エミコヤマ
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うにはともだち(エレン・デジェネレスの声で) 読書報告: http://books.macska.org seattle/portland
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そーいえばオードリー・タンさんの講演を聞きに行ったとき、彼女がenshittificationという言葉を何度も使っていたのだけど、そのたびにステージ横のスクリーンに映し出されていたAI生成字幕がこの単語を認識できずにぐちゃぐちゃな文章にしてしまっていた。タンさんはAIの良い利用法の一例としてこうしたシステムを挙げてたんだけど、訓練を受けた人間ならenshittificationという言葉を聞いたことがなくても聞けばだいたいどういう意味なのか理解できるしタイプできると思うんだけど。
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…また本書には本文に登場するブサ可愛いコウモリたちの写真がたくさん掲載されていて、見ているうちにどんどん可愛くなっていく。コウモリがエボラやコロナだけでなく多数の感染症の経路となるとされているのはコウモリの免疫が異様に強くて細菌やウイルスに触れてもなかなか死なずに感染を広げてしまうせいなんだけど(ていうかそもそも人間がコウモリの生育環境を脅かさなければ向こうから人間に近づいてこようとはしない)、逆にその免疫の仕組みを解明して感染症予防や治療に役立てようという動きもあるらしく、天才コウモリ先生に期待したい。
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…コウモリのすごいところと言えば、社交性があり群れを作ることや、音や超音波を出しその反響で周囲の環境を把握する能力。たくさんの小さなコウモリが一斉に飛びながらどうしてぶつからないのか、そんな混み合ったところでどうやって自分が出した音の反響を聴き分けるのかなどといった疑問が、さまざまな研究によって検証されていくけれど、なかには「まさかあんな小さな動物にそんな優れた機能があるはずがない」と研究者たちにデータが間違っていると思われてしまったりも。小さいものはGPSトラッカーを取り付けることができないほど小さいのにものすごい距離を移動できるし、何十年も生きるものもいるなど、まじすごい。…
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Yossi Yovel著「The Genius Bat: The Secret Life of the Only Flying Mammal」 books.macska.org/15lt 神経科学者で生態学者の著者が、専門の一つとするコウモリとその研究について愛を持って語りまくる本。空を飛ぶ唯一の哺乳類であり、哺乳類に分類される種のうちの2割を占めるほど多様なコウモリだけど、暗いところに住み一部に吸血する種があることやエボラやコロナウイルスなどが人間に感染する経路となることなどから敬遠されがち。でも本当はこんなにかわいくてすごいんだよ!という内容。…
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…ロシアやイスラエルの戦争犯罪とその解決のためにヨーロッパが行うべき行動、そしてそれを可能とするためのより強力なEUのガバナンスなどについても取り上げられていて、経済政策だけにとどまらない。短い文章がたくさん掲載されているので気になるところだけでもサクサク読めばいいと思う。
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Thomas Piketty著「Equality Is a Struggle: Bulletins from the Front Line, 2021-2025」 books.macska.org/3y52 タイトルにあるとおり、トマ・ピケティせんせーが2021年から2025年にかけてさまざまな媒体に寄稿した著述集。重複するところもあるし短い論説でフランスの政治についてよく知らないと分かりにくい内容もあるけど、序盤に多く掲載されている、社会的不公正や不平等と社会民主主義について書かれた長め(といっても他と比べればというだけで、基本的に短い)の文章は歯切れがよく読み応えがある。…
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Jasbir Puarさんの名前を見るたびに、彼女のことを「ジェイソン」と読み間違えていたオーディオブックのこと思い出してしまう… ジェイソンはないよジェイソンは。
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…ムニョスの本では非白人クィアたちを対象とした「Disidentification」より白人のクィアたちへの希求力を持つ「Cruising Utopia」のほうが注目されがちで、前者が無視されることが多いのだけれど、本書が少しでも前者のさらなる評価につながればいいなと思う。
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…著者がムニョスの文章に出会ったときの衝撃と歓喜は、わたしにとっては大学の女性学の授業ではじめてオードリー・ロード books.macska.org/c8l5 やグロリア・アンサルドゥアの著作に出会ったとき、そしてのちに日系アメリカ人でレズビアンの詩人・活動家で性虐待サバイバーのミチヨ・フカヤについて知ったときに感じたものと通ずるものがありそうで、とても共感できる。…
Alexis Pauline Gumbs著「Survival Is a Promise: The Eternal Life of Audre Lorde」
Alexis Pauline Gumbs著「Survival Is a Promise: The Eternal Life of Audre Lorde」 没後30年を過ぎたいまも多くの人たちに影響を与え続けている黒人レズビアン詩人オードリー・ロードの新しい伝記。 ロードが亡くなったとき著者はまだ10歳で、彼女が書き残したものや彼女を知る年上の世代から聞いた話で彼女について知ったと思われる。…
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…本書は著者の子どものころの思い出やエイズで亡くなった親戚とかれに対する一家の困惑とともに、大学時代に触れたクィア理論、とくにラティーノのクィアである自分の存在とはじめて共鳴したムニョスの文章との出会い、そしてそこに感じた可能性などを、ムニョスが採用したクルージング的な文体を一部模倣しながら、書き連ねていく。…
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…ネガティヴィティや死・破滅に向けられたクィア理論の当時のトレンドに対抗して非白人クィアにとってのまだ見ぬユートピアを構想した『Cruising Utopia: the Then and There of Queer Futurity』(2009)はどちらも大きな反響を呼び、クィア理論の基本文献となったほか今でも強い影響を持つ。…
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…キューバ系アメリカ人の批評家・クィア理論家だったムニョスはたった二冊の単書しか出さないまま46歳で亡くなったが(没後に残された原稿から三冊目が出版された)、非白人クィアのパフォーマンスやアートについて論じたデビュー作『Disidentifications: Queers of Color and the Performance of Politics』(1999)や…
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Marcos Gonsalez著「In Theory, Darling: Searching for José Esteban Muñoz and the Queer Imagination」
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メキシコ系アメリカ人クィア男性でラテン系アメリカ人文学とクィア理論の研究者である著者が、同じラティーノのクィア理論家として強い影響を受けたがその早すぎる死の前に直接会うことができなかったホセ・エステバン・ムニョスに対して捧げる本。…
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聞いてるなう。
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【KOSS共催イベント:ホモナショナリズムを再訪する】

ジャスビル・プア氏をお招きし、同志社大学都市研究センターとの共催で公開シンポジウムを開催します。
ハイブリッド開催で、使用言語は英語になります(Webinar参加者のみ同時通訳と情報保障がつきます)。

2025/10月/11日(土)12:00〜16:00
基調講演
Prof. Jasbir K. Puar, "From Homonationalism to Homofascism"
応答
福永玄弥「東アジアにおけるポスト/冷戦体制とホモナショナリズム
保井啓志「ホモナショナリズムの与えた影響:動物の政治から」

詳細はこちら ↓
【KOSS共催イベント】ホモナショナリズムを再訪する
【共催イベントのお知らせ】グローバル地中海研究プロジェクト同志社拠点(MICCS)の公開シンポジウム「ホモナショナリズムを再訪する」をKOSSが共催しています。皆様のご参加をお待ちしております。本シンポジウムでは、ジェンダー・セクシュアリティと植民地主義・人種主義の結びつきを紐解き理解するため、クィア理論研究者で、現在に至るまで大きな影響を与え続けているジャスビル・プア(Jasbir K. Pua...
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…人種差別やホモフォビアについての取り組みを排除したり黒人やレズビアンを黙らせようとしていたことを批判する演説でのことで、人種差別やホモフォビアを使って性差別を解体することはできない、というのがその意味。著者は「マスターの道具=プラットフォームやテクノロジー」という解釈から、プラットフォームやテクノロジーを使ってそれらの濫用に抵抗することを主張していると思うんだけど、それならロードの言葉を捻じ曲げて引用する必要はなかった。
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本筋とは関係ないけど、この本は最後のまとめの部分で黒人レズビアン詩人・活動家オードリー・ロード books.macska.org/c8l5 の「マスターの道具はマスターの家を解体しない」という言葉を引用して、「いやいや彼女は間違いだ、マスターの道具を使ってこそマスターの家は解体できる」と書いている部分は、彼女の主張をまったく無視したダメすぎな引用。ロードがこの言葉を使ったのは、彼女が活動していた1980年代の白人フェミニストたちが自分たちが考えるところの「女性の解放」を優先して黒人やレズビアンの権利を後回しにするばかりか、…
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…またメタやグーグルと違ってユーザのプライバシーを保護する優等生ぶっているアップルについての記述で、消費者が割高の料金を出せばメタクソ化から逃れられるわけではない、無料のサービスだろうが料金を払おうがそれが可能であればプラットフォームはメタクソ化することを指摘している部分もおもしろかった。enshittificationというキャッチーな言葉を作った著者は偉いけど、それに負けない「メタクソ化」という日本語を作った人も偉い。
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…まあ大筋はだいたいこれまで著者が言ってきたことをまとめてあるだけなんだけど、テック労働者たちが労働力不足を背景として経営に口を出すことができたケースや、ゲームエンジンの料金改悪や顧客のデータをAIに学習させようとするデザインソフトの利用規定の改悪が大きな反発を受けて撤回に追い込まれたケースなど、プラットフォーム企業の支配力がかれらが思っていたほど強くなくメタクソ化が抵抗を受けたケースを紹介するなど、興味深い事例も多数。…
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…メタクソ化が起きる原因の一つはネットワーク効果がはたらくプラットフォームの性質だが、著者はそれだけではないと指摘する。究極的には、わたしたちが政治的な選択により独占禁止法の執行や経営陣の身勝手な方針に抵抗できる労働組合を弱らせたり、著作権制度の拡張により消費者たちが自分たちが購入した製品を自由に使えなくしてきたことに原因がある。要するに「できたから、許されていたから、やった」。まあツイッター/Xの劣化は状況が特殊すぎて独占企業による利益追求だけでは説明が付かないわけだけど、それでも未だにあれだけ影響力を持っているのだから、かれらが自分たちは何をやっても安泰だと思い込むのも理にかなっている。…
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…いっぽうプラットフォームはフェイスブックに広告を出す業者やアマゾンで商品を販売する業者にも圧倒的に不利益な条件を押し付けかれらの経営を圧迫するが、拮抗しているプラットフォームがない以上、いまさらフェイスブックへの出稿やアマゾンでの販売をやめたら存在すら認識されなくなるので、泣き寝入りするほかない。こうしてかつて消費者にとっても販売業者にとっても魅力的だったプラットフォームは劣化し、プラットフォームを運営する企業以外の誰にとっても不満だらけのものになってしまう。…
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…ツイッターがXになりあれだけオーナーであるイーロン・マスクの号令のもとレイシズムやトランスフォビアが横行するプラットフォームになったのに多くのマイノリティやトランスジェンダーの人たちが離脱しないのは、状況が悪化しているからこそかれらは仲間との繋がりをますます必要としており、全員が申し合わせて一斉に別のプラットフォームに移行する方法がない以上はXに居座るしかないから。…
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…こうしたサイクルの最終段階では、プラットフォームに参加している消費者や販売業者から限界まで利益を搾り取るためのシステムの改悪が進められる。一般の消費者にとっては、フェイスブックの使い勝手が悪くても家族や友人、仕事や趣味やアイデンティティに関係した多くの人たちとの繋がりを人質に取られていては簡単にはフェイスブックをやめたり別のソーシャルメディアに移行できない。…
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…本書はフェイスブック、アマゾン、iPhone(iOSプラットフォーム)、ツイッターを例にあげ、メタクソ化のサイクルがどのように起きているのか説明するところからはじまる。これらのプラットフォームは魅力的なサービスや商品を提供することで多くの消費者を集め、その消費者を目当てにサービスや商品を提供する業者がさらに集まる。これらのプラットフォームではベンチャーキャピタルの投資によって短期的な利益を度外視して市場占有を目指す経営戦略が取られているほか、スケールメリットやネットワーク効果による有利な立場を利用することで競合他社を駆逐し、独占的な市場支配が実現する。…
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…テクノロジー関連のトピックに関心がある読者からするともはや目新しいことはないけれど、これだけ多くの事例をまとめてあると圧巻というか激しいうんざり感を感じる。…
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Cory Doctorow著「Enshittification: Why Everything Suddenly Got Worse and What to Do about It」 books.macska.org/gkb8 かつて人々に愛されていたインターネットサービスや電子機器などが急激に劣化する、日本語では「メタクソ化」と呼ばれる(他にもいくつか訳はあるけどこれが一番いいと思う)enshittificationという現象について、この言葉を考え出した著者がこれまでに論じてきたさまざまなことを一冊にまとめた本。…
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