#文庫メーカー
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幼い頃の紫水小話。
実は紫水が最初に一番懐いたのは、聖十朗ではなく、弟の輝夜。
このころは純粋無垢だった…。

#EscapeGoat #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/bunko_bg.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「幼子リレー」、「@nanaki-s.bsky.social」と記載されています。 画像情報：generated by 文庫ページメーカー / ユーザーアップロード画像 / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　ふわふわとした、手触りの良さそうな柔らかな水色の髪。 　鮮やかな紫色の瞳は祖父と同じ色だが、子供特有のくりくりとした大きさは、圧よりも愛らしさが勝る。 　子供用の袴羽織をきちんと着こなし、懐いた叔父の横で緊張した面持ちで立つ紫水は、己の前に立つ三人の男を恐々見上げた。 「これが御当主の孫か」 「随分大きいなったなぁ。３歳やっけ？」 「父親より、紫兄によぅ似とる」 　緑の髪が二人。紫の髪が一人。 　三人とも、同じ紫の目。 　聖十朗、輝夜、光司朗。 　会ったのは初めてではないが、全員、八剣の上位術者と名高い兄弟。 　幼いながらに、粗相があってはならないと、紫水は大人しく口を噤んで立つ。 　ちなみに、よく懐いて甘えている叔父、綾瑪もまた、八剣の上位術者だ。 「俺が御当主に呼ばれとる間、この子の面倒を見てやってください。…ちなみに、これは当主命令なんで」 　にっこりと笑顔で釘刺す綾瑪に、三人は見事に顔を顰める。 　物凄く不満だが、当主命令とあれば従わざるを得ない。 　今頃、命令を出した男は三兄弟を思ってニヤニヤと笑っているだろう。 「綾にいさまは、おでかけ？」 　鈴のなるような声で問いかける甥に、綾瑪は優しく微笑んで頷く。 「せや。ちょっとだけ、おじいさまの所でお仕事してくるから、大叔父上達と遊んどってや」 「おおおじうえ…」 「厳密にはちゃうけどな」 「まぁ、祖父の従弟やし、世代的にはあっとる」 　口々に語る兄弟達に、幼い紫水は混乱し、不安げな顔を見せた。 　そんな彼を抱き上げ、綾瑪は聖十朗にほい、と渡す。 　そして、にっこり笑顔で「頼みました」と残し、去っていく。 　思わず受け取った聖十朗は、綾瑪の背中を見送った後、ほい、と光司朗に紫水を渡した。 　光司朗もまた、馴染みのない子供の重みを確かめるように抱いた後、ほい、と輝夜に渡す。 　最後に受け取った輝夜もまた、紫水の重みを堪能した後、動きを止めた。 　渡す相手がいない。 　綾瑪はもう、この場から去っている。 　聖十朗は扇を広げて、受け取りを拒否。 　光司朗も無表情で、受け取る気はないと雰囲気が物語っている。 　リレーが終わった雰囲気を察した紫水は、輝夜の腕の中僅かに身動いで収まりをよくした。 　ずり落ちないよう抱え直しただけだが、輝夜がしっかりとその身体を抱 きしめたのも、決め手。 　逞しい胸板に頬を擦り寄せ、服から匂う甘い不思議な香りに頬を緩めて、ほっと緊張を解く。 「懐いたな」 　光司朗の言葉に、否定の声は上がらない。 　輝夜ですら、困惑して言葉も出ない。 「後は任せたで」 「よろしうな」 　じゃ、と踵を返す聖十朗に続いて、光司朗も同じようにくるりと背を向ける。 「ちょ、まてや聖兄上、光」 　焦る輝夜の言葉もなんのその。 　後に残るのは、ささーっと去っていく兄弟の背を、成す術もなく見送った輝夜と。
November 12, 2025 at 8:14 AM
nanaki-s.bsky.social
文庫メーカーさんが、直接ポストに対応したらしいので、テストかねて。

紫水と聖十朗の主従小話。

#EscapeGoat #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/bunko_bg.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「言祝ぎ～鶯～」、「@nanaki-s.bsky.social」と記載されています。 画像情報：generated by 文庫ページメーカー / ユーザーアップロード画像 / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 「これでひと段落やな」 　全ての儀を終えて控室に戻り、紫水は座って一息つく。 　その顔は、初めての当主としての正式な場を乗り切った安堵に満ちていた。 　ここ数日…否、次代になってからずっと、この日の為に頑張ってきた。 　これが到達点ではないが、一つの区切りではある。 「聖十朗も、お疲れさん」 　微笑み労う紫水が身に着けるのは、堂々と八剣と紫水の紋が描かれた、黒い紋付き袴。 　その重圧に負けることなく着こなす姿を、聖十朗はじっと見つめる。 　幼いころから見てきた、姪孫。 　己を負かし、膝を折らせ、契約した主。 　そして今日、八剣の頂点に立った男。 　聖十朗の纏う空気に気付いた紫水が、笑みを深める。 　見定めるような目を前にして、なお優美に笑うその姿に向き直り、聖十朗は膝をついて頭を下げた。 　深く、深く、畳に頭がつくほどに。 　平伏。 　己の全てを持って、目の前の男を主と認めて。 「お喜び申し上げる」 　一言。 　並みの術者ならば受け止めきれないその一言を、紫水は笑みを消し真正面から受け止めて、僅かに瞼を伏せた。 　圧されたのではない。 　聖十朗の認めた男が、そんな軟なはずはない。 　紫水はゆっくりと、本当にゆっくりと、噛み締める様に再びその口元に笑みを刷いた。 「お前の忠義に期待しとる」 　その一言の重みを受け止め、聖十朗はより頭を深く下げた。 　紫水に対する忠義。 　八剣に対する忠義。 　全てに是を唱えるのではなく、必要とあらば紫水に反することを…討つことすら認める一言。 　そして、聖十朗ならばそれができるという期待を込めた一言。 　その言葉を噛み締めて飲み込んだ聖十朗は、ゆっくりと顔を上げると、ふっと纏う空気を緩めた。 「まぁ、私的な場では今まで通りでええよ」 　ニヤリと、八剣らしい矜持の高い笑みを浮かべて。 「お前の尊敬する大叔父なのは変わらへん」 　そう臆面もなく言い放つ聖十朗に、紫水は屈託なく笑った。 「全く、自分で言うなや」 　本当の事ではあるけれど。 　最も当主に近い、八剣の術者。 　最も信頼できる、当主の右腕。 　そして、自分に忠誠を誓う、愛する獣。 　そんな聖十朗が自分の大叔父であることが、紫水とって誇らしく、喜ばしい。 　満足げな新当主に忠告するように、聖十朗は片眉を上げた。 「…今はまだ当主も交代したばっかやし次位でええけど、そのうち世代交代はさせるから、早いうちに誰か信頼するの定めや」 　彼が言うことは尤もだ。 　聖十朗はもともと先代当主、紫の右腕でもあった男。 　年齢的にも紫と近く、今回の交代で同時に引退しても不思議はないほどだった。 　それでも残っているのは、彼の面倒見の良さと新当主と契約した獣という立場からだ。
November 11, 2025 at 9:33 AM
10000byakuren.bsky.social
#dkmn夢
皇紀さんとエージェントと、時々誰か。
有事ではないのならば美味しいものだけ食べていて。
書きたいところ書けたので満足。それ以外は全部理由付け。 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「@10000byakuren」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　いつかその実を結ぶまで 　 　 　眩くも禍々しく光る偽りの世界で、エージェントと皇紀は成人男性と対峙していた。周囲は今まさに消滅していくガオナやガオナクスの破片。変身した皇紀が片付けた残骸が舞う。邪魔者はあらかた片付いたので変身を解いて、カオスワールドの主である男の元へ急ぐエージェントの後ろについた。 「落ち着いてください。大手商社の出世頭と称される貴方が、どうしてこんなことに？光る石は誰から渡されたんですか？」 「うるせぇ！……コスモス財閥の後継者がっ！金にも仕事にも困らず生活しやがって！」 　身なりの良いスーツも皺になるほどの狼狽ぶりに、皇紀は話ができる状態じゃないと悟った。しかし、目の前の彼女は違うようで。 「貴方の困り事が何なのか、よろしければ聞かせてくれませんか？」 「馬鹿にしやがって！！泥水啜ったこともねぇ甘ちゃんが！！」 「血が……貴方のお話を聞かせてください」 　完成しつつある仮面と顔の間に爪を立てて自身の顔に傷を入れていく男に、エージェントは優しい声で説得を続けていた。しかし男は一人で盛り上がって激昂していく。 「男侍らせて悦に入りやがって……土の味を教えてやる！！」 　その自らを傷つける手を拳に変えたところで、エージェントの視界から男が消えた。正しくは皇紀の黒いジャケットで視界がいっぱいになった。 「下がってろ。こうなったからにはすぐ片付く」 「……その心は？」 　皇紀の背中越しに相手を見ようとしても、こちらを振り向きもしない彼の腕にいなされて立ち位置が変わらないままになる。仕方がないので図りかねた、皇紀の言う「こうなったからには」の意味を問う。 「この段階に来たってことは、金を払う、話術で引き出すよりよっぽど簡単だ」 「簡単、ですか？」 　喚き散らし、まだカオスが完成していないにも関わらず仮面の隙間から見える 目は正気を失っていて、額の皮膚は裂けその流れる血は顎にまで滴っている。エージェントはこの状態の相手がどう簡単なのかと、戸惑う。 　しかしながら、聞かれた皇紀は事も無げに右の拳を音もなく突き出した。 「相手が勝手に喋り出す」 　 　***** 　 「喋り出すというか……まず気を失いましたが」 　カオス完成の前に仰向けに伸びてしまった男を見下ろして、エージェントは皇紀を伺う。彼はふいとそっぽを向いてしまった。 「……弱すぎる。地位だ金だと喚きながらも、自らの力で立つことが出来ない奴は所詮この程度だ」 「腕っぷしが物を言わなくても仕事で評価されますよ……」 「不当だと騒いでいたのはこいつだ」 「それは、そうですが」 　エージェントがしゃがんで男の額にハンカチを当てようとするので、その腕を掴んでとどまらせた。 「拘束は俺がやる」 「まずは手当です。拘束ではなくて」 「治療中に起きると面倒だ。先に四肢の自由を奪う」 「……言い方……」 　皇紀の表現に苦笑するけれど、彼の言い分も最もなのでエージェントは引き下がった。皇紀はどこから取り出したのか結束バンドで男の両手足を結ぶ。その合間に男の胸ポケットにあったシルクのハンカチを引き出して額を雑に拭った。 「……傷は浅い。血の出方が派手なだけだ。もう塞がり始めている」 「そうなんですね、良かった」 　真っ赤に染まったハンカチをその辺に投げ捨て、男の髪を引っ掴んだ。 「え」 　皇紀さん何を……といきなりの展開に引き攣るエージェントを置き去りに、皇紀は「起きろ」と何度か揺すった。呻く男がゆっくりと目を開ける。
November 10, 2025 at 11:26 PM
takurinta.bsky.social
西澤保彦の訃報に接した。
好きな作家の一人だった。「タック＆タカチ」のシリーズが代表作になるのだと思うが、SF味の強い『七回死んだ男』も良かった。一番好きなのは『黄金色の祈り』だが、当時出先で作業していた西新宿の外資製薬メーカーのオフィスに、持っていた文春文庫を布教のために置いてきたので、今は手元にない。
早すぎる死であるが、まだまだ未読の本が積まれている。こちらが死ぬまでに読みきれるようにしたい。
November 10, 2025 at 2:02 PM
unknown73893976.bsky.social
Twitterの方の二次創作用アカウントとりあえず後で昨日あげたやつの文庫ページメーカーぶん投げるとして、他になんか上手い使い方が特に思いつかん。
November 10, 2025 at 9:43 AM
mtmtomt.bsky.social
文庫ページメーカーに通すとそれっぽい！！興奮してきた 拙い文章でもなんかそれっぽい 凄い
November 9, 2025 at 7:26 PM
htpny.bsky.social
文庫ページメーカー気軽にそれっぽくなって楽しいですよ！投稿時に一枚一枚貼り付ける必要がある以外は。それ以外は……
November 9, 2025 at 11:28 AM
237-15do.bsky.social
文庫ページメーカー面白そう
November 9, 2025 at 10:23 AM
htpny.bsky.social
文庫ページメーカーなるものを知り、完成次第この形式で投稿してみるのも面白いなと思うなどしている。
November 9, 2025 at 7:45 AM
zakkubaranbaran.bsky.social
面倒くさがってまた文庫ペ……メーカーから飛ばしたらalt勝手につくの忘れてた
November 8, 2025 at 5:57 PM
9842noel.bsky.social
文化メーカーってなんやねん。文庫メーカーでしょ！！（セルフツッコミ）
November 8, 2025 at 1:49 PM
milkybambi8787.bsky.social
メモリーカードの残りの心配もあるけどお話の更新をしないといけないので文庫メーカーとにらめっこしています
November 8, 2025 at 4:14 AM
rkgktrzr.bsky.social
文庫ページメーカー投稿テスト8/8
左腕を持って。 「福島…！　腕、あったよ」 「……それはもうだめだよ、実休」 　実休が拾ってきた左腕が、指先から炭化してぼろぼろと崩壊してゆく。最後には細かな霧となって消えた。まるで遡行軍のそれのように。 　実休は、福島の腕が消えたあとも、それを握っていた自分の右手を見ていた。 　紫の貴石のような静かな瞳から、感情を推し量ることはできなかった。 　 「指輪、ここに置くね」 　最初に拾った指輪を、実休は鏡台の上のレザーのアクセサリートレイに丁寧に乗せた。赤いレザーが福島、黒が実休。それぞれの特の祝いに審神者から贈られたそのトレイは燭台切のセレクトで、それを知っていることを、二振の兄は大切な秘密にしている。 「あたたかい……」 　福島の左手を捧げ持ったまま、実休は独白のようにそう呟いた。福島はハッと実休の顔を見たが、福島の手を見詰める実休の瞳は不思議なほど穏やかだった。 　手の甲と手首に嵌められたバンドをひとつずつ丁寧に外されながら、福島はぎゅっと瞼を閉じた。何なんだこの状況、と気を逸らしていないと呑まれてしまいそうで、何か喋らなきゃと思うのに、こんな時に限っていつもの軽口が出て来ない。　 「…っ」 「くすぐったい？」 「……そりゃ、」 　指輪を抜く実休の指が福島の小指をなぞったとき、軽く背筋が震えた。 「やっぱり、福島の手は綺麗だね」 　以前までの手と寸分変わらない先細りの長い指を、実休の手がそっと撫でてゆく。さほど背丈が変わらない割に実休の手は福島の手より厚くて大きい。しっかりと筋と関節が浮き出た手は、刀を握る男の手だった。その手が福島の手の甲を愛おしげになぞるたび、福島は息を詰め、喉の奥からこぼれそうになる声を嚙み 殺した。 　実休の指先は、乾いていて熱かった。対峙しているだけでは体温を感じさせない男が、どれほどの熱をその身に蓄えているのか福島は知っていた。 　あたらしい腕なのに、幻肢痛のように感触を憶えているのはなぜだろう。 　腕を強く敷布に押し付けられたときの、手首を包むてのひらの熱さ。縋るものを求めて伸ばした手をやんわりと掴み取られたときの、震えるような安堵。手首から這い上がって来た指が手掌をなぞり、五本の指の間にそろりと分け入って、ぎゅっと握り込まれたときの、喉奥からせりあがるような興奮を。 　普段乾いている実休の手は、閨ではいつもしっとりと濡れていた。そしてじんわりと染み入るように痛いほどの熱を福島に伝えた。体温と一緒に、それ以上の熱量で押し寄せる快感に福島は喘いだ。 　実休の指先が左手をなぞるたび、それらの記憶が呼び覚まされる。薬指の指輪 に実休の指がかかり、それをゆっくりと引き抜かれたとき、違うことを想像して福島は奥歯を噛み締めた。 　下腹に熱が溜まってゆく。耳まで朱に染まった顔を今更手で覆っても、もう無駄だとわかっている。握られた左手の熱と零れた吐息ひとつで、実休には伝わってしまった。もう逃げられないことを。 　ぽとり、と音を立てて赤いレザーの上に落ちる指輪。福島の手を覆うグローブと肌の間に差し込まれた指は性急にグローブを抜き取ってゆく。露になった手の甲へ落とされた唇が熱い。 「もう、何もなくさないで」　 　いつしか夕闇に染まった景色のなか、実休の紫の瞳だけが内側から燃えるように光っていた。
November 7, 2025 at 12:19 PM
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文庫ページメーカー投稿テスト4/8
実福【左手】
※流血・欠損表現あります #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/bunko_bg.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「左手」と記載されています。 画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by somephoto / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　福島が手入れ部屋から出たとき、本丸は黄昏の金色の光に包まれていた。 　夕陽の色の暖かさに反して、皮膚に触れる風は瞬く間に指先の熱を奪う。小春日の過ごしやすい時間は日を追うごとに短くなり、鮮やかだった山の緑もいつしか枯葉色のグラデーションを帯びていた。 　内番も終わり、一日の汗を流す者、夕餉までの時間をゆったりと過ごす者、暮れてゆく空を眺めながら刀達が思い思いの時を過ごす穏やかなひととき。手入れ部屋から自室へと向かう福島に、馴染の顔が「よう、久しぶり」「手入れ終わったんですね」と声をかけてゆく。奥へ進むに従って刀の姿はまばらになり、居住棟まで来ると誰にも会わなくなった。歩くたびに装備の金具やベルトがチャリチャリと音を立て、その音を聞きながら２階までの階段をゆっくりとのぼった。自室に辿り着くと、ちょうど山の稜線から真っ直ぐに伸びてきた光線ががらんとした部屋を照らしていた。 　灼け付くような光の中に、同室の兄の姿はなかった。 　片腕を失う重傷を負った筈の体は、手入れで完全に治癒している。治癒というより、感覚はリセットに近い。資材を足されて鍛ち直されたあたらしい体は肉体的疲労感も後遺症も痛みもなく、清潔で霊力に満ちていた。そうして己が主に大切にされていることを自覚するほど、醜態を晒した先の戦を思うと気が滅入るのだ。 　ひとつ、溜息をついて、福島は装備を外し始めた。肩当てとポーチと右の腕輪は黒漆塗りの浅い木箱の中へ。上着はハンガーにかけて、鏡台に向かいながら指輪を外したとき。 「あ」 　左の親指から外した指輪が、指から離れて畳の上に落ちた。一度軽く跳ねたそれは美しい弧を描いて戸口の方へ転がってゆく。慌てて追いかけようとした福島の目前で、指輪を拾い上げた手があった。 「活きの良い指輪だね」 「一期くんかな」 「ふふ、彼がいつも弟くん達とそう言って笑っているから、移ってしまった」 　内番姿で戻って来た実休の髪からは、かすかに清々しい草花の香りがした。彼のハーブ加工用の小部屋の匂いだ。すぐに自室をドライハーブやプランターで一杯にしてしまうので、離れの土間の一部を審神者が貸してくれたのだった。　 　この部屋の壁に干してある草花も、次第に壁の一方を侵食する勢いで増え続けている。実休の香りが濃くなって、部屋の隅々まで浸透してゆく。福島は時折、彼の神域のようなこの部屋に自身が呑み込まれて消えてしまうのではないかと思うことがある。特に、熱に溺れる夜などに。 「着替えていたの？」 「ああ、さっき手入れが終わったから」 「そっか」 　実休がちらりと福島の左腕を見た。福島はそれに気付いたが、伝える言葉に迷い視線を彷徨わせた。 「おいで、福島」 　実休は福島の左手を取り、戸惑う福島の手を引いて窓際に座らせる。そして自らもその向かいに腰を下ろして、自分の両手から内番の手袋を外し始めた。何を するつもりなのかと眉間に皺を寄せている福島に、右頬を西日に照らされた彼はにこりと笑った。 「着替え、手伝うよ」 　先の出陣で、福島と実休のいた隊は予期せぬ検非違使の襲撃に遭った。 　戦場は城下で、通りには町人の姿もあり、それを守りながらの戦闘中に、福島の左腕は肘上から切断されて虚空を舞った。間髪入れず御手杵の槍が大太刀の心臓を貫いて、首に飛びついた厚の短刀が深く延髄に突き刺さる。辛くも検非違使を退けたものの、重傷の太刀が一振り。これ以上の進軍は不可能だった。 　迅速に自らの襟巻で福島の腕の止血をした同田貫は、俺の襟巻に感謝しろよと笑ってみせた。福島にごめんと言わせないための同田貫の気遣いに応え、福島もまた痛みに顔を歪めながら今度奢るよと軽口を返した。本丸に帰還の要請をしていた山姥切国広が端末から顔を上げて、「あれは何をしているんだ……」と呟いたとき、その視線の先にいた実休が慌てたように駆け戻って来た。右手に福島の
November 7, 2025 at 12:19 PM
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文庫ページメーカー投稿テスト8/8
左腕を持って。 「福島…！　腕、あったよ」 「……それはもうだめだよ、実休」 　実休が拾ってきた左腕が、指先から炭化してぼろぼろと崩壊してゆく。最後には細かな霧となって消えた。まるで遡行軍のそれのように。 　実休は、福島の腕が消えたあとも、それを握っていた自分の右手を見ていた。 　紫の貴石のような静かな瞳から、感情を推し量ることはできなかった。 　 「指輪、ここに置くね」 　最初に拾った指輪を、実休は鏡台の上のレザーのアクセサリートレイに丁寧に乗せた。赤いレザーが福島、黒が実休。それぞれの特の祝いに審神者から贈られたそのトレイは燭台切のセレクトで、それを知っていることを、二振の兄は大切な秘密にしている。 「あたたかい……」 　福島の左手を捧げ持ったまま、実休は独白のようにそう呟いた。福島はハッと実休の顔を見たが、福島の手を見詰める実休の瞳は不思議なほど穏やかだった。 　手の甲と手首に嵌められたバンドをひとつずつ丁寧に外されながら、福島はぎゅっと瞼を閉じた。何なんだこの状況、と気を逸らしていないと呑まれてしまいそうで、何か喋らなきゃと思うのに、こんな時に限っていつもの軽口が出て来ない。　 「…っ」 「くすぐったい？」 「……そりゃ、」 　指輪を抜く実休の指が福島の小指をなぞったとき、軽く背筋が震えた。 「やっぱり、福島の手は綺麗だね」 　以前までの手と寸分変わらない先細りの長い指を、実休の手がそっと撫でてゆく。さほど背丈が変わらない割に実休の手は福島の手より厚くて大きい。しっかりと筋と関節が浮き出た手は、刀を握る男の手だった。その手が福島の手の甲を愛おしげになぞるたび、福島は息を詰め、喉の奥からこぼれそうになる声を嚙み 殺した。 　実休の指先は、乾いていて熱かった。対峙しているだけでは体温を感じさせない男が、どれほどの熱をその身に蓄えているのか福島は知っていた。 　あたらしい腕なのに、幻肢痛のように感触を憶えているのはなぜだろう。 　腕を強く敷布に押し付けられたときの、手首を包むてのひらの熱さ。縋るものを求めて伸ばした手をやんわりと掴み取られたときの、震えるような安堵。手首から這い上がって来た指が手掌をなぞり、五本の指の間にそろりと分け入って、ぎゅっと握り込まれたときの、喉奥からせりあがるような興奮を。 　普段乾いている実休の手は、閨ではいつもしっとりと濡れていた。そしてじんわりと染み入るように痛いほどの熱を福島に伝えた。体温と一緒に、それ以上の熱量で押し寄せる快感に福島は喘いだ。 　実休の指先が左手をなぞるたび、それらの記憶が呼び覚まされる。薬指の指輪 に実休の指がかかり、それをゆっくりと引き抜かれたとき、違うことを想像して福島は奥歯を噛み締めた。 　下腹に熱が溜まってゆく。耳まで朱に染まった顔を今更手で覆っても、もう無駄だとわかっている。握られた左手の熱と零れた吐息ひとつで、実休には伝わってしまった。もう逃げられないことを。 　ぽとり、と音を立てて赤いレザーの上に落ちる指輪。福島の手を覆うグローブと肌の間に差し込まれた指は性急にグローブを抜き取ってゆく。露になった手の甲へ落とされた唇が熱い。 「もう、何もなくさないで」　 　いつしか夕闇に染まった景色のなか、実休の紫の瞳だけが内側から燃えるように光っていた。
November 7, 2025 at 12:18 PM
sscard.monokakitools.net
【定期宣伝ポスト】「ましかくSSメーカー」文庫ページメーカー（背景つき）の正方形バージョン。Instagramへの投稿にもおすすめです。
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November 7, 2025 at 3:34 AM
espina.bsky.social
某雑誌の募集企画だった『とうらぶ300文字作文』
せっかく書いたからタイトルつけて載っけてみる。
なんでも許せる人向け
文庫ページメーカーさんで作成しました
November 6, 2025 at 1:09 PM
clasica.bsky.social
オマケを今週中に書いて日曜には入稿したい。それ終わったら次の話書くけど、その後がネタがない。数百文字の短いのならいけそうだけど、支部に都度都度上げるほどでもないので、ベッターか文庫メーカーで書こうかなとも思ってるけど、そしたらツイの垢がいるよなぁ。今の垢は使いたくないしなぁ。どうするべかな
November 6, 2025 at 3:37 AM
karukanmogmog.bsky.social
これ書けました〜！文庫メーカーぶちこんで載せます〜。
karukanmogmog.bsky.social かるかん @karukanmogmog.bsky.social · 7d
フォロワーさんの半分猫化するネタ良すぎるので書いていいですか？
November 5, 2025 at 11:27 AM
maho-tohno.bsky.social
ということでここで書いて放置してたSS、やっと書き上げましたね...

本にするにあたり修正したやつになりますが、後で改めて画像でアップします

文庫ページメーカー、ホント便利
November 5, 2025 at 1:54 AM
10000byakuren.bsky.social
#dkmn夢
皇紀さんとエージェントと、時々世界。
サ終して悲しいねって気持ちで書いた話。
作業用BGMは思ったそれであってます。 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「@10000byakuren」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　例え世界が閉じたとしても 　 　 　柔らかく暖かな太陽。場所は教育地区、のはず。エージェントと皇紀は真昼の公園で二人きりだった。 「駄目ですね。やっぱり誰もいません」 「……電気やガスは通ってるが、電波は通じていない」 「いつもならあるはずの出口もない」 「そもそも、人以外に獣や虫の一匹もいやしねぇ」 　時間と待ち合わせ場所を決め、一旦個別行動して仕入れた情報を共有する。エージェントはため息を吐いた。 「完全に閉じ込められましたね」 「そうだな」 　ここは教育地区を模したカオスワールド。二人で調査として入ったは良いが、敵どころか人っ子ひとりいない状況に陥っていた。 「……とにかく、この世界の主を引きずり出すぞ」 「そうですね。ここの主は、恐らく教育地区を拠点に活動するアパレル関係の人です。最近動きのあった服飾関係ニュースだと……私立小学校の制服リニューアルでしょうか。デザイナーのコンペがあったはずです」 「結果は？」 「……娯楽地区の事務所が取ったと聞いたことがあります。ネットにアクセスできないのでメモ書き程度とうろ覚えの情報ですけど」 　小さなメモ帳を出して彼女なりに調べたことを読み上げる。そのアテが外れる可能性もあるが、だからといって別の選択肢もない。 「他に手掛かりもねぇ。虱潰しに行くぞ」 「はい。事務所は公園を抜けた先の住宅街にあります」 　現在通信はできなくても取得しておいたデータは閲覧できるライダーフォンで、エージェントがマップを出して方向を指差した。 　まずは彼女の指示する方向へ行くために公園の出入り口へ足を向ける。ザッザッと、二人分の足音が響く。皇紀の足音がここまで鮮明に聞こえることもなか なかないのではと、前を歩く彼の後頭部を眺めながら少しだけ目を閉じた。 「……おい、気を抜くな」 「すみません」 　音に集中していたことに気づかれ、彼は背中にも目がついているのかなと思った。注意されたけれども、先ほど一瞬見た瞼の裏と鼓膜の感覚をそのまま伝えてみる。 「まるで、この世界でふたりだけみたいですね」 　その場にそぐわない気の抜けた感想に皇紀が立ち止まる。さっきの今でと叱ってもいいけれど、彼女の顔色が気にかかった。観察されていることなど気づかず、エージェントは続ける。 「厳密にはカオスワールドの主がいるから、三人なんですけど」 「……」 「見慣れた景色でも、生命体が一つもない街は作り物そのもので……」 　いつもならば賑やかしい公園の異質さに怯えているのかと、皇紀は再び歩き出した。住宅街ならば静かでも多少は違和感がないはず。 　エージェントも遅れまいと駆け足になる。 「風も吹いていないです」 「つまらねぇ世界だ」 「全て現実世界の似姿なのに……ちょっとだけ、怖い」 「……」 　皇紀は後ろの足音が止まったのでもう一度振り返ると、少し離れたところでエージェントは水の出ていない噴水を眺めていた。怖気を感じたのか、ふるりと震える小さな肩。 　皇紀はため息をついて早足で近づいた。その手首を掴む。冷たく、力の入った手。くいっと引っ張った。 「わっ」 「はぐれるな。通信手段が断たれた世界では探しようがない」 「は、はい……！」 　そのまま引っ張り進んでいくと、掴んでいた彼女の凝り固まった手がゆっくりと緩んでいく。ちらりと斜め後ろを確認するとエージェントは細く長く息を吐い
November 4, 2025 at 8:23 AM
nekozorachain.bsky.social
SS名刺/文庫メーカーさんのこの文章の途中で色やフォントを変えられるお試し新機能めっちゃ好き。簡単な操作で文章に視覚的効果を持たせられるので文章を画像化する楽しさがさらにアップしたと思うの。(･∀･)
November 4, 2025 at 2:35 AM
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文庫メーカーさんの文章内の文字の色を変えられるようになったお試し新機能、そういう文章に視角効果を持たせる演出すごい好きだから何かそれを活かした文章書けないかなと思って考えた結果出てきたのがこれです。吸血鬼キミの台詞の文字色をピンクにするおじさん！
文庫メーカーさんで文章を画像化したものです。以下、書いてある文章です。 **** 「我が名は吸血鬼キミの台詞の文字色をピンクにするおじさん！」 「吸血鬼キミの台詞の文字色をピンクにするおじさん！？」 「台詞の文字色をピンクにするからって一体何の意味があるってんだ！」 「ちょっと｜Ｈ《ふわーお》な雰囲気になる」 「な、なんだって……！？」(※文字がピンク色になる) 「あ、ホントだ！一人だけピンクになってるとなんかそういう漫画のウェブ広告みたいになってる！」 「や、やめろ！人の台詞を思わせぶりな恋愛作品のキャッチコピーみたいにするな！」(※文字がピンク色) 「いいじゃん似合ってるよ」(※文字がピンク色になる) 「お前の台詞もピンクになってる！！」(※文字がピンク色) 「ふははははは！吸血鬼キミの台詞の文字色をピンクにするおじさんはSS名刺/文庫・新書ページメーカーさんの新機能で再現出来るぞ。さらばだ！！」(※文字がピンク色になる)(以下全ての文字がピンク色になっている) 「逃がすか！自分の台詞までピンクにしていきやがって！」 「これ全員が文字色ピンクになるとただの文字の色をピンクにした会話文にならないか？」 「！そうか、木を隠すなら森の中ってやつだな！？吸血鬼キミの台詞の文字色をピンクにするおじさん、敗れたり！！」 「馬鹿なーーーーー！！」
November 4, 2025 at 2:31 AM
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こんにちは、文庫ページメーカー運営です。背景画無地のタイプは下の方に解像度オプションがありますので、ぜひご活用下さいませ。
November 3, 2025 at 11:29 PM
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秋の空は、なんとやら　征

秋空の下で、過ごす相心
移り気しやすい、すべてが変わりやすい季節に思いを馳せる💜のお話

#相心 #文庫ページメーカー
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「秋の空は、なんとやら」、「征」と記載されています。 画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by Jason Blackeye on Unsplash / フォント：いろは角クラシック 以下は本文の内容です。 　女心と秋の空、なんて言葉があるくらいには変わりやすい天気なんだろう。 「なんだ、終わりか」 「……ちょっと、秋空を眺めてただけです」 「良いなお前は、四季折々の空を眺められて」 　嫌味な言葉が雨のように降り注ぐ、雲一つない晴れた良き日。俺は、いつものように地面に横たわって、先生の言う四季折々の空を眺めていた。 （眺めたくて、眺めてるわけじゃ無いですけどね。俺は） 　口の端から溢れないように、真一文字に結んで体を起こす。俺を嘲笑う相澤先生の片目を睨めば、筋の通った鼻が鳴った。地面を這うように抜ける風が、起こした体を撫でながら早く立ち上がれと急かしてくる。 「羨ましいですか」 「いや、ちっとも羨ましくは無いな」 　またこれだ 「なら、空を眺める度に今日の空模様をお伝えしますよ」 「天気予報はスマホので足りてるよ」 「天気が変わりやすいですから、最新情報を俺が伝えます」 　意地の張り合い、嫌味の応酬。なんてこと無い軽口は、最早俺と先生のことば遊びの様なものだ。 　先生が負けた俺に発破を掛けるように繰り出す嫌味、それを打ち返すように投げつける難癖。お互い本心では無いことは百も承知で、テンポよく言葉を交わし合う。打っているのか、投げているのか、さっぱりだ。 　高三にもなって未だに一勝も挙げられてない、相手の方がハンデはある筈なのに、ちっとも勝てる気がしない。 　なんなら最近では、口喧嘩でさえも負けている。 「確かに……女心と秋の空、って言葉があるくらいだからな」 　俺は緑が失われつつある地面に手をつき、ゆっくりと立ち上がる。 「だが、そんな移り気のある空を気にする暇は無いよ、俺には」 「……」 　掌についた土埃を払って、操縛布を巻き直す。風が冷たく吹き抜けていくのを、頬で感じ取る。 　視線を動かせば、先程まで嘲笑っていた筈の顔が持ち上がり、茜色に染まり始めた天を見つめている先生が映り込む。その顔には、何処か悲しそうで嬉しそうにも見える微 笑みが浮かんでいた。 　その顔を見るたびに痛む胸、痛みの原因を探った所で解決には至らないのだから、今日もまた俺は見ないふりをする。幾度目かも分からない溜息を吐いて。 「じゃぁ、俺の特権ですね」 「ふっ……四季折々の空を眺める事がか？」 「はい」 「随分と、苦しい言い訳だな？心操」 「先生の代わりに、俺が空を眺めてるんです」 「俺の代わり、ね」 「そうですよ、だから感謝してください。相澤先生」 　声に出して名前を呼べば、穏やかな微笑みは一瞬にして消え去り、先生お得意の嘲笑が顔を出す。茜色の裾が徐々に紫へと変化している。 「俺に負け続け、地面に転がされ続けるお前にか」 「そうです」 　相澤先生の後ろに映る景色が毎分、毎秒事に変化していた。瞬きの間に変わる世界は、刹那の瞬間に以前を思い出す暇も無いほど美しく、俺が想像できない程に様変わりする。 色、形、空気、風、日の当たり方でさえ瞬きの間に変化し過ぎ去っていく。 　俺の目に映るこの嘲笑と裾を広げたような紫も、次の瞬きの瞬間には変わっている。 　惜しい 　秋の空に例えた女心の様に、移り気で変わりやすいこの瞬間を、俺はとても惜しいと思う。悔しくもあり、惜しくもある。 「はっ、ははっ」 　先生が笑う度、声を出して俺の言葉に微笑う瞬間に痛む胸の熱でさえ、惜しいんだ。 「笑いすぎです」 　きっと、瞬きの間に変化した顔を俺は見逃す。相澤先生の後ろに広がる空が、紫から紺へ、黒へと様相を変える瞬間を見逃すように。空に散りばめられた星の煌めきを見逃すように。 　本当に変わりやすい。季節だ。 　先生にはきっと、どんな季節の空模様も似合うだろう。 　そして、彼は模様が変わる瞬間を見逃しはしない。誰よりも、なによりも多くのものを『視て』きた人なのだから。
November 3, 2025 at 3:09 PM