ねも
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nemolegit.bsky.social
ねも
@nemolegit.bsky.social
本を読んだり散歩をしたり。
たぶんこう言っていたように聞き取ったのだけれど間違えているかも……
July 21, 2025 at 2:22 PM
『天使も踏むを畏れるところ』は、名作『火山のふもとで』の前日譚に当たる物語。戦後の復興を遂げた日本の、高度成長期。新たな宮殿の設計、建設をめぐる建築家と建設官僚、宮内官僚、侍従たちの群像劇。作品の中心には、日本国憲法、戦後民主主義と共にある、象徴としての天皇や皇室のあり方とはどういうものか、という日本にとって避けられない根源的な問いがある。
『21世紀の日本政治』は、デジタル化とグローバル化の潮流の中で、執政がある程度上手くいきながらも閉塞感が拭えないわが国の政治について、雇用政策と高等教育政策を中心に論ずるもの。政治が問題なのは、場当たり的でも執政が上手くいっているからか。
June 30, 2025 at 1:39 PM
『ケイパビリティ・アプローチ』は、アマルティア・センと並ぶケイパビリティ・アプローチ論者であるマーサ・ヌスバウムによる概説書。「豊かさ」とは何か。そのリストを提示する。
『この村にとどまる』は、ファッショに、ナチスに、資本に、すなわち大きな権力に踏み躙られ、それでもなお歴史を背負って、先につなごうとした小さな人々の物語。石牟礼道子や森崎和江が好きなのと通ずるか。
『戦後日本と政治学史』は、現実政治とは一定の距離を置きつつ、「政治的なるもの」とは何か、その源泉と範型を汲み上げようとした、東大法学部や社研の知的伝統と、気鋭の学者が切り結ぶ好著。
June 30, 2025 at 1:27 PM
『水曜生まれの子』は、イーユン・リー待望の短編集第三作。尽きない哀しみと底に滲む諦念に似たユーモア。人の憐れさと生のままならなさを描いてなお、ある種の楽天が垣間見える。
『〈やわらかい近代〉の日本』は、自由を旨とし、現実主義的に秩序へのインストールを試みたリベラルモダニスト達を取り上げる。知識人として半身で体制に加わる彼らのやわらかな構想は、過去にあったひとつの潮流としてだけ扱っていいものかしら。
『FREE』は、政治哲学者が自らの少女時代を振り返る自伝の形を借りた思想的エッセイ。暗闇で人間にとっての自由を探す。大好きな『もっと、海を』にも通じる叙述のスタイル。
June 30, 2025 at 1:14 PM
『上海の螢/審判』所収の「上海の螢」は、恬淡とした、さらりとした、伸びやかな文体で、戦中の上海での風物や空気、人々の姿を慈しむように綴る名品。
『占領期』は、占領期の日本という変革と国難にあって、GHQという支配的な権力が存在する政治力学の中で、理念と大義、学識に裏打ちされた政策の企画、対人交渉と敢えてする政局を通じた舵取りを描く。
『独りでいるより優しくて』は、今期読んだものの中でピカイチ。ある事件にまつわる三人の人生の群像劇。時間と記憶と孤独と他者との関わり。ひとは誰もが孤児で、愛と安らぎを求め、同時にそれらを拒んでいる。しばらく別の小説に手が伸びなかった。
June 30, 2025 at 12:58 PM