🏕️🐰🐯🌌

弾む声音に振り返る。撮影の合間のお喋り。無口だと思っていたヴォーカルはベースと話す時だけ子供のように笑顔を輝かせている。年の差もあって甘えやすいのだろう。そう思ったのに。ベースの肩にアイビーの葉が落ちた。気付いたヴォーカルが手を伸ばし取り払う。その様子で気付いてしまった。ありがと、と赤い顔を俯けて言う彼を見る、天使のように美しい男のあの表情と言ったら！砂糖を煮詰めたような甘い瞳が真っ直ぐに年上の男を見つめる。ベースもベースだ。熱っぽいその瞳に見つめられて、思わずだろう。かぶっていた帽子で顔を隠すと、ヴォーカルの襟を掴んで引き寄せた。白黒のハンチングの向こう側で起こったことは、現場だけの秘密だ。