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最近はFRUITS ZIPPERに熱を上げています。
主に読書感想を呟きます。
下村敦史「ロスト・スピーシーズ」読了。
エンタメ性が凄かった。
癌の特効薬になりうる「奇跡の百合」を探求し、アマゾンの奥地へと向かう話なのだが、アマゾンの壮大さ、残酷さの表現が秀逸で、まるで調査に同行しているかのようだった。
常に死が隣合わせのなか、必死にもがいて生きようとする人間たちの泥臭さと残酷さに美を見出す事ができた。
November 6, 2025 at 3:17 PM
井上真偽「アリアドネの声」読了。
エンタメ性とミステリー要素、どちらも兼ね備えている今作だが、主眼とすべき点は「呪縛と化した懐古」から脱却し、成長する主人公だったと思う。
主人公にとって、座右の銘のように不可分な存在となっていた呪いは、主人公の中で生きるための活力になっていたが、同時に二律背反を生んでいた。
ただ理想を掲げるだけでは、前に進めないという現実主義と、それでも理想を持たねば強く生きることの出来ない人間の脆弱性に共感出来た。
November 3, 2025 at 3:30 PM
トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」読了。
表題作の他に短編がいくつか入っていたが表題作の感想を。
新人女優のホリーが自由奔放で、主人公は振り回されてしまうのだが、自由奔放さの中に強かさが内包されており、人生の指針を、この作品に見た。

結婚や仕事、生活など誰もが受け入れざるを得ない枷と向き合う事の大切さ、そしてそこには逃避や妥協も一種の向き合い方として捉えられる優しさを感じた。
October 9, 2025 at 3:58 PM
瀬名秀明「パラサイト・イヴ」読了。
遺伝子や細胞の知識はからっきしだったが、エンタメホラーとして楽しめた。
細胞が反旗を翻し、宿主を支配せんとする話で、細胞の自由意志という着眼点に驚いた。
恐怖を幾何級数的に増加させていく文章には目を瞠った。

昨今では新型コロナウイルスが猛威を振るっていたが、自由意志を持っていたら...と考えると恐ろしい。
September 30, 2025 at 3:39 PM
中村文則「私の消滅」読了。
物語はそれなりの速さで進んでいくのに、曖昧さが付きまとってくるので、理解するまでに時間がかかった。
いや、本当はまだ理解出来ていないのかもしれない。

作中に出てくる技術が完全なものになった時、人は自己の正確性に異議を唱えずにいられるのだろうか?
September 23, 2025 at 6:06 AM
浅田次郎「月下の恋人」読了。
非日常すぎない世界ばかりだったので、没入しやすく、一度の読書に何遍か読むと、自分の感情が目まぐるしく切り替わるのを楽しむことができた。
なかでも印象に残ったのは表題作の「月下の恋人」で、言葉少なの二人が言葉を交わさずとも、共に笑い、共に泣く、慎ましくも強かな愛に惹かれた。

この物語の結末を踏まえ、愛には種々の姿があり、正解というものは存在しないに等しいとしても、完全無欠の愛とはなんだろうかと考えてしまう。
そんな重みがある作品だった。
September 22, 2025 at 4:35 PM
綾辻行人「水車館の殺人」読了。

奇想天外な前作と違い、犯人はある程度見当が付く今作だが、特筆すべきは作品の纏う雰囲気である。
「隔絶された古風な館」「仮面の主人」など、今や幻想に変質したゴシックに読者として身を投じるのが楽しかった。
そのゴシックを錆びつかせないために投入された隠し味は、クローズド・サークルとしての役割を果たし、読了するまで
館から出るのを許さなかった。

シリーズものなので、続編も読もうと思う。
July 23, 2025 at 3:38 PM
倉橋由美子「聖少女」を読んだ。
近親相姦という禁忌を聖化しようと試みた作品。
愛についての考えには瞠目させられた。
禁忌に耽溺する能動的なインセストではなく、受動的なインセストなら誰の目にも美しく見えるのだろうか?
結末が好みであるが、まだ作品からの問いかけには答えを出せそうにもない。
July 3, 2025 at 9:00 AM
東野圭吾「希望の糸」読了。
加賀恭一郎シリーズをあまり読んだことはなかったが、スピンオフということで読み始めた。
読みやすい文章に、綺麗な物語。
確かに物語の中に存在していたはずの死を希釈する糸達に感動した。
March 27, 2025 at 3:38 PM
「夢魔の幻獣辞典」読了。
夢魔とタイトルにあるだけあって、一つ一つの短編を読み終わったあとは、靄がかかったような気持ちになるけども、その中でも「カトブレパス」「ヒトニグサ」「オアンネス」「グレムリン」はとても良かった。
怪異や都市伝説、言い伝えは靄を纏ってこそ箔が付くというものだろう。
March 20, 2025 at 3:50 PM
「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」を読んだ。
容赦のない展開に殴られた。
「レーエンデの歴史書を手に取った現代の人間」として没入した世界には、痛みが蔓延し、一縷の望みをより際立たせていた。
February 27, 2025 at 3:28 PM
読書もファッションも大好きなので、図書館やカフェに行くのは、いいストレス発散になるんだよね。

高い服を買いがちだし、小説も単行本を集めがちなので、財布には優しくないんだけども...
February 21, 2025 at 11:26 PM
「月影の乙女」読了。
久しぶりにファンタジー小説を読んだけど、一つの世界に没入した時の楽しさが好き。
現代は技術が発展しているし、娯楽も多いが、昔話のようなファンタジーは、文明が開花しきっていないぶん、現代では薄れつつある生命力に満ち満ちているので活力をもらえる。

ファンタジーに内包されている残酷さとユニークな動物達が互いを引き立たせて、唯一無二の綺麗な世界を創り出していた。
February 20, 2025 at 4:07 PM
乾くるみ「イニシエーション・ラブ」を読んだ。
見事に騙されたし、複数の女性から好意を寄せられたことなどないので、ある登場人物の事を許せなかったが、同じ立場なら自分もそうなる可能性はあるのかなと少し怖くなった。
最初は口角を上げて新鮮な読書体験をしていたが、読むにつれて辛くなった。
サブタイトルの曲を聴きながら夢想する。
騙されて堕落していく自分を......
November 22, 2024 at 3:23 PM
小池真理子「無花果の森」を読んだ。
逃避行した先での再生の物語。
現在の自分の人生は、探求に満ちていて、際限を知らないからこそ、いつか訪れるかもしれない事態に備えて、"逃げる"準備をしておく事は大切なのだと感じた。
形而下の事象に囚われず、形而上の生きる意味を、誰も知らない土地で、見つけたくなった。
November 22, 2024 at 3:48 AM
小松左京「日本アパッチ族」に出てくる失業罪。
本当に一身上の都合のみで退職している経験があるので、ものすごく怖い。
辞める時って罪悪感が少なからずあるのに、新しく職を見つけるプレッシャーも襲いかかってくる世界なんだもんな.....
November 15, 2024 at 7:56 AM
貴志祐介「天使の囀り」を読んだ。
この作品を読む少し前に「恋する寄生虫」を読んでおり、題名とは裏腹に、寂しくも綺麗な物語に感動を覚えたが、この作品は恐怖が、まず初めに現れた感情だった。
私は虫が大の苦手で、寄生虫から与えられる恐怖に押しつぶされそうだった。
だがこの思考すらも.....邪推してしまいそうな、出口のない恐怖に駆られている。

専門的な知識も多かったので、勉強になった。
November 13, 2024 at 5:22 PM
小林泰三のC市、三体みたいな理論を短編に凝縮してるから、読む手が止まる。
もう少し勉強しないと。
October 30, 2024 at 6:09 PM
初の安部公房作品で悪戦苦闘。
シュルレアリスムの理解に乏しいのも原因の一つ。
時代背景の理解や別の視点からの読み方が必要になってくるんだろうか。
October 22, 2024 at 5:38 PM
ちなみに「夏への扉」は結構好き。
初ハインラインだったけど、他の作品も読みたくなった。
「三体」とか「星を継ぐもの」よりかは読みやすいのかな〜
ハードすぎないSFでした。
October 21, 2024 at 5:36 PM
「夏への扉」を読み終わったので、今読んでいる安部公房と、僕との闘いを心待ちにしているホラー三兄弟。
October 21, 2024 at 5:27 PM