すわぞ
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140字小説を書きます。『再掲』と付いてるものは、X(Twitter)でも前にポストしたものです。 X、mixi2、タイッツー等もIDは同じsuwazoです。
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吸血鬼と人間シリーズはこちらからどうぞ
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吸血鬼「日本、なんか川の数多くない? 行動範囲めっちゃ狭いんだけど」
人間「故郷に帰れよ」

#吸血鬼と人間
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憧れのボルゾイを譲り受けたらついでにその元飼い主がついてきた。没落して無一文の坊っちゃんで掃除一つできないろくでなし。犬が懐いているから何となく追い出せない。僕が夜遅く仕事から帰ると犬とろくでなしが笑顔で待っている。もしかするとこれが幸福なのかもしれないとふと思った。
#140字小説
再掲です
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死者の国にきた。ここではみんな、生前に欲しくても持てなかったものを持てるのだそうだ。「美形は多いね。天才もいるし、お菓子に埋もれてる奴もいるし、犬と暮らしてる奴もいる」案内人に、僕は訊いた。「なぜ君はそんなに親切にしてくれるんだ?」「いま俺は持ってるからさ。優しさを」
#140字小説
再掲です
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魔王「魔王城には七不思議というものがあってな」
勇者「何だそれは」
魔王「ひとりでに鳴るハープとか、笑う壁画とか、踊る靴とか」
勇者「はあ」
魔王「何十年も昔に倒したのに何度も何度も出てくる勇者パーティの霊とか」
勇者「……………えっ?」
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四天王「また勝手に人間さらってきて! 返してらっしゃい!」
魔王「だってー」
四天王「世話するの誰だと思ってるの!」
魔王「ちゃんと世話するから!」
四天王「前もそんなこと言って、結局私に押し付けたでしょう!」
姫「あの、帰っていいですか」
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小鳥が言った。「王妃に何かを貰ったら、王妃の机の引き出しに入れなさい」そのとおりにした。王妃が私に盗まれたと騒いだ指輪は、彼女の机の引き出しから発見されて、私は助かった。「あなたも同じ目にあったの?」小鳥が歌う。「私はかつて殺されたの。王は引き出しに入らなかったから」
#140字小説
再掲です
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古い喫茶店を居抜きで買ったら幽霊物件だった。探したら床下から人骨が出てきた。行方不明だった前の初老のマスター。あのダンディな幽霊に会えなくなるのは少し淋しいなと思ったが、結局、彼が成仏したのはその数年後だった。つまり、彼が認める珈琲を僕が淹れられるようになってから。
#140字小説
再掲です
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猫は人を騙してるんだと思う。近所の公園付近でよく見る野良猫、いつも人を避けるのに、一度だけ俺の足元にすり寄ってきた。後にも先にもあの一度だけ。会社をやめて、孤独で、全てに絶望しかけてたあの最悪の夜だけ。だから俺は、猫は本当は何もかも解ってるんじゃないかと今も思うのだ。
#140字小説
再掲です
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久しぶりの新作
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職を失い公園暮らししていたところを、元殺し屋だという少女に雇われた。国外逃亡するのに父親役が必要らしい。ろくな事にならないような気はしたのだ。案の定、駅のホームで追っ手に見つかり、俺は撃たれた。「なぜ私を庇ったのよ」と少女。「いいから、もう一回パパって呼んでくれよ」
#140字小説
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彼は毎日図書館へ行く。司書は予め用意していた本を彼に貸し出す。事故で記憶をなくした彼は、過去に借りたことのある本を順繰りに読んでいるのだ。自分を再構築するために。……彼は覚えていないのだ。自分が本など読んでなかったこと。司書に会うために図書館に通っていたこと。
#140字小説
再掲です
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「好きな子に贈るなら花だろ」友人の勧めに従って、毎朝、彼女に花をあげた。花は友人がくれた。彼女には結局フラれた。友人宅を訪れると、友人はいつもどおり庭で泥にまみれてたくさんの花の世話をしていた。「毎日、僕に花をくれてありがとう」僕が言うと、友人の顔が真っ赤になった。
#140字小説
再掲です
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「やめろ、やめろ」閻魔大王を前にしてなお絵師は描き続けた。床に、壁に、宙に絵筆を走らせる。「やめろ、やめろ」鬼にも誰にも止められない。彼の描く地獄絵図はそのままそこに存在し始める。次々と地獄に罪人が堕ちてゆく。誰も彼を裁けない。そもそもこの閻魔大王すら彼の筆から……
#140字小説
再掲です
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「50年待ってくださいまし」祖母は若い頃、神に求婚されてそう言った。時の概念の違う神は「わかった」と去った。そして50年がたった。孫の私は祖母そっくりだそうだ。神はかわりに私を連れてゆくだろうと皆が嘆いた。あらわれた神は、花嫁衣装の私を素通りし、祖母の墓の前で泣きだした。
#140字小説
再掲です
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大魔法使いは最後の魔法を使いました。自分の存在を消す魔法。最初からいなかったことにする魔法。これにより彼が始め教え広めた魔法もまた存在しなくなりました。あの大魔法戦争も。大勢の死者も苦しみも哀しみも。そして、弟子だった少年は、自分の寂しさの理由を思い出せないのでした。
#140字小説
再掲です
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手術室に女の子が住みついた。生者ではない。手術台の下からこの子が顔を覗かせて笑うと、いつも手術は大成功する。この病院で死んだ子なのかもしれない。やがて僕は病院をやめ、山村の診療所に移った。窓にはカーテンをかけない。机の下の女の子が、外の緑の景色を見やすいように。
#140字小説
再掲です
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降りしきる雪の中を雪ん子たちが舞い踊っていた。私は赤い毛糸の手袋を持っていたが誰ひとり目もくれない。少し哀しくなってきたころ、ふと小さな子が私の顔を覗き込んで、手袋を受けとってくれた。目覚めると家のソファの上だった。うたたねしていたのだ。翌週、私は懐妊に気づいた。 #140字小説
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嘘のなる木を買ってきた。嘘のなる木にはもちろん嘘が実る。冷たく育てれば冷たい嘘が、厳しく育てれば厳しい嘘が、優しく育てれば優しい嘘が。季節が過ぎ冬が来て花が咲いた。可愛い白い花。私は花に触れて泣いた。何て優しく哀しい嘘が実ったことか。木は冬になる前に枯れたのに。
#140字小説
再掲です
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久しぶりに書けた
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「警部、貴方ならそのまま会場入りして大丈夫よ」仮面の貴婦人は言った。「最近は仮面舞踏会だけじゃ物足りなくて、仮装者も多いの。警部、貴方に扮する人は毎回何人もいるから、逃げ込んだ怪盗を中でゆっくり探すといいわ」「その必要はないな」「なぜ?」お前がその怪盗だから。違うか? #140字小説
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長い旅のはてに、ロボットはようやく生きている人類を見つけた。死んだ主人から預かった手紙を渡す。「主人ハ、自分以外ニモ生存者ガイルト、信ジテマシタ」手紙を読み終えた彼女はロボットを抱きしめた。「手紙の内容を知ってる?」「イイエ」「貴方の友達になってやってくれって」
#140字小説
再掲です
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銀狐は毎日せっせと村外れに住む人の娘の元に通います。お前が欲しいものを何でもやろう。ご馳走でも見事な織物でも金銀財宝でも。娘は言います。私は一人ぼっちだからお前に友達になってほしい。銀狐には困った返答でした。だって欲しいものとひきかえに娘に奥方になってほしかったので。
#140字小説
再掲です
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140字小説(ついのべ)15年くらい書き続けてんだからそういうこともあるだろ……
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140字を書きもせずに最近なにをやってるかというと、ほんと寝てばかりいます なんかそういう時期なのかもしれません 頭と心を休ませる、みたいな
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好奇心に負けたパンドラが箱を開くとそこからあらゆる災厄が飛び出した。最後に機織り機と美しい鳥が現れた。かつて罠から助けてやった鶴であった。「決して開けてはならぬと申しましたのに」鶴は哀しげに一声鳴いて空へ帰っていった。話が途中で変わったことにパンドラは気づいた。
#140字小説
再掲です
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朝「秋だ」
昼「やっぱ夏だ」
夜「秋だ!」