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中谷宇吉郎『二億円の犬』
何時かのシカゴの新聞に、珍しい損害賠償の訴訟事件が載っていた。犬が死んだのに對する賠償金の要求で、それだけならば、何も變った話ではないが、その金額が六十萬弗(二億二千萬圓)というところが珍しいのである。
これは冗談の話ではない。アイルランド系のミッチェルという男が、ユニオン・パシフィック会社とシカゴ鐵道會社とを相手にして、正式に法廷へ持ち出した事件なのである。
犬はよく訓練されたフォックス・テリアで「歐洲の驚異の犬」といわれたものだそうである。
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中谷宇吉郎『二億円の犬』
何時かのシカゴの新聞に、珍しい損害賠償の訴訟事件が載っていた。犬が死んだのに對する賠償金の要求で、それだけならば、何も變った話ではないが、その金額が六十萬弗(二億二千萬圓)というところが珍しいのである。
これは冗談の話ではない。アイルランド系のミッチェルという男が、ユニオン・パシフィック会社とシカゴ鐵道會社とを相手にして、正式に法廷へ持ち出した事件なのである。
犬はよく訓練されたフォックス・テリアで「歐洲の驚異の犬」といわれたものだそうである。
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山本周五郎『楯輿』
一
神原与八郎は豪快な生きかたを好んだ。からだはどっちかというと小がらなほうだが、肩腰の頑丈な逞しい骨ぐみだし、眉のあがった双眸の光りのするどい、いつも片方へひき歪めている唇つきなど、負けぬ気のつよさと軒昂たる意気をよくあらわしていた。起ち居ふるまいも言葉つきも颯爽として、大事に惑わず小事に拘泥せずという態度を常に崩さない、かくべつ大言壮語するわけではないが、なかなか辛辣な舌をもっていて、年功の者などをも屡々極めつけるようなことがあった。かれはくち癖のように
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山本周五郎『楯輿』
一
神原与八郎は豪快な生きかたを好んだ。からだはどっちかというと小がらなほうだが、肩腰の頑丈な逞しい骨ぐみだし、眉のあがった双眸の光りのするどい、いつも片方へひき歪めている唇つきなど、負けぬ気のつよさと軒昂たる意気をよくあらわしていた。起ち居ふるまいも言葉つきも颯爽として、大事に惑わず小事に拘泥せずという態度を常に崩さない、かくべつ大言壮語するわけではないが、なかなか辛辣な舌をもっていて、年功の者などをも屡々極めつけるようなことがあった。かれはくち癖のように
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たまたまアンリミで見かけたので数十年ぶりの吉行淳之介。この作品自体は初めてで、昭和臭全開のザ・大衆小説だった。もぐりのタクシー運転手の女体遍歴という超下世話なはなしだけど、けっこう楽しめたかも。まぁおすすめはしないけどw
amzn.to/4qZGYuu
たまたまアンリミで見かけたので数十年ぶりの吉行淳之介。この作品自体は初めてで、昭和臭全開のザ・大衆小説だった。もぐりのタクシー運転手の女体遍歴という超下世話なはなしだけど、けっこう楽しめたかも。まぁおすすめはしないけどw
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中谷宇吉郎『稲の二毛作』
大阪からの飛行機は、室戸岬の上を通って、高知まで、一時間十分で飛ぶ。天氣がよいと、陸地の上を短絡して、五十分くらいでいってしまうこともある。まことに隔世の感がある。
室戸岬の上を、飛行機でとんで、一番驚いたことは、あの急峻な岬の山地が、ほとんど頂上まで、段状の耕地になっている點であった。乏しい土地を、最後の一隅まで、使おうとする日本人の努力の姿が、まざまざと見られる。
耕地の一部は緑で、他は黄色である。同乘の土佐の人らしい紳士が、あの實っているのは稻です
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中谷宇吉郎『稲の二毛作』
大阪からの飛行機は、室戸岬の上を通って、高知まで、一時間十分で飛ぶ。天氣がよいと、陸地の上を短絡して、五十分くらいでいってしまうこともある。まことに隔世の感がある。
室戸岬の上を、飛行機でとんで、一番驚いたことは、あの急峻な岬の山地が、ほとんど頂上まで、段状の耕地になっている點であった。乏しい土地を、最後の一隅まで、使おうとする日本人の努力の姿が、まざまざと見られる。
耕地の一部は緑で、他は黄色である。同乘の土佐の人らしい紳士が、あの實っているのは稻です
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山本周五郎『蜜柑』
一
「大夫がお呼びなさる?」
源四郎はいぶかしげに問いかえした。
「大高のまちがいではありませんか、たしかに拙者をお呼びなさるのですか」
「いやまちがいではない」
使者はもどかしそうに、
「貴公を呼んでまいれと申しつかって来たのです。ゆだんのならぬご病状だからすぐに支度をしておいで下さい」
「相わかりました、すぐ参上いたします」
源四郎はとびたつように居間へはいった。
――大夫がじぶんを呼ぶ。
そう思うと胸がいっぱいになった。
紀州徳川家の家老、
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山本周五郎『蜜柑』
一
「大夫がお呼びなさる?」
源四郎はいぶかしげに問いかえした。
「大高のまちがいではありませんか、たしかに拙者をお呼びなさるのですか」
「いやまちがいではない」
使者はもどかしそうに、
「貴公を呼んでまいれと申しつかって来たのです。ゆだんのならぬご病状だからすぐに支度をしておいで下さい」
「相わかりました、すぐ参上いたします」
源四郎はとびたつように居間へはいった。
――大夫がじぶんを呼ぶ。
そう思うと胸がいっぱいになった。
紀州徳川家の家老、
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連作短編集のように小ぶりな謎解きが続くが、全体としては叙述ミステリーになっているという、ちょっと風変わりな作品。ただそのために、キャラクターの描写に物足りなさや違和感も感じた。好みの設定だし人気シリーズのようなので、アンリミのうちに次も読んでみるかな。
amzn.to/4oL5r4v
連作短編集のように小ぶりな謎解きが続くが、全体としては叙述ミステリーになっているという、ちょっと風変わりな作品。ただそのために、キャラクターの描写に物足りなさや違和感も感じた。好みの設定だし人気シリーズのようなので、アンリミのうちに次も読んでみるかな。
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山本周五郎『堀口さんとメドック』
昭和二十年の五月だと思うが、ある人を介して堀口九萬一さんからお招きをうけた。私の愚にもつかないものを読んでおられて、そこで会いたいといわれるのである。酒が不自由だろうから来れば飲ませてやる、という付帯条件もあった。お断わりをすると(中に立った人の口車かもしれないが)しからばこっちからゆくといわれるそうで、それでは恐縮でもあり敬老精神にも反するので、防空服装でもって恐る恐る、小石川の高台にあるお邸へ参上した。翁はたしかもう九十歳にちかいお年だったと
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山本周五郎『堀口さんとメドック』
昭和二十年の五月だと思うが、ある人を介して堀口九萬一さんからお招きをうけた。私の愚にもつかないものを読んでおられて、そこで会いたいといわれるのである。酒が不自由だろうから来れば飲ませてやる、という付帯条件もあった。お断わりをすると(中に立った人の口車かもしれないが)しからばこっちからゆくといわれるそうで、それでは恐縮でもあり敬老精神にも反するので、防空服装でもって恐る恐る、小石川の高台にあるお邸へ参上した。翁はたしかもう九十歳にちかいお年だったと
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正宗白鳥『未見の人』
或る日私は急な相談事があつて、友人末永を訪ねた。例の通り案内をも乞はず、庭木戸から聲を掛けて座敷の障子を開けると、彼れの細君や母や妹やが一所になつて、腹を抱へて笑つてゐる。私は相變らず氣樂な家庭だと、少し呆れ氣味で、
「どうしたんだい。」と、座敷に突立つたまゝ、皆んなを見廻した。すると末永は一人笑ひを止め、
「何でもないんさ、今武部といふ男が來てね、變な眞似をして行つたもんだから。」
「武部?……聞いたことのあるやうな名だが。」と、私は首を傾げて考へて、
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正宗白鳥『未見の人』
或る日私は急な相談事があつて、友人末永を訪ねた。例の通り案内をも乞はず、庭木戸から聲を掛けて座敷の障子を開けると、彼れの細君や母や妹やが一所になつて、腹を抱へて笑つてゐる。私は相變らず氣樂な家庭だと、少し呆れ氣味で、
「どうしたんだい。」と、座敷に突立つたまゝ、皆んなを見廻した。すると末永は一人笑ひを止め、
「何でもないんさ、今武部といふ男が來てね、變な眞似をして行つたもんだから。」
「武部?……聞いたことのあるやうな名だが。」と、私は首を傾げて考へて、
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中野鈴子『夜』
足を伸ばす
体の横に手を垂れて
目を閉じる
ねむろうとして自分の呼吸を聞いている
かならず闇がおそいかかる夜というもの
夜
夜はかならずきて
わたしはかならずねむったにちがいなかった
夜が来ればねむったであろう
そして夜
ねむれぬままにも
ねむったであろう
五十年の美しい昼と夜
一個の生きとし生きる者として
春の花
冬の雪にも
お前はいたのか
お前はいたのか
お前は赤ん坊でもあったのか
あのようにも美しい
桃のようでもあったのか
いまねむろうとして
夜の闇が
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中野鈴子『夜』
足を伸ばす
体の横に手を垂れて
目を閉じる
ねむろうとして自分の呼吸を聞いている
かならず闇がおそいかかる夜というもの
夜
夜はかならずきて
わたしはかならずねむったにちがいなかった
夜が来ればねむったであろう
そして夜
ねむれぬままにも
ねむったであろう
五十年の美しい昼と夜
一個の生きとし生きる者として
春の花
冬の雪にも
お前はいたのか
お前はいたのか
お前は赤ん坊でもあったのか
あのようにも美しい
桃のようでもあったのか
いまねむろうとして
夜の闇が
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2021年東京オリンピックで使われたコンピューターが自分はブッダだと宣言し、機械仏教が広まっていく過程と結末をユーモアたっぷり描いたSFコメディ小説で、生成AIや量子力学まわりの大騒ぎも皮肉たっぷりに語られる。コンピューター用語が小ネタ的に多用されるので、人を選ぶかもしれない。全体を見ればメタ小説のようにも読み取れる。非常に面白かった。
amzn.to/3JiInex
2021年東京オリンピックで使われたコンピューターが自分はブッダだと宣言し、機械仏教が広まっていく過程と結末をユーモアたっぷり描いたSFコメディ小説で、生成AIや量子力学まわりの大騒ぎも皮肉たっぷりに語られる。コンピューター用語が小ネタ的に多用されるので、人を選ぶかもしれない。全体を見ればメタ小説のようにも読み取れる。非常に面白かった。
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中谷宇吉郎『クラム・ベーク』
米國の東海岸、ニュー・イングランド地方には、流石に古い傳統が殘っていて、ジャズの國アメリカでは一寸考えられないような料理がある。「クラム・ベーク」というのが、その一つであって、今度の會議の懇親會で、初めて食べてみたが、なかなか風趣のある料理である。これは東部でも、海岸地方にだけ殘っているもので、日本でも珍しい料理の一つであろう。
料理は野外でやるので、廣々とした草地の中に、まず大きい石塊を並べて、四角形の場所を作る。その中は六尺に九尺くらいあって、
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中谷宇吉郎『クラム・ベーク』
米國の東海岸、ニュー・イングランド地方には、流石に古い傳統が殘っていて、ジャズの國アメリカでは一寸考えられないような料理がある。「クラム・ベーク」というのが、その一つであって、今度の會議の懇親會で、初めて食べてみたが、なかなか風趣のある料理である。これは東部でも、海岸地方にだけ殘っているもので、日本でも珍しい料理の一つであろう。
料理は野外でやるので、廣々とした草地の中に、まず大きい石塊を並べて、四角形の場所を作る。その中は六尺に九尺くらいあって、
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山本周五郎『酒屋の夜逃げ』
こういう題をみると、人びと――少なくとも酒呑みに属する人びとは膝を乗り出すだろうと思う。
嘘ではない。こちらが勘定を溜めたあげく、面目なさに逃げたのではなく勘定を溜められた側の、すなわち債権者であるところの酒屋のほうで夜逃げをしたのである。
もちろん、約二十年まえ、大森の馬込にいた頃のことで、その酒屋は「三河屋」といい、聞くところによると、当時その付近に住んでいた作家や画家諸氏がずっとひいきにしていたようであった。
その三河屋のまえ、私が馬込で初めて
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山本周五郎『酒屋の夜逃げ』
こういう題をみると、人びと――少なくとも酒呑みに属する人びとは膝を乗り出すだろうと思う。
嘘ではない。こちらが勘定を溜めたあげく、面目なさに逃げたのではなく勘定を溜められた側の、すなわち債権者であるところの酒屋のほうで夜逃げをしたのである。
もちろん、約二十年まえ、大森の馬込にいた頃のことで、その酒屋は「三河屋」といい、聞くところによると、当時その付近に住んでいた作家や画家諸氏がずっとひいきにしていたようであった。
その三河屋のまえ、私が馬込で初めて
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中谷宇吉郎『釣』
この近年、日本中到るところで、釣が大流行のようである、實際のところ、釣くらい面白いものは、外に一寸あるまい。
この頃、無暗と忙しくて、ゆるゆると魚釣りに時を忘れるというような機會には、滅多に惠まれない。それだけに、子供の頃、北陸の湖の畔に育った私などには、昔の思い出がなつかしまれる。五寸もある鮒を釣り上げて、それが藻にからんだ時の、あの緊張感のようなものは、大人になってからは、もう味わえない。
アメリカにいた頃、住んでいた町のすぐ近くに川があった。其處に簡單な
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中谷宇吉郎『釣』
この近年、日本中到るところで、釣が大流行のようである、實際のところ、釣くらい面白いものは、外に一寸あるまい。
この頃、無暗と忙しくて、ゆるゆると魚釣りに時を忘れるというような機會には、滅多に惠まれない。それだけに、子供の頃、北陸の湖の畔に育った私などには、昔の思い出がなつかしまれる。五寸もある鮒を釣り上げて、それが藻にからんだ時の、あの緊張感のようなものは、大人になってからは、もう味わえない。
アメリカにいた頃、住んでいた町のすぐ近くに川があった。其處に簡單な
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山本周五郎『避けぬ三左』
一
「おい、むこうから来るのは三左だろう」「そうだ三左だ」「天気を訊いてみるから見ていろ」天正十七年十二月のある日、駿河国府中の城下街で、小具足をつけた三人の若者がひそひそささやいていた。
そこへ大手筋の方から、ひとりの大きな男がやって来た。眉のふとい、口の大きな、おそろしく顎骨の張ったいかつい顔である、眼だけは不釣り合いに小さく、おまけに処女のような柔和なひかりを帯びている。肩は岩をたたんだようだし、手足のふしぶしは瘤のような筋肉がもりあがっている。
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山本周五郎『避けぬ三左』
一
「おい、むこうから来るのは三左だろう」「そうだ三左だ」「天気を訊いてみるから見ていろ」天正十七年十二月のある日、駿河国府中の城下街で、小具足をつけた三人の若者がひそひそささやいていた。
そこへ大手筋の方から、ひとりの大きな男がやって来た。眉のふとい、口の大きな、おそろしく顎骨の張ったいかつい顔である、眼だけは不釣り合いに小さく、おまけに処女のような柔和なひかりを帯びている。肩は岩をたたんだようだし、手足のふしぶしは瘤のような筋肉がもりあがっている。
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山本和久三『本覚寺の山門に立ちて』
狭い通りであつた。天気が続くと、ぽか/\の砂埃が靴の踵を没すばかりの道だつた。左側には小つぽけな商家や住宅が軒を接してならんでゐた。右側には乱杭式の木柵が不規則に立つてゐた。人力車がやつと擦れ違ふほどの、其狭い道路を肥車の列が朝から晩まで絶えなかつた。六角橋や小机方面から市街への唯一の往還だつたからだ。
鉄道線路には真黒な煙を吐く蒸汽列車が間断なくゴロ/\ガラ/\走つてゐた。これが大正十二年の震災前までの此辺である。『隔世の感』と云ふ言葉を私は
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山本和久三『本覚寺の山門に立ちて』
狭い通りであつた。天気が続くと、ぽか/\の砂埃が靴の踵を没すばかりの道だつた。左側には小つぽけな商家や住宅が軒を接してならんでゐた。右側には乱杭式の木柵が不規則に立つてゐた。人力車がやつと擦れ違ふほどの、其狭い道路を肥車の列が朝から晩まで絶えなかつた。六角橋や小机方面から市街への唯一の往還だつたからだ。
鉄道線路には真黒な煙を吐く蒸汽列車が間断なくゴロ/\ガラ/\走つてゐた。これが大正十二年の震災前までの此辺である。『隔世の感』と云ふ言葉を私は
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中谷宇吉郎『ソ連の人工衛星』
八月十五日のシカゴ・サン・タイムスに、ソ連の人工衞星の研究の話が出ていた。見出しは「動物を三百マイルの高空まで打ち揚げる」というのである。
先日、アイクが、アメリカの人工衞星の豫算を承認したことは、日本の新聞でも大々的に報道されたが、この人工衞星の問題でも、目下米ソは眼に見えない競爭で、しのぎを削っている傾きがある。
人工衞星の計畫は、もとはヒットラーの夢として、ドイツで提出されたものであるが、それは戰後アメリカに引きつがれ、今またソ連が猛烈な
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中谷宇吉郎『ソ連の人工衛星』
八月十五日のシカゴ・サン・タイムスに、ソ連の人工衞星の研究の話が出ていた。見出しは「動物を三百マイルの高空まで打ち揚げる」というのである。
先日、アイクが、アメリカの人工衞星の豫算を承認したことは、日本の新聞でも大々的に報道されたが、この人工衞星の問題でも、目下米ソは眼に見えない競爭で、しのぎを削っている傾きがある。
人工衞星の計畫は、もとはヒットラーの夢として、ドイツで提出されたものであるが、それは戰後アメリカに引きつがれ、今またソ連が猛烈な
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シリーズ三作目。これまでの二作とは違って今回は長編だった。それもあって、今まででは一番読み応えのある内容だった。ただし法医学とはあまり関係がないかも。というか、最後に無理やり犯罪に結びつけたような……
とりあえずシリーズのアンリミはここまで。
amzn.to/4nU07eI
シリーズ三作目。これまでの二作とは違って今回は長編だった。それもあって、今まででは一番読み応えのある内容だった。ただし法医学とはあまり関係がないかも。というか、最後に無理やり犯罪に結びつけたような……
とりあえずシリーズのアンリミはここまで。
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シリーズ二作目だけど、刑事物と違って実際に捜査に関わらない解剖医ということで、筋立てが少々ワンパターンかなという感じはある。連作短編集だから余計にそう感じるのかもしれない。もちろん面白いんだけど。
amzn.to/3ItjBbj
シリーズ二作目だけど、刑事物と違って実際に捜査に関わらない解剖医ということで、筋立てが少々ワンパターンかなという感じはある。連作短編集だから余計にそう感じるのかもしれない。もちろん面白いんだけど。
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中谷宇吉郎『珈琲の値上り』
一年ぶりに研究所へ顏を出してみたら、大分人數が殖えて、賑やかになっていた。しかし、雰圍氣は昔どおりで、まず芽出たいことであった。唯一つちがったことは、珈琲が値上りになっていたことである。
もちろんアメリカ國内の珈琲が高くなったわけではなく、研究所内で飮む珈琲が値上りしたのである。といっても、何のことか分からないかもしれないが、それにはまずこの研究所の珈琲制度の説明が必要である。
アメリカ人の一番感心な點は、よく働くことで、工場はもちろんのこと、
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中谷宇吉郎『珈琲の値上り』
一年ぶりに研究所へ顏を出してみたら、大分人數が殖えて、賑やかになっていた。しかし、雰圍氣は昔どおりで、まず芽出たいことであった。唯一つちがったことは、珈琲が値上りになっていたことである。
もちろんアメリカ國内の珈琲が高くなったわけではなく、研究所内で飮む珈琲が値上りしたのである。といっても、何のことか分からないかもしれないが、それにはまずこの研究所の珈琲制度の説明が必要である。
アメリカ人の一番感心な點は、よく働くことで、工場はもちろんのこと、
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中谷宇吉郎『自動車を止めるボタン』
アメリカでは自動車の交通規則がやかましく、赤ランプの突破など、ひどい罰金である。
何分ああ自動車が多くては、よほど規則を嚴重にしておかなくては、到底交通の安全を期し難い。車道と人道との區別もはっきりしていて、車道には普通自動車だけしか走っていない。自轉車は、原則として人道を通ることになっている。まず乳母車並みである。
人命を非常に大切にしているので、誤って人を轢くと、たいへんな損害賠償をとられる。下手をすると、轢いた方は一生涯只働きを
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中谷宇吉郎『自動車を止めるボタン』
アメリカでは自動車の交通規則がやかましく、赤ランプの突破など、ひどい罰金である。
何分ああ自動車が多くては、よほど規則を嚴重にしておかなくては、到底交通の安全を期し難い。車道と人道との區別もはっきりしていて、車道には普通自動車だけしか走っていない。自轉車は、原則として人道を通ることになっている。まず乳母車並みである。
人命を非常に大切にしているので、誤って人を轢くと、たいへんな損害賠償をとられる。下手をすると、轢いた方は一生涯只働きを
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法医学教室が舞台のミステリーで、多くの医学ネタが登場するんだけど、読みやすさはまったく損なわれない。この前のクラシック音楽を扱ったシリーズといい、その知識の豊富さ、幅広さに驚かされる。どういう経歴なんだろう。
amzn.to/4mAB9jL
法医学教室が舞台のミステリーで、多くの医学ネタが登場するんだけど、読みやすさはまったく損なわれない。この前のクラシック音楽を扱ったシリーズといい、その知識の豊富さ、幅広さに驚かされる。どういう経歴なんだろう。
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原麻希セカンドシリーズ四作目。麻希が警察官になる最初のきっかけである高校生の時に出会った若き巡査との再会を中心に語られる非常に切ない物語。いやぁ素晴らしい。このシリーズ、もう一作(上下巻)出てるんだけど、まだアンリミではないのでしばらくお預け。ハラマキロスになりそう。
amzn.to/4nwfH0C
原麻希セカンドシリーズ四作目。麻希が警察官になる最初のきっかけである高校生の時に出会った若き巡査との再会を中心に語られる非常に切ない物語。いやぁ素晴らしい。このシリーズ、もう一作(上下巻)出てるんだけど、まだアンリミではないのでしばらくお預け。ハラマキロスになりそう。
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原麻希セカンドシリーズの三作目。誘拐事件から始まって二転三転。多くの登場人物それぞれが謎に満ちている中、いつも以上に原麻希の推理が冴える作品。
amzn.to/4gKY1vp
原麻希セカンドシリーズの三作目。誘拐事件から始まって二転三転。多くの登場人物それぞれが謎に満ちている中、いつも以上に原麻希の推理が冴える作品。
amzn.to/4gKY1vp
中谷宇吉郎『颱風の予報』 #読了
この半月くらいの間に、二十二號颱風から始まって、二十五號まで、四つもの颱風が續けざまにやって來た。そのうち二つばかりは、九州を襲って、大損害を與えたが、あとの二つは、幸いにして本土をそれたので、大したことはなかった。
この頃は、氣象觀測網も大分充實し、觀測技術も進歩したので、颱風は洋上かなりはなれたところにある頃からもう發見される。それで日本に近づいて來る進路も、二三日前にははっきりする。
その進路は、天氣圖の上に、矢印をつけた線で示され、
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中谷宇吉郎『颱風の予報』 #読了
この半月くらいの間に、二十二號颱風から始まって、二十五號まで、四つもの颱風が續けざまにやって來た。そのうち二つばかりは、九州を襲って、大損害を與えたが、あとの二つは、幸いにして本土をそれたので、大したことはなかった。
この頃は、氣象觀測網も大分充實し、觀測技術も進歩したので、颱風は洋上かなりはなれたところにある頃からもう發見される。それで日本に近づいて來る進路も、二三日前にははっきりする。
その進路は、天氣圖の上に、矢印をつけた線で示され、
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