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ほぼ読書感想
マリオ・バルガス・リョサ『楽園への道』河出書房新社

妻子を、仕事を捨てタヒチに旅立ったものの、生前は売れなかった画家ゴーギャン。
その祖母で女性が労働力として頭数に入らない時代に、世の貧困を撲滅するため男女同権の労働組合を結成しようとしたバリバリの社会運動家フローレンス。
最先端を行き過ぎて社会と真正面から戦わざるを得なかった二人の奮闘ぶりを交互に描いた、読むのすっごく疲れる、でも止められない激しすぎる作品。

稀有な才能を発揮する人っていうのは得して当の本人も大変なんだなぁって思わざるを得ない。骨太な小説を読みたいときにお勧め。

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楽園への道 :マリオ・バルガス=リョサ,田村 さと子|河出書房新社
楽園への道 ゴーギャンとその祖母で革命家のフローラ・トリスタン。飽くことなく自由への道を求め続けた二人の反逆者の激動の生涯を、異なる時空を見事につなぎながら壮大な物語として描いたノーベル賞作家の代表作。
www.kawade.co.jp
December 12, 2025 at 12:15 PM
モーム『月と六ペンス』光文社

時は19世紀、英国にて金融会社に務め、妻子もちの平凡な男がいた。ところがある日、妻子を捨ててパリに、その数年後なんとタヒチにまで出奔してしまう。それはなぜか?
ひょんなことから男と知り合った語り手は男から理由を聞き出すことに成功する。男は画家になりたったのだ_。

天才画家を巡る小説ってイメージだったけど、読んでみると語り手こそが主役だった。
自分が絶対に到達出来ない「天才」への羨望と、でも自分の方が真っ当だしっていう卑屈さもあって。その塩梅がすごく上手い。平凡であるが故に魅力的な語り手の創出をやってのけたモーム凄い!

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月と六ペンス - 光文社古典新訳文庫
創造の悪魔に憑かれ、すべてを捨てた天才画家の数奇な生涯。作家の「私」が情熱の謎に迫る。
www.kotensinyaku.jp
December 12, 2025 at 12:02 PM
藤井恵『ちくわファンクラブ』誠文堂新光社

一冊丸ごとちくわを使った料理で構成されたレシピ本。だけれども、ちくわの種類、タの練り物との比較などちくわについての情報もたっぷり。
動物性タンパク質が豊富なちくわの持つポテンシャルを見逃すな!

表紙が反則的にいい。普段そんなに料理本て読まないんだけどもこれには負けた。ちくわファンクラブって響きが良いのよ。

磯辺揚げや、きゅうりとちくわっていう定番からヤンニョムチキン風から唐揚げ風までと「よくこんだけ考えるなぁ」っ感心半分、呆れ半分になるほどちくわ料理が繚乱してる。
作者のちくわ愛が伝わってくるね。

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ちくわファンクラブ | 株式会社誠文堂新光社
ちくわファンクラブへようこそ。昔からなじみがあり、とても身近にある食材ですが、こんなに便利な食材は他にありません。
www.seibundo-shinkosha.net
December 6, 2025 at 11:45 AM
角悠介『呪文の言語学』作品社

日本で悪いことが起きたら神社仏閣に行くように、呪文を唱える人達がいる国がある。東欧のルーマニアだ。日常生活にお呪いが溶け込んでいるこの国には今もってたくさんの魔女がいる。
 この本は著者が長らく滞在したルーマニアで出会った魔女たちが唱える呪文の秘密を言語学の視点から分析したもの。

呪文を通して知るルーマニアは、生活空間に幽霊や妖怪がいるって当たり前に受け止めて来た日本とちょっと似ている。格式張ってなくて、生活の知恵の結晶って雰囲気なんだよね。
 言語学的な分析も具体的で楽しい一冊。ルーマニア語勉強の息抜きにいいかも?

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呪文の言語学
ルーマニアの魔女に耳をすませて
www.sakuhinsha.com
December 5, 2025 at 11:18 AM
アマンダ・ゴーマン『わたしたちの担うもの』文藝春秋

バイデン大統領の就任式で登壇した詩人、アマンダ・ゴーマンの詩集。

圧倒的なリズム感とライブ感に酔う。
 ほぼ散文の様な詩から、俳句よりも短い詩、消去詩という意図的に言葉を省いた詩と、多種多様な詩でもってコロナ、温暖化、戦争などで乱れる現代の空気を真空パックして、自らの視点で語り直す様は詩人にして闘士のよう。
 身近な話題から一気に歴史の流れに身を任せて、現状を敷衍する視点の移動の巧みさよ。詩を読んでここまでビビッとする感覚に襲われたのは初めて。

見事な翻訳を手掛けた鴻巣友季子氏に感謝しかない。

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『わたしたちの担うもの』アマンダ・ゴーマン 鴻巣友季子 | 単行本 - 文藝春秋
若き桂冠詩人、初の詩集が待望の邦訳 3年前、大統領就任式で世界を驚かせた若き桂冠詩人。パンデミックと分断の日々を尖りまくった表現で描き出す、驚愕の作品集が登場。『わたしたちの担うもの』アマンダ・ゴーマン 鴻巣友季子
books.bunshun.jp
December 2, 2025 at 12:14 PM
チ・ヨンジュン『韓国インスタントラーメンの世界』原書房

日本で発祥したインスタントラーメンがどの様に韓国に根づき、現在に至る大規模な市場へと発展したのかを、豊富な図・資料を使って紹介した本。
歴史、主だった企業、世界情勢と包括的にまとめてあって、読んでて楽しいし、近所のスーパー行ってラーメンの棚を確認したくなる。空腹時読むに読むのは危険な一冊。

表紙を見た時「こんなん面白いに決まってるじゃん」と思ったけど、やっぱり超絶面白かった。特に各国の商品についての章では、例え即席麺であれどその土地の食文化が色濃く反映されてるのが分かって大変興味深かった。

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韓国インスタントラーメンの世界 - 原書房
www.harashobo.co.jp
November 30, 2025 at 3:39 AM
野田努『完全版 ブラック・マシン・ミュージック』河出書房新社

1970年代、電子楽器の登場と、経済格差が生んだ都市空間に萌芽した音楽は後にテクノと呼ばれ、今ではクラブで人々が踊り狂う定番のジャンルとして成長した。

ヨーロッパの音楽のイメージがあるテクノは実は米国、NY、デトロイトという二つの都市が育んだものだった。その共通点は黒人の人口が多いこと。
経済格差や、ぶり返す差別を二つの都市、特にデトロイトがどう過ごして来たのかを語ることで、テクノ音楽の精神と歴史を炙り出そうとする力作。

テクノに対してのイメージが激変したわ。背景を知るって大事。

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完全版 ブラック・マシン・ミュージック 下 :野田 努|河出書房新社
完全版 ブラック・マシン・ミュージック 下 ポスト・フォーディズム以降のブラック・ミュージック史。下巻はいよいよデトロイト・テクノの誕生へ。荒廃したモータウンに響く絶望と抵抗の音楽。未来を切り開くアフロフューチャリズムの世界。
www.kawade.co.jp
November 27, 2025 at 1:08 PM
これはズルくない?っていうくらいの可愛さ過剰なWicked本国のアピール動画。
シンシアとアリアナがJimmy Fallonの番組で元ネタを歌ってたけど、こう捻るとは。もう見事に釣られちゃう。
Young Elphaba, Glinda, and Nessarose Recreate This Iconic Song About WICKED! | WICKED: FOR GOOD
YouTube video by Universal Kids
youtu.be
November 27, 2025 at 12:08 AM
マキャヴェッリ 『君主論』光文社

15世紀、諸侯が林立し、ローマは教皇がいるイタリアの地でいかに権力を維持し、政体を統治するかを綴った実用書。これを読めばあなたも君主になれるかも。

初めてこの本を読み切れた。巻末にはマキャヴェリの生涯、本書の書かれた時代背景が完結にまとめてあり手堅い仕上がり。
自らの政治機構を維持するには聖人君子でいられたら大変結構。
 だけれども、現実はそうでない。理想と現実には常に差があり、妥当な落とし所をいかに見つけるかが大事なのだと説く、超地に足のついた権力保持の処世術。
 権力闘争の構図を見事に解説した本でもある。
 
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君主論 - 光文社
マキャヴェッリ 著
books.kobunsha.com
November 23, 2025 at 10:57 AM
山崎佳代子『ベオグラード日誌』筑摩書房

ベオグラード在住の詩人が綴った01〜12年までの日誌を書籍化したのもの。生活の中に常に戦争の気配が漂っていて、読みだすと止め時が分からず一気読みしてしまった。

ベオグラードという土地がトルコ、オーストリア・ハンガリー帝国、ナチス、ソ連圏の大国と地続きであり、列強たちの思惑に奔走されてきた歴史が淡々とした文章から透けて見える。
でもだからこそ、難民センターを訪ね、旧友を訪ね、詩を発表し、大学で授業をし、料理をする。自宅マンションのエレベーターで新たな隣人を作るという日々の営みが瑞々しくて、眩い。
いい本でした。

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『ベオグラード日誌 増補版』山崎 佳代子|筑摩書房
筑摩書房『ベオグラード日誌 増補版』の書誌情報
www.chikumashobo.co.jp
November 21, 2025 at 12:21 PM
メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』新潮社

若き天才ヴィクターは生命の神秘に取り憑かれ、研究に研究を重ねてとうとう神の御業に等しい偉業を成し遂げる。しかし、それは人が神を真似るという禁忌だった。
創られた怪物はヴィクターに責任を問うのだが_?

粗筋も知ってるし、映画も見てるしであまり内容的には驚くこともなかったんだけど読んでよかった。
怪物に語らせるという図式を採用することで、勧善懲悪の図を脱してることにまず脱帽。帝国主義に疑問を呈する登場人物もいるし、読んでてメアリー・シェリーって結構主流から距離を取った人だったのかなという印象を受けた。

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『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー、芹澤恵/訳 | 新潮社
若き科学者ヴィクター・フランケンシュタインは、生命の起源に迫る研究に打ち込んでいた。ある時、ついに彼は生命の創造という神をも恐れぬ行いに手を染める。だが、創り上げた“怪物”はあまりに恐ろしい容貌をしていた。故郷へ逃亡した
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November 20, 2025 at 12:09 PM
No Good Deedが映画本編より先にお披露目されてたー。
歌詞は一部抜粋だし、アレンジが本編とは全く違うのだけど伴奏が弦楽器だからかCynthiaの艶のある声とぴったり合っててつい何度も聴いてしまう。
特に1:24あたりでシームレスに音程を変えていくところなんて、もう圧巻で…人の声がここまで出来るのかぁって感動しちゃう。映像的にもライトが効果的に使われてて美しい。
Wicked: For Good | Cynthia Erivo x Misty Copeland - "No Good Deed"
YouTube video by Wicked: For Good
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November 17, 2025 at 11:47 AM
池澤夏樹『池澤夏樹の世界文学リミックス』河出書房新社

池澤夏樹が文学全集を編纂時、夕刊フジで連載していたタイアップ企画の書籍版。連想ゲームの要領で次々に面白い本を紹介してくれる、めくるめく本の万華鏡世界。
名前は知ってるけども、難しそうで手が出ないと思っていても、粗筋を紹介してもらえばそんな事ない、って出会いがそこかしこにある楽しい本。

15年に出た文庫を再読。当時、気になった作品に付箋をはっていたので再読すると自分の変化を実感する。何年かしたらまた再読したい。
思えば池澤夏樹を通して私はアンナ・ポリトコフスカヤや石牟礼道子を知ったんだった。

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池澤夏樹の世界文学リミックス
ケルアック『オン・ザ・ロード』から石牟礼道子『苦海浄土』まで、世界文学全集を個人編集した著者が、20世紀を中心に、いま読むべき世界の傑作を独自の視点で紹介する現代の世界文学入門。
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November 16, 2025 at 7:10 AM
A・ハミルトン、J・ジェイ、J・マディソン『ザ・フェデラリスト』岩波書店

連邦共和制というかつてない政治形態を採用した独立当時の米国。その運営を支える憲法はどの様な思想、状況の上で発布され、なぜ受容されるべきなのかを、当時の政治家たちが新聞に発表した論文をまとめた本。

ミュージカル及び原作の『ハミルトン』ロン・チャーナウ著で言及されてたので読んでみた。社説として発表されてるので、各テーマが具体的で案外読みやすい。
また各論の構造がしっかりしてるので、修辞的な観点からしても古典として扱われるに納得。
あと、人間に対して理想を抱いてないところが意外。

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ザ・フェデラリスト/A.ハミルトン, J.ジェイ, J.マディソン, 斎藤 眞, 中野 勝郎|岩波文庫 - 岩波書店
権力と自由との均衡をいかに確保するか. A.ハミルトン 著
www.iwanami.co.jp
November 10, 2025 at 7:26 AM
高柳聡子『ロシア 女たちの反体制運動』集英社

帝国時代に萌芽した革命からソ連、そして今まさにロシアで活躍する女性活動家たちを紹介した本。
時に捕まり、拷問され、重労働を課せられ、追放され、最悪殺されてしまうことも珍しくないのに、いつの時代の女性たちも声を上げてきた。
何かとプーチンとソ連の影に隠され、姿が見えないロシアという大地で権力に抗う人たちと激動の近代ロシアの歴史をまとめた意欲作。

読んでると詩人の数が多いのに驚く。リュミドラ・ウリツカヤもウラジミール・ソローキンも今は発禁だなんて。ロシア語系文学はいつも政治的権力と戦ってるんだなぁ。

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ロシア 女たちの反体制運動/高柳 聡子 | 集英社 ― SHUEISHA ―
ウクライナへの軍事侵攻開始後わずか25時間で結成された反戦運動の最大勢力「フェミニスト反戦レジスタンス」をはじめ、ロシアにおける女たちの反戦・反体制運動はさまざまな形で存在してきたが、日本ではあまり知られていない。帝政時代からロシア革命、スターリン時代の大テロル、ペレストロイカを経て現在のプーチン政権に至るまで、著名な作家・詩人・活動家・ジャーナリストから無名の市民まで、女たちはずっと声をあげて闘...
www.shueisha.co.jp
November 8, 2025 at 7:39 AM
ジェス・Q・スタント『ミセス・ワンのティーハウスと謎の死体』早川書房

サンフランシスコ、かつて中国茶の名手として名を馳せたヴェラのお店は閑古鳥が鳴いていた。老い先も短いし、そろそろ店仕舞いをと鬱々する日々の中、なんと店で死体を見つけてしまう。
突然の事件に「良き市民」としての矜持からヴェラは全力で警察に協力しようとするも、全く相手にされない。
ならいいさ、そんなら私が捜査しようじゃないかと勝手に捜査に乗り出すが?

お婆ちゃんが活躍する作品に外れなし、という偏見を裏付けてくれる最高の1冊。ジャナ・デリオンのワニ町シリーズ好きな人ならぜひ読むべし。

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ミセス・ワンのティーハウスと謎の死体: 書籍- 早川書房オフィシャルサイト|ミステリ・SF・海外文学・ノンフィクションの世界へ
早川書房オフィシャルサイトのミセス・ワンのティーハウスと謎の死体ページです。当サイトでは、ミステリ、SF、海外文学、ノンフィクションの名作から最新刊まで、幅広いジャンルを網羅した書籍の情報を提供しています。早川書房の世界を、こちらの公式サイトからご堪能ください。
www.hayakawa-online.co.jp
November 7, 2025 at 7:26 AM
ジューン・ハー『宮廷医女の推理譚』東京創元社

王家の診察を担うエリート医師ヒョンは、世話になった師が市街で起きた殺人事件の容疑者になっているのを知る。師の無実を信じるヒョンは彼女の無実を証明しようと動き出すが、それは権謀術数蠢く宮廷では危険過ぎることだった。
片時も油断できない宮廷と過酷な身分制度で運営される外の世界を行き来しつつ、ヒョンは事件の真相を掴めるのか?

今年読んだミステリで一番かも。18世紀の朝鮮王朝を舞台にしてるけど適度に注とふり仮名があるから読みやすいし、漢文を庶民が読めないって演出がにくい。
ジュブナイルものらしい王道展開も最高。

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宮廷医女の推理譚 - ジューン・ハー/安達眞弓 訳|東京創元社
宮廷医女の推理譚 1758年、朝鮮王朝期。18歳のベクヒョンは、王族の診察を担当する医女(イニョ)になった。ある夜、彼女が医術を学んだ恵民署(ヘミンソ)で4人の女性が殺害される。事件を捜査する捕盗庁(ポドチョン)の役人は、怪しい供述をしたベクヒョンの師を犯人と断定した。
www.tsogen.co.jp
November 5, 2025 at 4:49 AM
「ハミルトン」のサントラようやく全部聴いたわ。いや、すごかった。今まで接してきたミュージカルとは音楽的なアプローチがぜんぜん違う。
強烈なリズムに裏打ちされた主旋律を兼ねるラップが滅茶苦茶心地良くって初見でもノリノリで楽しめちゃう。ヒップホップって身構えちゃうけど、ラップが旋律を担っているし、当然ながら韻をこれでもかと踏みまくった歌詞が耳に心地良い。

キャラによってはジャズぽかったり、いかにもミュージカル仕立てな華やかさがあったりして飽きない、飽きない。すごくよかった。

にしても演者の皆さんよく舌噛まないよなぁと感心するほどの高速ラップにびびる。それでちゃんと文章に聞こえるから恐れ入る。
HAMILTON - Original Broadway Cast Album - YouTube
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November 4, 2025 at 11:47 AM
岩瀬達哉『裁判官も人である』講談社

三権分立の一角を担う司法のトップにして判断のプロ、裁判官。法曹界の神秘と権威のベールを纏う彼らも、一皮むけば思った以上にお役所仕事な側面が。
融通が利かない裁判官に、冤罪を作り出す仕組み、裁判員制度の実態とは何なのか。現代日本の司法を巡る問題を12章で裁判官の実態を伝える重量級ノンフィクション。

理想高くとも現実がイケてーのはこういうわけよ!とこれでもかとえげつない司法の実態を突きつけられて、読んでて胸が悪くなるどころか吐きそうになる1冊。
身近でない世界に肉薄させてくれる作者の力量に脱帽。いつか再読するぞ

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『裁判官も人である 良心と組織の狭間で』(岩瀬 達哉) 製品詳細 講談社
エリートが組織の「犬」になった瞬間! 最高裁に逆らったら法曹界追放、原発差し止めで出世は絶望、警察リークにのせられて冤罪……。正義の神でもなければ、AIでも六法全書でもない。隠されてきた「ナマ臭い」裁判官の素顔を暴き出す傑作ノンフィクション! 原発再稼働の可否を決め、死刑宣告をし、「一票の格差」について判断を下す――裁判官は、普通の人には想像できないほどの重責を負う。その重圧に苦悩する裁判官もいれ...
www.kodansha.co.jp
November 2, 2025 at 5:54 AM
池澤夏樹『憲法なんて知らないよ』集英社

現行の日本国憲法を作家・池澤夏樹が平易な文章に翻訳したもの。翻訳のあとに原本全文と英訳もついている。
あまりにサクッと読めてしまうことにびっくり。原文が30ページほどしかないなんて。
肩肘張らずに憲法に触れられる良書。

ロン・チャーナウの『ハミルトン』を読んでて、いかに国を運営する上で憲法が大事かっていうのを感じて、「はて、自分のとこはどうったかいな?」という殊勝な気持ちになって手に取った本。
戦争の報道や、数多の偏見に社会が偏向していく日々のやるせなさを一時忘れさせてくれる。たまにはこういう本もいい。

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憲法なんて知らないよ
「私たち日本人は、国を動かす基本の力は国民みなが持ち寄って生まれるものであることを、まず宣言する。」 憲法は国の土台だから、一度はぜんぶを読んでみたい。そのために、池澤夏樹は自分たちのふだんの言葉で日本国憲法を新しく翻訳した。判りやすくて読みやすいから、スイスイと読める。憲法には私たちの毎日の暮らしに関わる大切なことが書かれていることが理解できる。 今、憲法を論じよう!
impala.jp
October 31, 2025 at 12:10 PM
ロン・チャーナウ『ハミルトン』日経BP

独立革命を無事終え、大統領制が基盤に乗り出した米国。革命の熱から覚め、粛々と日々の営みを送る米国が直面したのは高貴な夢を語った英雄たちが、身も蓋もない中傷合戦に明け暮れることだった。華やかな活躍から一点、終わりなき政争に身を投じたハミルトンの生涯を巡る後編。

なんとか下巻も読み終えた。上巻よりもキツかった。新聞を使っての誹謗中傷合戦の凄まじさと、言った言わないを巡る泥沼の対立が延々と続く続く続く。
最期のイライザのエピローグで一定の清涼感は得られるけど、後半は人間社会に対する幻滅をしっかりと味わえる。いや力作

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ハミルトン アメリカ資本主義を創った男 下
bookplus.nikkei.com
October 30, 2025 at 5:23 AM
ロン・チャーナウ『ハミルトン』日経BP

米国建国の父の一人にして、初代財務長官にして株式市場の設立を担い、現代資本主義の基礎を一から創り上げた男、アレクサンダー・ハミルトン。その評価は当時から現代に至るまで定まらない。天賦の才を持った偉人だったのか、はたまた野心に燃えた実務家だったのか。

あのミュージカル『ハミルトン』の原作ということで読んでみた。
ハミルトンの生涯を通じて建国期の米国の歴史を語っているため、とにく情報量が多い!
でも語り口が平易なので時間さえかければ読み切れる様に書かれてるのが素晴らしい。大変だけども読む価値のある大著。

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ハミルトン アメリカ資本主義を創った男 上
bookplus.nikkei.com
October 26, 2025 at 6:06 AM
アガサ・クリスティー『ヘラクレスの冒険』早川書房

エルキュール・ポアロの連作集。いつもと違って殺人が全く絡まない謎ときが新鮮。
旅に出たり、新興宗教の闇を暴いたり、時には騎士道精神を発揮したり。古き良き騎士道精神を体現するかのようなポワロの活躍が読んでて実に楽しい1冊。

何年か前に読んだから再読なんだけど、やっぱりアガサ・クリスティーは面白い。色んなミステリを読めば読むほど、簡単な材料でも毎回面白い作品に料理できちゃうクリスティーの凄腕っぷりを痛感させられる。
さすがミステリの女王!

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ヘラクレスの冒険
引退をひかえていたエルキュール・ポアロだったが、 十二の難業 に挑むことになった。「ネメアのライオン」「レルネーのヒドラ」「ケルベロスの捕獲」など、ギリシャ神話がモチーフとなった十二の難事件に、灰色の…
www.hayakawa-online.co.jp
October 21, 2025 at 12:11 PM
『トロン アレス』観てきた。
かっ飛び過ぎず、でもきちんとアップデートすべき事はきちんとしてて素直に楽しめる作品だった。シンプルにエンタメとしての王道を狙った感じがする。

正直出来のいい映像だけをお目当てに観に行ったんだけど、普通にストーリーもよかった。この手の映画にしては珍しく機械と人間が仲いいのが興味深い。ドラえもん的ロボット観とでもいうかね。

あととにかく音楽が良いのでこれは映画館で見てるとつい首を振って乗ってしまう。やっぱ映画館だと重低音がよく聞こえるよね、最高っ。

戦闘シーンも市街を滑走するチェイスシーンも最高。目で見て耳で楽しめる王道エンタメでした。ああ、超満足。
Tron: Ares | Nine Inch Nails | “As Alive As You Need Me To Be”
YouTube video by Disney
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October 21, 2025 at 9:15 AM
有吉佐和子『女二人のニューギニア』河出書房新社

「いいとこだから、遊びに来なよ」の一言で、友人の住む異国の地へ旅立った、作家、有吉佐和子。
 海外旅行がまだまだ珍しかった60年代、出向いた先はニューギニア。想像を絶する密林に、熱さ、虫、何より強烈な文化の違いにひたすら驚愕する日々を綴ったエッセイ。

ぶっ飛んだ本だった。
 紀行なのに著者は専ら畑中氏の家で療養し、畑中氏は現地の人を従えて八面六臂と飛び回る日々。良くぞ帰ってこれたなぁという劇的な帰国まで、唯一無二の体験過ぎる。
 著者も、タフ過ぎる畑中幸子もどちらも凄い、としか言うしかない。
 
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女二人のニューギニア :有吉 佐和子|河出書房新社
女二人のニューギニア 文化人類学者で友人の畑中幸子が滞在する、数年前に発見されたシシミン族がクラスニューギニア奥地を訪ねた滞在記。想像を絶する出来事の連続と抱腹絶倒の二人の丁々発止。有吉ファン必読。
www.kawade.co.jp
October 15, 2025 at 12:13 PM