「同性のパートナーを受取人に」
手続きはできた。でも、窓口で告げられる。
「法定相続人ではないので、
500万円の非課税枠は使えません」
隣のブース。
昨日入籍したばかりだという若い夫婦が、
笑顔で互いの名前を書き込んでいる。
30年支え合っても、国にとっては「他人」。
重い税金が、遺された側を襲う。
愛する人を守りたい。ただそれだけなのに。
彼は申込書の上でペンを握ったまま、
動けなくなっていた。
この国は、僕たちの死にすら、
「他人」という罰金を科すらしい。
「同性のパートナーを受取人に」
手続きはできた。でも、窓口で告げられる。
「法定相続人ではないので、
500万円の非課税枠は使えません」
隣のブース。
昨日入籍したばかりだという若い夫婦が、
笑顔で互いの名前を書き込んでいる。
30年支え合っても、国にとっては「他人」。
重い税金が、遺された側を襲う。
愛する人を守りたい。ただそれだけなのに。
彼は申込書の上でペンを握ったまま、
動けなくなっていた。
この国は、僕たちの死にすら、
「他人」という罰金を科すらしい。
2月14日、救急外来。
搬送されたストレッチャーを追い、
男性が泣きながら叫ぶ。
「20年一緒なんです。せめて手を握らせて」
看護師は、困った顔で告げる。
「申し訳ありません。ご家族以外は入室できません」
法的には、他人。
20年の愛が、たった一言で遮断された。
廊下で崩れ落ちた彼の膝の上に、
渡せなかったチョコの紙袋。
中身はもう、溶け始めているだろう。
他人事じゃない。
あれは、未来の僕だ。
彼はまだ、廊下で泣いている。
2月14日、救急外来。
搬送されたストレッチャーを追い、
男性が泣きながら叫ぶ。
「20年一緒なんです。せめて手を握らせて」
看護師は、困った顔で告げる。
「申し訳ありません。ご家族以外は入室できません」
法的には、他人。
20年の愛が、たった一言で遮断された。
廊下で崩れ落ちた彼の膝の上に、
渡せなかったチョコの紙袋。
中身はもう、溶け始めているだろう。
他人事じゃない。
あれは、未来の僕だ。
彼はまだ、廊下で泣いている。
デパートの特設会場。
僕はここで、何千個もの愛を包んでる。
「付き合って2週間!」
騒ぐ学生の恋は、公認で眩しい。
その列に、一番高いチョコを抱えた初老の男性。
「プレゼントですか?」
聞くと、彼は指輪を隠した。
「……同居人に。世話になってるから」
嘘だ。
毎年この日に来る。
30年連れ添った相手がいるのを僕は知ってる。
2週間の恋は「愛」と祝福されるのに
30年の献身は「義理」と偽るしかない。
「カードは?」彼は首を振り、去った。
この国は、軽い愛に「祝福」を、
重い愛に「沈黙」を与える。
彼が堂々と「夫へ」と書ける日は、
いつ来るだろう。
デパートの特設会場。
僕はここで、何千個もの愛を包んでる。
「付き合って2週間!」
騒ぐ学生の恋は、公認で眩しい。
その列に、一番高いチョコを抱えた初老の男性。
「プレゼントですか?」
聞くと、彼は指輪を隠した。
「……同居人に。世話になってるから」
嘘だ。
毎年この日に来る。
30年連れ添った相手がいるのを僕は知ってる。
2週間の恋は「愛」と祝福されるのに
30年の献身は「義理」と偽るしかない。
「カードは?」彼は首を振り、去った。
この国は、軽い愛に「祝福」を、
重い愛に「沈黙」を与える。
彼が堂々と「夫へ」と書ける日は、
いつ来るだろう。
同性婚訴訟。
皮肉にも、自民党の圧勝が
最高裁の「違憲判決」を不可避にした。
高裁でさえ、こう釘を刺していたのを覚えてるか。
「国会がこれ以上放置し続ければ、
憲法違反は避けられない」
これは司法からの最後の温情。
「今すぐ直せば、裁量の範囲内として
認める」という猶予だった。
だが、高市首相はあの圧勝を盾に
堂々と「放置」するだろう。
それこそが、命取りになる。
動かない政治。進まない議論。
その全てが、最高裁に「NO」と言わせる
「立法不作為」の決定的証拠になる。
絶望は不要。
この強固な「放置」こそが、
彼らを「詰み」に追い込んでいるのだから。
同性婚訴訟。
皮肉にも、自民党の圧勝が
最高裁の「違憲判決」を不可避にした。
高裁でさえ、こう釘を刺していたのを覚えてるか。
「国会がこれ以上放置し続ければ、
憲法違反は避けられない」
これは司法からの最後の温情。
「今すぐ直せば、裁量の範囲内として
認める」という猶予だった。
だが、高市首相はあの圧勝を盾に
堂々と「放置」するだろう。
それこそが、命取りになる。
動かない政治。進まない議論。
その全てが、最高裁に「NO」と言わせる
「立法不作為」の決定的証拠になる。
絶望は不要。
この強固な「放置」こそが、
彼らを「詰み」に追い込んでいるのだから。
2月11日、建国記念の日。
テレビでは式典のニュース。
街には日の丸が揺れている。
この国は僕たちを、
「納税者」としては数えるのに、
「家族」としては数えない。
だから今日、僕たちは
このリビングを、僕たちの国とすることにした。
憲法も、法律も、ここには届かない。
あるのは、30年かけて積み上げた歴史と、
少し焦げたトーストの匂いだけ。
「コーヒー、淹れたよ」
「ん、ありがとう」
外がどんなに冷たくても。
さあ、始めよう。
僕たちだけの、ささやかな建国記念日を。
2月11日、建国記念の日。
テレビでは式典のニュース。
街には日の丸が揺れている。
この国は僕たちを、
「納税者」としては数えるのに、
「家族」としては数えない。
だから今日、僕たちは
このリビングを、僕たちの国とすることにした。
憲法も、法律も、ここには届かない。
あるのは、30年かけて積み上げた歴史と、
少し焦げたトーストの匂いだけ。
「コーヒー、淹れたよ」
「ん、ありがとう」
外がどんなに冷たくても。
さあ、始めよう。
僕たちだけの、ささやかな建国記念日を。
2月10日。
「まあ、自民が勝って安心だね」
職員室で、同僚がコーヒーを啜る。
「そうですね、安定が一番です」
0.5秒で「正解」の笑顔を作る。
身に沁みついた、処世術という名の演技だ。
その「安心」と「安定」の中に。
僕らの30年は、1ミリも入っていない。
彼らに悪気はない。
だからこそ、ナイフのように深く刺さる。
ポケットの中で、震える拳を握る。
チャイムが鳴る。
さあ、仮面を被り直そう。
せめて教室の彼らには。
「大人の事情」なんてクソ食らえだと。
「未来は変えられる」と、胸を張るために。
2月10日。
「まあ、自民が勝って安心だね」
職員室で、同僚がコーヒーを啜る。
「そうですね、安定が一番です」
0.5秒で「正解」の笑顔を作る。
身に沁みついた、処世術という名の演技だ。
その「安心」と「安定」の中に。
僕らの30年は、1ミリも入っていない。
彼らに悪気はない。
だからこそ、ナイフのように深く刺さる。
ポケットの中で、震える拳を握る。
チャイムが鳴る。
さあ、仮面を被り直そう。
せめて教室の彼らには。
「大人の事情」なんてクソ食らえだと。
「未来は変えられる」と、胸を張るために。
2月9日、「単独3分の2」。
その数字の重みで、
この国の酸素が少しだけ薄くなった。
国会の扉は、強固に閉ざされた。
これが民意だと言われれば、返す言葉もない。
絶望は、静かに、澱のように溜まる。
けれど。
僕たちはまだ、詰んでいない。
立法が動かないなら、司法がある。
希望の場所はもう、
永田町から裁判所へ移った。
各地で鍛え上げた「違憲」という名の
ハンマーが、その壁を砕く日が来る。
だから今日は、泥のように眠ろう。
判決の日まで、生き延びるために。
おやすみ。
2月9日、「単独3分の2」。
その数字の重みで、
この国の酸素が少しだけ薄くなった。
国会の扉は、強固に閉ざされた。
これが民意だと言われれば、返す言葉もない。
絶望は、静かに、澱のように溜まる。
けれど。
僕たちはまだ、詰んでいない。
立法が動かないなら、司法がある。
希望の場所はもう、
永田町から裁判所へ移った。
各地で鍛え上げた「違憲」という名の
ハンマーが、その壁を砕く日が来る。
だから今日は、泥のように眠ろう。
判決の日まで、生き延びるために。
おやすみ。
2月8日。
朝の空気は冷たいけれど、
コートのポケットの手のひらは熱い。
投票所までの道のり。
すれ違う人たちが、みんな
同じ未来を願う「同志」に見える。
記載台の前に立つ。
使い込まれた鉛筆を握る指先に、力がこもる。
この数センチの枠の中に、
僕たちの30年分の生活を。
隠し続けてきた愛を。
この国に生まれてくる子どもたちの未来を。
すべてを込めて、その名前を刻んだ。
投票箱に吸い込まれる、
「コトリ」という小さな音。
それは、時代が少しだけ動く音だ。
さあ、次は君の番だ。
2月8日。
朝の空気は冷たいけれど、
コートのポケットの手のひらは熱い。
投票所までの道のり。
すれ違う人たちが、みんな
同じ未来を願う「同志」に見える。
記載台の前に立つ。
使い込まれた鉛筆を握る指先に、力がこもる。
この数センチの枠の中に、
僕たちの30年分の生活を。
隠し続けてきた愛を。
この国に生まれてくる子どもたちの未来を。
すべてを込めて、その名前を刻んだ。
投票箱に吸い込まれる、
「コトリ」という小さな音。
それは、時代が少しだけ動く音だ。
さあ、次は君の番だ。
同性婚のない日本の、糸がほどける金曜日。
世間はここを「欲望の場所」と呼ぶけれど。
僕たちには、ただの「避難所」だ。
洗面所で「先生」という鎧を洗い流し、
彼が待つベッドへ戻る。
プシュッ。
缶ビールが開く、小気味いい音。
「お疲れ」
「ん、お疲れ」
情熱的なハグも甘い言葉もない。
あるのは安売りのビールと、
30年分の枯れた安心感だけ。
分厚い壁は、選挙カーの絶叫も通さない。
今日はもう戦わない。
難しいことも考えない。
この温もりを信じて泥のように眠る。
英気を養おう。
この「密室の幸せ」を、
日曜日に「権利」へと変えるために。
同性婚のない日本の、糸がほどける金曜日。
世間はここを「欲望の場所」と呼ぶけれど。
僕たちには、ただの「避難所」だ。
洗面所で「先生」という鎧を洗い流し、
彼が待つベッドへ戻る。
プシュッ。
缶ビールが開く、小気味いい音。
「お疲れ」
「ん、お疲れ」
情熱的なハグも甘い言葉もない。
あるのは安売りのビールと、
30年分の枯れた安心感だけ。
分厚い壁は、選挙カーの絶叫も通さない。
今日はもう戦わない。
難しいことも考えない。
この温もりを信じて泥のように眠る。
英気を養おう。
この「密室の幸せ」を、
日曜日に「権利」へと変えるために。
2月5日。
教科書に出てくる「Family」。
父がいて、母がいる。
それが唯一の「正解」として描かれる。
35人の生徒たち。統計上、この中には
3人の「僕と同じ」子がいる計算だ。
今はまだ、自分が何者か知らず笑っている。
でも今のままなら、彼らはいつか
「自分は間違いだ」と、一人で抱え込むことになる。
そんな未来を、手渡したくない。
投票に行く理由は、もう自分のためだけじゃない。
教え子たちが大人になった時、
「誰を好きでも、この国は君を守ってくれるよ」と、
嘘をつかずに胸を張って言いたい。
あと3日。
その一票は、子供たちへの「愛」だ。
2月5日。
教科書に出てくる「Family」。
父がいて、母がいる。
それが唯一の「正解」として描かれる。
35人の生徒たち。統計上、この中には
3人の「僕と同じ」子がいる計算だ。
今はまだ、自分が何者か知らず笑っている。
でも今のままなら、彼らはいつか
「自分は間違いだ」と、一人で抱え込むことになる。
そんな未来を、手渡したくない。
投票に行く理由は、もう自分のためだけじゃない。
教え子たちが大人になった時、
「誰を好きでも、この国は君を守ってくれるよ」と、
嘘をつかずに胸を張って言いたい。
あと3日。
その一票は、子供たちへの「愛」だ。
職場では「普通」の顔で働き、
ランチでは他愛なく笑う。
隣で笑う同僚は、僕たちが
この国の景色をひっくり返そうとしているなんて
夢にも思わない。
それでいい。最大の武器は「見えなさ」だ。
相手が「どうせ変わらない」と油断している隙に、
水面下では、もう動き始めている。
会社、学校、役所、病院、家庭。
LGBTQ+1000万人と静かなるアライが、
社会のあらゆる場所にいる。
僕たちは、点じゃない。
面で戦う準備はできている。
あと4日。
誰にも気づかれないまま、
オセロの角を取りに行く。
準備はいいか、みんな。
僕たちの番だ。
職場では「普通」の顔で働き、
ランチでは他愛なく笑う。
隣で笑う同僚は、僕たちが
この国の景色をひっくり返そうとしているなんて
夢にも思わない。
それでいい。最大の武器は「見えなさ」だ。
相手が「どうせ変わらない」と油断している隙に、
水面下では、もう動き始めている。
会社、学校、役所、病院、家庭。
LGBTQ+1000万人と静かなるアライが、
社会のあらゆる場所にいる。
僕たちは、点じゃない。
面で戦う準備はできている。
あと4日。
誰にも気づかれないまま、
オセロの角を取りに行く。
準備はいいか、みんな。
僕たちの番だ。
2月3日。
昨夜、選挙の喧騒から少し離れた。
その静寂が「なぜ戦うのか」を
痛いほど鮮明にしてくれた。
高尚な理屈じゃない。
ただ、隣にいる人との「おはよう」を
死ぬまで守り抜きたいだけ。
玄関を出れば、
僕はまた「独身の中年教師」の仮面を被る。
でも、心の中までは誰にも支配させない。
守りたい日常があるから、僕は強くなれる。
この仮面を、いつか笑って外すために。
「行ってきます」
あと5日。さあ、後半戦だ。
2月3日。
昨夜、選挙の喧騒から少し離れた。
その静寂が「なぜ戦うのか」を
痛いほど鮮明にしてくれた。
高尚な理屈じゃない。
ただ、隣にいる人との「おはよう」を
死ぬまで守り抜きたいだけ。
玄関を出れば、
僕はまた「独身の中年教師」の仮面を被る。
でも、心の中までは誰にも支配させない。
守りたい日常があるから、僕は強くなれる。
この仮面を、いつか笑って外すために。
「行ってきます」
あと5日。さあ、後半戦だ。
2月2日。絶望はまだ早い。
画像左は現在の予測、右は「動いた未来」。
LGBTQ+当事者は全国1000万人。
1選挙区に平均3.5万人もいる。
数千票差の激戦区で、この数は圧倒的だ。
僕らの8割が投票に行き、
その6割が婚姻平等を掲げる
「政党」を選ぶだけでいい。
国の色はオセロのように
一夜にしてひっくり返る。
僕たちは"声なき少数派"なんかじゃない。
この国の舵を取る
「キャスティング・ボート」だ。
数字は嘘をつかない。
2月8日、勝ちに行こう!
※画像は公表データ等を用いた独自分析に基づくシミュレーションのイメージです。
2月2日。絶望はまだ早い。
画像左は現在の予測、右は「動いた未来」。
LGBTQ+当事者は全国1000万人。
1選挙区に平均3.5万人もいる。
数千票差の激戦区で、この数は圧倒的だ。
僕らの8割が投票に行き、
その6割が婚姻平等を掲げる
「政党」を選ぶだけでいい。
国の色はオセロのように
一夜にしてひっくり返る。
僕たちは"声なき少数派"なんかじゃない。
この国の舵を取る
「キャスティング・ボート」だ。
数字は嘘をつかない。
2月8日、勝ちに行こう!
※画像は公表データ等を用いた独自分析に基づくシミュレーションのイメージです。
テレビをつけた。
「自民党、単独過半数に迫る勢い」
若年層の投票先でも首位。
目眩がした。
君たちの9割は、同性婚に賛成してくれている。
なのに投票先は、頑なに反対を貫く政党。
心では味方なのに、
一票で、僕たちを追い詰める。
君が買った「経済」や「安定」には、
もれなく「差別」がセットでついてくる。
責めたいんじゃない。ただ、悲しいんだ。
9割の良心が、死に票になっていく。
君たちにしか、この壁は壊せない。
2月8日。
30年待った僕らのためにも、
君の願いと投票先を、一致させてくれないか。
僕たちは、ここにいる。
なかったことに、しないでくれ。
テレビをつけた。
「自民党、単独過半数に迫る勢い」
若年層の投票先でも首位。
目眩がした。
君たちの9割は、同性婚に賛成してくれている。
なのに投票先は、頑なに反対を貫く政党。
心では味方なのに、
一票で、僕たちを追い詰める。
君が買った「経済」や「安定」には、
もれなく「差別」がセットでついてくる。
責めたいんじゃない。ただ、悲しいんだ。
9割の良心が、死に票になっていく。
君たちにしか、この壁は壊せない。
2月8日。
30年待った僕らのためにも、
君の願いと投票先を、一致させてくれないか。
僕たちは、ここにいる。
なかったことに、しないでくれ。
「先生、さようなら!」
生徒の声が背中に刺さる。
今週も「独身」を完璧に演じきった。
「嘘をつくな」と説教した口で、
職員室では笑顔で嘘をつく。
自分が、教室で一番の嘘つきだ。
この国がそうさせているのか。
僕が弱くて、逃げているのか。
答えは出ないまま、校門を出る。
教え子の中にいるかもしれない
「次の僕」には、
この嘘を引き継がせたくない。
彼らが大人になる頃には、
「好き」を隠さなくていい社会にしたい。
投票所入場券がポストに届いていた。
これは、ただの紙切れじゃない。
嘘つきな先生が、
正直な自分に戻るための「切符」だ。
「先生、さようなら!」
生徒の声が背中に刺さる。
今週も「独身」を完璧に演じきった。
「嘘をつくな」と説教した口で、
職員室では笑顔で嘘をつく。
自分が、教室で一番の嘘つきだ。
この国がそうさせているのか。
僕が弱くて、逃げているのか。
答えは出ないまま、校門を出る。
教え子の中にいるかもしれない
「次の僕」には、
この嘘を引き継がせたくない。
彼らが大人になる頃には、
「好き」を隠さなくていい社会にしたい。
投票所入場券がポストに届いていた。
これは、ただの紙切れじゃない。
嘘つきな先生が、
正直な自分に戻るための「切符」だ。
風呂上がり、彼の髪を乾かす。
「また白髪、増えたな」
「お互い様な」
笑い合って、怖くなる。
30年。僕たちは確実に、老いている。
「慎重な議論」という名の足踏みの間に、
僕たちの時間は待たない。
いつか、どちらかが倒れた時。
手術の同意書にサインができず、
「他人」として病室を追い出される。
贅沢なんて言わない。
ただ、この人が目を閉じる瞬間、
法的な「家族」として手を握っていたい。
それだけのことが、
ここでは命がけの願いだ。
ドライヤーの音が止む。
静寂が、少しだけ焦げ臭い。
どうか、間に合ってくれ。
風呂上がり、彼の髪を乾かす。
「また白髪、増えたな」
「お互い様な」
笑い合って、怖くなる。
30年。僕たちは確実に、老いている。
「慎重な議論」という名の足踏みの間に、
僕たちの時間は待たない。
いつか、どちらかが倒れた時。
手術の同意書にサインができず、
「他人」として病室を追い出される。
贅沢なんて言わない。
ただ、この人が目を閉じる瞬間、
法的な「家族」として手を握っていたい。
それだけのことが、
ここでは命がけの願いだ。
ドライヤーの音が止む。
静寂が、少しだけ焦げ臭い。
どうか、間に合ってくれ。
きれいごとは終わりだ。
「自由民主党」「参政党」「日本保守党」
彼らに投票すること。
それは、政治的スタンスの話じゃない。
「あいつらは家族にならなくていい」
「あいつらは二流市民でいい」
その差別に、加担することだ。
株価のために、命を踏み潰すのか。
弱者を見捨てる党が、あなただけは守ると思うか。
いつかあなたも切り捨てられる。
人間扱いしない彼らに、権力を渡すな。
その一票は、権利ではない。
喉元に向けられた「凶器」だ。
誰に入れるか迷っても、
「誰に刃物を持たせてはいけないか」
それだけは間違えないでくれ。
僕たちを殺す共犯者に、なるな。
きれいごとは終わりだ。
「自由民主党」「参政党」「日本保守党」
彼らに投票すること。
それは、政治的スタンスの話じゃない。
「あいつらは家族にならなくていい」
「あいつらは二流市民でいい」
その差別に、加担することだ。
株価のために、命を踏み潰すのか。
弱者を見捨てる党が、あなただけは守ると思うか。
いつかあなたも切り捨てられる。
人間扱いしない彼らに、権力を渡すな。
その一票は、権利ではない。
喉元に向けられた「凶器」だ。
誰に入れるか迷っても、
「誰に刃物を持たせてはいけないか」
それだけは間違えないでくれ。
僕たちを殺す共犯者に、なるな。
1月27日、公示日。街は「お願い」の連呼。
「この国を守る」
「未来を創る」
スピーカーから威勢のいい言葉が響く。
でも、大音量の隙間にある
「都合の悪い沈黙」を、僕は知っている。
「同性婚を認めないのは違憲」
高裁からの真っ赤な宿題。
机に放置したまま、
彼らはまた「契約更新」を求めてくる。
今回の選挙は、
サボり続けた議員たちへの
「採点」の日だ。
僕の一票は、「お願い」への返事じゃない。
数十年待たされた僕の、静かな怒りだ。
2月8日。
この国の「規律」を、僕たちの手で取り戻す。
投票に行こう。宿題を、終わらせるために。
1月27日、公示日。街は「お願い」の連呼。
「この国を守る」
「未来を創る」
スピーカーから威勢のいい言葉が響く。
でも、大音量の隙間にある
「都合の悪い沈黙」を、僕は知っている。
「同性婚を認めないのは違憲」
高裁からの真っ赤な宿題。
机に放置したまま、
彼らはまた「契約更新」を求めてくる。
今回の選挙は、
サボり続けた議員たちへの
「採点」の日だ。
僕の一票は、「お願い」への返事じゃない。
数十年待たされた僕の、静かな怒りだ。
2月8日。
この国の「規律」を、僕たちの手で取り戻す。
投票に行こう。宿題を、終わらせるために。
通知が鳴り止まない。
「日本から出て行け」「反日」
怒号が画面を埋め尽くす。
スマホを裏返す。
リビングには、30年連れ添う彼。
「コーヒー、入ったよ」
画面の向こうで、僕たちは
「伝統を壊す脅威」らしい。
でも現実は、猫背でコーヒーを啜る、
ただの初老の二人暮らしだ。
この静寂の、一体どこが
国を滅ぼすというのか。
何千文字の罵倒より、
彼が淹れた一杯のコーヒーが、
僕には真実で、重い。
全てミュートして、朝食にしよう。
僕たちの日常は、指一本触れさせない。
通知が鳴り止まない。
「日本から出て行け」「反日」
怒号が画面を埋め尽くす。
スマホを裏返す。
リビングには、30年連れ添う彼。
「コーヒー、入ったよ」
画面の向こうで、僕たちは
「伝統を壊す脅威」らしい。
でも現実は、猫背でコーヒーを啜る、
ただの初老の二人暮らしだ。
この静寂の、一体どこが
国を滅ぼすというのか。
何千文字の罵倒より、
彼が淹れた一杯のコーヒーが、
僕には真実で、重い。
全てミュートして、朝食にしよう。
僕たちの日常は、指一本触れさせない。
日本の「恥」を、
世界にばら撒くことにしました。
国内でいくら叫んでも、
政治家は耳を塞いだまま。
30年待っても、変わらない。
だから今日から、英語で発信する。
静かに拡散させていく。
"Japan is a beautiful country?
Maybe.
But it's the ONLY G7 nation
without same-sex marriage."
「外圧」でしか変われないなんて、
情けない国だと思う。
「売国奴」と呼ぶなら呼べばいい。
でも、僕にはもう時間がない。
世界中の目が、
この国の「遅れ」を笑うまで。
僕は書き続ける。
日本の「恥」を、
世界にばら撒くことにしました。
国内でいくら叫んでも、
政治家は耳を塞いだまま。
30年待っても、変わらない。
だから今日から、英語で発信する。
静かに拡散させていく。
"Japan is a beautiful country?
Maybe.
But it's the ONLY G7 nation
without same-sex marriage."
「外圧」でしか変われないなんて、
情けない国だと思う。
「売国奴」と呼ぶなら呼べばいい。
でも、僕にはもう時間がない。
世界中の目が、
この国の「遅れ」を笑うまで。
僕は書き続ける。
夕暮れの職員室。
「先生、週末はご予定で?」
同僚が聞く。
「いやあ、家で寝て曜日ですよ」
僕は慣れた笑顔で、嘘をつく。
本当は、30年連れ添う彼と
バルに行く約束があるのに。
隣では「嫁に怒られちゃってさ」と
同僚が幸せそうにこぼす。
その「愚痴」すら、僕には許されない特権だ。
ここでは僕は、
「仕事熱心な、独身の中年」。
家に帰れば、世界一の味方が待っているのに。
「透明人間」にされた彼。
愛しているのに、隠す。
幸せなのに、後ろめたい。
二重生活は、あと何年続くんだろう。
「うちの連れがさ」
いつか、雑談ができる金曜日が欲しい。
夕暮れの職員室。
「先生、週末はご予定で?」
同僚が聞く。
「いやあ、家で寝て曜日ですよ」
僕は慣れた笑顔で、嘘をつく。
本当は、30年連れ添う彼と
バルに行く約束があるのに。
隣では「嫁に怒られちゃってさ」と
同僚が幸せそうにこぼす。
その「愚痴」すら、僕には許されない特権だ。
ここでは僕は、
「仕事熱心な、独身の中年」。
家に帰れば、世界一の味方が待っているのに。
「透明人間」にされた彼。
愛しているのに、隠す。
幸せなのに、後ろめたい。
二重生活は、あと何年続くんだろう。
「うちの連れがさ」
いつか、雑談ができる金曜日が欲しい。
晴れ着の若者たちが眩しい。
「おめでとう」
心の中で呟いて、胸が痛む。
20歳になれば、
「国民年金」の納付書は正確に届く。
税金も、義務も、待ってはくれない。
国は、金を取る時だけは
君たちを「一人前の大人」として扱う。
なのに、愛する人と家族になる権利だけは
「認めない」と突き放す。
義務は、一人前。
権利は、半人前。
そんな歪な社会のまま、
君たちを大人にしてしまった。
大人の一人として、申し訳ない。
間に合わなくて、ごめん。
でも、約束する。
君たちが次の世代を祝う時こそ、
全ての愛が、等しく祝福される国にする。
僕は、まだ諦めない。
晴れ着の若者たちが眩しい。
「おめでとう」
心の中で呟いて、胸が痛む。
20歳になれば、
「国民年金」の納付書は正確に届く。
税金も、義務も、待ってはくれない。
国は、金を取る時だけは
君たちを「一人前の大人」として扱う。
なのに、愛する人と家族になる権利だけは
「認めない」と突き放す。
義務は、一人前。
権利は、半人前。
そんな歪な社会のまま、
君たちを大人にしてしまった。
大人の一人として、申し訳ない。
間に合わなくて、ごめん。
でも、約束する。
君たちが次の世代を祝う時こそ、
全ての愛が、等しく祝福される国にする。
僕は、まだ諦めない。
1月11日、日曜日。
ポストに届いた白い封筒。
教え子からの結婚式の招待状だ。
「先生、乾杯の挨拶を」
誇らしい。でも、胸が軋む。
僕には来ない日だから。
30年、僕は「おめでとう」を言う側だった。
何十回、拍手を送り、
幾らご祝儀を包んできただろう。
彼との愛は、誰にも劣らない。
なのにこの国では、僕たちは永遠に
「招待客(ゲスト)」のままだ。
主役の席で、フラワーシャワーを浴びる日は来ない。
ただ、誰かの幸せを見送るだけの人生。
いつか二人並んで、
「おかげさまで」と泣いて笑いたい。
一方通行だった「おめでとう」が、
僕たちに返ってくるその日まで。
1月11日、日曜日。
ポストに届いた白い封筒。
教え子からの結婚式の招待状だ。
「先生、乾杯の挨拶を」
誇らしい。でも、胸が軋む。
僕には来ない日だから。
30年、僕は「おめでとう」を言う側だった。
何十回、拍手を送り、
幾らご祝儀を包んできただろう。
彼との愛は、誰にも劣らない。
なのにこの国では、僕たちは永遠に
「招待客(ゲスト)」のままだ。
主役の席で、フラワーシャワーを浴びる日は来ない。
ただ、誰かの幸せを見送るだけの人生。
いつか二人並んで、
「おかげさまで」と泣いて笑いたい。
一方通行だった「おめでとう」が、
僕たちに返ってくるその日まで。
1月10日、土曜日。
「ペアローンでお願いします」
誇らしげにテーブルに置いたのは、
自治体のパートナーシップ宣誓書。
金色の枠、市長の印鑑。
だが、担当者は申し訳なさそうに首を振る。
「法的なご家族でないと、審査が…」
突きつけられた現実。
僕たちの宝物は、
ローン審査では「ただの記念品」だった。
僕たちが欲しいのは、
部屋に飾る美しい「賞状」じゃない。
この家で共に生きるための「権利」だ。
「理解」という名の綺麗ごとはいらない。
婚姻届一枚の、
法的効力が欲しい。
1月10日、土曜日。
「ペアローンでお願いします」
誇らしげにテーブルに置いたのは、
自治体のパートナーシップ宣誓書。
金色の枠、市長の印鑑。
だが、担当者は申し訳なさそうに首を振る。
「法的なご家族でないと、審査が…」
突きつけられた現実。
僕たちの宝物は、
ローン審査では「ただの記念品」だった。
僕たちが欲しいのは、
部屋に飾る美しい「賞状」じゃない。
この家で共に生きるための「権利」だ。
「理解」という名の綺麗ごとはいらない。
婚姻届一枚の、
法的効力が欲しい。