三月の水
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三月の水
@waterofmarch.bsky.social
本、音楽、映画その他日々のことなど
チャーリー・カウフマン『アントカインド」
冒頭の逸脱しつつどこに向かうかわからない独白に魅了され、すんなりと物語の世界に入る。SF作家の名前や映画に関するアイテムなどを散りばめながら、上映時間90日の映画、未来人の登場など(シニカルで自己言及的な言説を伴いつつ)煙にまかれるような展開から加速、逸脱していく物語に振り回される楽しさ/面白さ。

ー私はこの狂人から逃れるだけのために、寂れた映画館に入る。そして暗い室内で一人体を丸くして一九六七年のジャン=リュック・ゴダールの傑作『ウィークエンド』を観る。その結果、私の人生が決定的に変わる。その夜までは、娯楽映画を観るなんて時間の無駄だと思っていた。
December 13, 2025 at 1:08 PM
この週末は、
寺山修+森山大蔵+中平卓馬/街に戦場あり、
リチャード・ブローティガン/風に吹きはられてしまわないように、
濱口竜介+三宅晶+三浦哲哉/演出を探して 映画の勉強会、
松浦寿輝/猫とウサギと龍の本、
Jazz TOKYO Selection ZINE、
ツカヌンティウスよしゆき/旅する、本屋巡る。
古本屋にまわって
ロベール・ドアノー/不完全なレンズ、
シルヴィア・プラス/メアリ・ヴァントゥーラと第九王国、
片岡義男/彼らを書く、

そして、レコードの日に発売の7inch
シングルbice/Slow diveを入手。
December 12, 2025 at 1:02 PM
最近聴いているアルゼンチンのミュージシャンのアルバム

Sebastián Macchi / Grita en mí
あたたか味のある声とピアノが醸し出すインディメイト雰囲気と、これまでの魅力に、よく歌うギターのフレーズやピアノとの絡みの(Federico Arreseygorの新作同様)ジャズ、ロック的テイストが加わったていて興味深い。
youtu.be/vp-f8obnZ_M?...
December 11, 2025 at 1:25 PM
『ミーツ・ザ・ワールド』
好きなことの話題には、早口になり表情の変わる(Instagramに故のない劣等感を抱いているなどおかしみのある)杉咲花の表情/身振りや、一癖も二癖もある蒼井優、渋川清彦、板垣李光人との絶妙の距離感が楽しい。
南琴奈が姿を消すことで物語が動き出し、持て余し気味の自身の感情に折り合いをつけ、居場所を見つけていく繊細な描き方にしんみりした心持ちに。
December 9, 2025 at 1:02 PM
ジョーダン・ピール編『どこかで叫びが』
黒人作家によるホラー小説のアンソロジー。ひとつの柱となっているのが、奴隷制/差別を背景とした作品で、印象に残ったのが1960年代黒人の権利のための闘争が行われていた時代を背景にしたタナナリーヴ・ドゥー/乗ってきた男。
一般的なホラーの作品では、ディックを思わせる悪夢の繰り返しとその果てのシニカルな結末のテレンス・テイラー/あなたの幸せな場所。
一番よかったのは、4人の白人の少年の劇の台本形式による次第にメタ/自己言及的の深みにはまっていく会話の、亢進していく怖さ/面白さのトチ・オニェブチ/オリジン・ストーリー。
December 7, 2025 at 1:10 PM
この週末は、
ジャドスン・フィリップス/終止符には早すぎる、
丹生谷貴志コレクションI、II、
ミルハウザー/高校のカフカ、一九五九、
(ブラジル留学時のエッセイ集/リオデジャネイロに降る雪がよかった)福嶋伸洋/ニコの海、
群像CINEMA、
全11巻のアンソロジーからダイベックの短編収録の)柴田元幸編・訳 モノの物語 楽器、
ORGASM vol.12アラン・ルドルフ監督特集、
独立書店ネットワーク/わたしのみすず書房、
そして(ライブ以外の、モチアン、ラファロの全音源を集めた)ビル・エヴァンス・トリオ/Haunted Heartを入手。
December 5, 2025 at 1:16 PM
最近、聴いているアルバム/EP、

Zeca Veloso/Boas Novas
カエターノ・ヴェローゾの息子。
”Livro”を彷彿とさせる硬質なホーンとドラムスの音色が印象的な父親参加の曲からはじまり、流麗な弦、A・ギター、エレピ、アコーディオンの効果的な使い方や陽気なサンバなど、繊細で甘い声や豪華なゲストともども聞きどころ満載。
youtu.be/LqBPsDZnW70?...

kinji/Thunderhead
生き生きとした演奏、勢いのあるヴォーカル、秀逸なメロディライが相まってのポップスとしての楽しさ/心地よさが。
youtu.be/FwObwm7Ix_g?...
December 3, 2025 at 1:00 PM
ノア・バームバック/ジェイ・ケリー
冒頭の生き生きとした映画撮影現場から、飛行機や列車でパリ、イタリアへと移動するジョージ・クルーニーと大勢の取り巻き。旅の中で、過去に失ったものの記憶が(映画を見ているかのように)蘇る。
旅の過程で次第に人が減り、一人孤独。映画と違い撮り直しの効かない人生、際立たせる(冒頭のシーンと対比するかのような)最後の言葉にほろりとさせられる。
移動の時の流麗な弦、回想時のピアノなど音楽の良さも。
December 2, 2025 at 12:59 PM
『ジルベルト・ジル ゴッド・イン・ヒズ・ガーデン』、
自宅の庭でのギター、バーカス、コーラスと(家族でもある)5人編成でのライブの模様。MCはほとんどなく、次々と曲を披露していく。楽しそうな笑顔、昼から次第にくれていく光のなか、ジルがギターを弾く模様もよく見れて、(スペイン語やボブ・マーリーの曲なども)ただただ心地いい。
最後のコロナ禍でも、聴いてもらうために、との言葉は感動的。
November 30, 2025 at 1:05 PM
マリアーナ・エンリケス『秘儀』
キング「呪われた町」を思わせる父子の逃亡劇から始まる。
父が視点人物となる前半では、戦い/逃走している霊媒、教団、〈闇〉の、そして家族の、関連するアルゼンチンの歴史について明らかになっていく。
後半の、何も知らない息子が視点人物になると、多岐にわたる、散りばめられた過去の出来事などから、再構成、発見する(読者は知っている)前半の出来事が明らかにし、また友人らが違う姿を纏って現れ、思わぬ人物が再登場するなど、息もつかせ展開はスリリング。
また、青春小説を思わせるリリカルな逸話、何気ない情景描写やときに不穏さを帯びる描写なども含め読み応えがあった。
November 29, 2025 at 1:15 PM
「平凡社ライブラリー 通算10000巻記念 私の一冊」冊子を入手。

ラフォルグ『聖母なる月のまねび』は、折にふれて読み返すので自分で選ぶとすればこの本。
吉田健一訳は単行本で持っているが、それ以外に伊吹武彦、中江俊夫などの訳も収録されている。

ーランプの光、版画、紅茶、紅茶に合う菓子、
こういうものだけを愛して行く訳にはいかないのだろうか。……
(それから、どこからか聞こえてくるピアノの音の他に、新聞に毎週出でいる衛生関係の統計の
夕暮れに相応しい、厳粛に神秘的な味を君は知っているだろうか。)
ー「冬が来る」より
November 28, 2025 at 1:11 PM
最近聴いているアルバム、

Beharie/When The Silence Gets Too Loud
ノルウェーのSSW。
ノルウェーのSSW。
柔らかく穏やかな声と時に厚く入るコーラス。A・ギターを中心に、後半はノイジーなE・ギターまでと振り幅のある演奏。それらに喚起されるエモーションとイノセントな佇まいが魅力的。
youtu.be/PxPQQmYp_iA?...
November 26, 2025 at 1:07 PM
『プレデター:バッドランド』
家族に捨てられ、新たな仲間/家族を獲得するという王道な物語だが、それを進めるエル・ファニングのユーモラスでチャーミングな表情/演技がとにかく魅力的。上半身だけのアンドロイドという設定から、探している下半身の思わぬ活躍ぶり、エルの二役の冷酷なアンドロイドとの演技/表情の対比といった面白さも。
November 25, 2025 at 1:08 PM
東京競馬場へ。
新緑の五月、黄金色の光の差す十一月。馬も競馬場も一番美しく見える二つの季節に、訪れることにしている。
抜けるような真っ青な秋の空の下を駆け抜ける馬の美しさ。
蹄の音、走り去る馬の後に舞い上がる土、ゴール前の歓声、ビールのおいしさ。
パドックで馬を選んで単勝馬券を買い、レースでその一頭だけを見る。そんな心地よさを満喫した一日。
November 24, 2025 at 1:07 PM
パウル・ブッソン『メルヒオール・ドロンテの転生』
ゼノン・フォラウフが前世のメルヒオール・ドロンテの人生を語るという前説から始まる。予言、幽霊といったオカルティックな出来事の面白さ、人生の重要な場面に姿を現す謎の回教僧といったミステリアスな展開。そして起伏ある展開を経ての円環が閉じるかのような終わり方の余韻に浸ることのできる、諸々読みどころの多い一冊。
November 23, 2025 at 1:10 PM
大貫妙子 Celebrating 50 Years @ 人見記念講堂
佐橋佳幸。ハナレグミ。ギターと二人の声だけの演奏に圧倒された青葉市子。クリス・パーカーとの(レコティングに参加した)「くすりをたくさん」、「都会」などがを見れて感慨にふけりつつ、少年と海」でのツインドラムスが圧巻だったゲスト登場の後半。
前半は。控えめながらニュアンスにとんだ演奏もとてもよく、「横顔」、「船出」など曲の心象風景、感情を際立たせていて切なくなった。
そんな50周年に相応しい充実したライブの体験。
November 22, 2025 at 1:04 PM
この週末は、
(九年ぶりの長編)堀江敏幸/二月のつぎに
七月が、
(先日の三浦雅士と松浦寿輝の対談で話に出でいた)高階秀爾/エラスムス 闘う人文主義者、
古本屋で、サラ・ピンスカー/新しい時代への歌、
ジョン・ハリデイ/サーク・オン・サーク、
そして、
(クラウドファンディングに参加した)jem vol.2、
(小西康陽が編曲、矢舟テツロー参加の)サクラカネのうたが届く。

Hehmen Fordの(クリスマスソングを集めた)新作を聴きながら、
youtu.be/c32vfpHXmBo?...
November 21, 2025 at 1:02 PM
最近聴いているアルバム、

Orchid Mantis/In Airport
アトランタのThomas Howardのプロジェクト。
硬質なピアノの音と残響、朧で滲んだようなヴォーカル、ブライトなE・ギターの音色、浮遊感を醸し出すエレピ。軽く撥ねるようなドラムス。
ノスタルジックで内省的。それはどこか冬の冴えた青空を思わせる。
youtu.be/_1xDcs4NpcQ?...
November 19, 2025 at 1:15 PM
三宅晶『旅と日々』
上から捉えた緑に囲まれた曲がりくねった道を行く二人、
夜、斜めからの灯りでできる植物の揺れる影を縫うように歩き去っていく後ろ姿、
咳き込んだため屋外へ出てしゃがむ佐野史郎とその背中をさする手、
暗がりの先にある光に向けて進むとトンネルとわかり、そこを抜けると雪一色の風景、
そして、風の、海の、雨の音。
(原作は読んだことないことがなく)思わぬ方向へ進む物語に驚かされつつ、見終わった後もまだ、その音に、映像に浸ったいるよう。
November 17, 2025 at 1:14 PM
soraya @ 草月ホール
強力なリズムを繰り出す中からのギター、ピアとソロをまわし、ピアノだけをバックにしっとりと歌った後、最後にフルートのソロで締める”BAKU“や、全員の音が一斉にクライマックスを迎える”レコード”など、アルバムとは全く表情の違う演奏に魅かれる。
何より情緒のある石川紅奈の声と加納奈実のコーラスの魅力。
好きなエキゾチックな”ゆうとびあ”、童謡風の”風の中で”原田知世に楽曲提供した”セレンデュピティ”が聴けたのもよかった。

Dr.菅野知明 Gt.閑喜弦介 Sax&Flu.加納奈実
Per.Kan
November 16, 2025 at 1:23 PM
リチャード・パワーズ『プレイグラウンド』
いくつかの物語が並行して語られ、それが最後には、思いもかけない形で収斂していく。初期のパワーズによくあった形式。なかでも、トッドのラフィの青春小説のような味わいの逸話が心に残る。何度か出てくる「共同事業」という言葉など、いくつかの気になる点はあったのだが、これまでなく大掛かりでエモーショナルな収斂の仕方に、しばしば理解が追いつかず、何回か読み直して、押し寄せてくる感動。
それは、「黄金虫変奏曲」の最後のATM以来のものかもしれない。
また、亡くなった姉に捧げたことも含めて、ヴォネガット「スラップブティック」のことも思いだしたりも。
November 15, 2025 at 1:20 PM
『ナイトコール』
不意に巻き込まれる組織の犯罪。
デモで騒然としている夜のブラッセルの迷路のような(美しい)街を舞台に、夜明けまでというタイムリミット。そんななか、生き延びるために動き回る。組織の裏切り者、警察官の内通者も絡んでのアクションの連鎖から、各々が、同じ場所に向かうクライマックスまでは、息をするのも忘れるほど緊迫する。非情なラストも秀逸。小道具としての、ペトゥラ・クラーク歌の使い方も。
先日見た「ブラックバック」同様、90分で見せるタイトな映画が一番好きかもしれない。
November 14, 2025 at 1:03 PM
原田知世 @ LINE CUBE SHIBUYA
流麗な弦をはじめとして、ギター、ピアノ、フルートが折々ソロを取る(特に、コーラス、マリンバ、パーカスの角銅真実の貢献大の)聞き応えのある演奏をバックに、(近年、さらに増してきた)説得力のある原田知世のヴォーカルが際立つ。近作中心ながら、トーレ・ヨハンソン時代やBe My Babyの選曲と、ライブならでは場を満喫。上質なものを経験したという思いで会場を後にする。
November 13, 2025 at 1:26 PM
最近聴いているEP、

Sofia Alvez & Clara Presta/Jardí las delicias
アルゼンチンとウルグアイのSSWのデュオ。
スモーキーな声と透明感のある声の重なりの立体感と、ゆったりと硬質なピアノの響きが醸し出す優雅さとみずみずしさ。
youtu.be/8zZDqKT3sx4?...

Nick van Graan/Goodbyes
アムステルダムのSSW。
しなやかでジェントルな声、A・ギターを中心に、時にはエッジの効いたE・ギターも。ポップで爽やか、なんともこころあたたかくなるよう。
youtu.be/VxkCw9mwafY?...
November 12, 2025 at 1:13 PM
池澤夏樹 池澤春菜『ぜんぶ本の話』
それぞれの読書の好みやジャンルとの出会いについてなどの対談。
なかでも、家族の記憶から福永武彦や自身の作品についてや、ヒュー・ロフティング/アーサー・ランサム、ディック/ヴォネガットなどの好みの違いについての話などが楽しかった。
児童文学、SF、ミステリについてのガイドブックとしても。

ー旅に似ている、と思う。違うのは、本の旅は徹底的にひとりだということぐらい。旅から帰ってきたら、その話をしたくなる。(中略)でも、一ページ目を開く気持ちと、トランクを抱えて家を出る時の気持ちはとても近い気がする。池澤春菜
November 11, 2025 at 1:12 PM