Kz氏
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もと県立高校の先生です。芝居が好きで、いろいろ生徒とやっていました。2008年に大病から奇跡的に生還。多少の後遺症ありながらも今のところ異常なし。…という人でしたが、2017年度一杯で退職いたしました。2022年度一杯で再任用もお払い箱となりました。一般社団法人日本演劇教育連盟会員で、NPO法人日本学校演劇教育会の理事という名の雑用係をしています。
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「死霊館 最後の儀式」④

その「エンフィールド事件」のプロローグで少しだけ触れられている「アミティヴィル事件」は、80~90年代に何作も創られた「悪魔の棲む家」のモチーフであり、これもほとんど見ている。ウォーレン夫妻が関わった事件であるので、死霊館ユニバースとして映画化されないかと首を長くしていたのだが、実現しなかったのが残念。
「死霊館 最後の儀式」③

変則ホラーばかり見ていたので、王道洋画ホラーは久しぶり。ジャンプスケアもショックシーンもほどよい。
スクリプトドクター三宅隆太氏が、第2作「死霊館 エンフィールド事件」が冒険映画や西部劇で焚き火を囲む「旅の仲間」に当たるシーンをきちんと入れていることを評価していたが、本作でも、エドがパンケーキを焼いて踏襲している。
「死霊館 最後の儀式」②

ベラ・ファーミガ&パトリック・ウィルソン=エド&ロレイン・ウォーレン夫妻は、冒頭1960年代シのーンで若返りCGを掛けているのでことさらそう思うのだが、ずいぶんと年を取った。第6作「アナベル死霊博物館」で小学生だった娘ジュディが結婚をするし、第1作が2013年だから現実時間でも10年以上経過しているから、引退の潮時なのは仕方がない。
「死霊館 最後の儀式」於:T-JOY横浜、カミさんと①

死霊館ユニバース最終作で、同マイケル・チャベス監督の「ラ・ヨローナ ~泣く女~」も勘定に入れれば10作目。恐るべきことに、全作をカミさんと見ている。本作は、「呪われた鏡」の話。

これで最後なので、怖いというよりは、懐かしいような寂しいような。
「ワン・バトル・アフター・アナザー」④

しかし、このコメディは、笑えない。現在、トランプが州兵や海兵隊を動員しておこなっている移民狩りを彷彿とさせるからだ。本作は、トマス・ピンチョンがレーガン時代を戯画化した「ヴァインランド」を原作としている。

本邦では、参院選直前に目くらましのように突如「外国人問題」が世論化し、少数与党となった自民は公明に愛想を尽かされて、なりふり構わず連立協力に奔放している。保守・タカ派・改憲路線にせよ、80年代中曽根内閣の方が、よほど正常に見える。
笑えないスラップスティクは、対岸の火事であってほしいが。
「ワン・バトル・アフター・アナザー」③

「聖域都市」は教会が主導して始まったからなのか、「BLACK LAGOON」に登場する暴力教会みたいな、武装修道院が登場する。
相対して、KKKかナチみたいな政財界上層部の秘密結社「クリスマス冒険クラブ」も出てくる。
つまり、ドタバタアクションコメディなのだ。
警視は、移民収容所所長時代にフレンチ75の黒人女性リーダーになぶられて、マゾヒズムに目覚めるし(ショーン・ペンが蛇蝎を具現したようないやらしさを見せる)、桐島ディカプリオは寄る年波で組織に連絡を取る際の合い言葉(今時!)が思い出せない。
「ワン・バトル・アフター・アナザー」②

組織名フレンチ75はカクテルの名前だから、多分虚構だけど、爆弾テロを繰り返していた東アジア反日武装戦線のような反体制組織。
いくらもあるアクション映画と異なるのは、視点が、司法側ではなく、まだ細々と存続しているテロ集団側にあることだ。彼らは、移民収容所襲撃などもしていたので、不法移民に寛容な政策をとる自治体「聖域都市」の住人に深いコネクションがある。
「ワン・バトル・アフター・アナザー」於:ローソン・ユナイテッドシネマみなとみらい ①

162分が全然長くない。ポール・トーマス・アンダーソン作品は、配信で「リコリス・ピザ」に接したくらいで、「ブギーナイツ」も「マグノリア」も「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」も、公開時予告編を横目で眺めていたばかり。損をした。

桐島聡みたいな過激派逃亡者を、警視(字幕でそう出てくるけど、警察というよりは国土安全保障省移民税関執行局っぽい)が執念で追い詰める話。正確には、訳あって、彼の娘に執着している。

WOWOW「箱の中の呪い」2025年

題名が全てを現しているワンナイトストーリーで、望まれるものを砂時計が示す時間内に木箱の中に入れないと死ぬ話。呪われた箱がどこらか来たのか、何を目論んでいるのかは一切不明。原題は「Vicious」で、本当に悪質。
ほぼダコタ・ファニングの一人芝居で、俳優の力量が支えている映画。

Netflix「デリリウム 迷宮の館」2018年

精神疾患で長年医療刑務所に服役していた男が、最後の1ヶ月を自宅監禁で過ごす(そういう制度があるのだね)話。かなりな豪邸で、母は行方不明、父は自殺。
なぜ服役していたのかが徐々に明らかになるとともに、怪奇現象が頻発する。

それが心霊なのか妄想なのか、そもそもカメラが映しているのは、客観事実なのか男の脳内映像なのか、というサスペンスが、お約束。しかし、観客はずいぶんザックリと裏切られる。その運びにそつがない。

映画comにもFilmarksにも記載がないのだが、ブラムハウスホラーっぽいのだが。

爺さんなので寝るのが早くて夜中に目が覚める。休日前日だと、ちょっといいチョコレートを肴にバーボンをストレートで飲って、墓場を引き寄せている。
そういう時見た暇つぶしの無名ホラーが面白いと、とても嬉しくて墓場を遠ざけたくなる。という、ジレンマに陥っている。
「アンジェントルメン」2025年

英海軍“M”少将と情報将校イアン・フレミングから、北大西洋上Uボート無力化の高難度極秘作戦を命じられたガス少佐は、ジェームズ・ボンドのモデルで、実話だそうな。

しかし、007のように華やかでも、大麻ビジネスをめぐって少しも紳士的でない「ジェントルメン」が駆け引きをする2021作品のようにスタイリッシュでもない。ガイ・リッチー版「イングロリアス・バスターズ」で、一方的ナチス大虐殺の作品。
敵陣地に殴り込んで一人も死なないガス部隊の強さにリアリティーはないが、せめてそこにガイ・リッチー・スタイルを示したかったのだろう。戦争実話からは泥臭さは抜けない。
「テレビの中に入りたい」於:kino cinema 横浜みなとみらい②

……という絵解きに傾倒するには、本作のTV番組(正確には現実の番組を媒介とした自己埋没の妄想世界)「ピンク・オペーク」は魅力的に過ぎる。まるで「ツイン・ピークス」ではないか。
ジェーン・シェーンブルンを故ディビット・リンチの後継者と定めて、異化を異化のまま味わっていきたいのだが、期待に応えてくれるだろうか。…という、暇を持て余した引退爺さんが、デリュージョン・ドラッグを思い出してしまった作品。
「テレビの中に入りたい」於:kino cinema 横浜みなとみらい①

ジェーン・シェーンブルン監督は、トランスジェンダーで、アイデンティティの不確かさが本作のモチベーションだというインタビュー記事を読んだ。
性自認の問題がなくとも、思春期には、自分自身と向き合うことの恐怖や不安に苦しむだろうし、ネット依存はそれと無関係ではないだろう。ネットのない1990年代には、フィクションへの過度な依存にシフトしていたのかもしれない。太宰や三島の小説や、サブカル漫画やアート映画や小劇場演劇運動に傾倒する若者を聞かなくなったのは、SNSの影響なのかもしれない。
「火喰鳥を、喰う」於:横浜ブルグ13

原作角川ホラー文庫で、ホラー映画トーンの宣伝だけど、ホラーではないと公開前から聞こえていた。ならば、人恐村ホラーか、横溝的ホラーミステリーかと思って見たら、SFだった。それも古典的モチーフのSFだ。
それがどういう類いかはネタバレに直結するので書けないが、MCUが復古したような世界崩壊感は味わえる。
劇団ぺリートホームズ公演初日後に、劇団メンバー+観客の演劇部15期OGと。なにやら15期の彼女も裏方で加わりそう。
劇団ぺリートホームズ「かぞくけんか」③

作者の仕事柄、本人も家族も自閉症の芝居がリアリティーに溢れているのだけど、石集めに執着する彼女が、見知らぬおじさんの幽霊も拾ってきてしまう、という遊びもあって愉しい。

次回公演は新宿二丁目で二本立てだとか。
私の演劇部顧問最後の年代で、すでに20代半ばにさしかかっているのだけど、このまま演劇活動を継続していってもらえると、引退爺いとしてはとても嬉しい。
劇団ぺリートホームズ「かぞくけんか」②

家出していた長兄が10年ぶりに帰宅すること以外に、事件は起きず、家族それぞれの背景が現れてくることがドラマになっている。というと、TVホームドラマ第1回の2時間特番みたいだが、ホームコメディーなのだけど、家族のリアルが描き込まれていて、和気藹々にのみ終始してはいない。
5番目の三女が重度の自閉症で、良くも悪くも生活が彼女中心となる。その良くも悪くもが、反抗期的な高校生の次女に相対化されて客席に提示される。家出していた長兄がゲイという現代性もある。
10月11日(土)、劇団ぺリートホームズ「かぞくけんか」(主宰・作・演出:おむ乃らいす)於:横浜人形の家・あかいくつ劇場①

おむ乃らいすさんは横浜桜陽高校演劇部17期OGで、役者裏方表方に演劇部卒業生が7人もいる社会人劇団。
投げ銭公演だけど、2時間越えで内容充実した本格派なので、無料公演はもったいない。

井上ひさし「父と暮らせば」を思わせる亡父の幽霊が家族を見守る話だけど、亡父と交流はできず(ポルターガイストシーンは死ぬほど笑った)、娘一人ではなく兄弟姉妹が6人もいる。
「三文オペラ」③

井田邦明さんのアフタートークで、メッキーと結婚したピーチャムの娘ポーリーが、メッキー元カノのルーシー・ブラウンの部屋を訪ねる件は、ほぼ上演されないシーンと紹介される。その部屋に、シリアの少女をモチーフにした、バンクシーの「赤い風船の少女」が飾ってあったのは、善悪の境界が曖昧な現代へのメッセージだろう。
「三文オペラ」②

そんな私を見越してか、近藤さんが事前メッセンジャーで概要を送ってくださっていたのが嬉しかった。

乞食王ピーチャムは、貧困ビジネスの象徴。悪党メッキーは、富を持つ者の象徴で大統領就任前のトランプやイーロンマスクのイメージ。娼婦ジェニーは、トランプとの関係を暴露したStormy Daniels。
最後は「悪党が救われ、弱者は利用され続ける」という皮肉なハッピーエンドで、現代社会とも照らし合わせながら観てみてくださいね☺️

という解説が愉しい。
もう10日近くたってしまったが、10月4日(土)、
ベルナルト・ブレヒト「三文オペラ」(演出:井田邦明)於:両国・シアターΧ①

俳優の近藤春菜さんが、長らく滞在していた中国から帰国されて、ご案内を頂いた。現職時10年以上も演劇教育の学校設定科目でご一緒していた方。ロバート、娼婦その他の役で歌唱もなさる。

「三文オペラ」は、ずいぶんずいぶん昔に、クルト・ユルゲンスかローレンス・オリヴィエかの映画をTV放映で見た記憶がある程度。「マック・ザ・ナイフ」は覚えていたけれど、お恥ずかしいことに、「天井桟敷の人々」とごちゃごちゃになっていた。今回、長尺版をきちんと見る機会を得た。
「THE MONKEY ザ・モンキー」於:ローソン・ユナイテッドシネマみなとみらい④

「ロングレッグス」が不評だった一因に、ニコラス・ケイジの意味不明な所作にどう反応していいのか分からなかったことがあると思うが、その居心地の悪さが、笑っていいのか怖がっていいのか分からない本作にもある。
そこが「post」の肝なのだろう。

全然話題にならないが、テオ・ジェームズが双子のハルとビルの二役を演じ分けている。「罪人たち」で双子の兄弟スモークとスタックを演じたマイケル・B・ジョーダンに引けを取らない。
「THE MONKEY ザ・モンキー」於:ローソン・ユナイテッドシネマみなとみらい③

壊しても捨てても埋めても戻ってくる、定番の人形ホラー。スティーブン・キングの短編「猿とシンバル」が原作だけど、本作の気味悪い猿のおもちゃは、ドラムを叩く。その度に、冗談みたいに人が死ぬ。ゴルフのホールからコブラが出てきたり、飛行機が落ちてきたりするから、みたいではなくて冗談なのだが、あまり笑えない。不道徳コメディにしては気味が悪すぎるのだ。
「THE MONKEY ザ・モンキー」於:ローソン・ユナイテッドシネマみなとみらい②

最近目にしないが、アンソニー・パーキンスの息子オズグッド・パーキンスは、ポスト・ホラーの旗手と評されていた。Netflixの「呪われし家に咲く一輪の花」しか見られなかったオズ作品が「ロングレッグス」から間を置かずに公開されたのは嬉しい。