三月の水
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三月の水
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本、音楽、映画その他日々のことなど
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ーなんらかのアイテムを媒介にして過去の人間と通信するタイプの物語は、枚挙に暇がない。
アイテムは、レコード(柾 悟郎「夜がまじわるとき」)、長持(万条目学「長持ちの恋」)、古本(朱川湊人「栞の恋」)、窓ガラス(古橋秀之「三時間目のまどか」)、交換ノート(天沢夏月「八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。」)などさまざま。
ーあとがきより
伴名 練『百年文通』
大正時代の人物との文通は、ジャック・フィニー「愛の手紙」を思わせる。その上で、時間SFとして、パンデミックなどの要素を入れつつ、この設定でどこまで行けるかと物語を突き進める(SFに通暁している著者ならではの)試みとも読め面白い。
あとがき/時間SFに関する覚書や、 巻末資料「時間SFガイド20」は示唆にとみ参考になる。特ガイド20は、古典的なものを除いており、未読の本が多いので、諸々読みたくなる。
ロバート・オデア『ロバート・ワイアット』
ケヴィン・エアーズとの出会い、事故、ラフトレードなど、断片的なことしか知らなかったが、その時の人生の状況、感情を、ブリティッシュ・ジャズの興隆といった時代的なことを知ることができた。また、言葉遊びのある歌詞、政治的なテーマ、シ原著が刊行された10年前の前に音楽活動の停止を宣言したことなども。

ーワイアットは車いすの身体になったことで、主要な楽器を変えざるをえなくなっただけではなかった。定期的なギグを行うことがほとんど不可能になったおかげで、ライブで再現できるアルバムを作る義務から解放されたをーまたすべての曲に同じミュージシャンを起用する義務からも。
映画監督 森田芳光@ 国立映画アーカイブ
ポスターやセットの再現といった映画にまつわること、愛読書を並べた本棚、レコードギャラリーなど、監督個人にまつわることなど興味深い展示。
「ときめきに死す」が好きで、サントラも苦労して探したことを思い出し、帰宅してから聞き直す。

秋晴れで気持ちのいい陽気のなか有楽町から、京橋、東京駅まで歩いて鑑賞。
久しぶりに日比谷しまね館で、のどぐろ丼を。
ここと新橋の香川・愛媛せとうち旬彩館は、たまに行きたくなる。
松江、道後温泉。もうずいぶんと行っていない。
マガジンハウス博 @ Ginza Sony Park
80周年を記念しての博覧会。
古本市や階段に沿っての表紙の展示は、とにかく懐かしい。
特に地下二階での各雑誌にまつわる様々な企画展示は面白く見応えがある。
POPEYE、BRUTUS、Relaxなどと読み継ぎながら、様々なことを教えてもらったという思いと、感謝の念が。
10.25 (土)まで。
ウェス・アンダーソン『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』
固定された奥行きのない画面、対称性、パステル色使いといったいかにもアンダーソン的な要素は変わらずに、近作には見れなかった(父と娘の)直線的な物語を、オフビートな脱線をはらみつ展開されるのは、感動的。
それと父と娘の話しは、ワン・バトル・アフター・アナザー』とも似ているのが面白い。
Sarah kang/before & after
ニュー・ヨークのSSW。
アコースティックな演奏に親しみやすく暖かさを感じる声、オールドタイマーでポップな曲調に、ノスタルジックな感情が喚起され、そこに厚いコーラスが重なると切なさも。しみじみとこの秋に聴きたい。
youtu.be/NbRItr-m_Ws?...
lazy afternoon by Sarah Kang
YouTube video by Sarah Kang Music
youtu.be
最近聴いているアルバム、

Peel Dream Magazine/Taurus
ロサンゼルスの三人組。
ギター中心の軽快でポップな曲、
浮遊するようなキーボードによる夢幻な曲、ナレーション、鳥のさえずりと風鈴の音を配した曲など、自らAvant-popというような多様な曲調の魅力。
聴き終わると甘く切ない印象が残る。
youtu.be/0yud1Lknd00?...
「ぽかん」の真治真治さんにお誘いいただき50周年を迎える編集工房ノアについての冊子「ノアの50年」に寄稿しました。
いまから10年以上前に西荻窪の古書音羽館で「ぽかん」を見つけ、そこから編集工房ノアの本を知ったことを思うと感慨深いです。
通信でも入手できますので、よろしければ。https://pokan-books.stores.jp
ALL THING MUST PASS@ PLAYMOUNTEN
岡本仁氏の「2000年から2025年に集めた愛着あるモノを新しい持ち主に手渡したい」という趣旨の展示・販売。
陶器、本、など様々な展示のなかから、中村伸郎/おれのことなら放つといて、何冊かのZINE、氏が発行するART ROR ALLなどを入手。
19日まで。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロらのプロフェッショナルな見応えのある攻防に対して、デカフリオが関わり失敗することで事態が混迷し物語が動いていく面白さ。
そして、父と娘の話に収斂していき、その果ての九十九折りの真っ直ぐな道路におけるカーチェイスのシーンに手に汗握る。
年月を一気に立たせる時のスティーリー・ダン/ダーティワークもよかった。
様々な人物、アイテムが入り乱れる猥雑な原作の「ヴァインランド」を思い再読したくなる。
堀江敏幸『定形外郵便』
八十一編の芸術から日常生活にまつわる
エッセイ集。一編が3ページと手軽に読める。
例えば、バスで一緒になった老人から高見順、そして老年についての続く文章など、どれも見事な構成。
出先に持ち歩いて読んでいたので、読んだ時の情景と共に心に残るのもいい。
そして、間もなく出る7年ぶりの(七百頁におよぶ)長編「二月のつぎに七月が」がますます楽しみに。

ー人心を疲弊させている有毒な沼気を吹きはらうためには、「君たちが元気なのがとてもうれしい」と言える視座と、身体を叩き割らずに玉を取り出す丁寧さが必要ではないか、見知らぬ人々への、明るい眼差しが欲しい。
Ella Papo/Please let me try again!
ロサンゼルスのSSW。
軽快なボサノヴァから、しっとりと聴かせるR&Bやバラードまで。
エモーショナルな声と、それぞれの曲の雰囲気を盛り立てる厚みのあるコーラスや弦、キーボード、サックスのソロが効果的
youtu.be/sz806s-QEFc?...
Scene at the table
YouTube video by Ella Papo - Topic
youtu.be
最近聴いている(デビュー作)のアルバム/EP

Yung Kai/stay with the ocean i’ll find you
バンクーバーのSSW。
ジェントルであたたかみのある声、A・ギターが刻むリズムに、E・ギターのフレーズが重なる。ときに、バンジョー、ピアノが入る。シンプルて、繊細な印象。70年代のSWを思わせるような素朴で内省的なところも魅力的。
youtu.be/IpFX2vq8HKw?...
Gia Margaret @自由学園明日館
鈴虫の、鳥、声、リズムなどの音源を流しながらの自身のピアノ(くぐもった音や明澄な音の)とヴォーカル(ときにエコーをかけての)は、奥行き深く、サウンドトラックを聴いているような様々な情景が浮かぶ。ギターを弾いての演奏、思いのほか(近作では一曲だけだった)ヴォーカルや自作の曲も聴けたのが嬉しかった。
ゴダール『シナリオ』
本編18分と自身が制作について語る36分のドキュメンタリーの二部構成。死の二年前から最後の長編として構想され、一年前に後者が撮られ、死の数日前に二部構成にするように指示し、死の前日に完成した。その事実を知り、今週の木曜日までの上映などで、なんとか見にいく。
動画、静止画のコラージュによる本編は、ドキュメンタリーを見ることで、その構想/作成についての輪郭がはっきりしてくる。
とはいえ、一番心に残るのは、いまはもういないゴダールの、咳をし、葉巻をすう姿だった。
Jakob Bro × 高田みどり@ 銕仙会能楽研修所,
銅鑼、和太鼓のソロから、ギターがループで音を重ねていく。その様を伺いつつ、マリンバ、シンバルへと移る。不意にギターの音が一瞬で止み、マリンバのソロが浮かび上がる。そして次は、ギターのフレーズの変えつつの演奏。最後は、幾つものシンバルを叩きながらフェイドアウト。そんな様々な景色を色を見せてもらった1時間20分。
静謐で、寡黙で叙情的なアルバムとは対照的な演奏に驚いた、初めての能楽堂でのライブ。
『ブラックバッグ』
妻も含めた五人の諜報部員から裏切者を見つける、その一点に絞って進む物語。
アクションはほどんとなく、会話で進行すなか、交わされる専門用語や状況についての無駄な説明はないーときに置いてけぼりになりそうにもなる、タイトな語り。
そのなかで事実が、関係が二転三転しつつ(地と図が何度も反転していくように)真相が見えてくる様に、目が離せない。
94分でまとめた洒脱でスタイリッシュな作品。
マイケル・ファスベンダーを中心的な視点として、幽玄な湖での思考/回想の美しい風景、常に冷静だが妻ヘイト・ブランシェットへの疑惑に揺れ動く感情なども見ごたえがある。
ー誰かを愛していたら本を贈る。当然のことだ。けれど次の決断ーどの本にする?は、それほど一筋縄ではいかない。問題は、ふさわしい本を選ぶのに次いで、実際に本を探し出すことだ。
ラグナ・ヘルギ・オウラフソン『父の四千冊 アイスランドのアーティストによる回想』
亡くなった父の蔵書整理の記録。本を開いたり読まずにただ処分すへきと逡巡しつつ、時間をかけていく。そのなかで、シャトーブリアン、ボルヘスなどの本について、本を贈りあったりした子どもの頃の幸福な思い出、離婚そして別居先に送りつけられた(まだ開けていない)本の入った箱などについて、想いを巡らせる。
読みながら似たような体験が想起され、物としての本とそれ以上のものとしての本ついてを考え、しみじみとした思いに。
この週末は、
マリアーナ・エンリケス/秘儀、ミハイル・ブルガーコフ/巨匠とマルガリータ、
長谷川 鑛平/ふやなり本と校正-増補新版、
フラナリー・オコナー/賢い血(ちくま文庫創刊40週記念復刊)、
蓮實重彦/日本映画のために
を入手、
メイ・シモネスの新曲”Itumo”を聴きながら、
youtu.be/mG326ucpqRM?...
モリコーネ 映画が恋した音楽家」にテイストが似ているので、こちらが気に入っておられるようでしたら是非
映画のシーンと音楽を流麗に紹介するところが良かったです。あと、ジャック・ドゥミとのエピソードも。
コメントする人は、多くででくるのですが、そうではない一瞬の映像でした。なんの説もありませんでしたが、驚きました。