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20↑　何も分からぬ　読書とかゲームとかをやっている
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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。 付記に「飯豊邸にて、夜半の会話」、「ドロップアウト・ディスパイア自陣二次創作」と記載されています。 画像情報：generated by 文庫ページメーカー / Photo by Quin Stevenson on Unsplash / フォント：源暎こぶり明朝 以下は本文の内容です。 　静寂だった。恐ろしいほど、底の抜けた、体の芯までを冷やすような静寂だった。陽の落ちて暫く経った空には新月の跡がぽっかりと、穴の開いたように残っていた。月を失くしたそばで、三つに並んだ星やら、つづら折りに重なった星やら、あまたの星々がやかましく、笑うようにして光っていた。烏有は柘榴石のような瞳をきょろりと動かして、目線だけでその星々を見るが、自分の瞳と同じ色で輝くその星がなんというのか、さっぱり分からないと思った。鈍い痛みに意識を戻される。余所見をしていたかれをたしなめるように、節くれだったその指は、小さな金属の球をつまんでいた。濡れた銀色が鈍光を反射する。指の持ち主は烏有の上にまたがり、両足の膝で肩をベッドに押さえつけている。はたき落とされた腕が強く痺れていて、烏有の意思で動かすことが出来ない。体の芯がうずくような心地がして、思わず身じろぎをすると、わずかにシーツがずれて背中にざらざらとした安い感触を伝え、烏有の口から小さく息が漏れた。どうしてこんなことになっているのだか、烏有はこの部屋に、小刀を後ろ手に入ってきたはずだった。暗闇の中を音もなく、ベッドに横たわる男に襲い掛かって、最期の一言を確かめるつもりでいたのだ。烏有はベッドに手をつき、男の首に刃を突きつけた。 鈍く光る切っ先が首の皮膚を切り裂く数瞬先、その手がぴたりと止まった。と同時に、男の目がゆるりと開いた。男の瞳は光をまったく吸い込んでしまって、ぬらりともきらりともしない真っ黒だった。表情はまるで読めない。そもそも烏有の薄い虹彩では、暗闇よりも暗い瞳の動きをとらえることが出来なかった。そのせいで烏有は、この男がどういった感情を抱いているのか、今何を考えているのかといったことが、いつにもまして分からなくなっていた。は、と、息の音が響く。同時に、強い衝撃とともに烏有の体が回転していた。ひっくり返った視界には男の顔と天井と、窓の外の名も知らぬ星々とがあった。男の顔にはやはり影が差し、烏有はその表情をうかがい知ることは出来ない。 「杜撰だ」 男、飯豊がようやく口を開いた。声はほんの少し掠れていて、さきほど眠りから覚めたばかりなのだと分かる。飯豊は顔をやや横に傾けた。その拍子に、星明りが微かに彼の顔を浮かび上がらせる。あっさりと特徴のない造形に張り付いた表情はほとんど「無」と言って差し支えなかった。無表情のまま、球をつまんだ指を引っ張る。球は烏有の舌を縦に貫く金属棒の、上下に一つずつ付いている。舌 が突っ張ってずきりと痛み、烏有はあ、ともえ、ともつかない音を漏らした。 「近づいてから襲い掛かるまでが遅い。そもそもの踏み込みも甘い。殺気に慣れている人間は特に、さっさと動きを封じないといけないのに」 飯豊は続けて言った。右手は舌に刺さったピアスをつかみ、左手は顎と頬を覆うようにして親指だけが口角にかかって、内頬の粘膜を手遊びに撫でている。 「杜撰な犯行だ。まるで殺意なんてないような、子供のいたずらのようなね。どういうこと？流石に意図が分からない」 飯豊の指が球から離れた。頬に添えた手はそのままに、じっと烏有の目を覗き込んでいる。烏有は数回咳込んで、乾いた舌を上あごに押し付けてなんとか湿らせようとした。 「アンタが最期なんて言うのか気になって。だから目覚ましてくれてよかった。今、何考えてる？」 引っ付いて閉じた喉をこじ開けながら、烏有が答える。飯豊は表情を変えない。 「恩知らずだなと思ってる。それに阿呆だなと。今のきみがぼくに敵わないことなんて分かりきってるでしょ。もし激情に圧されたわけでも、死にたがりなわけ でもないなら悪手すぎる」 「つまり？」 「失望というのかな、これは」 「……〝恩知らず〟か。今日までオレに一回も刺されずに生きてこられたんだから、そっちこそ感謝しなよ」 「ぼくが守ってやらなきゃ死んでた癖に」 「それに、失望ってことは失う望みがあったってことだ。オレに何を望んでいたわけ？」 手足の自由は一切利かないが、烏有の口は平素の通りよく回った。ともすれば、飯豊がかれと出会ってから最も饒舌な夜であったかもしれない。 「忘れていないか？その綺麗なお顔に体温があるのも、ぼくがきみを見逃しているからだ。きみが面白い人間だと思ったから。なにか学びになるかもしれないとね。もしかしたらそれは期待外れだったのかもしれない」 「ふうん。じゃ、もう面白くなくなったんだ。残念」 「本当にそれだけの理由でぼくの部屋に押し入ったのか？至急の用事がない限り
October 14, 2025 at 12:41 PM
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降り立った☁️✨🕺✨☁️
February 7, 2024 at 2:26 PM