アコギ
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アコギ
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成人済 たまに小説を書きます
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帝国ホテルでいただくティータイムセット。建物の雰囲気がいいよね〜。ミルククレープっていうか、カスタードクレープ……？
ゴールデンカムイと明治村コラボフードの鯉登少尉のティータイムセットの写真。 手前にミルククレープ、奥に紅茶の入ったティーカップとソーサーのセット、月島と鯉登のアクリルスタンド を置いて撮影。
October 11, 2025 at 11:26 AM
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でっかくて分厚いかき揚げ！！ メンコっていうか円盤。温と冷が選べるのありがたいね〜
ゴールデンカムイと明治村コラボフード、月島のかき揚げきしめんの写真。 手前にきしめんの入ったどんぶり、後ろに月島と鯉登のアクリルスタンド を立たせて撮影した。 どんぶりいっぱいのサイズのかき揚げがのっているので、下のきしめんが見えない。
October 11, 2025 at 11:17 AM
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＼ 入村 ／
博物館 明治村の入り口門で撮った写真。 赤煉瓦造の門柱に「博物館明治村」の木製の表札がかかっている。 明治村とゴールデンカムイのコラボグッズ、月島・鯉登のアクリルスタンド を手に持って、門柱を真ん中にと撮影した。
October 11, 2025 at 7:08 AM
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ファンクラブイベントでした。親の子守唄よりよく聴いた平成アニメのOPとEDが生で聴けてちょっと泣けた……
August 9, 2025 at 7:25 AM
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今書いてる話の冒頭。人を選ぶ内容なのでダメぽい人は1行目で引き返してくれないかなという期待をこめて
July 8, 2025 at 10:45 PM
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バチT届いたよ👕 家帰ったら夫が「少年ジャンプから荷物来てるよ」て手渡してくれてその場から動かないので目の前で開けるはめになって恥〜〜〜〜あとLサイズにしたら相当でかかった〜〜〜〜
June 17, 2025 at 12:27 PM
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二次創作┆小説┆BL

ほしいものひとつだけ(座漆) privatter.me/page/6818a04...

縁日で再開する2人の話。終戦14年めくらい
座漆小説「ほしいものひとつだけ」の冒頭の抜粋。 以下、画像中の本文。 夕方になると、どこからともなく囃子方の音が聴こえてくる。幼い漆羽は背伸びして道場の窓に取りつき、格子の間から切ないようなオレンジ色に照らされた景色を見ていた。 もうすぐ高台の神社で夏祭りが行われる。そこで披露される、踊や囃子の練習をしているらしかった。 稽古稽古で子供らしい思い出の少ない幼少期ではあったが、縁日の時だけは、師が手を引いて出店に連れ出してくれた。 「なんでもひとつだけ買ってやる」と言われて、クソガキだった当時は「ひとつだけかぁ」などと思ったものだ。今思えば、家族でもないクソガキをわざわざ連れて行ってくれるだけ、それなりに可愛がられていたのだろう。 以上。 続きはURL先のぷらいべったープラスに掲載してあります。
May 5, 2025 at 11:56 AM
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（3/3）
⑨ 「あれ……なんで俺の名前」 女が自分の名前を呼んでいたのを不思議に思った。昨晩、名乗りでもしたのだろうか。でも、ライオスは女の名前を知らない。覚えていない。 まあ、いいか。 喧嘩したとは言え、無断で外泊してしまったので、弟が心配しているかもしれない。早く帰ろう。 下履きをずり上げながら、ライオスはフラフラと帰路へついたのだった。 地下室へ入ってくるなり、幼馴染はぎょっと目を見開いた。 「リンシャ」 「……誰かと思った」 カブルーが名前を呼ぶのに、すぐにムッと唇を尖らせて不機嫌な顔をして見せる。自身のおかっぱ頭のひと筋に指を絡め、リンシャは部屋の隅の大樽に腰を下ろした。 ⑩ 「髪、切ったんだ」 眉根を寄せて睨まれるのに、カブルーは肩をすくめた。怒っているように見えるのは照れ隠しで、似合っていると素直に言えない彼なりの褒め言葉だとわかる。 カブルーは、華奢な背中を覆っていたゆたかな黒髪をバッサリと切り落としていた。癖っ毛のせいで、襟足が首に当たってくすぐったい。 「長いのも悪くなかったのに」 「わたしには必要ないからね」 魔術師でもないカブルーには、長い髪は邪魔なだけだった。 髪型だけではなく、服装も変えた。胸元が大きく開いたワンピースではなく、柔らかな木綿のシャツと黒いパンツを身につけている。動きやすさ重視の格好だった。 店主には、すでに酌婦を辞める旨を伝えていた。地下室に下宿させてもらう代わりに夜は酒場で働く約束だったため、すぐに追い出されると思っていたが、帰る場所がいるだろうと住み続けるのを許してもらえた。ありがたい話だ。せっせとたらしこんだ甲斐があった。 11 「住処が決まった。貯金が貯まった。心強い仲間が集まった」 真新しい手袋の感触を確かめるように、カブルーは指を折っていく。リンシャを振り返って、ウィンクを投げた。ぷいっとそっぽを向かれたが、いつものことなので気にしない。 「いよいよ迷宮に潜るぞ」 ずっとこのときを待っていた。迷宮の呪いを解き、魔物を根絶してみせる。故郷のような悲劇は二度と起こさない。 そんな大いなる目的とは別に、カブルーには果たしたいことがあった。同じ冒険者になれば、あの男の目にも入るはずだ。何度声をかけても話しかけても、なんならご近所さんとして毎日挨拶をしていても、カブルーのことを知らなかった男。 「今度こそ思いださせてやる」 地下室の薄暗闇に、青色の瞳がギラリと閃いた。
April 7, 2024 at 1:44 AM
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（2/3）
⑤ 「いいわけがない。みんな大切な仲間だ」 そんなことを、言い返せたか、言い返せなかったか。記憶はそこで途切れている。 そこまで思いだして、にわかに頭が痛みだした。目の前の女が放つ瑞々しい香水の匂いが、鼻腔から頭の中まで侵入して「覚えていないんですか？」と頭蓋骨を殴打し責め立ててきた。 ライオスは呻いて、昨日とは違う理由で頭を抱えた。しなだれかかってきた女の身体の柔らかさをはっきりと覚えている。身を乗りだすことで強調された、大きく開いた胸元から意識して目を逸らした。 「この部屋は……」 「わたしの部屋です。酒場の地下を間借りさせてもらってるんです。昨日、ライオスさんが酔っ払ってお店で寝てしまったので、ベッドをお貸しました」 「それは……申し訳ない……」 ⑥ ライオスはうなだれた。記憶がなくなるまで酔っ払ったのは、人生で初めてだった。 「本当に覚えてないんですか？」 「は、はい」 念を押されるのに、肩を窄めるしかない。女がさらに身を乗り出してくるのに、いよいよこぼれ落ちそうになっていた。 女のただならぬ圧に、ライオスはひとつの可能性に思い当たる。まさか、ただ酔い潰れるだけではなく、女に対してなにかしてしまったのだろうか。撫でたり？　触ったり？　それ以上のことまで？　 真っ青になったライオスは、大慌てで毛布を跳ね除けた。服は着ている。多少下履きがずり下がっていたが、寝相のせいだろう。どさくさで引き上げながら、今度は目の前の女をマジマジと見た。 頭のてっぺんから、薄いスカートのまとわりつく太腿まで。たっぷりとした肉感のある体つきだった。出るところは出ているのに、しっかりくっきりくびれもある。よく食べよく働いているのがわかった。 ⑦ どこかで会ったような気がする。昨晩よく話を聞いてもらったから、そんなふうに思うのだろうか。こんなに魅力的な女性に会って忘れてしまう薄情な男なんて、そうそういないはずだ。 ライオスは健康的な女の身体に、素直に感心していた。そのため、女の眉がみるみるつり上がっていくのに気がつくのが遅れた。 ガッと顎を掴まれて、おどろいた。女の長い爪が、ライオスの頬に食いこむ。油断していたとは言え、ライオスは反応できなかった。素早い動きではなかったはずなのに、まるで人間の死角や不意をつく方法を知り尽くしたような動き。 女は五本の細指で、ライオスの首から上をいいように操った。くいっと階段の方を向かせ、それから、ベッド下へと捻る。 「もう大丈夫ですね。お帰りはあちらです。荷物はそこに」 ライオスが理解すると、女の指はすぐに離れた。立ち上がって先に部屋を出ようとする女に、我に返ったライオスは再度お礼を口にする。 「本当にありがとう。世話になったね。また改めてお礼を」 「…………」 ⑧ 振り返った女が、じっとりとした目を向けてきた。ライオスは女の怒りを悟り、荷物をかき抱いて早足に部屋を出る。 階段を駆け上がって続く扉を開けると、酒場のカウンター裏へ出た。日の入った明るい店内は、昨晩とは別の場所のよう。 よく磨かれて光る黒檀のテーブルを、店主らしき男が拭いていた。いまだ下履きが腰あたりでわだかまっているライオスを見て、ニヤッと口角を上げる。なにやら誤解されている気がしたが、弁明している余裕はなかった。 女に渡された水のグラスを握りしめたままだった。急いであおって、空になったグラスを店主へ突き返す。 「ど、どうもお世話になりました……」 「まいど〜〜」 上調子な店主の声に背を押され、酒場から逃げだした。すっかり高く上った日の光を全身に浴びて、ドッと汗と疲れが吹きだす。 遅くまで寝こけてたはずなのに、身体がだるくてしかたない。女の香水の匂いが鼻孔にこびりつき、頭が痛かった。二日酔いになるのも人生で初めてだ。
April 7, 2024 at 1:40 AM
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ライカブ♀

目覚めると知らないベッドの上にいたライオスと、酌婦のカブルー♀の話

⚠︎ライオス以外性別逆転

あなたはなにも知らない
（1/3）
ライカブ二次創作小説 ① 目覚めると、知らない天井が目に入った。ここはどこだろう。 部屋は薄暗い。まだ夜が明けていないのかと思ったが、目が冴えてくるにつれて窓がないのだとわかった。ひんやりした空気は、うっすらと濡れた土の匂いをはらんでいる。まるで、地下室だった。 ハッと気がついて、ライオスは飛び起きる。ベッドの上で薄い毛布をかけられていた。手足は自由で、拘束されている様子はない。檻もなさそうだった。 サイドテーブルに置かれた小さなランプの灯りを頼りに、あたりに目を凝らす。壁一面に酒瓶や酒樽のならんだ棚があり、部屋の隅には大樽が積まれていた。窓も扉もなく、昇り階段に続く出入り口があるのみだった。地下室であることは間違いなさそうだ。倉庫か貯蔵庫といったところか。 地下牢に収監されているわけではなさそうだと、ひとまず胸を撫で下ろした。それでも、知らないベッドの上なのは変わりがない。 なぜこんなところに。ライオスが昨晩のことを思いだそうとしたところで、足音が聞こえてきた。カツカツと軽やかなヒールの音が階段を降りてくる。ライオスは身構えた。 ② 「目が覚めましたか。おはようございます」 若い女の声と一緒に、小柄な影が部屋に入ってくる。光量が少なくて、ぼんやりとしたシルエットでしか捉えられなかった。 挨拶から害意は感じられなかったが、ライオスは警戒をゆるめない。武器どころか、自分の荷物も見当たらなかった。 着古したシャツは皺だらけだし、髭も剃っていない寝起きの汚い顔をしている。最後に風呂屋に行ったのはいつだっただろうか。とても女性の前に出られるような格好ではなかった。あまり近づかないでほしい。 願いむなしく、女はベッドの縁に腰かけた。硬いマットレスがわずかに沈み、狭い部屋にベッドの軋む音が響く。女は乱れたシーツに手をついて、壁際まで後ずさったライオスの顔を覗きこんだ。 「体調はどうですか。これ、お水です」 「ありがとう……ええと、君は？」 差し出されたグラスを、とりあえずと受け取った。口はつけずに、ライオスは尋ねる。 ③ 心許ないランプの灯りが、湿っぽい地下室の闇におぼろげな女の姿を浮かび上がらせた。ゆたかな黒い巻き毛が小柄な女を縁取っている。褐色の肌をしているように見えるが、定かではなかった。よく見えないが、さぞかし美人なのだろう。近距離で透きとおる青い目がパチパチと瞬いた。 「覚えていないんですか？」 「お、覚えてないです……」 聞き返す言葉に非難の響きがあり、ライオスは背筋を伸ばした。揺れる女の髪から毛布と同じ甘い匂いが香ってくる。ベッドはこの女のものである、と嫌でも気がついた。 昨晩は、居場所を求めて近くの酒場に入った。同じ部屋で生活している弟と喧嘩してしまったのだ。 前回の迷宮探索の際、ライオスが女性のメンバーに失礼をはたらいてしまったらしく、そのことについて弟から咎められた。そんなつもりはなかった、と言い訳すると、これが初めてではない、と語気を強められる。それ以上なにも言えなくなって、部屋を飛び出した。 ④ 日付も変わろうかという時間だったが、酒場は賑わっていた。前の通りまで賑やかな声と灯りが漏れている。吸い寄せられるように、ライオスは店の扉を開けた。こういった場所は碌でもない輩にからまれることも多く、あくまで酒が主役であり飯の味は大したことがないため、普段は入らない。だが、今はその粗雑な賑やかさが恋しかった。 柱の影になるテーブルで、ひとり酒を舐めていた。これだけ人がいれば、誰も自分のことなど気にとめない。と思っていたのだが。 気がつくと、隣に女がいた。女からは、たっぷりと水気を含んだ果実のような甘い匂いがした。甘い匂いに鼻先をくすぐられ、ライオスは愚痴をこぼしていた。 自分なりにがんばっているのだが、うまくいかない。こちらの思いは伝わらないし、みんながなにを思っているのかもわからない。みんなに嫌われている気がする。いや、自分がみんなを嫌っているのかもしれない。自分はリーダー失格だ。他の仕事を探したほうがいいのかも。でも、今さら冒険者以外の職業なんて選べない。 ツラツラと話すうちに、女はすっかりライオスの肩へとしなだれかかっていた。酒のおかわりをすすめてきて、「そんな奴らいいじゃないですか」などと甘い言葉を囁いた。
April 7, 2024 at 1:35 AM
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キツネとレモンのコレクションボックス開封の儀🦊🍋 中の仕切りにも模様がついててかわいい〜。柑橘系のチョコが多いけど、酸味が強くなくて好きな味ばかりだった！ 箱はボタン入れにしようかな
キツネとレモンのコレクションボックスの写真。 木の目のテーブルの上に、桜模様のハンカチを敷いてそこにコレクションボックスを置いている。 コレクションボックスは横16cm縦13cm高さ7cmで両掌にのるくらいの大きさ。 水色の箱に狐や檸檬などの動物や植物が絵本のような柔らかなイラストでカラフルに描かれている。 箱の上部に「キツネとレモン」のロゴが金で箔押しされている。 箱はパッチン錠で開くようになっており、水色の箱に金色のパッチン錠やロゴが映えていてかわいい。 キツネとレモンのコレクションボックスの内部。 プラスチックの仕切りにボンボンショコラやチョコレートバー、アマンドショコラなど様々なチョコレートが10粒ほど入っている。仕切りは2段あるので、合計20粒くらい。すべて種類が違って、茶色のチョコレートだけではなく黄色や黄緑、模様の描かれたチョコもあって中身もかわいい。 プラスチックの仕切りの縁にもぐるっと金色で狐や植物、格子模様の箔押しがされてあって豪華。 箱の蓋の内側には、森の中にいる狐のイラストと、ブランドコンセプトが英語で書かれている。
April 6, 2024 at 6:30 AM
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今日のおやつはクリームサンドクッキーですよ。ひとつひとつけっこうボリュームがある！
ムーミンパティスリーのクリームサンドクッキー3つが白い皿の上にのっている。 クッキーの表面にそれぞれムーミン、リトルミィ、スナフキンの顔が描かれている。 縦6cm×横5cm×厚さ2cm程と手のひらに余るサイズで、とってもボリューミー。
March 24, 2024 at 7:28 AM
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NAGOYA
MOOMIN SHOP NAGOYA オリジナルトートバッグとノベルティ缶バッジの写真。 トートバッグは赤いギンガムチェックに青いインクでミムラねえさんが描かれていて、とてもかわいい。 缶バッジはムーミンママとミムラねえさんが並んでいるイラストが使われており、もちろんかわいい。
March 8, 2024 at 1:08 PM
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(4/4)
13 ゆっくり振り向くと、カブルーは柔和な笑みを浮かべていた。声をかけてきたときと同じ、訓練されているけど嫌味のない、顔全体に愛嬌を貼りつけたような笑顔。それがカブルーの最大の武器なのだ、と瞬時に理解した。 「ど、どうだろう……？」 カブルーの武器で貫かれたチルチャックは、ぎこちなく首を捻ることしかできなかった。 首を捻ったまま固まるチルチャックに、カブルーはふっと目尻を緩める。なぜだかチルチャックには、それがカブルーの作り笑いが少しだけ解けたように見えた。 「カブルー！」 チルチャックが首の筋を攣るより早く、ライオスの声が飛んできた。助かった、と声の方を見ると、ライオスが切羽詰まった表情で手を振っている。あちらはあちらで助けが必要らしかった。 呼ばれたカブルーは、すぐにグラスを置いて立ち上がる。中のワインはほとんど減っていないように見えた。 14 「行きますね。話を聞いていただいて、ありがとうございました」 「ああ、うん……」 「では、また」 チルチャックは返事をしなかった。できれば「また」はあってほしくない。 もどってきたカブルーに二言三言ささやかれると、ライオスはわかりやすくホッとした表情になった。情けない顔しないでください、とでも言うように、カブルーに背中を叩かれる。そうして、二人で挨拶回りを再開した。相変わらずあたりは騒がしかったし、宴会が終わる気配はない。 ライオスはチルチャックがいるのに気づいていないようだった。他人種の頭に埋もれて見えなかったらしい。よくあることだ。むしろ、見つからなくてよかった。カブルーとあんな話をしたあとに、ライオスにどんな顔をすればいいのかわからなかった。 新王とその補佐役が遠ざかっていくのを見送ると、チルチャックはどっと疲れを感じた。並び立つ二人からそっと目を逸らす。 なんだったんだ、アイツ。まさか本気でライオスとマルシルの仲を疑っていたわけではあるまい。チャンスがあるかどうか、なんて。 15 喉の渇きを覚えて、チルチャックはすっかりぬるくなった水を舐めた。まだ身体が熱を持っていたが、頭はだいぶハッキリしてきた。 おそらく、あれは牽制だった。妻子持ちのオッサンを警戒しているわけではない。他の人間を焚きつけるな、ということだ。例えば、マルシルとか。 「…………」 残り少なかったグラスの水は、すぐに空になった。おかわりをもらおうかと思ったが、やめた。今日はもう帰ろう。 給仕に声をかけると、「ご案内します」と手を貸して椅子から下ろしてくれた。静々と歩むトールマンの給仕のあとに続き、出口へ向かう。途中、ちらりとライオスとカブルーの方を見やった。 二人はなにやら顔を寄せあい、カブルーが耳打ちするのに、ライオスが笑みをこぼしている。つられてカブルーが笑うのに、お互いの肩を小突いていた。仲良しか。 「……アホらしい」 16 チャンスがあるかどうか、なんて。チャンスもなにも、現に今ライオスの隣にいるのはカブルーだった。マルシルではない。 感傷的な気分も酔いもすっかり吹き飛んで、チルチャックはさっさと給仕の開けてくれた扉を出た。 宴会場の外では、油紙に包んだヒポグリフのソーセージを手渡された。手土産にと招待客全員に配っているそうだ。どんだけ作ったんだと呆れたが、ライオスらしいもてなしだと思った。 うまい食べ物は、いくらあっても困ることはない。帰ったらこれで妻と飲み直すこととしよう。チルチャックはソーセージの包みを大切に鞄へとしまった。
February 29, 2024 at 11:57 AM
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(3/4)
⑨ カブルーは呟いたきり黙ったままで、チルチャックの返答を待っているようだった。ダメっぽい。このまま帰してはもらえなさそうな雰囲気だった。 グラスを手繰り寄せ、カブルーの言葉を噛み砕くように水を奥歯ですり潰した。 もしかして、今自分は国の未来を左右するような重大なことを聞かれているのだろうか。嫁取りとか、後継者問題とか、そういうこと？　王様に子供を産めないハーフエルフと結婚されたら困る、みたいな話か？ なんと答えたものか。そもそも、なぜ自分に聞くんだ。 ファリン、センシ、イヅツミ、シュロー、ナマリ、と他の仲間の顔が順番に浮かんでは消え、最後に自分が残った。ファリンはマルシルと近過ぎるし、他の者は国を離れているか、そういった話題にとんと疎かった。なるほど、自分に聞くしかない。なんて最悪な消去法だ。 ひとり残った自分の両脇に、ライオスとマルシルを立たせてみる。チルチャックの心労など知るよしもなく、二人そろってヘラヘラと呑気に笑っていた。 二人がくっつこうがくっつこまいが、チルチャックにはどうでもいい。けれども、二人の笑顔が曇るようなことはしたくなかった。手のかかる子供ほどかわいいものなのだ。 ⑩ 「好きっつーか……」 頭の中に散らばった言葉たちを手繰り寄せるようにして、チルチャックは慎重に口にした。 「タイプなんじゃないか」 「タイプ」 意外な答えだったのか、カブルーが繰り返した。 ライオス本人が気づいてるかどうかは怪しい。十中八九、気づいてはいないだろう。 「ようするに、アイツは面食いなんだよ」 しかも、ドのつく面食いだ。さらには、ようく手入れされた女がいいらしい。 近くにいるのがあのポヤポヤした妹だからなのか、髪やら肌やらを怨念こめて整えている女に惹かれやすかった。ただ、こだわって手入れされて上等であればなんだっていいので、そのこだわり部分はよくわかっていない。 以前仲間にいた婚活女にやたらと甘かったのは、押しに弱いというのもあるが、なんやかんや顔と雰囲気が好きだったのだろう。チルチャックはそう見ていた。 11 マルシルが髪の手入れをしなくなって一番残念がっているのはライオスだった。もちろん心配もしていたのだろうが、自分の好みと離れてしまうのが惜しい気持ちも多少はあったのではないだろうか。 単純な話である。好みのタイプというだけで、マルシル個人を特別に好いているわけではない。と思う。たぶん。ライオスはマルシルのことが好きなのかと訊かれれば、「イエス」であるし「ノー」だった。 チルチャックの答えが腑に落ちたのか、カブルーはひとりウンウンと頷いていた。 「チルチャックさんは、ライオスのことよく見ているんですね」 「つき合いが長いってだけだ」 カブルーの瞳に尊敬とも好奇心ともつかない光が宿ったのがわかって、チルチャックは慌てて首を振る。 「あ、違うぞ。俺はつき合いの長いやつのことくらいしかわからねえよ」 アンタのような無類の人間好きではない。お仲間だと思われるのは勘弁してほしい。 12 チルチャックの否定を聞いているのかいないのか、カブルーは自身の頬を指先で摘んだ。 「僕、昔から養母には『かわいいかわいい』とよく褒められてきました」 「へえ」 なんの話かわからなかったが、チルチャックはとりあえず相槌を打った。カブルーは頬をムニムニしながら、ライオスを遠くに見つめている。 答えたのだから、もういいだろう。早く解放してくれ。帰りたい。チルチャックがソワソワと尻を浮かせかけた、そのとき。 カブルーがまた呟いた。例のささやかな呟きだ。 「僕にもチャンスはありますかね」 なんだって？ 耳に入ったとたん、チルチャックは再びクッションに尻を下ろした。おどろきすぎて、尻もちをついたのに近い。 チャンスって、なんのチャンスだ？　まさか。
February 29, 2024 at 11:55 AM
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(2/4)
⑤ 回らない頭であれこれ思考したところで、答えが出てこないばかりかどうどう巡りであった。黙りこむチルチャックを気にする様子もなく、カブルーは近くの給仕に自分のワインとチルチャックの水のおかわりを頼んでいる。 ワインと水はすぐに来た。カブルーがワイングラスを軽く掲げるので、チルチャックはしぶしぶ水のグラスで乾杯してやる。 「なかなかライオスをよこせず、すみません」 「いや、別に……」 妙に感傷的なことを考えていたのがバレるようで、なにやらバツが悪い。まるで自分が、ライオスが来なくてさみしがっているようではないか。 「かわりと言ってはなんですが、僕とお話ししませんか」 「え？」 嫌だ。ものすごく嫌だった。 だが、そんなことを口に出さないだけの分別はあった。尻の下にクッションを重ねていても、中身はとうにオッサンなのだ。 ⑥ チルチャックの返事を待たず、カブルーは流れるように話し始めた。 「今日は主に商業関係の人間を呼んでいるので、挨拶回りは欠かせなくて。なかなかゆっくりライオスにごはんを食べさせてあげられず、かわいそうなことをしました」 「へえ」 おまえがやらせてんじゃねえの、とは言わない。オッサンなので。 善意で手伝ってくれているカブルーのおかげでライオスでもなんとか外交ができている、とはマルシルやファリンから聞いていた。 「ヒポグリフのソーセージ、おいしかったですか？　ライオスのリクエストでメニューに採用したんですよ。クセが強いらしくて、香草をたっぷり使ってあるんです。ライオスのぶんは厨房に取っておいてもらっているので、このあと部屋で食べてもらおうかな。このワインは、黄金郷の製法を取り入れていて」 カブルーはとりとめもないことをツラツラと話している。チルチャックはナッツを齧る音で相槌を打った。 ⑦ 相変わらず頭はスッキリしなかったが、また酒がほしくなった。シラフではとてもやってられない。口寂しいのを紛らわすために、せっせとナッツを口に運び続けた。 ポリポリと相槌を打っていると、ぴたりとカブルーの話が止んだ。まともに聞いていなかったため、それが話に一区切りついたからなのか、相槌が適当すぎて愛想をつかされたからなのか、チルチャックにはわからない。 急に宴の喧騒が遠のいた気がした。二人の間に、沈黙が横たわる。チルチャックは、このままどこかへ行ってくれないかな、などと淡い期待を抱いた。 口を閉ざしたカブルーは、ふいにチルチャックのそばにあるナッツののった皿に手を伸ばした。席を離れる気はないらしい。しかたなく、カブルーの方に皿を寄せてやった。 しばらくの間、二人並んでポリポリとナッツを齧る。カブルーの視線は、テーブルの向こうのライオスへ向いていた。ライオスはいまだ来客相手にペコペコしている。気になるのならば、もどればいいのに。 ペコペコ。ポリポリ。なんなんだろう、この時間は。 ⑧ チルチャックが遠い目をしそうになったところで、カブルーが再び口を開いた。 「ライオスは」 まあ、そうなるよな。チルチャックは、小さく肩をすくめた。自分とカブルーの共通の話題など、ライオスしかない。 「ライオスは、マルシルさんが好きですよね」 先ほどまでの流暢な話し方と打って変わって、口の端からポロリとこぼれ落ちるような呟きだった。あたりのざわめきにかき消されてしまいそうで、しかし、ちょうど声の落ちてくるところにいるチルチャックには聞き取れる、ささやかな呟き。 チルチャックは目だけ動かして、隣のカブルーを伺った。カブルーは今自分がなにを言ったのかも忘れたような横顔で、ナッツを頬張っていた。なんでもないような態度。 これが本題か。食えない男だとは思っていたが、ここまでだとは。 「あー……」 チルチャックは唸った。自分が答えなければダメだろうか。
February 29, 2024 at 11:52 AM
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ライカブ👑

ライオスがいないところで探りを入れるカブルーの話。

仕込み
（1/4）
ライカブ二次創作BL小説 ① 用意された料理はすべてテーブルへと出きったらしい。所狭しと並んだ銀食器にはどれも、あとひと口ふた口が残るだけとなった。 いくつもの小さなシャンデリアが照らす下、みなぞんぶんに腹を膨らし、すっかり酔いを回していた。宴もたけなわを過ぎても、満たされた人々は去るのを惜しんでこの場に居残っている。意味もなく乾杯を繰り返し、いたずらに酒で舌を湿らせ、ダラダラと談笑を続けていた。 宴会場の隅で、チルチャックは残された料理を片づけていた。黙々と皿に向かい、休むことなくナイフとフォークと口を動かす。 冒険者を引退し自分の店を持って、食うに困ることはなくなった。そんな今でも、冷えた食事が豪華な皿の上で打ち捨てられているのは我慢がならなかった。肉肉しいソーセージは香草がよくきいており、冷めても十分にうまい。 厨房から運ばれてくるのは、ナッツや果物などの簡単なつまみばかりになっていた。テーブルの間を歩き回る給仕たちは、主に空いた皿や酒瓶を回収している。 主催者であるライオスがひとつ手を鳴らし宣言すれば、すぐにでも宴会はお開きとなるだろう。しかし、乾杯の挨拶からずっと立ち歩き挨拶に回っている様子からすると、まだまだ先になりそうだった。 ② チルチャックは首を伸ばして、二つ向こうのテーブルでペコペコと頭を下げているライオスを伺った。カブルーに隣のテーブルへ引きずられていくのが見えた。 ありゃあ、ダメだな。満足に飲み食いもできていないだろう。かわいそうに。 チルチャックはソーセージの最後のひと欠片を口に放りこんだ。ゲフ、と漏れ出たゲップが思いのほかあたりに響き、小柄な身体をさらに縮める。背を丸めると、膨らんだ腹が苦しかった。 ハーフフットの自分では食べられる量などたかがしれている。それでも、島もとい王国を出たチルチャックにはこの場に知り合いが少なく、呼ばれて来たはいいが飲み食いする他にすることがなかった。 声をかけてくる者がいないわけではなかったが、ほとんどは新王の元パーティから武勇伝のひとつでも引き出そうとする輩ばかり。ライオスとの冒険譚など、ヤアドが着色した耳わざりのよい話がすでにいくらでも流布されていた。いまさらチルチャックの口から話すようなことはない。 今日はもう声をかけずに帰ってしまおうか。遠くにいるライオスとの距離がそのまま今の自分たちの距離のようで、ほんの少しさみしく思ったり、思わなかったり。 ③ 「……アホらしい」 具にもつかない干渉に浸りそうになるのは、きっと身体が温まって頭がぼんやりするせいだ。ワインを飲みすぎたのかも。これはいけないと、近くの給仕に水のグラスをもらった。 チルチャックが水を啜りながら遠くにながめている間にも、ライオスは招待客ひとりひとりに対応していた。横顔に疲れが滲んでいるのは否めなかったが、よくやっているほうだろう。補佐役のカブルーがよほど優秀と見た。 そこまで考えて、チルチャックはふと気がついた。喉を落ちる水の冷たさが、いくぶんか思考をクリアにしてくれる。 カブルーの姿が見あたらなかった。先ほどまで、ライオスの影のようにつかず離れず付き添っていたというのに。どこへ行ったのか。 「おひさしぶりです」 あたりを見渡そうとしたところで、声をかけられた。真横からだ。いきおい振り返ると、隣の席にカブルーがいた。 ④ おどろきすぎて、グラスを取り落としかける。その手を、はしっと握られた。 「おっと」 力の抜けたチルチャックの手を、カブルーの掌が包みこむ。ぞぞぞ、と手から全身へと怖気が震った。男に手を握られてよろこぶ趣味はない。 鳥肌の立った手でぎこちなくグラスをテーブルの上に避難させると、ようやくカブルーの手が離れた。 「ははっ、おどろかせてしまいましたね」 柔和な笑みを浮かべる男に、チルチャックは素直に笑顔を返す気になれない。声をかけられただけで飛び上がりそうになったのが、少々癪だった。 耳がいいはずの自分が、声をかけられるまで気がつかないとは。やはり飲みすぎたか。頭の中に立ちこめる靄が、どうにも晴れ切らなかった。調子を取りもどそうと、残りの水を一気にあおる。 なんでコイツがこんなところに？　いつの間に？　先ほどまで隣の席にいたドワーフの夫婦はどこに行ったんだ？　夫の方がひどく酔っているようだったから、帰ったのだろう。なんてタイミングの悪い。と言うか、なんでコイツここにいるんだ？　ライオスは放っておいていいのか？
February 29, 2024 at 11:45 AM
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今日のおやつはクランベリーのショコラケーキですよ。これもムーミンショップパティスリー。箱がかわいいね。ずっしりとした濃厚ショコラケーキに、クランベリーの酸味がきいてておいしい
ムーミンショップパティスリーのクランベリーショコラケーキの写真。クラフト紙の箱にピンクと紫でムーミンパパとムーミンママのイラストが描いてあってかわいい。
February 20, 2024 at 3:02 AM
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（3/3）
⑨ ひと通り報告を終えると、カブルーは再度「遅くなってすみませんでした」と眉を下げて謝った。 「チョコレート、もう食べましたか」 「えっと……まだ食べていない」 「よかった」 歯を見せて笑うカブルーは、朝と同じように照れくさそうな嬉しそうな顔をしているように見える。これもライオスの勘違いなのだろうか。 「でも、こんな時間に食べたら夕飯が入らなくなっちゃうかな」 「えっ？」 それは、今から一緒に食べようという意味だろうか。カブルーは朝の約束を違えたわけではなかったのだ。 どこから走ってきたのか額に汗を浮かべたカブルーの表情を、ライオスはまじまじと見た。迷惑ではないか。無理をしていないか。本当に自分でいいのか。 「……一緒に食べよう。お茶を淹れてくるよ」 「お茶なら俺が」 ⑩ 「いいからいいから」 どんなに目を凝らしても、カブルーはカブルーにしか見えなかった。ライオスでは、カブルーの本心など見透かせるわけもない。 「俺の部屋で待っていてくれ」 そう言い含めて、ライオスは小走りに厨房へと向かった。いつになく深刻そうなライオスの様子にカブルーが首を捻る気配がしたが、振り向かない。 部屋で二人になっても、きっとライオスは「大切な人」と「お世話になっている人」の違いをカブルーに聞くことはできないだろう。でも、今度は信じてみようと思った。もうカブルーの手は離さない。 一緒に食べたチョコレートはほろ苦かったが、もう喉に刺さった小骨なことは思い出さなかった。 一ヶ月後。ライオスは、マルシルやヤアドがカブルーへお返しの菓子包みを渡しているのを見かけ、「なぜ教えてくれないんだ！？」と大騒ぎすることとなるが、それはまた別の話である。
February 18, 2024 at 11:19 PM
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（2/3）
⑤ おそらく、カブルーの故郷でも同じなのだ。菓子ひとつに深い意味はない。 勘違いして勝手に浮かれて、忙しい彼に無理な約束を取りつけてしまった。恥ずかしい。申し訳ない。 「一緒に食べよう」などと言われて、カブルーは戸惑ったことだろう。スケジュールを確認したときの、カブルーの照れ臭そうなうれしそうな笑顔が思い出される。無理をさせていたのかもしれない。 いますぐにでも謝りたい。謝って、楽になりたかった。顔がカッカと熱を持つ。 「どうしたの。だいじょうぶ？」 じわじわと顔を赤るライオスを、マルシルが心配そうに覗きこんだ。だいじょうぶ、と首を振ることしかできない。説明するのが難しかった。情けなさすぎて、口に出すもの憚られる。 ライオスが静かに羞恥に悶えていると、廊下に面した扉が開いた。中からヤアドが出てくる。手には、同じ青いリボンの包み。 ⑥ ヤアド、君もなのか。ライオスの羞恥は加速した。 「ライオスさん。なにしてるんですか？　サボりですか？」 「…………」 信頼を取りもどすには時間がかかるらしい。 ライオスは、だんだんと冷静になってきた。 カブルーは人をその気にさせるのが上手い。きっと、ライオスが喜ぶと思って「大切な人」などと大袈裟に伝えたのだ。チョコレートはみなに配っているし、ライオスだけが特別なわけではない。 別にいいではないか。「大切な人」も「お世話になっている人」も大差はない。カブルーの気持ちは嘘ではないはずだ。それでも、ライオスは大喜びした自分を少しだけ不憫に思った。これで二度目だ。 一度目は、カブルーが魔物食に興味を示したとき。いい人だと思った。友達になれるかも、と。あとで、ライオスに近づくための演技であり、カブルー自身は魔物食を忌諱していると知った。 カブルーがいい人であることに間違いはない。だからと言って、自分が間違っているわけでもない。はすだ。たぶん。 ⑦ ライオスが変わることはできない。変われなくて、故郷を出て各地を転々として生きてきた。だからと言って、カブルーが変わる必要もない。 互いを傷つけ合うくらいならば、離れるべきだ。個人に執着するのは馬鹿げている。そう思って、手を離した。 あのときと同じ気持ちだった。小骨はライオスの喉に残り続けている。 肩を落としたライオスは、マルシルとヤアドに別れを告げ、踵を返してトボトボと執務室へもどった。 思い出したように、腹が鳴る。さみしさと空腹。空っぽな身体の中を、冷たい風が吹き抜けていくようだ。 あんなに捗っていた仕事の手は完全に止まり、繰り上げたぶんの仕事はあまり意味がなくなった。 そう言えばお茶を淹れていなかった、と思い出したのは、空が赤く染まりだしてからだった。 ⑧ 夕食の時間も近いし、お茶だけ飲もう。ろくに動かしていないペンを放り出して、ライオスは再び執務室を出た。 「ライオス！」 扉を閉めたところで、名前を呼ばれた。赤い絨毯を蹴ってカブルーが駆けてくる。 「カブルー」 「遅くなってすみませんでした。なかなか帰してもらえなくて。でも、交渉はうまくいきましたよ。来月には着工できそうです」 「すごいな」 カブルーが取り急ぎ報告する内容に、ライオスが素直に感心した。 海中からメリニが出現して一年ほどすると、勝手に土地の所有を主張する者が現れた。国中にライフラインを通そうにも、そういった輩が邪魔してきてなにかと難航していたのだ。 ここ数ヶ月、カブルーは西へ東へ交渉に明け暮れていた。島であったころから地道に人脈を築いてきたカブルーにしかできない仕事だった。
February 18, 2024 at 11:18 PM
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ライカブ👑
バレンタインの話。

大切な人へ
（1/3）
ライカブ二次創作BL小説 ① 「あっ」 思わずライオスが声を上げるのに、廊下の先にいるマルシルが振り返った。 「ライオス。なにしてるの？　サボり？」 「失礼な、休憩だよ」 数日前、執務中に誰にも言わず散歩に出て探されたことを言われているのだとわかって、ライオスはムッと唇を尖らせた。サボったつもりはない。ただ、日当たりのよい中庭のベンチに腰掛けてウトウトしているうちに、思いのほか時間が経ってしまっただけだ。 「お茶を淹れてこようと思って」 「誰かに頼んで持ってきてもらえばいいのに」 王様なんだから、と言われても、できるだけ自分のことは自分でしたい。厨房へ向かうついでに、人探しもしていた。 サボりなどと揶揄うマルシルこそ、青いリボンの結わった包みを大事そうに抱えてどこかへ行こうとしている。ライオスはその包みに見覚えがあった。中身はおそらく、チョコレートである。 ② ライオスのじとっとした視線に気づいたのか、マルシルは包みを見下ろした。 「これ？　今朝カブルーがくれたの。カブルーの故郷では、今日は普段お世話になってる人へチョコレートを贈る日なんだって」 「ふーん……」 ライオスが聞いた話とは少し違った。カブルーはライオスに「大切な人へチョコレートを贈る日」だと教えてくれた。ライオスの部屋には、今朝カブルーから贈られた同じ包みがあった。 はにかみながら包みを差し出すカブルーに、ライオスはいたく胸を打たれた。大切な人。自分は、カブルーにとって「大切な人」なのだ。 大喜びで受け取って、休憩時間に一緒に食べようと約束した。カブルーは、午前中から城外へ出るが昼過ぎにはもどる、と言っていた。おやつの時間には間に合うはずだった。 ライオスは張り切って書類の山に手をつけ、昼食こそしっかり摂ったがそれ以外はまともな休憩も取らずに、せっせと働いた。ふと気づけば、窓の外では日が傾きだしていた。おやつの時間を過ぎても、カブルーはまだもどっていないようだった。 ③ 追加の書類を運んできた城付きの侍従に聞いても、カブルーの姿は見ていないと言う。城外での仕事が長引いているのだろうか。人好きのする彼のことだから、訪問先で気に入られて引き止められているのかもしれない。よくあることだった。 カブルーに想いを馳せていたら、ぐう、と腹が鳴った。さみしさと空腹は似ている。お茶でも淹れて休憩しよう。ライオスは腹をさすりながら執務室を出た。 石造りの廊下には赤い絨毯が敷かれ、窓から差し込んだ日差しに細かい埃がキラキラと輝いている。すれ違う人々は、ライオスの姿を見るとサッと脇に避け、恭しく頭を下げた。そんなことしなくていいのに。 軽く手を上げて答えながら、カブルーを探しつつ厨房へ向かっていた。そして、マルシルに出会った。 マルシルはいまさらライオスに頭を下げたりしない。いつも通りのマルシルに安堵しつつも、青いリボンの包みが気になってしかたなかった。 ライオスの視線に含みを感じたのか、マルシルはハッと何かに気がついた顔をする。慌てて包みを背に隠した。 ④ 「これは私のだからね。て言うか、ライオスももらったでしょう？」 「え？　ああ、うん」 人の物を取ろうとは思わないが、そんなに物欲しそうな顔をしていただろうか。翼獅子を喰ってこのかた常に腹が減っているため、ちゃんと自制できているかいまいち自信がなかった。ライオスは涎が垂れそうになる口元に手を当て、意識して包みから視線を逸らす。 たしかに、ライオスももらっている。まったく同じ青いリボンの包みだ。同じものをもらっているのに、ライオスの喉には飲み下せない小骨のように引っかかるものがあった。 カブルーは、ライオスには「大切な人へ」、マルシルには「お世話になっている人へ」と説明した。その違いも気になった。それと。 「俺以外にもあげていたのか……」 手の下で、ポツリとこぼす。自分だけだと思っていた。 ライオスの故郷にも同じような風習がある。年末が近づくと、家族や恋人、友人へ特定の菓子を贈り合う。菓子には様々な意味がこめられており、親愛だったり友愛だったり、情愛の告白だったり。とにかく、ただひとりに贈るようなイベントではなかった。
February 18, 2024 at 11:15 PM
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（2/2）
⑤ 「綺麗な青色の目をしているね」 断じて自分は寄生バチなどではないが、褒め言葉として受け取っておく。人に目の色を褒められて不快に思わないのは初めてだった。 「……ありがとうございます」 礼を言うべきか否かで一瞬迷い、窓から吹きこむ風に背を押されるように小さく口にする。 「ああ、でも」 ライオスが思い出したように続けるのにも、耳を傾けてやろうという気になった。 「寄生バチは眼球が青いわけではなくて、血が青いんだ。黒に近い濃い青色が硝子体に透けて、鮮やかな青色に見えている」 「はあ」 どうでもいい豆知識に適当な相槌を打つのも慣れたものだ。魔物に興味のあるふりはとっくにやめていたが、ライオスは気にしていないようだった。 ⑥ 「カブルーの血も青いのかな？」 そんなわけないだろう。 ツッコミかけて、ライオスの両目がキラキラと輝いているのに気がついた。陽の光を反射しているわけではない。隠しきれない期待と興奮、それから好奇心。頬に血の色が浮き、顔ごと輝いていた。 カブルーはその顔を知っていた。ライオスが魔物を前にしたときの顔だ。 咄嗟に、ライオスの手を取った。 「見てみますか？」 手に手を重ねて、ライオスの掌を自分の首筋に押しつける。首の太い動脈に指を添わせた。輝く両目が見開かれる。 「俺の血が青いかどうか」 ドキドキしているのがわかるだろう。アンタのせいだ。 皮膚の下では、忙しなく拍動する心臓から送り出される多量の血液が、ドクドクと音を立てて巡っていた。綺麗と褒められた目で、じっと見返す。今度はライオスが固まる番だった。 ⑦ 窓際の二人を包むように、カーテンが風に膨らむ。白いカーテンに浮かび上がったシルエットは、たしかにライオスとカブルーの形をしていた。魔物などではない。 様子を見に来たヤアドが執務室の扉を開けるまで、カブルーはライオスの瞳が戸惑いで揺れているのを見て楽しんでいた。
February 15, 2024 at 11:16 PM
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ライカブ

ライオスがカブルーの目の色を褒める話。

綺麗な目をしている
（1/2）
ライカブ二次創作BL小説 ① 自分の容姿を好ましく思ったことなどない。 特に、目。この青い目がまったく別の色をしていれば、人生はもっと違うものだったかもしれない。 鏡を見ると、この世のどんなものとも似つかない色をした両目が、じっとこちらを向いている。浅黒い肌に埋まった鮮やかすぎる青色は、カブルーの意思に関係なくいつだって不気味な光を帯びていた。 自身にとっては好ましくなくても、他者にとっては価値があるらしい。初対面の相手から容姿を褒められることが少なくなかった。 特に、目。宝石に、空に、月に、海に、湖に、川に、あらゆる美しいものに喩え褒められた。この青色は、人を惹きつける色をしているらしい。 他に特筆して褒るところがない、ということかもしれない。それでも、目の色ばかり褒められるのが、カブルーは嫌いだった。 「綺麗な目をしているね」 ライオスにそう言われたとき、カブルーは自分の中のライオスへの関心が急速に薄れていくのを感じた。 ② 結局のところ、ライオスも同じなのだ。その他大勢の人間と一緒。 失望にも似た冷たい気持ちがじわじわと胸に広がっていった。なのに、もっとよく見ようとライオスが顔を寄せてくるのに、頬は熱くなる。 「ちょ、ちょっと……」 近い。近すぎる。 鼻と鼻が触れ合いそうな距離にライオスの顔があった。もう少しでキスできそうな距離だ。ライオスの瞳に写った青い目は、戸惑いで揺れていた。 執務室にはカブルーとライオスの二人しかいなかったが、いつ誰が入ってくるかわからない。というか、ここ窓際だから、外から誰かに見られているかも。 書類仕事に煮詰まったライオスにひと息つかせようと、窓を開けに立ったところだった。外の空気を吸えば、朝から机に縛りつけられているかわいそうな王様の気も少しは晴れるかもしれない。外開きの窓を開くと、爽やかな風がカーテンを膨らませた。 高く昇った太陽を見上げて、カブルーは残りの仕事を思う。今日中に終わるか微妙なところだった。 ③ 「いい天気だなぁ。散歩にでも行こうか」 カーテンをかきわけて隣にやってきたライオスが、のんびりした声を出す。呆れたカブルーが「そんなひま……」と言いかけたところで、ふとライオスが真剣な表情になった。急に雰囲気が変わって、ギクリとする。そのまま両肩を掴まれてライオスの顔が近づいてくるのに、カブルーは動けなくなった。 目の色を褒められるのが嫌いなはずなのに、ライオスが近いことにドキドキしてそれどころではなくなる。惚れた弱みとはこういうことか。 ライオスは、いやに熱心にカブルーの目を覗きこんでいた。眼球のその向こう、心の中まで覗かれているような。 半開きの唇から漏れ出る吐息が、熱くなるカブルーの頬をくすぐる。顔を逸らそうとすると、肩を掴んだライオスの手に力が籠る。瞬きもできず、カブルーは固まっていた。 カーテンが大きく三度翻ったあと、目を逸らさないままライオスが口を開いた。 「寄生バチに紫外線をあてると、目が青く光るらしいんだ」 ④ 「はい？」 なんだって？ とんでもないことを言われた気がする。理解するのに時間がかかった。 真剣な表情とは打って変わって、ライオスが楽しそうに話しだした。カブルーの肩は解放されて、顔は離れていたが、以前靴のつま先同士が触れる距離にいた。 「君が寄生バチかもしれないって話をしていただろう？」 そんな話はしていない。 「本に書いてあったんだ。寄生バチの目が青く光るって。それで、カブルーのことを思い出して」 そんな最悪な状況で思い出されても。 「本にはどんな青色なのかは書いてなかったんだが、もしかしたらこんな色をしているのかもしれないな」 ライオスがうっとりと言うのに、カブルーはすべてがどうでもよくなった。目の色が青でも赤でも緑でも、この男がカブルーに向ける眼差しは変わらない。 相変わらずライオスは距離が近くて、冷えかけていた心はすっかり温まっていた。
February 15, 2024 at 11:13 PM
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今日のおやつはムーミンショップパティスリーのアーモンドキャラメルケーキですよ。ツヤツヤピカピカだ〜✨
ムーミンショップパティスリーのアーモンドキャラメルケーキの写真。ケーキは上がフロランタンっぽくなっていてツヤツヤピカピカ。袋にムーミンが印字されていてかわいい
February 15, 2024 at 4:24 AM
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（4/4）
女子だけではなかった、一人がけ席に座る男子も、年配の男性も、こちらを伺っている。ジロジロ見てくるわけではないが、明らかに走と榊の会話に耳をそば立てていた。 バス車内で会話しているのは走と榊だけで、他の乗客は押し黙っていた。エンジンの音がうるさくて気がつかなかったが、二人の会話は車内に筒抜けだった。これでは公開処刑だ。知り合いがいたら最悪だ。目的のバス停まで、まだ三駅もある。 車内アナウンスが、次のバス停が近いこと、降りる場合は降車ボタンを押すようにと告げる。榊は咄嗟に、窓際のボタンを押した。寮までは距離があったが、しかたがない。これ以上車内にはいられなかった。 走の手を引いて、急いで降りようとする。ここでも切符払いの走が、千円札を崩して小銭で支払いをするのを待った。一刻も早く走にSuicaを作らせよう、と榊は心に誓った。 走り去るバスを見送って、榊は時間を確認した。風呂には入れそうにないが、走って帰れば門限には間に合うだろう。今晩は洗面台に頭を突っこんで髪を洗おう。朝練後にシャワーを浴びれば、そう臭うこともないだろう。たぶん。そうであってほしい。 走はここが榊の最寄駅だと思っているのか、キョロキョロとあたりを見渡していた。榊はバスが行った方を指差す。 「走るぞ。今日はおまえが送ってけ」 何度か屈伸した後に走りだせば、走もついてきた。走の寮には門限がないと言っていたし、終電に間に合えば問題ないだろう。 しばらくは、二人で縦になって住宅街を駆けた。走と榊では、息も上がらないようなペースだ。榊は極力汗をかきたくなかった。大学の敷地が見えてきてあたりが暗くなると、走が隣に並ぶ。 榊は、あーあ、と思った。きっと、次からは店の前で解散しようと言われてしまうのだ。ただでさえシーズンに向けて会える時間が減るのに、さらに会えなくなってしまう。さみしい、と言うのはきっと間違いだ。自分たちは走るために地元を出て、こんな遠くまで来ている。榊は目的を見失ったわけではなかった。 落ちそうになる肩を腕を振ることで支えていると、走がポツリポツリと話しだした。 「今度からは、店を早めに出て、交代で送ってくことにしよう。俺も、榊と少しでも一緒にいたいし」 今度は榊が言葉を失う番だった。じわじわと走の言葉が沁みてくるにつれて、顔が熱くなる。走を見ると、同じ顔をしていた。ヘラリ、と笑いかけてくる。 「待て、おい。『俺も』ってなんだ！　俺は、別にっ」 気づいた榊が声を荒げるころには、羞恥が限界に達したらしい走はスパートをかけていた。負けじと足を速めながら、榊は幸福で溺れそうだ、と思った。 後日わかったことだが、バスには榊のチームメイトが乗っていたらしい。もちろん走の顔を知っていたため、榊が寛政大と仲直りしたことは噂に留まらず、正真正銘の事実であると、チーム内にひろく広まることとなった。
February 8, 2024 at 12:21 PM