吉野 仁
banner
jinyoshino.bsky.social
吉野 仁
@jinyoshino.bsky.social
おもに本を読みそれについて書く仕事をしています。温泉につかって本読んで音楽聴いて、のんびりしたい。
芸人の大島育宙さんが小説デビューしたというので、「つづくにつづけ」というオリジナル短編集を手にいれた。この小冊子が置いてある店でリターナルびん飲料を飲むともらえるのだ。
 リターナルびんが隠れテーマになっている、原稿用紙5枚分くらいの掌編が2作収録。もうひとりの松井玲奈さんの小説がしっかりまとまってすっきりと読ませる分、大島さんのはやや分かりづらく文章もぎこちない感じが残ったが、もうすこし枚数のある作品を読んでみたい。せめて30枚くらい。
November 1, 2025 at 12:17 PM
Ruth Rendell's Suffolk というグラフィック本のカバー折り返しの著者紹介にM・R・ジェイムズ Ghost stories のことが書かれていてその存在を知ったのだ。レンデルはサフォーク出身ではないがそこに長く住んでいた。その地の代表作家M・R・ジェイムズのゴースト・ストーリーに親しんでいたのだ。突然ではない。
September 19, 2025 at 1:59 PM
M・R・ジェイムズ Ghost stories ペンギン ヴィンテージ クラシックスライブラリー版を手にいれた。この版、作品を選び序文を書いているのが、かのルース・レンデルなのだ。しかし、表紙には彼女の名はないし、序文のページにレンデルの書名がない。でも中のページにはそう記されているから、間違いないだろう。
September 19, 2025 at 1:55 PM
マイクル・コリータ『穢れなき者へ』越前敏弥訳(新潮文庫)。刊行にあわせて新潮社PR誌「波」に書評を寄せた。
 『穢れなき者へ』は、メイン州の島の沖で七つの遺体が発見される一方、父親のDVに逃れた少年が廃屋に隠れていた謎の娘と出会った……というふたつの出来事が交錯するミステリ。娘が手斧をもっていたことから、少年は彼女をハチェットと呼んだ。
August 28, 2025 at 7:42 AM
北上次郎さんの45年分を手にいれた。税込み8800円。
August 22, 2025 at 1:10 PM
小売りの呼吸、供給の過多、氷塊ぬき売り。
July 21, 2025 at 11:59 PM
4月刊フィリップ・マーゴリン『銃を持つ花嫁』加賀山卓朗訳(新潮文庫)は約二十年ぶりのマーゴリン邦訳となった。
 で、第六作『葬儀屋の未亡人』加賀山卓朗訳(早川書房のち文庫)の訳者あとがきは次の一文ではじまっている。

「昔、ディック・フランシスの最初の一冊をこれから読む人は幸いであると誰かが書いていて、なるほどと思ったことがある。(続く
May 25, 2025 at 5:30 AM
ジョン・オハラは向田邦子だ。
 そんなフレーズがふと浮かぶ。家族や友人に対して隠しておきたい、もしくは表には出さずにいる気持ち、たとえば負い目、後悔、傷ついた自尊心、あとで真意に気づいたときの思いなどから生まれる感情が行間から読み取れるのだった。乱暴な指摘かもしれないし、もっと読んでみなくてはそれが妥当な指摘か分からないが。
May 20, 2025 at 3:49 AM
短編の傑作選といえば、個人的に刊行してほしい作家がジョン・オハラだ。
 ニューヨーカー誌などで活躍した書き手で、没後55年。「ミステリマガジン」をはじめいろいろな雑誌で訳されてはいたけど、まとめた本の形でしっかりと紹介されなかった。
May 17, 2025 at 6:44 AM
ローレンス・サンダーズ『盗聴』(原著は1970年発表)は、隠し撮りされた電話会話の録音テープを中心に、報告書、訊問記録などをまじえて書かれたもの。
 つまり、近年大流行のモキュメンタリーもの小説のさきがけなのだ。
 このサンダーズのデビュー作はMWA最優秀新人賞を受賞し、映画化もされた。
 で、福島正実の訳者あとがきによると、前年発表のマイクル・クライトン『アンドロメダ病原体』がドキュメンタリー・スタイルの小説として注目されたとある。wikiにもモキュメンタリーの嚆矢と書かれている。
April 30, 2025 at 5:21 AM
本年度の英国推理作家協会(CWA)「インターナショナル・ダガー賞」にノミネートされた日本人作家の作品としては、もう一作、柚木麻子『BUTTER』が挙がっている。
April 16, 2025 at 11:55 AM
わが家にも「悪魔」来ませり、いつの日か見ん。
March 27, 2025 at 10:27 AM
ジャック・ケッチャム『冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選』 www.fusosha.co.jp/books/detail...
 小説の内容とは直接関係ないのだけど、このなかの「作品」というケッチャムの分身とおぼしき語り手が登場する短篇を読んでいたら、
〈ラリー・マクマートリーの『ロンサム・ダブ』なんかは文句なしによくできてる。〉
(44ページ)とあるので驚いた。現代ウェスタンを代表する長編とされているこの大作、残念ながら邦訳されないまま。どこかで出してくれないかな。
March 13, 2025 at 6:45 AM
 で、L'enfer といえば、有名な言葉 L'enfer, c'est les autres 「地獄とは他人のことだ」(出典、サルトル「出口なし」)がある。
 これ、人は自分の存在や価値や人生などを他人によって見られ評価されたり定められたりする、そのことが地獄だ(最悪だ)という意味なのか。ただしい理解か怪しいけど。
 それでも、みなそれぞれの存在、評価軸、人生観などもともと「ばらばら」だとしたら、自分の最悪をひきうけ「地獄でなぜ悪い」と星野源は歌い放ったのかな。
 と、こじつけ解釈してみた。
 ちょうどマルク・ラーベ『17の鍵』酒寄進一訳(創元推理文庫)のエピグラフがこの言葉だった。
February 13, 2025 at 2:02 PM
星野源は、昨年大晦日の紅白で当初は「地獄でなぜ悪い」を歌うところを「ばらばら」に変更した。
 カトリーヌ・アルレーに同名作『地獄でなぜ悪い』(創元推理文庫)がある(同名邦画の原作ではない)。1978年刊で邦訳は1979年。
 L'enfer, pourquoi pas。 L'enfer は地獄、pourquoi pas は英語だとwhy notなのでそのままの邦題。
 アルレーらしいサスペンスだ。
 青年が許婚者を唯一の親戚である母方の祖母にひきあわせようと旅行していたところ、事故で足を骨折してしまった。そこで、ある男に助けられたが、じつは彼は刑務所を脱獄した殺人犯として手配中だった……。
February 13, 2025 at 1:57 PM
刊行されたばかりの、鈴木俊貴『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)を読みはじめたらとまらず一気読み。すごいな、これは。
 何年にもわたってシジュウカラを調査し、鳥たちが言葉やジェスチャーを使っていることをつきとめた動物学者による研究エッセイで、どういう方法をとって証明したのか、そのすべてを紹介している。
 言語をもつのは動物のうち人間だけ、というそれまでの定説を鈴木俊貴さんはくつがえしたのだ。
January 23, 2025 at 4:00 PM
きょうは目黒考二さん(北上次郎さん)の命日。亡くなってもう二年。
 ぱらっとめくった『冒険小説論』のアンブラーに触れた章「不安と疑惑の時代」のなか、
「大衆小説が常に時代の空気を敏感に反映するものだとするならばそれも当然であり、ヒーロー小説も例外ではない」
 と記してあり、いままた世界を「不安と疑惑」が覆う2025年のヒーロー小説はどんな空気や影を反映するようになるのか、などと思う。
January 19, 2025 at 3:18 AM
「カモガワGブックス vol.5 」を手にいれた。「特集 奇想とは何か?」だったからだ。しかしSFとホラーに推理小説の奇想について触れてはいても、わたしが近年すごく関心のあるタイプの「奇想小説」(という呼称を使っていいのかもさだかではないのだが)についてはほとんど語られていなかった。
 そんななか下村思游さんによる〈国会図書館デジタルコレクションの全文検索を用いた「奇想」および「奇想小説」の語誌の概観〉はすごく興味深いものだった。そうか『ミステリマガジン』で奇想小説特集があったのか。
December 11, 2024 at 7:07 AM
きょうは翻訳家、ミステリ評論家の小鷹信光さんの命日。
 『パパイラスの舟』に収録の「22 ぼろ船からは鼠が逃げる ウェストレイクの身辺調査」を読む。ドナルド・E・ウェストレイクに関して、短篇をはじめとする作品のなかに彼自身の姿を見つけだし、取りあげている回。明らかにウェストレイクの体験が作中人物に投影されていると分かるのだ。
 この本からどれほど学んだか、わからないが、いまだに刺激的で、比較的安く手に入れられるときにウェストレイクの短編集を買っておかなかったことをあらためて悔む。
December 8, 2024 at 3:07 AM
やっと手にいれた。
 大橋由香子『翻訳する女たち 中村妙子・深町眞理子・小尾芙佐・松岡享子』(エトセトラブックス)
 加賀山卓朗 & ♪akira + 松島由林 (イラスト)『警察・スパイ組織 解剖図鑑』(エクスナレッジ)
December 6, 2024 at 7:52 AM
ジョナサン・ラティマー『第五の墓』は、昨年 Black Gat Books から無削除版が刊行された。ラティマーはアメリカの作家だが、オリジナルの原稿をもとに最初にイギリスから刊行されるとき、英国市場向けにアメリカ口語表現の多くが削除されたという。その後のアメリカ版でも削除部分はそのままで再版された。今回のものがオリジナルにもっとも近いかたちとなるようだ。ポケミスから出たのはどれをもとにしたのだろうか
October 14, 2024 at 4:04 AM
左がNinja Sarutobi Sasuke"。右は杉浦茂ワンダーランド5「猿飛佐助」(ペップ出版1987年刊)。
October 8, 2024 at 7:32 AM
iPad だとこういう画面で、文字起こしのところをクリックすると全文が表示される。これは便利だ。
October 6, 2024 at 1:03 PM
しつこくダン・J・マーロウ『ゲームの名は死』に関する話を書いておくと、この小説は最初、フォーセット社のゴールド・メダル・ブックから1962年1月に刊行された。
 これは銀行に押し入る場面から幕をあけるケイパー(強奪犯罪)もので単発作だった。だが、のちに〈オペレーション〉シリーズの1作に組み込まれ、1972年に同じ叢書からふたたび刊行されたという経緯がある。
 邦訳は1979年ハヤカワミステリ#1332〈千の顔をもつ男ドレーク〉シリーズの1冊として刊行された。
September 21, 2024 at 5:26 AM
編者は、ジェフリー・オブライエン。ジム・トンプスンを「安物雑貨店(ダイムストア)のドストエフスキー」と呼んだ人。最初の著書 Hardboiled America の1997年拡大改訂版巻末にある必読書リストは私の虎の巻というか、邦訳がないものを知るのにとても役だった(プロンジーニ&ミュラー 1001 Midnights とともにとともに)。
September 19, 2024 at 8:17 AM