元漁師
fishmon3.bsky.social
元漁師
@fishmon3.bsky.social
北海道函館沿岸で発見された稚エビが、詳細な形態観察とDNA解析によってイセエビと確認されたという記事を読んだ。イセエビといえば、これまで千葉から九州にかけてが主な漁場であり、近年ようやく福島や岩手でも漁獲が見られるようになったばかりだ。それがついに北海道にまで流れ着いたという事実は、単なる珍事では済まされない。
August 23, 2025 at 12:52 AM
漁業と資本主義の関係は、海という「共有財産」をどう扱うかに端的に表れる。資本主義は効率的な資源利用と利益追求を促す一方で、漁業では乱獲や資源の枯渇を招きやすい。近代以降、冷凍技術や大型船の導入は市場拡大をもたらしたが、同時に「獲り過ぎ」のジレンマを加速させた。資本主義的論理では海の魚は単なる商品だが、漁師にとっては生活の糧であり、地域共同体にとっては文化的基盤でもある。そのため今日の漁業は、単純な市場競争ではなく、資源管理や共同ルール、補助制度などの「社会的な調整」が不可欠となっている。資本主義のダイナミズムと漁業の持続性、この二つをどう両立させるかが、今も海をめぐる最大の課題である。
August 22, 2025 at 10:08 AM
水産業の担い手不足に挑む石巻市の取り組みは、本質的な意義がある。シェアハウスや伴走型支援は、都市から地方に飛び込む若者にとって心理的ハードルを下げ、漁業という“未知の世界”を現実のキャリア選択肢へと変えている。ただし課題は二つ。第一に、インターン後の定着率をどう高めるか。コミュニティへの溶け込みや収益性ある漁業経営の仕組みなしには長続きしない。第二に、震災以降の漁業構造の縮小に対し「人を増やす」だけでは不十分で、販路や付加価値化といった産業全体の再編が不可欠だ。石巻の試みは全国に先駆けたモデルになり得るが、担い手確保はゴールではなく、地域社会と産業の持続性を同時に設計することこそ真の勝負所だ。
August 22, 2025 at 9:30 AM