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世界をまたにかける幼児🍼
結果。一昔前に流行った黒ギャルとなってしまったミヨは、周りからは障碍者として距離を置かれるだけではなく、その見た目からも距離を置かれることになった。

セックスフレンドすら作れないどころか、フレンドすらまともにできないミヨの大学生活が始まってしまった。
…………
April 20, 2024 at 1:32 AM
そして、その夜のうちに荷物をまとめさせられ、次の日には実家に帰らされた。

そんな初恋を経たミヨは、凹むどころか、逆に怒りに満ちていた。元より、そう大人しい性格ではないのが幸いし、特に落ち込むことなんかは一切なかった。
志望していた大学に受かれば、早速、大学のある地域に引っ越し、そこで胃の一番に美容室に飛び込んだ。声が出ずに、見た目もあって理想を押し付けられるのなら、理想を押し付けられないような派手な見た目にすればいい。
美容師に相談して、すすめられた脱色で髪を白くした。日サロに通って、肌を黒くした。ピアスも開けて、その派手な見た目に合うような服を選んだ。
April 20, 2024 at 1:31 AM
「感じてるときの顔、白目を向くのブスだよね。顔を隠してほしいな」
頷いた。だから、顔を両腕でも、枕でも、隠すようになった。

そんな日々を過ごした、高校3年生になった年の教師の誕生日。
プレゼントを用意して、自分ですぐにセックスが出来るように準備をして、部屋も飾り付けた。
けれど、帰ってきた教師は一言、
「そういうの求めてないよ」
と言った。それから、散々にダメ出しをされて、教師の理想の彼氏像を知った。
ミヨは、自分自身が愛されていたのではなく、声が出ないことを利点に、教師の理想を押し付けられ、その理想が愛されていたということを理解する。
April 20, 2024 at 1:31 AM
「立場の差や、難しい事もあるかもしれないけれど、好きなんだ」
そう言われて、なんとなく、自分が死んだ存在ではなく、愛されて生きている人だと感じた。だから、教師の告白を受けて、一緒に暮らすようにもなって、教師にはいろいろと教えられた。
「家事をするときにはエプロンをつけてほしいな。選んできたんだ」
頷いた。だから、家事をするときはいつだってエプロンを着用するようになった。
「帰ってきたら、上着を持ってほしいな。新婚みたいでドキドキする」
頷いた。だから、毎日毎日、上着を受け取って、ハンガーに通した。
April 20, 2024 at 1:30 AM
《死人に口なし》。死んだ自分には、しゃべることができなくて、あたりまえだと思う心が、ミヨにはあった。

それからは、現代の文明の利器、スマートフォンの自動読み上げ機能を使って話すようになる。
周りから、かわいそうだとか、若いのに苦労してとか、たくさんの言葉を投げかけられた。そんなことはどうでもよくて、ただただ、自分という死んだ人間が生きているのが不思議でたまらない……そんな感覚だけを持って生きていた。
自分の意思なのか、クオの意思なのか分からないが、高校はクオの行きたいと言っていた高校に入学した。

そこで、同じ高校の国語教師の男性教諭に出会い、1年の夏休みに入る前、教師から告白された。
April 20, 2024 at 1:29 AM
顔に布をかけられ、綺麗に姿勢を整えられたクオを見て、ミヨは、まるで、そこに自分が死んでいるように感じた。同じ顔の、同じ声の、存在の死が、自分自身であるかのように錯覚してしまい、一気に恐怖やプレッシャーのストレスに見舞われたミヨは、まるで、クオを受け継いだようにその場で意識を失い、目を覚ます前に原因不明の高熱で数日間苦しんだ。
なんとか健康に戻ったミヨだったが、目を覚ましたときから、後遺症なのだろうか、声が出なくなっていた。声帯の治療も出来ない、完全な声の消滅。
周りは驚いたり、困惑するばかりだったが、ミヨはなんとなく、なんとなくだが理解していた。
April 20, 2024 at 1:29 AM
両親の職を誇りに思っていたし、両親と同じ道を歩むと決めたアコのように、体質的に同じ夢を追えないクオの期待を背負って、自分も警察官になるのだと、小さい頃から言っていた。小学校6年間の夢も、変わらず、警察官だった。
元気に駆け回って、友達も多くて、はきはきとした聞き取りやすい声で話す普通のこどもが、ミヨだったのだ。

それが変化したのは、中学に入学して、もうすぐで2年を迎えなければいけないと思い始めるような、秋。
クオの容態が急変して、急遽入院、そこから手術やいろいろな手段を使われて延命治療が行われた。けれど、そんな努力も虚しく、両親や兄弟の願いも虚しく、クオは死んだ。帰らぬ人となってしまった。
April 20, 2024 at 1:28 AM
笑って、明るく、楽しそうに生きていればいい。
そうすれば、きっと、こんな負の感情に呑まれないようにと思う必要がなくなる日が来る。
姉のように、強くなれる。弟を守れる兄になれる。
ジョーカーは、笑い顔以外を、よく覚えていない。
……
March 12, 2024 at 8:20 PM
父親の会社が傾いたのだ。社員の横領で、多額のお金を盗られていた。けれど、父親は社員をクビにせず、給料からの天引きだけで許した。限界だった。
初めて、ジョーカーは胸の内の感情を姉にだけ吐露し、助けを求めた。

そうして、ジョーカーは《社会経験のため》と《更に上の学校で学ぶため》という姉の後押しも含めた理由で両親を説得し、姉が見付けてくれたシェアハウスに入ることにした。
両親は、向上心を持っているジョーカーを誇らしいと喜んでくれたが、そんな姿にすら、ジョーカーは憎悪に似た感情しか湧かなくなっていた。
March 12, 2024 at 8:19 PM
周りの人間への嫌悪感もずっと存在していた。そうして、際限なく膨らむ負の感情に呑まれる前に、ジョーカーは笑うことにした。笑っていれば、そんな感情に気付かれることもない。それに、プラシーボ効果で、ほんとうにたのしいと思えるかもしれない、と微かに希望だって持っていた。

そんなジョーカーは小学校、中学校と注目の的で、人気者で、常に人に囲まれていた。サングラスをしていないだけで、笑っているだけで、普通に付き合えるどころか、簡単に人々の上に立てた。まるで姉に近づけたみたいで、うれしくなった。
だが、そうして抑え込んでいた苦手意識に耐えられなくなったのは高校の進路を考え始めた中学2年生。
March 12, 2024 at 8:19 PM
両親へ一度抱いた苦手意識は、年々に膨れ上がった。
両親は、宗教に熱心で、よく献金だってしていたし、ホームレスの人に簡単にお金を渡すようなお人好しだった。宗教の教えを子どもであるジョーカーたちに押し付けることはなかったが、ジョーカーにとっては、そんな両親が偽善的に映っていた。そして、無能に映っていた。
更に、姉はそんな両親を見限って自分で事業を展開し始めていた。姉は両親を反面教師にしたような存在だったからこそ、ジョーカーの憧れになったし、両親への苦手意識は比例して強くなっていく。
March 12, 2024 at 8:18 PM
ジョーカーの瞳は、弎陸五日の家系に時折生まれる反転目と呼ばれる目をしており、そのうえ、瞳孔の中に更に瞳孔が存在している異様なもの。産まれてから目を見た母親は悲鳴を上げて気絶をしたし、父親も怯えの色を見せていた。それに、幼稚園の友達にだって泣かれた。
そんな瞳をジョーカーはサングラスをすることで覆い隠し、小学校に入学してからは家族の前でさえ外さない徹底した秘匿を貫いた。
ジョーカーは小学生ながらに、周りの人間への嫌悪感と、両親への苦手意識を芽生えさせる。ただ、同じ反転目を持った従兄弟の1人と、平然と可愛がって、愛してくれる姉と弟だけは大好きだった。
March 12, 2024 at 8:16 PM
そんなロキにも、後遺症のようなものが残った。
それは、醜くなった右腕によって、自分の全てが醜く見えてしまうようになったことだった。醜形恐怖症。それが、ロキの中に芽生えていた。
そして、それを少しでもきれいに戻そうと、整形依存気味にもなってしまった。少しずつお金を貯めて、きれいに戻さないと。その恐怖心を隠して、ロキは生きている。
February 28, 2024 at 11:18 AM
そんなロキを心配した親や親戚は、高校はこの地域を出た場所にしようと勧める。幸い、親戚のひとり、ドスが一人暮らしをしていたから、そこに住まわせてもらうといい、と、ロキは手厚い保護を受けた。
けれど、そのドスに連絡をすると、とっくに一人暮らしを止めて、シェアハウスに入居していた。その話を聞いた両親たちは、周りに多くの人がいればその分ロキは安心だろうとシェアハウスに入居して、高校に通うことを勧めた。
もちろん、ロキはそれを拒否する理由もなく、承諾した。
February 28, 2024 at 11:16 AM