い合っていた。
瀬戸海の小さな小島の一つに屋敷を建て、政務の合間を縫って逢瀬に浸る。
数年経ち、元就は嫡男に家督を譲り、政務の補佐をするものの隠居の身になった。長曾我部の嫡男と毛利の姫が正式に婚姻を結んだと同じ時期に、もう一つ、新しい命がこの世に生まれ落ちた。
⭐︎同盟を進めるのが最善である。
後日開かれた両国の家臣団での会合では多少の諍いもあったが概ね和やかにまとまった。
何より、より国主二人に近い家臣らは、仲睦まじく寄り添う二人を目の当たりにしているので否やを唱えても無駄だと理解していた。
兵らの中にも元親と元就の仲を察する者達がいて、清廉な元就様に鬼めがへばりつきおってなど、または兄貴が大らかなのをいい事に陰湿な狐が誑かしてきて、などと口さがなくのたまっていたが、時が経つにつれそれも収まっていく。
両国のわだかまりが薄らい消えかかった頃、長曾我部の嫡男と毛利の二の姫の婚約の報があった。
⭐︎同盟を進めるのが最善である。
後日開かれた両国の家臣団での会合では多少の諍いもあったが概ね和やかにまとまった。
何より、より国主二人に近い家臣らは、仲睦まじく寄り添う二人を目の当たりにしているので否やを唱えても無駄だと理解していた。
兵らの中にも元親と元就の仲を察する者達がいて、清廉な元就様に鬼めがへばりつきおってなど、または兄貴が大らかなのをいい事に陰湿な狐が誑かしてきて、などと口さがなくのたまっていたが、時が経つにつれそれも収まっていく。
両国のわだかまりが薄らい消えかかった頃、長曾我部の嫡男と毛利の二の姫の婚約の報があった。
「大儀であった。追って禄を遣わす」
元就はが親貞を、長曾我部の者を見て言ったのを宍戸が何故にと問うた。親貞も虚を突かれて目を丸くする。
元就は答えず代わりに元親が
「貰っとけって。あんたもだぞおっさん。祝いにケチつけるのは野暮ってもんだ」
祝い、と家臣二人が声揃えて繰り返せば、これからは仲間同士だと元親が破顔して言う。
同盟を組むのだ。中国と四国はもはや敵に在らず、と。
突然の終戦と和平に両軍の家臣らは困惑したが、隣国同士が争わずに済むならこれ以上の善政は無い。
他国に目を向ければ徳川の台頭によって戦乱の世は終息の足音が強まっていて、一旦それぞれの遺恨には目をつむってでも ⭐︎
「大儀であった。追って禄を遣わす」
元就はが親貞を、長曾我部の者を見て言ったのを宍戸が何故にと問うた。親貞も虚を突かれて目を丸くする。
元就は答えず代わりに元親が
「貰っとけって。あんたもだぞおっさん。祝いにケチつけるのは野暮ってもんだ」
祝い、と家臣二人が声揃えて繰り返せば、これからは仲間同士だと元親が破顔して言う。
同盟を組むのだ。中国と四国はもはや敵に在らず、と。
突然の終戦と和平に両軍の家臣らは困惑したが、隣国同士が争わずに済むならこれ以上の善政は無い。
他国に目を向ければ徳川の台頭によって戦乱の世は終息の足音が強まっていて、一旦それぞれの遺恨には目をつむってでも ⭐︎
思わず目を逸らせば敵であるはずの毛利元就の首筋にも同じ赤がある。
何より戦中で見た苛烈さが失せ、兄と穏やかに肩を寄せ合っている。
「説明って、そりゃあ」と笑んで言う元親に、わかったから答えないでくれと吐き出す。元親はそんな弟の様子にけらけら笑った。
一方元就は宍戸に立てと命じていた。同じ高さになった宍戸と親貞双方の顔を見て、
「兵らを纏めたのはその方らか」と問うた。
今、厳島の境内は静まりかえっていて、両軍の兵はすべてどこかしらに待機しているのだと察せられる。毛利方は宍戸と清水、安国寺らが、長曾我部方は元親の弟ら三名が中心となって困惑し荒ぶる兵を沈めたと宍戸が返した。
思わず目を逸らせば敵であるはずの毛利元就の首筋にも同じ赤がある。
何より戦中で見た苛烈さが失せ、兄と穏やかに肩を寄せ合っている。
「説明って、そりゃあ」と笑んで言う元親に、わかったから答えないでくれと吐き出す。元親はそんな弟の様子にけらけら笑った。
一方元就は宍戸に立てと命じていた。同じ高さになった宍戸と親貞双方の顔を見て、
「兵らを纏めたのはその方らか」と問うた。
今、厳島の境内は静まりかえっていて、両軍の兵はすべてどこかしらに待機しているのだと察せられる。毛利方は宍戸と清水、安国寺らが、長曾我部方は元親の弟ら三名が中心となって困惑し荒ぶる兵を沈めたと宍戸が返した。
宍戸が元就に駆け寄り、歩みを止めた彼の足元に跪いた。
ご無事で何より、と頭を垂れていう家臣に「良い、面をあげよ」と元就は応える。
後を追ってきた親貞はいきなり消えといて何だよその態度は、と心の中で毒づく。自分の主にして兄にも同じ非難を浴びせたいが、当の元親は「おはよーさん」などと呑気に緩く手を振ってきた。
「兄貴……兄上、これはどういう事か説明を、」
と言いかけて親貞は口を噤んだ。
質素な柄である物の一見して上等な生地の小袖を着流しにして、更に右腕を抜いているので大きく開けた兄の首、鎖骨のあたりに幾つもの赤い跡が散っている。
宍戸が元就に駆け寄り、歩みを止めた彼の足元に跪いた。
ご無事で何より、と頭を垂れていう家臣に「良い、面をあげよ」と元就は応える。
後を追ってきた親貞はいきなり消えといて何だよその態度は、と心の中で毒づく。自分の主にして兄にも同じ非難を浴びせたいが、当の元親は「おはよーさん」などと呑気に緩く手を振ってきた。
「兄貴……兄上、これはどういう事か説明を、」
と言いかけて親貞は口を噤んだ。
質素な柄である物の一見して上等な生地の小袖を着流しにして、更に右腕を抜いているので大きく開けた兄の首、鎖骨のあたりに幾つもの赤い跡が散っている。
アマプラでは追い課金になっちゃったけど……
アマプラでは追い課金になっちゃったけど……
晴原行 20
「ご隠居にゃあちょっと若すぎねえか」
「無論、政務から降りる訳ではあらぬ……むしろ」
はふ、と元就も小さく欠伸をし、そこで言葉が途絶えてしまった。
「まあ、後だな後……」
元親の瞼も重く垂れる。朝になったらまた話そうか。そうして二人で並んでしばしの眠りについた。
毛利に長く仕える壮年の将、宍戸が主の姿を見たのは、まだ陽も昇りきらぬ薄明の社の境内であった。
元就様、とのその焦燥が滲む声に反応して、長曾我部の将にして元親の弟、親貞も顔を上げた。そして細やかな影に並び立って悠然と歩く兄を見つけた。
「何、やってたんだよ今まで・・・・・・兄貴」と溜息。
晴原行 20
「ご隠居にゃあちょっと若すぎねえか」
「無論、政務から降りる訳ではあらぬ……むしろ」
はふ、と元就も小さく欠伸をし、そこで言葉が途絶えてしまった。
「まあ、後だな後……」
元親の瞼も重く垂れる。朝になったらまた話そうか。そうして二人で並んでしばしの眠りについた。
毛利に長く仕える壮年の将、宍戸が主の姿を見たのは、まだ陽も昇りきらぬ薄明の社の境内であった。
元就様、とのその焦燥が滲む声に反応して、長曾我部の将にして元親の弟、親貞も顔を上げた。そして細やかな影に並び立って悠然と歩く兄を見つけた。
「何、やってたんだよ今まで・・・・・・兄貴」と溜息。
外皮はミルクとかでできてるらしく著しく滑らかで箸で持てないくらいツルツル
中身はフォアグラだけどデザートかよというくらい甘い味付け
うまいけどこれまで生きてきた中のデータに無さすぎる
晴原行 19
それからは二人ころり寝転んだまま、母の胎の中の双子のような姿勢で訥々と語り合う。
元就は兄を愛していたがその死に様に今も得心がいかぬ事。元親は姉と妹を両方出家させており疎遠である事。好む花の景色。夜明けの浜に昇る陽の美しい様。手遊びで作った小さなカラクリをやろう。では舶来渡りの書物を返礼としよう。なるべくどうでもいいような、けれど個を形どる事柄を積み重ねて、互いの心内に互いの座を作っていく。
元就の長男の元服の儀が近い。これを機に隠居しても良いやもと思っているがどうしてなかなか上手く進まぬ、と元就は再び眠気を漂わせて愚痴をこぼす。
晴原行 19
それからは二人ころり寝転んだまま、母の胎の中の双子のような姿勢で訥々と語り合う。
元就は兄を愛していたがその死に様に今も得心がいかぬ事。元親は姉と妹を両方出家させており疎遠である事。好む花の景色。夜明けの浜に昇る陽の美しい様。手遊びで作った小さなカラクリをやろう。では舶来渡りの書物を返礼としよう。なるべくどうでもいいような、けれど個を形どる事柄を積み重ねて、互いの心内に互いの座を作っていく。
元就の長男の元服の儀が近い。これを機に隠居しても良いやもと思っているがどうしてなかなか上手く進まぬ、と元就は再び眠気を漂わせて愚痴をこぼす。
最高だった
最高だった
元親は細い体を抱きしめたまま傾き、畳の上にごろりと倒れた。月光と薄闇の境界が二人の上に線を引く。
暗い場所にある顔と顔を寄せて、これからの事を話す。
既に敵対する気はとうに失せていて、自然同盟を結ぼうという運びになる。私情で政を動かす事態に元就は眉を顰めたが、どこもそんなもんだって、と元親も愉快半分呆れ半分な声音で言う。
まずは互いの子らを娶せて家同士の繋がりを持たせよう。それで家臣らにも他国にも一応の名目は立つ。
元親の長男がまだ物心がついたばかりの幼さで、一番近い年齢の元就の次女はそろそろ月の頃も視野に入れる歳である。
姐さん女房だなあ。元親があくびまじりに言った。
元親は細い体を抱きしめたまま傾き、畳の上にごろりと倒れた。月光と薄闇の境界が二人の上に線を引く。
暗い場所にある顔と顔を寄せて、これからの事を話す。
既に敵対する気はとうに失せていて、自然同盟を結ぼうという運びになる。私情で政を動かす事態に元就は眉を顰めたが、どこもそんなもんだって、と元親も愉快半分呆れ半分な声音で言う。
まずは互いの子らを娶せて家同士の繋がりを持たせよう。それで家臣らにも他国にも一応の名目は立つ。
元親の長男がまだ物心がついたばかりの幼さで、一番近い年齢の元就の次女はそろそろ月の頃も視野に入れる歳である。
姐さん女房だなあ。元親があくびまじりに言った。
多少流れが悪くても、具体的な性行為シーンはねじ込んだ方が良いのでは
多少流れが悪くても、具体的な性行為シーンはねじ込んだ方が良いのでは