note:https://note.com/chigi/(映画や読書の感想まとめ)
二人が繙き、紡ぐ物語をもっと見たいと思った。
家事代行でアルバイトをする大学生・秋生が新たに派遣されたのは、貸本屋〈霞書房〉。極度の対人恐怖症を抱える主・透は、じつは祓い屋の家系で――。
初顔合わせでカウンター内に隠れるほど怯える透と、秋生がどう関係を築いていくかにまず興味を引かれたんです。
秋生が派遣されたのは“才能があるから”らしいものの、知るのも見るのも驚くことばかり。その中には――あの透が祓い屋となると見せる堂々とした振る舞いや、強固な決意も含まれている。 1/3
二人が繙き、紡ぐ物語をもっと見たいと思った。
家事代行でアルバイトをする大学生・秋生が新たに派遣されたのは、貸本屋〈霞書房〉。極度の対人恐怖症を抱える主・透は、じつは祓い屋の家系で――。
初顔合わせでカウンター内に隠れるほど怯える透と、秋生がどう関係を築いていくかにまず興味を引かれたんです。
秋生が派遣されたのは“才能があるから”らしいものの、知るのも見るのも驚くことばかり。その中には――あの透が祓い屋となると見せる堂々とした振る舞いや、強固な決意も含まれている。 1/3
この時季はじめてだな
息を吐けば白く、身は思わずぶるりと震え、けれどもまだ序の口なのだよね、冬
この時季はじめてだな
息を吐けば白く、身は思わずぶるりと震え、けれどもまだ序の口なのだよね、冬
濃さは十分だったらしいから悔しいな
濃さは十分だったらしいから悔しいな
家事代行のアルバイトをする人当たりのよい大学生と、貸本屋の店主でかなりの対人恐怖症である祓い屋のバディが繰り広げる物語
「准教授・高槻彰良の推察」シリーズの澤村御影先生の新作ということもあって、とても楽しみ☺️
家事代行のアルバイトをする人当たりのよい大学生と、貸本屋の店主でかなりの対人恐怖症である祓い屋のバディが繰り広げる物語
「准教授・高槻彰良の推察」シリーズの澤村御影先生の新作ということもあって、とても楽しみ☺️
虹色に煌めいて、眩かった
虹色に煌めいて、眩かった
と一息ついたところで、もう十月が、秋が、終わろうとしているじゃあないか
と一息ついたところで、もう十月が、秋が、終わろうとしているじゃあないか
夜の訪れは早く、朝の空気はひやりと冷たく、思わず身震いしてしまうのは、夏が死んでいくのを感じるから
それでも日中の暑さには、ただ尽きるのではなく燃え切らんとする夏を思うな
夜の訪れは早く、朝の空気はひやりと冷たく、思わず身震いしてしまうのは、夏が死んでいくのを感じるから
それでも日中の暑さには、ただ尽きるのではなく燃え切らんとする夏を思うな
ああ、青い空が覗いているな、なんて思っていたら、そちらから白い鳥がすいーっと雨雲のほうへ……
重たい灰色を横切る白の、軽やかで眩いこと
ああ、青い空が覗いているな、なんて思っていたら、そちらから白い鳥がすいーっと雨雲のほうへ……
重たい灰色を横切る白の、軽やかで眩いこと
どうノルマを達成するか、最後までハラハラした作品でした。
凄腕営業マン・鳥井は、殺し屋の犯行現場を訪れたことで口封じに消されかかる。そこで営業としての自身を売り込み雇われるが、二週間で二億のノルマを達成せねば地獄行きに。
まず、営業としてあらゆるスキルを駆使してゆく鳥井が面白かったんです。殺人請負業界など初めてで、勝手が分からない。でも観察し分析し、誰に何をアプローチすべきか探り、ロジックや話術で事を進めていく。
ただし業界に無知ゆえに、強豪な競合相手の逆鱗に触れ、標的にされるのですが……。 1/3
どうノルマを達成するか、最後までハラハラした作品でした。
凄腕営業マン・鳥井は、殺し屋の犯行現場を訪れたことで口封じに消されかかる。そこで営業としての自身を売り込み雇われるが、二週間で二億のノルマを達成せねば地獄行きに。
まず、営業としてあらゆるスキルを駆使してゆく鳥井が面白かったんです。殺人請負業界など初めてで、勝手が分からない。でも観察し分析し、誰に何をアプローチすべきか探り、ロジックや話術で事を進めていく。
ただし業界に無知ゆえに、強豪な競合相手の逆鱗に触れ、標的にされるのですが……。 1/3
先日紹介した小説『青がゆれる』の作者・雛倉さりえさんが個人で発行した冊子で、掌編や短歌、エッセイなどの作品集です。
表題作は、“もとは巨人の死骸だった”と言われる街の情景、ひとびと――ひとも、ひとでないものも――の日々のいとなみを描いたもの。
お気に入りのひとつは「飼育」。
おどおどして自分からは口を開かない夫と、応えさせたいと言動を尖らせてゆく“わたし”の物語。夫が飼い始めた“何か”を前に、わかりあえなくてもおなじ景色を見ることはできると、互いに目を逸らして水槽を向く場面の鮮烈さがわすれられない。 1/2
先日紹介した小説『青がゆれる』の作者・雛倉さりえさんが個人で発行した冊子で、掌編や短歌、エッセイなどの作品集です。
表題作は、“もとは巨人の死骸だった”と言われる街の情景、ひとびと――ひとも、ひとでないものも――の日々のいとなみを描いたもの。
お気に入りのひとつは「飼育」。
おどおどして自分からは口を開かない夫と、応えさせたいと言動を尖らせてゆく“わたし”の物語。夫が飼い始めた“何か”を前に、わかりあえなくてもおなじ景色を見ることはできると、互いに目を逸らして水槽を向く場面の鮮烈さがわすれられない。 1/2
鮮烈で脆弱な世界に揺すぶられるような、貫かれるような一冊でした。
水族館での秘密のくちづけから始まった、女子ふたりの特別な関係。けれど片方に男の恋人ができて綻び始め……という、「ジェリーフィッシュ」から始まる連作短編集。
“一度目のキスはわたしたちの原点で、二度目のキスはわたしたちの頂点だった。あとに残るされたのはゆるやかな坂道だけ”
最初のキスで世界が変わり、叶子以外に好きになれる人間はいないと確信する夕紀と。
夕紀がいながら男の子と付き合い、隠し事をしたくないと情事の話さえ聞かせる叶子と。 1/3
鮮烈で脆弱な世界に揺すぶられるような、貫かれるような一冊でした。
水族館での秘密のくちづけから始まった、女子ふたりの特別な関係。けれど片方に男の恋人ができて綻び始め……という、「ジェリーフィッシュ」から始まる連作短編集。
“一度目のキスはわたしたちの原点で、二度目のキスはわたしたちの頂点だった。あとに残るされたのはゆるやかな坂道だけ”
最初のキスで世界が変わり、叶子以外に好きになれる人間はいないと確信する夕紀と。
夕紀がいながら男の子と付き合い、隠し事をしたくないと情事の話さえ聞かせる叶子と。 1/3
(口に出すのは話の腰を折りそうでやめた)
(口に出すのは話の腰を折りそうでやめた)
あまりに美しく壮大な光景とクジラたちの生態に息を呑む作品だった。
子どもの頃クジラに魅せられ、今は世界中のクジラを撮影するパトリック。年に300日、それが20年――6000日に亘るクジラとの日々を追ったドキュメンタリー。
深々と青く広い海原に巨大なクジラが整然と並ぶさまも、噴き上げた潮に虹が浮かぶさまも、水中で吐き上げるあぶくの煌めくさまも、揺らめく光の模様が彼らの皮膚を撫ぜるさまも……ただただ見惚れるばかり。
逆さま、つまり水面を下に海中を映した場面は、クジラとパトリックが空を漂っているかと思うほどに幻想的で。 1/3
あまりに美しく壮大な光景とクジラたちの生態に息を呑む作品だった。
子どもの頃クジラに魅せられ、今は世界中のクジラを撮影するパトリック。年に300日、それが20年――6000日に亘るクジラとの日々を追ったドキュメンタリー。
深々と青く広い海原に巨大なクジラが整然と並ぶさまも、噴き上げた潮に虹が浮かぶさまも、水中で吐き上げるあぶくの煌めくさまも、揺らめく光の模様が彼らの皮膚を撫ぜるさまも……ただただ見惚れるばかり。
逆さま、つまり水面を下に海中を映した場面は、クジラとパトリックが空を漂っているかと思うほどに幻想的で。 1/3
とても良かった。惜しみなく素晴らしい80分。
3歳で初舞台を踏み、芸歴は90年を超え、今なお舞台に立つ狂言師・野村万作。
昨年行われた文化勲章の受章記念公演に密着し、演目「川上」に加え舞台裏やインタビューを収めたドキュメンタリーです。
「川上」は盲目の男と妻の物語。地蔵への参詣により視力を回復するも、妻と離縁せよとのお告げに、二人はどうするのか。
トツ、トツ、静寂に杖の音が響く男の登場から引きつけられた。元は見えていた男の嘆き、他の参詣者との交流、再び見える喜びと、澄んだ黒い目……ひとつひとつに釘付けになる。1/3
とても良かった。惜しみなく素晴らしい80分。
3歳で初舞台を踏み、芸歴は90年を超え、今なお舞台に立つ狂言師・野村万作。
昨年行われた文化勲章の受章記念公演に密着し、演目「川上」に加え舞台裏やインタビューを収めたドキュメンタリーです。
「川上」は盲目の男と妻の物語。地蔵への参詣により視力を回復するも、妻と離縁せよとのお告げに、二人はどうするのか。
トツ、トツ、静寂に杖の音が響く男の登場から引きつけられた。元は見えていた男の嘆き、他の参詣者との交流、再び見える喜びと、澄んだ黒い目……ひとつひとつに釘付けになる。1/3
怒涛の展開を駆け抜ける感覚が癖になる作品でした。
夢に出てきた少女そっくりの転校生はお隣さん――。運命的な彼女と主人公の距離は急速に縮まっていき、より深い仲へ進んだ矢先、事態は思わぬ形で大きく動いていく。
読みながら、ジェットコースターに乗っているような心地がしたんです。二人の接近とともに高まっていく感覚は、ふいに落下に転じる。二転三転、時に戻りながらハイスピードで過ぎる展開は、それでも物語を鮮明に浮かび上がらせていく。 1/2
www.shufu.co.jp/bookmook/det...
怒涛の展開を駆け抜ける感覚が癖になる作品でした。
夢に出てきた少女そっくりの転校生はお隣さん――。運命的な彼女と主人公の距離は急速に縮まっていき、より深い仲へ進んだ矢先、事態は思わぬ形で大きく動いていく。
読みながら、ジェットコースターに乗っているような心地がしたんです。二人の接近とともに高まっていく感覚は、ふいに落下に転じる。二転三転、時に戻りながらハイスピードで過ぎる展開は、それでも物語を鮮明に浮かび上がらせていく。 1/2
www.shufu.co.jp/bookmook/det...
細やかな青の文様が目を引く包みはインドからの封書という風のデザインで、開けば鮮やかな彩りに目を奪われる
そして封書の裏地、目が眩むほどの黄色は、封がされた状態でもかすかに窺えて、漏れ出ずる光を眺めるような心地がした
細やかな青の文様が目を引く包みはインドからの封書という風のデザインで、開けば鮮やかな彩りに目を奪われる
そして封書の裏地、目が眩むほどの黄色は、封がされた状態でもかすかに窺えて、漏れ出ずる光を眺めるような心地がした
“余白”は区切られておらず、つまり他の領域と地続きで、その広がりと「よく見れば点対称」という感覚が妙に好きだった
“余白”は区切られておらず、つまり他の領域と地続きで、その広がりと「よく見れば点対称」という感覚が妙に好きだった
老いること、生きること、を見つめるような作品でした。
広島県尾道市で、100歳を超えてなお、ひとり暮らしをする石井哲代さん。その101歳から104歳の日々を写したドキュメンタリーです。
“同じ人生なら、笑って過ごしたい”
そう話す哲代さんは、非常によく笑う。表情でも、声でも、時には冗談も口にして。
長生きの秘訣は好き嫌いせず何でも頂くことだと言い、食べるシーンも多く登場します。
ただ、出来ないことが増えるのも事実。
事故があってはと入浴は一人ではなくデイサービスを頼り、部屋の整理も追いつかない。 1/3
rcc.jp/104-hitori/
老いること、生きること、を見つめるような作品でした。
広島県尾道市で、100歳を超えてなお、ひとり暮らしをする石井哲代さん。その101歳から104歳の日々を写したドキュメンタリーです。
“同じ人生なら、笑って過ごしたい”
そう話す哲代さんは、非常によく笑う。表情でも、声でも、時には冗談も口にして。
長生きの秘訣は好き嫌いせず何でも頂くことだと言い、食べるシーンも多く登場します。
ただ、出来ないことが増えるのも事実。
事故があってはと入浴は一人ではなくデイサービスを頼り、部屋の整理も追いつかない。 1/3
rcc.jp/104-hitori/
本当にもっちりもちもち……美味しかった
香ばしいきなこと甘じょっぱいみたらしが特に好き
本当にもっちりもちもち……美味しかった
香ばしいきなこと甘じょっぱいみたらしが特に好き
なんでも病院の骨格標本に見入るそうで、自分の身体を指しては「ここ骨ある? ここも?」と尋ねてくるのだとか
なんでも病院の骨格標本に見入るそうで、自分の身体を指しては「ここ骨ある? ここも?」と尋ねてくるのだとか
辛さや苦しみを抱えながらも、どう在りたいかを選んで進む各々の姿に惹かれた。
怨鬼の憑く神楽面を捕らえ封じる策は非常に大掛かりで、事の深刻さを思い知らされる。
加えて、個々の心や互いの関係に影を落とすものもあって。
印象深い場面の一つは、怜路と広瀬の会話なんです。
自身を「凡人」と卑下する広瀬にとって怜路は、己と全く違う世界に立つ美郷の隣に並び立つ存在。
でも怜路からすれば、その「普通」こそが持つもの、美郷にできることが有る。
美郷と広瀬の関係、特殊/普通について、怜路の視点が興味深かった。1/5
辛さや苦しみを抱えながらも、どう在りたいかを選んで進む各々の姿に惹かれた。
怨鬼の憑く神楽面を捕らえ封じる策は非常に大掛かりで、事の深刻さを思い知らされる。
加えて、個々の心や互いの関係に影を落とすものもあって。
印象深い場面の一つは、怜路と広瀬の会話なんです。
自身を「凡人」と卑下する広瀬にとって怜路は、己と全く違う世界に立つ美郷の隣に並び立つ存在。
でも怜路からすれば、その「普通」こそが持つもの、美郷にできることが有る。
美郷と広瀬の関係、特殊/普通について、怜路の視点が興味深かった。1/5