ここで語られるのは、説明のつかない異常な状況に巻き込まれてしまったこどものお話。メルヘンチックな要素は1ミリもなく、どれもトラウマとして抱え込むしかないようなものばかり。
気になる実話怪談作家さんが1人増えました。
ここで語られるのは、説明のつかない異常な状況に巻き込まれてしまったこどものお話。メルヘンチックな要素は1ミリもなく、どれもトラウマとして抱え込むしかないようなものばかり。
気になる実話怪談作家さんが1人増えました。
前作でヒト型右園死児として登場した三田倉九、「我ハ如何ニシテ右園死児トナリシカ」というお話。三田倉の辿った経緯を追いかけるのには、報告書形式がピタリとはまっており効果的。
アワレナリ、三田倉九。
前作でヒト型右園死児として登場した三田倉九、「我ハ如何ニシテ右園死児トナリシカ」というお話。三田倉の辿った経緯を追いかけるのには、報告書形式がピタリとはまっており効果的。
アワレナリ、三田倉九。
なんというか、まさに This is 飛鳥部勝則としか言いようのない一冊でした。エキセントリックな登場人物たち、ペダンティックな会話、江戸川乱歩の通俗物を思わせる展開、たたみかける謎解きに、恐ろしくキラキラしたラスト。
お腹いっぱいです。
なんというか、まさに This is 飛鳥部勝則としか言いようのない一冊でした。エキセントリックな登場人物たち、ペダンティックな会話、江戸川乱歩の通俗物を思わせる展開、たたみかける謎解きに、恐ろしくキラキラしたラスト。
お腹いっぱいです。
どことなく優しげなタイトルとは裏腹にかなりキツめのお話でした。母を亡くした少女が描く絵は…から始まり、呪い、オカルト、ヒトコワ等々てんこ盛り。上手く消化できないとこがあったけど、京極夏彦さんの解説にあった「怪談文芸」という言葉で、何か腑に落ちた気がしました。
どことなく優しげなタイトルとは裏腹にかなりキツめのお話でした。母を亡くした少女が描く絵は…から始まり、呪い、オカルト、ヒトコワ等々てんこ盛り。上手く消化できないとこがあったけど、京極夏彦さんの解説にあった「怪談文芸」という言葉で、何か腑に落ちた気がしました。
なんと言っても印象的なのは、タイトル作の出だしの一文、これでつかまれてしまいました。妖が共存する世にて、妖同士あるいは妖と人が交わす会話が粋で素敵。あやしげな話ではあるのですが、主人公の皐月が愛おしくなります。
なんと言っても印象的なのは、タイトル作の出だしの一文、これでつかまれてしまいました。妖が共存する世にて、妖同士あるいは妖と人が交わす会話が粋で素敵。あやしげな話ではあるのですが、主人公の皐月が愛おしくなります。
宇宙に憧れる少年が友と出会い、電波望遠鏡と出会い、そして宇宙へ旅立つというお話ですが、物語のスタート地点からは想像もつかない展開となり、これぞSF、これがSFの醍醐味である、と深く感じいったのでした。
ある意味、「三体」へのアンサーでもありました。
宇宙に憧れる少年が友と出会い、電波望遠鏡と出会い、そして宇宙へ旅立つというお話ですが、物語のスタート地点からは想像もつかない展開となり、これぞSF、これがSFの醍醐味である、と深く感じいったのでした。
ある意味、「三体」へのアンサーでもありました。
『四ツ山鬼談』の姉妹編だというこちらを読んだのですが、怪談色の強かった前作とはまた違ったテイスト、連作短編のホラー小説となっておりました。
禁足地に築かれた集落、その背後に控えし御山、そこに絡め取られる人々。それにしても、容赦のない御山でした。
『四ツ山鬼談』の姉妹編だというこちらを読んだのですが、怪談色の強かった前作とはまた違ったテイスト、連作短編のホラー小説となっておりました。
禁足地に築かれた集落、その背後に控えし御山、そこに絡め取られる人々。それにしても、容赦のない御山でした。
瘴気に満ちた世界と異形たち。
濃密で美しい物語。
素晴らしい物語。
瘴気に満ちた世界と異形たち。
濃密で美しい物語。
素晴らしい物語。
戦時中、疎開先で行方不明になった妹を探す軍国少年の心造がたどり着いた「迷い家」。
魑魅魍魎が跋扈する屋敷は妖怪好きにはたまらないし、最後のスペクタクルもなかなかに壮大。でも、心造のたどり着いた境地とその背景は切ない、というか痛々しい。戦争はいかん。
戦時中、疎開先で行方不明になった妹を探す軍国少年の心造がたどり着いた「迷い家」。
魑魅魍魎が跋扈する屋敷は妖怪好きにはたまらないし、最後のスペクタクルもなかなかに壮大。でも、心造のたどり着いた境地とその背景は切ない、というか痛々しい。戦争はいかん。
僕らの日常的な尺度からは異常としか言いようのない事柄が当たり前のこととして語られる世界のお話が5編。グロテスクだけれど、どこか諦念を感じられる静さがあって怖い。その点では特に「桃色遊戯」の終末感が読み手に染みてくるのだなぁ。
僕らの日常的な尺度からは異常としか言いようのない事柄が当たり前のこととして語られる世界のお話が5編。グロテスクだけれど、どこか諦念を感じられる静さがあって怖い。その点では特に「桃色遊戯」の終末感が読み手に染みてくるのだなぁ。
「遠野物語」や「日本怪談集」を題材に幽霊譚や怪談話を脳神経科学の観点から解き明かす一冊。睡眠をキーワードにいろんな事例が解釈され、これが実に説得力のある内容になっています。これで怪談の3分の2は説明できるってあたり、不思議の余地を残してるところがいいな。
「遠野物語」や「日本怪談集」を題材に幽霊譚や怪談話を脳神経科学の観点から解き明かす一冊。睡眠をキーワードにいろんな事例が解釈され、これが実に説得力のある内容になっています。これで怪談の3分の2は説明できるってあたり、不思議の余地を残してるところがいいな。
刀城言耶シリーズのスピンオフ。怪談のような出来事(結構恐い)を論理的現実的に解き明かす理由が怖いのが嫌いだから、っていうのがいいな。最後はそれでも…というのは作者の得意とするところ。ライトな読み口も良い感じです。
刀城言耶シリーズのスピンオフ。怪談のような出来事(結構恐い)を論理的現実的に解き明かす理由が怖いのが嫌いだから、っていうのがいいな。最後はそれでも…というのは作者の得意とするところ。ライトな読み口も良い感じです。
「単行本とは内容が異なります。」とのことでしたが、これは確か別物。単行本にあった素材を組み上げ直して、読後感のまったく異なるお話になってます。なんだこの悲しさは。
小説でもRemix盤って、できるんだなぁ、と思った次第。
「単行本とは内容が異なります。」とのことでしたが、これは確か別物。単行本にあった素材を組み上げ直して、読後感のまったく異なるお話になってます。なんだこの悲しさは。
小説でもRemix盤って、できるんだなぁ、と思った次第。
ホラーミステリーと呼ばれる作品の多い作者ですが、今回はぐっとホラー側に軸足を置いた感じ。もちろん謎解き要素もあるのですが、とにかく悪霊全開なうえに悪意が乗っかってぇの不穏なラスト、と畳み掛けてきます。
それと容赦なく人が死にます。
ホラーミステリーと呼ばれる作品の多い作者ですが、今回はぐっとホラー側に軸足を置いた感じ。もちろん謎解き要素もあるのですが、とにかく悪霊全開なうえに悪意が乗っかってぇの不穏なラスト、と畳み掛けてきます。
それと容赦なく人が死にます。
最近は印象的なキャラクターが物語を引っ張る系のホラー小説が多い(それゆえに面白い)ように思いますが、それとは正反対、普通の人が怖い目に遭う王道のモダンホラーと言ってよいかと。父親が登場した際のヤバさが絶妙。
最近は印象的なキャラクターが物語を引っ張る系のホラー小説が多い(それゆえに面白い)ように思いますが、それとは正反対、普通の人が怖い目に遭う王道のモダンホラーと言ってよいかと。父親が登場した際のヤバさが絶妙。
どんぶりさん、夜葬というトチ狂った設定のインパクトの強さ、その勢いで最後まで押し切るパワー系ホラー。
理屈とかなぜ?とか、考えてはいけない。すべてが怖さを増幅するための道具立てなのだから。
どんぶりさん、夜葬というトチ狂った設定のインパクトの強さ、その勢いで最後まで押し切るパワー系ホラー。
理屈とかなぜ?とか、考えてはいけない。すべてが怖さを増幅するための道具立てなのだから。
いわゆる特殊設定ミステリーになるのだと思いますが、幽霊の死体とか犬の幽霊など妙ちくりんな設定とその謎解きは作者の色が濃くでてると感じます。そして、改題前のタイトル「呪いに首はありますか」の意味がぐっとくる最終話にはやられちゃいました。これがエモい、なのか。
いわゆる特殊設定ミステリーになるのだと思いますが、幽霊の死体とか犬の幽霊など妙ちくりんな設定とその謎解きは作者の色が濃くでてると感じます。そして、改題前のタイトル「呪いに首はありますか」の意味がぐっとくる最終話にはやられちゃいました。これがエモい、なのか。
『Wi-fi幽霊』に収録されていた「〆」「呵々の夜」で和泉蝋庵シリーズを知り、こちらを読んでみました。
江戸時代(と思われる)の旅本作家御一行を主人公としたこのシリーズ、奇妙でグロで、それでも切なさに溢れる話に満ちており、読み終えるのがもったいないと思える二冊でした。
『Wi-fi幽霊』に収録されていた「〆」「呵々の夜」で和泉蝋庵シリーズを知り、こちらを読んでみました。
江戸時代(と思われる)の旅本作家御一行を主人公としたこのシリーズ、奇妙でグロで、それでも切なさに溢れる話に満ちており、読み終えるのがもったいないと思える二冊でした。
ポルターガイストの調査に始まり、依頼者の失踪、監禁のくだり、終盤の大立ち回りなどなど、読み応えありで前作よりもさらにエンタメ度アップ。
登場人物たちのキャラクター性がお話を引っ張っており、ホラー要素が少々弱い印象はありますが、間違いなく面白いです。
ポルターガイストの調査に始まり、依頼者の失踪、監禁のくだり、終盤の大立ち回りなどなど、読み応えありで前作よりもさらにエンタメ度アップ。
登場人物たちのキャラクター性がお話を引っ張っており、ホラー要素が少々弱い印象はありますが、間違いなく面白いです。
クイズ大会の決勝、最終問題で対戦相手は問題が読まれる前に正解することができたのはなぜか、決勝戦を振り返りながら、その謎を探るミステリー。
決勝戦は異能バトルの様相だけれど、たどり着いた真相は競技クイズ世界ならではの現実。ものすごいエンターテインメントでした。
クイズ大会の決勝、最終問題で対戦相手は問題が読まれる前に正解することができたのはなぜか、決勝戦を振り返りながら、その謎を探るミステリー。
決勝戦は異能バトルの様相だけれど、たどり着いた真相は競技クイズ世界ならではの現実。ものすごいエンターテインメントでした。
怪異を鎮めるための偽葬を執り行う疑似家族、トラブルに巻き込まれた主人公は彼らに助けられ、そのまま「家族」の一員に。
作者が得意とするキャラの立った登場人物たちに偽葬という設定が加わることで、間違いなしで面白いエンタメに仕上がっております。上手いなぁ。
怪異を鎮めるための偽葬を執り行う疑似家族、トラブルに巻き込まれた主人公は彼らに助けられ、そのまま「家族」の一員に。
作者が得意とするキャラの立った登場人物たちに偽葬という設定が加わることで、間違いなしで面白いエンタメに仕上がっております。上手いなぁ。
『リング』を発端とした「現代ホラー小説」の系譜を解説してくれるガイド本。最後に朝宮ホラー史観に基づいた論評があるので、これを先に読んで現代ホラー小説の流れを押さえてから、作品の解説に入るのもいいかもね。
『リング』を発端とした「現代ホラー小説」の系譜を解説してくれるガイド本。最後に朝宮ホラー史観に基づいた論評があるので、これを先に読んで現代ホラー小説の流れを押さえてから、作品の解説に入るのもいいかもね。
怪談話、ですね。淡々とした語り口ですが、四半世紀も前に出版されたものの文庫化とのことで、やはりオールドスタイルな印象があります。そのころの怪談本などはほとんど読んでいなかったのですが、なぜか懐かしい感じがしました。
怪談話、ですね。淡々とした語り口ですが、四半世紀も前に出版されたものの文庫化とのことで、やはりオールドスタイルな印象があります。そのころの怪談本などはほとんど読んでいなかったのですが、なぜか懐かしい感じがしました。
ストレートな怪談からメタ怪談、果ては牛の首オマージュまでバラエティに富んだ短編集。いずれも手の込んだ作りになっており、甲乙つけがたいものばかりです。澤村さんはホラー短編の名手なのだということがよくわかる1冊でした。
ストレートな怪談からメタ怪談、果ては牛の首オマージュまでバラエティに富んだ短編集。いずれも手の込んだ作りになっており、甲乙つけがたいものばかりです。澤村さんはホラー短編の名手なのだということがよくわかる1冊でした。
橄欖岩と玄武岩と花崗岩、それぞれマントル、海洋地殻、大陸地殻を構成する三つの石を語ることで、地球の構造から生命の成り立ちまで幅広く、優しい語り口で説明してくれます。
地学、やっぱり面白いな。
橄欖岩と玄武岩と花崗岩、それぞれマントル、海洋地殻、大陸地殻を構成する三つの石を語ることで、地球の構造から生命の成り立ちまで幅広く、優しい語り口で説明してくれます。
地学、やっぱり面白いな。