icon:クリームソーダのいのち様
二筋樋を見送った後、伽羅ちゃんと執務室でふたりきりになったときの私「いやいやいやツラ良すぎるって!警察で、番犬自認があって、相棒呼びされるとか???いやちょっと供給過多っすね…………ねえ伽羅ちゃんどう思う!?」
わからせた後なので余裕のある伽羅ちゃん「あんたが好きそうな刀だと思う」
二筋樋を見送った後、伽羅ちゃんと執務室でふたりきりになったときの私「いやいやいやツラ良すぎるって!警察で、番犬自認があって、相棒呼びされるとか???いやちょっと供給過多っすね…………ねえ伽羅ちゃんどう思う!?」
わからせた後なので余裕のある伽羅ちゃん「あんたが好きそうな刀だと思う」
「ん、塩加減もいい感じだな」
「うん、ちょうどいい」
「気に入ったなら買った店教えるか?」
「お願い〜今度買いに行くわ」
そんなやりとりから始まって、万屋の新商品や最近開店したお店についての話に花が咲く。そうして会話をしているうち、茶碗に注がれた出汁を飲み切る頃には、先程までの頭の痛みは随分と和らいでいた。
「ん、塩加減もいい感じだな」
「うん、ちょうどいい」
「気に入ったなら買った店教えるか?」
「お願い〜今度買いに行くわ」
そんなやりとりから始まって、万屋の新商品や最近開店したお店についての話に花が咲く。そうして会話をしているうち、茶碗に注がれた出汁を飲み切る頃には、先程までの頭の痛みは随分と和らいでいた。
「そう、昼間は平気だったんだけどさっきからちょっとね」
「なら尚更、温かいもの腹に入れるべきだな」
お茶よりも少し金色がかった色をした液体が茶碗を満たしていく。
「之定はよ、最初からパックにされた出汁っつーのはどうにも味気ないって言うんだよな……」
「あー、歌仙ちゃんは自分で出汁の割合とか決めたい派だもんね」
「そうそう、その気持ちもわからなかねぇが、手軽なのはこっちなんだよなぁ」
わかめがひらひらと開く。崩された梅が出汁の中を舞って、さながら春の情景のようだ。
「美味しそ……」
「評判のいい店で買ってきたから、風味の良さは保証するぜ」
「そう、昼間は平気だったんだけどさっきからちょっとね」
「なら尚更、温かいもの腹に入れるべきだな」
お茶よりも少し金色がかった色をした液体が茶碗を満たしていく。
「之定はよ、最初からパックにされた出汁っつーのはどうにも味気ないって言うんだよな……」
「あー、歌仙ちゃんは自分で出汁の割合とか決めたい派だもんね」
「そうそう、その気持ちもわからなかねぇが、手軽なのはこっちなんだよなぁ」
わかめがひらひらと開く。崩された梅が出汁の中を舞って、さながら春の情景のようだ。
「美味しそ……」
「評判のいい店で買ってきたから、風味の良さは保証するぜ」
そこからは早かった。
瞬く間に成人式の話は本丸に周知され、やれ着物はどうするか、メイクはどういう感じがいいか、ヘアアレンジは、お祝膳は……と詳細が決まっていく。
そうして成人の日からそう日が空かないうちに、私は幾年越しの成人式を迎えることになったのである。
そこからは早かった。
瞬く間に成人式の話は本丸に周知され、やれ着物はどうするか、メイクはどういう感じがいいか、ヘアアレンジは、お祝膳は……と詳細が決まっていく。
そうして成人の日からそう日が空かないうちに、私は幾年越しの成人式を迎えることになったのである。
「……主の晴れ着姿、俺見たいなー」
「はい、私も見たいです」
村雲と五月雨が目をキラキラさせてこちらを見る。普段は甘えたがりで我儘なわんちゃんたちだが、同時に相手の気持ちを慮れる優しい子たちなのだ。二振りの言葉に合わせて、談話室の管理をしている鯰尾が高いところにあるポニーテールを揺らした。
「なら本丸で成人式やろうよ」
「ええ、二十歳とっくに過ぎてるのに?」
「そのくらいの年数なんて誤差!ちょっと遅くなることよりも、主に悔いが残ってることの方が俺たちにとっては問題だし」
「……主の晴れ着姿、俺見たいなー」
「はい、私も見たいです」
村雲と五月雨が目をキラキラさせてこちらを見る。普段は甘えたがりで我儘なわんちゃんたちだが、同時に相手の気持ちを慮れる優しい子たちなのだ。二振りの言葉に合わせて、談話室の管理をしている鯰尾が高いところにあるポニーテールを揺らした。
「なら本丸で成人式やろうよ」
「ええ、二十歳とっくに過ぎてるのに?」
「そのくらいの年数なんて誤差!ちょっと遅くなることよりも、主に悔いが残ってることの方が俺たちにとっては問題だし」
ぽた、ぽた、と次第に雫が落ちるまでの間が空いていく。そろそろ終わりだろう。ドリッパーを外し、役目を終えたフィルターを片付ける。淹れたてのコーヒーをそれぞれのマグカップに注ぎ、ほどよく温まっている牛乳を足す。澄んだ茶色がぐるぐると渦を巻いた白に塗りつぶされる午後9時。夜空に月明かりが溶けたら、こんな感じなのかななんて思いつつ、マドラーでくるりとかき混ぜた。
ぽた、ぽた、と次第に雫が落ちるまでの間が空いていく。そろそろ終わりだろう。ドリッパーを外し、役目を終えたフィルターを片付ける。淹れたてのコーヒーをそれぞれのマグカップに注ぎ、ほどよく温まっている牛乳を足す。澄んだ茶色がぐるぐると渦を巻いた白に塗りつぶされる午後9時。夜空に月明かりが溶けたら、こんな感じなのかななんて思いつつ、マドラーでくるりとかき混ぜた。