アイコン→ あめすけさん [@amske.bsky.social]
それを見た私は、
悲しむより先に。
怒りより先に。
虚しさより先に。
好奇心が、湧いた。
それを見た私は、
悲しむより先に。
怒りより先に。
虚しさより先に。
好奇心が、湧いた。
悪夢という訳では無いのだが、良い夢とも言えなくて。
私達は接待をしている。
本の力で戦えているだけで、素人に過ぎない私が
半端な覚悟で人の命を奪っている。
ゲストは強くなく、かと言って弱くなく。
互角とも言える力量は、経験で徐々に差が出てくる。
「…っあ」
競り負けた。
重く鈍い音が脳天に響く。ぐわんぐわんと視界が眩む。世界が揺れる。
しっかり立つのもままならず、こんな好機をゲストが逃す筈も無く。
ガキン、と。
今度は派手な金属の音が鳴る。
武器と武器がぶつかる音。
誰のだろうかと見ようとして──辛うじて回復してきた視界に──血で汚れたチャコールグレーの髪が、
悪夢という訳では無いのだが、良い夢とも言えなくて。
私達は接待をしている。
本の力で戦えているだけで、素人に過ぎない私が
半端な覚悟で人の命を奪っている。
ゲストは強くなく、かと言って弱くなく。
互角とも言える力量は、経験で徐々に差が出てくる。
「…っあ」
競り負けた。
重く鈍い音が脳天に響く。ぐわんぐわんと視界が眩む。世界が揺れる。
しっかり立つのもままならず、こんな好機をゲストが逃す筈も無く。
ガキン、と。
今度は派手な金属の音が鳴る。
武器と武器がぶつかる音。
誰のだろうかと見ようとして──辛うじて回復してきた視界に──血で汚れたチャコールグレーの髪が、
さぁ、さて。何故己はこんな場所に居るのだろう。生憎見覚えは無く、こんな所に来たような記憶も無い。宿でゆっくりと睡眠を取っていた筈で。
「えっと…アラさん?」
名を、呼ばれた。よく聞く声だった。
くるりと振り返り、視線を落とせば想像した通りの人物が居た。
ロイヤルパープルの瞳はこちらの様子を伺うように見上げられている。
「大丈夫?ぼーっとしてそうだったけど」
「ん、いや…ちょっと周り見てたっつーか…」
「?」
「…?」
何かが、引っかかる。
さぁ、さて。何故己はこんな場所に居るのだろう。生憎見覚えは無く、こんな所に来たような記憶も無い。宿でゆっくりと睡眠を取っていた筈で。
「えっと…アラさん?」
名を、呼ばれた。よく聞く声だった。
くるりと振り返り、視線を落とせば想像した通りの人物が居た。
ロイヤルパープルの瞳はこちらの様子を伺うように見上げられている。
「大丈夫?ぼーっとしてそうだったけど」
「ん、いや…ちょっと周り見てたっつーか…」
「?」
「…?」
何かが、引っかかる。
「いやいや勤務中──」
ガバ、と焦りで上体と意識を起こす。
まだ終業のアナウンスは鳴ってない。それに派遣先の職場だ。勤務中に眠りこけるなど…普段の管理人であれば笑って弄られる程度だろうが、ここの管理人に見られればどう咎められるか分からない──それが正しいのだが──それ以前に。己は何をのんびり寝ていたのか。眠気まなこを強引に擦りながら周囲を見渡し。
「──あ?」
何とも気付くのが遅い事だ。
天井、壁、床。部屋そのものが異なっているにも関わらず。
「いやいや勤務中──」
ガバ、と焦りで上体と意識を起こす。
まだ終業のアナウンスは鳴ってない。それに派遣先の職場だ。勤務中に眠りこけるなど…普段の管理人であれば笑って弄られる程度だろうが、ここの管理人に見られればどう咎められるか分からない──それが正しいのだが──それ以前に。己は何をのんびり寝ていたのか。眠気まなこを強引に擦りながら周囲を見渡し。
「──あ?」
何とも気付くのが遅い事だ。
天井、壁、床。部屋そのものが異なっているにも関わらず。
「それはそうやで?」
「…」
「ア゛ー!ワイの日本酒!!!」
「それはそうやで?」
「…」
「ア゛ー!ワイの日本酒!!!」
「あ、あの、もう飲んでます。ビンセントさんが」
「いいだろ」
「酷いわ〜!?畏まった意味あらへんやん!」
「変な時だけ畏まるな💢」
「まぁそれもそうやな」
「納得するんですか…」
「集まって頂き感謝!てことで乾杯!」
「か、かんぱーい」
「フヒ…乾杯……」
「あービンス先輩はコレな」
「あん?」
「それ…ソフトドリンクじゃないですか…?ヒヒ…」
「ん、ビンセントさんってお酒飲めないんですか?」
「そりゃあビンス先輩未成年やろ〜?お酒はあかんで〜?w」
「💢」
「待ってそれ俺の一升瓶やって待ってごめんてごめんやって!」
「ヒヒ…」
「賑やか…」
「あ、あの、もう飲んでます。ビンセントさんが」
「いいだろ」
「酷いわ〜!?畏まった意味あらへんやん!」
「変な時だけ畏まるな💢」
「まぁそれもそうやな」
「納得するんですか…」
「集まって頂き感謝!てことで乾杯!」
「か、かんぱーい」
「フヒ…乾杯……」
「あービンス先輩はコレな」
「あん?」
「それ…ソフトドリンクじゃないですか…?ヒヒ…」
「ん、ビンセントさんってお酒飲めないんですか?」
「そりゃあビンス先輩未成年やろ〜?お酒はあかんで〜?w」
「💢」
「待ってそれ俺の一升瓶やって待ってごめんてごめんやって!」
「ヒヒ…」
「賑やか…」
フィレンツェらの帰省にPT全員で向かい、泊まりがけで何日か過ごす。
いつからは分からないが、気が付いたら恒例行事みたいな、ちょっとした休暇じゃないが。自然とそうなっていた。
そんな羽を伸ばし終えた最終日。明日の昼には帰るだろうと…まだ寝る気のないアラはスケッチブックに筆を走らせていた。
コンコン、2度ノックが鳴る。
こんな時間に尋ねてくるとは何だろうか。
フィレンツェとセイは自分らの家で寝、他4人は隣にある来客用の洋館に泊まっている。
なので、扉の先に居るのもその誰かだと思ったのだ。
リオか、シャルロット。或いはまさかカティアか。
フィレンツェらの帰省にPT全員で向かい、泊まりがけで何日か過ごす。
いつからは分からないが、気が付いたら恒例行事みたいな、ちょっとした休暇じゃないが。自然とそうなっていた。
そんな羽を伸ばし終えた最終日。明日の昼には帰るだろうと…まだ寝る気のないアラはスケッチブックに筆を走らせていた。
コンコン、2度ノックが鳴る。
こんな時間に尋ねてくるとは何だろうか。
フィレンツェとセイは自分らの家で寝、他4人は隣にある来客用の洋館に泊まっている。
なので、扉の先に居るのもその誰かだと思ったのだ。
リオか、シャルロット。或いはまさかカティアか。
開口一番にそう述べる彼女──テンテンはいつもと変わらぬ様子で淡々としている。
その言葉を聞いた2人は顎に手を当て、首を傾げ、考え始める。何か思い当たる事はあっただろうかと。
無かったとしても管理人の指示か何かか、いや、仕事場では無く寮の談話室で集められたのならその線は薄いか。プライベートにまで関わってこられると厄介だ…と、分からぬ答えを探す思考は徐々に脱線していく。
「帰っていいですかぁ?」
律儀に手を挙げながらも酷く投げやりに問いかけをする
「いいですよ」
「いや良いのかよ」
開口一番にそう述べる彼女──テンテンはいつもと変わらぬ様子で淡々としている。
その言葉を聞いた2人は顎に手を当て、首を傾げ、考え始める。何か思い当たる事はあっただろうかと。
無かったとしても管理人の指示か何かか、いや、仕事場では無く寮の談話室で集められたのならその線は薄いか。プライベートにまで関わってこられると厄介だ…と、分からぬ答えを探す思考は徐々に脱線していく。
「帰っていいですかぁ?」
律儀に手を挙げながらも酷く投げやりに問いかけをする
「いいですよ」
「いや良いのかよ」