なお、告別式場の仏教青年会館は本郷三丁目から御茶ノ水駅方向にあり、交代含め20人ぐらいで担いで運んだそうで、その際、東大正門前では20数人の学生が脱帽で山宣に別れの礼をしていたらしい。また、告別式場は超満員で街路にも溢れていたほどで、弔辞は本富士警察署長により都度「中止」、その度ごとに起こる怒号と戦闘的な高揚のなかで式は進行したという。

また、山の畑で仕事をしてた時に、小学生の長男が「警察がくるから家に戻るな。」と連絡しに来たそうで、夕暮れの道を怖々と帰っていく長男の姿は、ずっと瞼に焼きついていた、と生前に語ったそうです。

奈良の十津川から北海道に移住した両親をもち、治安維持法違反で、久留米において特高と乱闘の末に検挙され虐殺された後、身元不詳のまま埋葬されたために戦後しばらく消息不明となっていた、西田信春という方がモデルだそうです。九州大学法医学教室に解剖の記録が残っていたとか。

使用する者の多くは警察官であり、必ずしも誤って使用しないとは言えない。他の法律と違って峻厳極まりなく、一度誤って使用したその結果は誠に恐ろしいものになる。」という趣旨を述べ、制定後の影響を危惧したそうですね。

「この国に硝煙のにおいが寄せて来ると　お前のレーダーにふれる日が来たら　いや来たときでは間に合わん　予感がしたら　この日のことを（つまり治安維持法の体験）　お前が書けよ　書くのだ　書きなさい　それがお前の義務である」

「ナニ　文字？　文章？　アッハッハ　そんなこたあ問題にもならん　血液で書くんだ　お前の血液で　カタカナでん　ひらがなでんかまわん　書きなさい」

と言ったそうです。