エミコヤマ
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うにはともだち(エレン・デジェネレスの声で) 読書報告: http://books.macska.org seattle/portland
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…たとえばその人個人にとってはロマネ・コンティより価値がある好みの味のワインが見つかるようになるのではないか、という話も書かれているけど、正直ちょっと(というか、かなり)疑問。てゆーかステータス以外にロマネ・コンティを飲む理由なんてありますか?そもそも飲むものじゃなくて所有するものでしょ?(暴論x2)
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…最後には人工知能を採用した才能やビジネスの囲い込みが既存のステータス・バイアスを学習してその強化に加担する危険とともに、アルゴリズムによる不平等の拡大を止めるためのAIシステム精査とそれを義務付ける法制度の必要制にも触れている。また、ステータスが現代社会の複雑性がもたらす無限の選択肢を減らすために存在するのだとすると、AIが個人の趣味嗜好を学習することでステータスに頼らなくても本人が求める選択肢を提供できるのではないか、…
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…本書はステータスが不平等を拡大させるメカニズムを批判的に考えながら、それが現代社会がもたらした複雑さを軽減させるために必要とされている理由についても触れる。ステータスを無視した場合、毎日数え切れないほど発表される本や音楽、研究論文、商品などのうちどれを消費すればいいのか分からないし、大勢の求職者のうち誰を面接に呼べばいいのか判断が難しい。ステータスには人々が直面している膨大な選択肢を対処可能なレベルまで単純化するはたらきがあり、それなしに現代社会は成り立たない。資産の不平等の拡大再生産に対しては再分配という解決策があるけれど、ステータスの不平等についてもなんらかの対処を考えないといけない。…
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…当初のステータスが実力によるものであれ、コネや幸運・人種や性別など社会的属性による有利さによるものであれ、ステータスを得た人はその恩恵でさらにステータスを向上できるとともに、それを自分が選んだ人たちに分け与えることもできる。そうした人たちに選ばれるためにはかれらの目に付く必要があるわけで、そのチャンスは生まれ育った国や地域や社会階層や与えられた機会によって不平等。このようにステータスは資産と同様に不平等がさらなる不平等を引き起こすメカニズムとして機能する。…
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…ステータスとは、社会においてなんらかの地位を認められた人やモノが、認められているというだけの理由でさらなる評価を受けやすくなる仕組みのこと。たとえば賞を取った有名作家の本はそれだけで売れるし、その結果さらなる読者を獲得して評価を得る。その作家がこんどは書評を書いたり文学賞の審査員となってさらに自身のステータスを向上させるだけでなく、別の新人作家を評価したり知り合いの編集者に紹介するなどして、自分が選んだ人にステータスを与えることもできる。しかし一方で、どんなに良い本を書いても有名作家や編集者の目に留まらなければ本を出版することもできず、日々の生活のために執筆を断念することも。…
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Toby Stuart著「Anointed: The Extraordinary Effects of Social Status in a Winner-Take-Most World」 books.macska.org/oqcw 社会における富や権力の格差が拡大しつつあるなか、個人の能力や資産とは区別された「ステータス」のはたらきについて論じる本。タイトルの「anoint」はほんらい、宗教的な儀式をとおして国王や聖職者を選び権威を付与する仕組みを指す言葉だけれど、本書は社会一般においてステータスがそれを持つ者から持たない者に分け与えられるプロセスを指して使われている。…
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…まあタイトルを見た時点で「それが進化的に有利にはたらく的な、進化心理学的な理由があるんだろうな」と思ったし、実際そういう話なんだけど、具体的な研究がいろいろ紹介されていてそこそこおもしろく読めた。文化による悪夢や恐怖の対象の違いのあたりはとくに興味深い。わたし自身は事故現場は見たくないし、ホラーもお化け屋敷もローラーコースターも苦手で、それはビビリでヘタレだから怖いのが嫌というのももちろんあるんだけど、そもそも楽しさが全然分からない性質なので、ホラーを楽しむ人たちのことに対する理解が少しだけ広がった気も。
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Coltan Scrivner著「Morbidly Curious: A Scientist Explains Why We Can't Look Away」 books.macska.org/dipf ホラーゲーム「バイオハザード」好きが講じて死や恐怖に対する人々の「病的な」好奇心について研究する行動学者となった著者が、人はどうして交通事故を見かけるとつい近寄ってもっと見たいと思ってしまうのか、ホラー映画や怪談に興味を抱くのか、といった疑問に科学的な回答を提示する本。…
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アルバム「Trainspotting」ではイントロで映画の有名なセリフをアレンジして、次の同名楽曲で自分のことを語ってたから、そのパターンかと思ったよ… 映画が好きなんだろうけど。
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え、なにこれ、映画のあらすじをダラダラ話すだけ?どこかでズラしてくるなり自分に引き付けてなにか言うかと思って最後まで聴いてしまった… www.youtube.com/watch?v=ejXX...
Lick-G - American HIstory X (Official Audio)
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そーいえばオードリー・タンさんの講演を聞きに行ったとき、彼女がenshittificationという言葉を何度も使っていたのだけど、そのたびにステージ横のスクリーンに映し出されていたAI生成字幕がこの単語を認識できずにぐちゃぐちゃな文章にしてしまっていた。タンさんはAIの良い利用法の一例としてこうしたシステムを挙げてたんだけど、訓練を受けた人間ならenshittificationという言葉を聞いたことがなくても聞けばだいたいどういう意味なのか理解できるしタイプできると思うんだけど。
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…また本書には本文に登場するブサ可愛いコウモリたちの写真がたくさん掲載されていて、見ているうちにどんどん可愛くなっていく。コウモリがエボラやコロナだけでなく多数の感染症の経路となるとされているのはコウモリの免疫が異様に強くて細菌やウイルスに触れてもなかなか死なずに感染を広げてしまうせいなんだけど(ていうかそもそも人間がコウモリの生育環境を脅かさなければ向こうから人間に近づいてこようとはしない)、逆にその免疫の仕組みを解明して感染症予防や治療に役立てようという動きもあるらしく、天才コウモリ先生に期待したい。
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…コウモリのすごいところと言えば、社交性があり群れを作ることや、音や超音波を出しその反響で周囲の環境を把握する能力。たくさんの小さなコウモリが一斉に飛びながらどうしてぶつからないのか、そんな混み合ったところでどうやって自分が出した音の反響を聴き分けるのかなどといった疑問が、さまざまな研究によって検証されていくけれど、なかには「まさかあんな小さな動物にそんな優れた機能があるはずがない」と研究者たちにデータが間違っていると思われてしまったりも。小さいものはGPSトラッカーを取り付けることができないほど小さいのにものすごい距離を移動できるし、何十年も生きるものもいるなど、まじすごい。…
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Yossi Yovel著「The Genius Bat: The Secret Life of the Only Flying Mammal」 books.macska.org/15lt 神経科学者で生態学者の著者が、専門の一つとするコウモリとその研究について愛を持って語りまくる本。空を飛ぶ唯一の哺乳類であり、哺乳類に分類される種のうちの2割を占めるほど多様なコウモリだけど、暗いところに住み一部に吸血する種があることやエボラやコロナウイルスなどが人間に感染する経路となることなどから敬遠されがち。でも本当はこんなにかわいくてすごいんだよ!という内容。…
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…ロシアやイスラエルの戦争犯罪とその解決のためにヨーロッパが行うべき行動、そしてそれを可能とするためのより強力なEUのガバナンスなどについても取り上げられていて、経済政策だけにとどまらない。短い文章がたくさん掲載されているので気になるところだけでもサクサク読めばいいと思う。
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Thomas Piketty著「Equality Is a Struggle: Bulletins from the Front Line, 2021-2025」 books.macska.org/3y52 タイトルにあるとおり、トマ・ピケティせんせーが2021年から2025年にかけてさまざまな媒体に寄稿した著述集。重複するところもあるし短い論説でフランスの政治についてよく知らないと分かりにくい内容もあるけど、序盤に多く掲載されている、社会的不公正や不平等と社会民主主義について書かれた長め(といっても他と比べればというだけで、基本的に短い)の文章は歯切れがよく読み応えがある。…
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Jasbir Puarさんの名前を見るたびに、彼女のことを「ジェイソン」と読み間違えていたオーディオブックのこと思い出してしまう… ジェイソンはないよジェイソンは。
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…ムニョスの本では非白人クィアたちを対象とした「Disidentification」より白人のクィアたちへの希求力を持つ「Cruising Utopia」のほうが注目されがちで、前者が無視されることが多いのだけれど、本書が少しでも前者のさらなる評価につながればいいなと思う。
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…著者がムニョスの文章に出会ったときの衝撃と歓喜は、わたしにとっては大学の女性学の授業ではじめてオードリー・ロード books.macska.org/c8l5 やグロリア・アンサルドゥアの著作に出会ったとき、そしてのちに日系アメリカ人でレズビアンの詩人・活動家で性虐待サバイバーのミチヨ・フカヤについて知ったときに感じたものと通ずるものがありそうで、とても共感できる。…
Alexis Pauline Gumbs著「Survival Is a Promise: The Eternal Life of Audre Lorde」
Alexis Pauline Gumbs著「Survival Is a Promise: The Eternal Life of Audre Lorde」 没後30年を過ぎたいまも多くの人たちに影響を与え続けている黒人レズビアン詩人オードリー・ロードの新しい伝記。 ロードが亡くなったとき著者はまだ10歳で、彼女が書き残したものや彼女を知る年上の世代から聞いた話で彼女について知ったと思われる。…
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…本書は著者の子どものころの思い出やエイズで亡くなった親戚とかれに対する一家の困惑とともに、大学時代に触れたクィア理論、とくにラティーノのクィアである自分の存在とはじめて共鳴したムニョスの文章との出会い、そしてそこに感じた可能性などを、ムニョスが採用したクルージング的な文体を一部模倣しながら、書き連ねていく。…
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…ネガティヴィティや死・破滅に向けられたクィア理論の当時のトレンドに対抗して非白人クィアにとってのまだ見ぬユートピアを構想した『Cruising Utopia: the Then and There of Queer Futurity』(2009)はどちらも大きな反響を呼び、クィア理論の基本文献となったほか今でも強い影響を持つ。…
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…キューバ系アメリカ人の批評家・クィア理論家だったムニョスはたった二冊の単書しか出さないまま46歳で亡くなったが(没後に残された原稿から三冊目が出版された)、非白人クィアのパフォーマンスやアートについて論じたデビュー作『Disidentifications: Queers of Color and the Performance of Politics』(1999)や…
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Marcos Gonsalez著「In Theory, Darling: Searching for José Esteban Muñoz and the Queer Imagination」
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メキシコ系アメリカ人クィア男性でラテン系アメリカ人文学とクィア理論の研究者である著者が、同じラティーノのクィア理論家として強い影響を受けたがその早すぎる死の前に直接会うことができなかったホセ・エステバン・ムニョスに対して捧げる本。…
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聞いてるなう。
akishmz.bsky.social
【KOSS共催イベント:ホモナショナリズムを再訪する】

ジャスビル・プア氏をお招きし、同志社大学都市研究センターとの共催で公開シンポジウムを開催します。
ハイブリッド開催で、使用言語は英語になります(Webinar参加者のみ同時通訳と情報保障がつきます)。

2025/10月/11日(土)12:00〜16:00
基調講演
Prof. Jasbir K. Puar, "From Homonationalism to Homofascism"
応答
福永玄弥「東アジアにおけるポスト/冷戦体制とホモナショナリズム
保井啓志「ホモナショナリズムの与えた影響:動物の政治から」

詳細はこちら ↓
【KOSS共催イベント】ホモナショナリズムを再訪する
【共催イベントのお知らせ】グローバル地中海研究プロジェクト同志社拠点(MICCS)の公開シンポジウム「ホモナショナリズムを再訪する」をKOSSが共催しています。皆様のご参加をお待ちしております。本シンポジウムでは、ジェンダー・セクシュアリティと植民地主義・人種主義の結びつきを紐解き理解するため、クィア理論研究者で、現在に至るまで大きな影響を与え続けているジャスビル・プア(Jasbir K. Pua...
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…人種差別やホモフォビアについての取り組みを排除したり黒人やレズビアンを黙らせようとしていたことを批判する演説でのことで、人種差別やホモフォビアを使って性差別を解体することはできない、というのがその意味。著者は「マスターの道具=プラットフォームやテクノロジー」という解釈から、プラットフォームやテクノロジーを使ってそれらの濫用に抵抗することを主張していると思うんだけど、それならロードの言葉を捻じ曲げて引用する必要はなかった。