繻 鳳花@shuhohka
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Studying to medieval cooking,nature,flowers and more. 中世ヨーロッパのお料理中心の民俗文化をお勉強&実践。ヒストリカル(歴史再現)企画・コストマリー事務局の人だったり中世料理のレシピ集出したり監修したり。主に中世ヨーロッパの食文化・中世料理・民俗文化ネタなどをほぼ毎日投稿しています(繁忙期は週2-3投稿)。主催催事以外の情報リポストは行いません。心穏やかにご覧頂ければ幸いです。 公式HP→ https://costmary.me
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【新刊のご案内】
「中世ヨーロッパのキッチン」に関する実践系解説を記した商業本を9月に新紀元社様より刊行する運びとなりました。

中世当時の料理人たちの仕事はどのようなものだったのかを簡単に解説しつつ、実際に自宅のキッチンで中世料理を作る際に必要なキッチンツールなどもご紹介しています。
また、あらたに試作検証をした中世欧州料理レシピ30品超をあらたに収録しました。当時の料理指南書に記載されている豪華な料理の他、あまり触れられない療養や祝祭のレシピもあります。

現在ご予約を全国の書店やAmazon等ネット書店にて承り中です。ご興味がありましたらぜひに(画像内ALTにリンク先を付記しています)。
Amazon予約サイト:https://amzn.asia/d/9GGay8R
新紀元社HP内サイト:http://www.shinkigensha.co.jp/book/978-4-7753-2232-1/
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読み物コラム・noteを更新しました。
今回は15世紀以降ドイツ方面の「牛肉のパイ」を紹介しています。
野菜が入っていない、肉とスパイス・調味料だけの構成となっています。

現代から見ると少し栄養が偏っているのでは…という懸念がありますが、今も昔も肉は力の源でもありましたので、こういった肉特化の料理も当時多数あったことには一定の理解が必要かなと思います。ご興味ありましたらぜひ。
【中世欧州料理試作】(25)牛肉のパイ|繻 鳳花
このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。 全部実試作つき&単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「?!!?(なんともいえない味)」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。 ※試作検証シリーズはマガジンでおまとめしていますのでこちらもご興味ありましたら合わせてどうぞ。最新記事から6か...
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中世ヨーロッパの料理指南集でよく記録される食材が「りんご・ナッツ・はちみつ・ショウガ」。いずれも風邪のひき始めや栄養不足時にもってこいのものばかりですが、特に14世紀末頃にはたくさん消費していたようです。

当時は流行り病(ペストなど)が多く蔓延していた時期。そのためこういった食材をふんだんに使い、医者に頼らず自衛していた人が多かったのかなと考えています。

毎年クリスマスの時期になると「ジンジャーブレッド」というお菓子が欧州のクリスマスマーケットに出回ります。中世ヨーロッパにも元となるレシピがあり、ハチミツとショウガを多量に使っていました。今でもその名残が受け継がれています。
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イナゴマメ(キャロブ)は旧約聖書にも記録されているマメ科の植物で、温暖な地域で収穫できます。
鞘を煎って粉末にした「キャロブパウダー」はココアの味に似ているため、カカオの代用として近年注目されている食材のひとつ。中世アラブ方面では塩辛い主要調味料「ムリ」の材料などに用いられていたとされます。

中世アラブと同時期のヨーロッパの食文化は料理の見た目が違えど、当時のアラブ方面の影響は少なからず受けていると個人的に考えています。
香辛料や乾燥果物などに関しては、ヨーロッパに伝来しなければ今でも見ることができない料理がたくさんあったかもしれません。

異国間の食材は見えない糸で繋がっているものです。
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中世ヨーロッパで一大イベント(のようなもの)、クリスマス期間が今年も迫ってまいりました。
イギリスのクリスマススイーツ「ミンスパイ」を毎年焼いているのですが、自分が作るのは豚のひき肉と脂を加える中世ヨーロッパ版。10月から仕込みを始めないと間に合わないので、そろそろ準備を始めます。蜂蜜酒とラム酒に漬けた具材がとても美味なんです。

当時は冬が到来する前に食糧を備えるべく、豚に木の実を沢山食べさせて多めに肉を確保していました。
現在のミンスパイはレーズンやドライフルーツなどを入れた甘いパイが主流ですが、昔もりんごなどを入れていたので豚肉を入れても甘く感じます。準備は大変ですが楽しい作業です。
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毎年11月頃に東京・中野で「羊フェスタ」というグルメイベントが行われます。ここ最近認知度が広がってきた羊肉のPR促進のために行われており、終日大盛況となっております。

羊フェスタにはイギリス・ウェールズ政府が毎回出店しているのですが、羊肉とリーキ(西洋ポロネギ)が入ったウェールズ伝統のカウルスープを提供されています。
このカウルスープですが、中世ヨーロッパ系スープのレシピにかなり近い食材で構成されており、付け合わせのパンと一緒に頂くと大変美味しい逸品です。

羊肉の脂は身体の芯から温まるとされ、こういったスープに入れるのにはもっていこいです。見つけられましたらぜひ召し上がってみて下さい。
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#文学フリマ福岡 3年ぶりの出店参加でしたが多くの方にお立ち寄り頂きました。秋とは思えない蒸し暑さでしたが、お時間を割いてお越し頂けましたこと、感謝申し上げます。

他開催回に比べてご家族やご友人同士、近くの学生の方の来場が多く、時間をかけてしっかり立ち読み頂ける方が多く嬉しかったです。またお優しい言葉やご感想もかけて頂き、出店してよかったと改めて感じております。

文化研究系なのでどうしても資料本に特化してしまうのですが、何かの参考になって頂ければ本望です。本当にありがとうございました。
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今年のハロウィーンは上弦の月の頃。1年の中で多くの御霊が現世と行き交う時期となるため、いつもより十分な光の備えが必要になります。

ハロウィーンははるか古の時代から代々守られた姿を現代にも色濃く残す、数少ない祝祭のひとつ。当日は夜から翌朝まで、火を絶やさず過ごす「御霊の儀式」を行います。

最近はハロウィーン発祥の地とされるアイルランドの文化機関などから「本来のハロウィーンはこうだよ!」というSNS投稿が多くなり、少しずつですが本来の祝祭の意味や儀式の内容が認知され始めたような気がします。

古の人々が大事に祝していた祝祭の数々。そんな歴史も知識のひとつとして頭の片隅に入れられたらと思います。
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以前参加した即売イベントで、ご来場頂いた方から「計量方法がまともにない時代って、料理人の腕がすごく大事なんですネ」というご意見を頂いたことがあります。
まさにその通りで、『主が好む料理の味は仕える料理人のみぞ知る』。昔は上流階級ほど信頼関係が強くないと成り立たない職業のひとつが料理人だったのかなと考えています。

現在はきちんとした料理レシピが沢山あり、書いてある通りに計量すれば失敗が少なくほどよい味にできますが、分量明記がなかった中世ヨーロッパなどはまさに料理人の腕次第でした。
それこそ、自身の主が招き入れる客人に供する料理に関わる時はかなり神経を使ってたんじゃないかと思います。
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朝晩がヒンヤリ感じる秋の始まり。
長袖の出番が少しずつ多くなるこの時期になると、動物の毛から糸を紡ぐ糸紡ぎの準備を行います。

独楽のような「スピンドル」という道具を用いる糸紡ぎは、中世ヨーロッパでも盛んにおこなわれていた大事な作業。ある地方の糸紡ぎ職人の方にご指南頂き、毎年秋から早春にかけて、時間があれば紡いでいます。

使う毛は、アルパカ・羊など。
特にアルパカは柔らかい触感でかつ、暖かい素材です。

中世ヨーロッパの婦人方はきっと歌いながら紡いでいたでしょうが、同じことはできないので外から聞こえてくる自然音を昔の歌代わりに。
心を無にして、何時間でもできる大好きな作業です。
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「ヤドヴィガ」というポーランド産の蜂蜜酒(ミード)があります。
14世紀頃に実在したポーランド女王・ヤドヴィガからつけられた名前とされ、高い学力をもつ才女として慕われていましたが、若くして帰天。多くの王妃や女王たちの守護聖人でもあります。

濃度が高いミードは単純に飲むだけではなく、スイーツなどに使うこともできます。バニラアイスにかけても美味しいですし、和菓子にもマッチします。

凍てつく冬の時期は、ごく弱火で温めた後にシナモンやクローブなどの「温のスパイス」をほんの少しだけ入れて飲むと身体がとても温まります。
ただしアルコール度数はそれなりに高いので、お酒が弱い方はご注意を。
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早いもので、明日から10月に入ります。
朝晩が涼しくなってきた頃を目途に、手作りの蜜蝋キャンドルを作る準備を始めます。昨年使った蜜蝋の残りを溶かし、あらたな灯を点けられるようにするためです。

蜜蝋キャンドルの製作作業自体はとても地味で時間がかかるのですが、出来上がったキャンドルの灯りは見ているだけで心が癒される、あたたかい色をしています。

余った蝋は、溶かせば再び使えるもの。中世ヨーロッパの人々も、こうやって無駄なく大事に使い続けていたのかなと思います。
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《催事出店のご案内》
10/5(日)開催予定「文学フリマ福岡」に出店参加します。
既刊同人誌の他、新作「中世ヨーロッパのキッチン(新紀元社)」をはじめとした商業本もあわせて取り扱います。

◆ブース番号:L31~32「コストマリー事務局」
◆開催時間:11:00~16:00 ※閉場までおります
◆文学フリマ福岡公式サイト bunfree.net/event/fukuok...
◆WEBカタログ c.bunfree.net/c/fukuoka11/...

福岡開催は3年ぶりの参加となります。
お近くの方はぜひ足をお運び頂けますと幸いです。
#文学フリマ福岡
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本日9/29は聖ミカエル祭。
この日を境に本格的な秋が到来すると昔からいわれています。最近は猛暑の影響もあってあまり通用しませんが…。

今年は森の果実のひとつであるブラックベリーを使った「ミカエスマス・パイ」を小さなタルトタイプで作ってみました。

古来からの作り方にならい、ラードとバターを使った中世寄りタルト生地を伸ばし、ブラックベリーとりんごを砂糖と少量のスパイスで煮詰めたフィリングを入れて焼いています。ほどよいベリーの酸味とわずかに感じるスパイスの味がとてもよく合います。

また、この日の夜明け前に魔除けのハーブも摘み取りました。外で乾燥させ、玄関先の魔除けスワッグにします。
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【自前通販・送料無料キャンペーンのご案内】

コストマリー事務局自前通販サイト「Moyan Petot」では、日頃のご愛顧に感謝し9/30(火)まで既刊同人誌をすべて送料無料とさせて頂いております。
通販サイトの各作品ページにサンプル画像もアップしておりますので、ご興味ある作品がありましたらぜひこの機会にご利用下さい。

🛒Moyan Petot(コストマリー事務局通販サイト)
costmarymoyan.shop
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秋が少しずつ深まっていくと自然と見かける機会が多くなる、さまざまな樹木の紅葉の風景。その葉で染め上げる布の美しさは、際立って特別なオーラを纏っているように見えます。
自然の力でしか出すことができない「色」は、多くの技術が進化した現在でも、近づくことが難しいように感じます。

中世ヨーロッパにおける布の色ですが、当時もけっこうカラフルなラインナップだったようです。植物の果実や葉・薬草・野菜などから染めたものもあれば、鉱物を原料にしたものもあるとか。
中でも、青や紫は「高貴な色」ということもあり、そう簡単に手に入れることは難しかったみたいです。
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ホロホロとした食感の焼き菓子、ポルボロン。古くは13世紀以前から代々口伝で伝わったとされる、南欧の修道院菓子です。

かつて飢饉に見舞われた時期に、修道院の収蔵庫にあった僅かな食材を用いたのが最初といわれています。アーモンド粉に粉砂糖、油脂(ラードまたはバター)、少量の塩を混ぜ合わせます。

自分が作る場合は、アーモンド粉と黄金色に炒めた小麦粉を半量ずつ入れています。現代版のレシピはアーモンド粉のみですが、おそらく昔は材料がすべて揃う保証はなかったので、余った小麦粉も無駄なく使ったのかなと考えています。

何処か懐かしい、優しく甘い味。
ぜひ多くの方に召し上がって頂きたい逸品です。
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ヨーロッパ各地に今でも残っている石造りの城や修道院。
この場にいられるだけで感無量なのですが、ふと撮った写真を見ているとおのずと「500年前、1000年前のこの場所は今と変わっていなかったのかな」と考えることがあります。
今は静かな時を刻んでいる平和な姿も、数百年前は激動の運命をたどっていたのかもしれません。

あるアニメに登場した天空の城を見て思うのは、「かつて人の手により作られた強固な要塞や城でも、いつか人が離れていくと自然に呑まれ、歴史から消える」という点。
廃墟というのは一見寂しげですが、数百年前はそこにしっかり人の足跡があったということを、なんとなく感じられたらと思います。
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まだ少し残暑が残る時期ですが、朝晩はヒンヤリする日が増えてきました。
秋の冷たい風を感じれば、りんごの芳醇な香り大変よい「ラムズ・ウール」の季節がやってきます。

アップルサイダーとりんごの果実を入れてとろ火であたため、最後にホイップと「温」の要素をもつスパイスをのせて頂く、中世ヨーロッパに元レシピがあったといわれる逸品です。ホイップでフタをしている状態になっているため、寒い時期でもアツアツな状態で頂くことができます。

使うりんごは紅玉などの、酸味が強く赤い色の品種をお勧めしています。コトコト煮込むには最適な種類。余裕があればぜひ使ってみて下さい。
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東京・羽田空港第一ターミナルにあったフードコートがリニューアルされ、イタリア・フィレンツェの有名ジェラート店「Badiani(バディアーニ)」が新規出店していたので伺いました。

店員さんに勧められたのが「ブォンタレンティ」というミルクテイストのジェラートだったのですが、説明を見てみると16世紀頃に誕生したレシピが元、とのことで大変興味をもちました。

後日簡単に調べてみたのですが、16世紀頃の芸術家・ベルナルド・ブオンタレンティが考案したとされ、のちに彼の活動を支援していたメディチ家の計らいで自国以外にもそれシピを伝授したとされます。とても濃厚かつシンプルな味でした。お立ち寄りの際はぜひに。
Badiani 羽田空港第1ターミナルビル店
営業時間:10:00~20:00
羽田空港第1ターミナルB1F「Sora chika」内(フードコート左側にあります)
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9/29は「聖ミカエル祭(Michaelmas)」。
神の右腕であり天使の長である大天使ミカエルを称える日であり、古来から季節の区切りの日とされました。

ミカエル祭には「ミカエルパイ」というスイーツを供する地域があります。この時期に最後の収穫となるブラックベリーをフィリングに入れ、「天使の指輪」を一緒に練りこんで焼きます。食べたときに指輪が出てきたら、その人に1年天使の加護が下りるとされています。

ブラックベリーをはじめとした森の果実はこの聖ミカエル祭以降、摘み取って食べることはできません。もし食してしまったら、悪魔の呪いが訪れるといわれたからです。
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インターネットで大体のことが調べられる現代では、古の人々が頑なに守ってきた神や精霊にまつわる儀式なども気軽に調べることができます。
ただ、安易な気持ちで「秘密の真実」に触れる行為は、あまりお勧めしません。古から守られてきた秘密は無理に明かさず、守り人たちの意思に従うのが無難です。

たまに資料解析の一環で、薬草の効能や伝承を地域ごとに調べることがありますが、魔術・儀式的な使い方を併せ持つ種類は最低限の知識は知りつつも、「ただ興味がある」というだけの理由でそれ以上足を踏み入れることは極力控えるようにしています。

古の民から選ばれた守り人しか触れてはいけない知識も、中にはありますので…。
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過去の歴史の記録書から再現を試みた料理やお菓子メニューに関しては、ミキサーやフードプロセッサーなどの現代版便利ツールを使わず、昔から使っていた調理器具を用いることが多いです。

当然時間もかかれば出来上がりの姿も決して写真映えしないのですが、当時の調理工程を実際に辿ることも大事なことだと考えています。

中世ヨーロッパに書かれた料理系指南書の記述には「渾身の力を込めて」とか「大いなる覚悟をもって」とか、多少過大な表現があるのですが、実際作ると書かれている通り力仕事の連続なので、当時の料理人たちは相当気合いを入れて宴会メニューを作っていたのかなと思います。
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拙著新刊「中世ヨーロッパのキッチン(新紀元社)」刊行から1週間が経過しました。まずはお手にとって頂いたすべての皆さまに、心から感謝申し上げます。

今作のイラストは騎士堂コシアン派・banamiso氏にお願いしました。個人的にも気に入っているのは、表紙右下にも描かれている「ウサギを処理する女性」です(ウサギ好きの方スミマセン…)。

中世後期、少し余裕のある家では女性の使用人が多くいました。料理はもちろん、家畜の処理もなんなくこなしていたとされます。ウサギの肉部分と毛皮部分はキレイに取れるので一方を食材に、一方を衣類の材料にしていたのでしょう。