Atsushi KUMAKI
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Atsushi KUMAKI
@anteros.bsky.social
音声詩、企業小説、警察小説、ガジェット、最近はバンド・デシネばかり読んでる。
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『Pump』読了。前書きでこの物語がドナルド・トランプの祖父であるフレデリックの生い立ちから自由な発想で作られたと書かれている。そういわれると表紙にある主人公は似てる感じがある。この主人公が旅の途中殺された老女の甥を騙りのし上がっていく物語。
前書きで興味深かったのは、この話をwestern financierと名付けられているところだ。続刊があるし本書で主人公が銃を習っているので、いずれガンファイトなどあると思うが、本書ではお金というか財産のやり取りが問題になる。私が読んだウエスタンもののなかではかなり異色でジャンルの広がりを感じた。
December 20, 2025 at 2:05 PM
『Skinwalker』読了。ちょっと自伝ものがきつくなってきたのでウエスタンものを。落ちぶれたオペラ歌手が相続した家に行くため人を雇って旅をするというもの。道中人狼というか獣人に襲われる中、プライドの高い元オペラ歌手がだんだんみんなと協力するようになる。
どう考えても話が終わってないので、次巻の予告とかそういうのは見当たらなかったが続刊があるだろう。ウエスタンものとしてあまりないなと思ったのは、砂漠のシーンが全くなかったことだ。冬で雪深いところが舞台だったのだが、いままでそういう作品に出会ったことなかったので興味深かった。
December 20, 2025 at 1:52 PM
『Cruelle』読了。作者はほかにもたくさん描いているが、自伝の三部作があり、それがわりと主著として知られている。この作品はその一作目。作者は幼少期にブエノスアイレスで暮らしていて、そこからフランスに移住することになるが、その頃を描いたもの。
三部作といっても時間的に連続しているのではなく、同じ時期を異なる視点から描いているらしい。それにしてもこの一作目はなんというか、ひどい。作品的に劣っているということではなく、とにかく動物を殺しまくる。よく見たら表紙から想像できたわけだが、全然気づかずにわりとショックだった。
December 20, 2025 at 1:35 PM
『Là où tu vas』読了。ダヴォドーの新作。意見は分かれるかもしれないが、広い意味(Lejeune的でない意味)での自伝的作品と言えるのではないだろうか。連れ合いの方が訪問介護をやっていて、それを取材した作品。
自伝的作品とみた場合に興味深いのは、作品にするために取材して、その取材を描いているのだから当然ある種のメタ構造、というか作品を描くことについて語ることになる。こういったことがみられるようになるのは90年代後半くらいだと思うのだが、それを早い時期から現在にいたるまでずうっとやり続けているのがダヴォドーなのかなと思っている。
December 15, 2025 at 8:57 AM
『Voyage aux îles de la désolation』読了。荒れ果てた島々への旅、という感じだろうか。インド洋南極大陸付近のフランス領TAAFへルパージュが行ったときのルポルタージュ。最近この続編ともいえる新作が出たので予習。
何よりも色の使い方が素晴らしい。基本はモノクロームで、いざというときにカラーで訴える、という感じ。ペンギンがたくさんのシーンなんかが圧巻。写真のシーンも海の感じが屋内の白黒とのコントラストで鮮やかな感じ。最新作も楽しみ。
December 15, 2025 at 8:45 AM
Amazonのサイトにベルギー版があるの知らなかった。しかしKindleは対応してなさそう…。
December 15, 2025 at 8:09 AM
『Shenzhen』読了。よく考えたらDelisle作品は初めてだったりする。アニメーターとして深圳に滞在した時の話。この人はいろんなところに行っていてそれぞれエルサレムやミャンマー、平壌などに行ったのは作品化されているが、どうやらレユニオン島にも行っているらしく、こちらも作品化してほしい。
作者がケベックの人らしく、crissとかmardeとか見たことのない表現があり、バンド・デシネ読むならこういった表現も勉強しないとなと思った。写真のページは止まっているホテルに隠しカメラがつけられたところのシーンだが、これはちょっと怖い…。
December 13, 2025 at 10:21 AM
『J'ai vu les soucoupes』読了。タイトルはエルトン・ジョンの曲のタイトルの仏訳らしい。アルバム持っているはずだが知らんかった…。作者は10代のころUFOにはまったらしく、その頃の話にいわゆるufologie(UFO学)の歴史とかを組み込んだ作品。
どうやらころ中で描いたらしく、話はUFO学から陰謀論の話につながる。自伝的作品というと病気ものが結構あって、その場合ある程度直った後で作品が書かれることが多いが、これもある種の病気という感じなのだろうか、結果的にUFOから距離をとったかたちになる。
December 13, 2025 at 10:13 AM
『ペルセポリス』翻訳版全巻読了。自伝的作品といえばこれでしょう、ということで。今回の賞レースにも出てきた『Les Lignes qui tracent mon corps』もそうだが、イランが関係しているバンド・デシネは結構多いのかなと思うが、サトラピはその嚆矢なのだろうか。
序文にダヴィッド・Bが書いていることもあり、縁が深いのだろうか、絵柄がかなり似ている。このドラッグやっていっちゃってる表情が素晴らしい。彼女の作品ではアングレームで賞をとった作品も入手済みなのでいずれ読むと思う。
December 13, 2025 at 9:53 AM
『Journal』読了。自伝的バンド・デシネということでは一番重要なのではないかという気がしている。全部で4巻あるが、今回読んだのは1・2巻合本版。まあ元も子もないことを言うと、付き合っている人に振られてもう会いたくないとか言われる話。
初出は1996年だが、そもそもこれまでリアリスティックな画風での自伝的作品ってほとんどなかったのではないかなと思う。こういうところからルポルタージュ的かつ自伝的なダヴォドーのような作品が生まれる土壌ができたのかなと。
December 13, 2025 at 9:44 AM
『Approximativement』読了。ダヴォドーの『ワイン知らず、マンガ知らず』に出てくる『おおよそのところ』のことだと思う。作者トロンダイムといえば鳥みたいなキャラで自分を描いている印象があるが、本作もそういう感じで描かれた自伝的作品。
自分の中のいろんな性格の人と対話をするシーンで口からもう一人の自分を出すシーンが結構印象に残った。この人もMenuと同様ウバポの中心人物だと思うが、当然Menuも作品に登場するのだが、途中まで全く気付かなかった。ボーダーの人がそれで、確かMenuの作品でも同じ服着てたので気づいた。ボーダー好きなのか。
December 13, 2025 at 9:32 AM
『Livret phamille』読了。作者のJean-Christophe Menuはバンド・デシネ版ウリポのウバポ(OuBaPo)の中心人物といっていいのではないだろうか。本書は十話くらいの短い話がまとめられたもの。基本的に家族の話だが、旅行に行ったり妻の妊娠中の話だったり。
なにより字が読みにくい…。読み通すのにすごく難儀した。最初はaとoの区別がつかなかったが、だんだん字の癖がわかるようにはなった。字体の多様さはバンド・デシネの魅力の一つだが、これはしんどい…。
December 13, 2025 at 9:01 AM
『Le Village』読了。ちょっと趣向を変えて最新の作品を読んでみた。Franck Thilliez原作ということだが、小説のBD化というのではなく、BDオリジナル。Fred Vargasもそうだが、売れっ子小説家がバンド・デシネ原作をやるという例は結構ある気がする。
海辺に数十人の死体が発見される、というかなり派手な感じで始まるが、読んでみるとThilliezとは思えない展開で、ちょっとビビったが、どうやらもう一人の原作者であるNiko Tackianによるものっぽい。
December 13, 2025 at 8:42 AM
『Marion』読了。『L'Institution』の作者と同じChristiphe Binetの作画で、シナリオはMarion Laratという人で、この人の名前がタイトルに。経口避妊薬のために脳卒中になった女性で彼女と文通を続けていたBinetと共作でBDを作る、という話に。
彼女自身の言葉は色を変えた字で書いてあって、その部分で自伝と言えなくはないが、(Lejeune的な意味ではなく)一般的な意味で自伝と言えるのか、というのはちょっと難しいが、バンド・デシネ特有の例なのかなと。
December 13, 2025 at 8:34 AM
『L'Institution』読了。だいぶ前だったの忘れかけているが、1981年の作品で自伝ものとしてはかなり初期のものではないだろうか。タイトルは宗教系の寄宿学校ということだろうか。作者の少年時代の寄宿学校での出来事を語ったお話し。
時代なのかお国柄なのか、わりときつい感じが多かった。その中でもびっくりしたのが、汲み取り式のトイレになっているのかトイレの下に声ダメみたいなところがあってそこに忍び込んで用を足そうとした人を驚かすといったもの。普通に引くんですけど…。
December 13, 2025 at 8:08 AM
『Un Printemps à Tchernobyl』読了。これは確か翻訳があったと思うが原書で読んだ。これも最近発売されたルパージュの新作への予習をかねて。チェルノブイリでの取材の過程を描いたルポルタージュ的な作品。
最初はモノクロ的な作品かなと思って読み進めると徐々にカラーが多くなって、そのせいかそのコントラストが非常に印象的に残る。この過程と作者がチェルノブイリおよびその周辺に住む人々との関係の鮮明化が並行している感じが面白かった。
December 1, 2025 at 9:35 AM
『Un père』読了。分厚い。350ページくらいか。タイトル通り作者の父親を中心に描かれた自伝的作品。この作者はある時期から自伝的作品を集中的に書くようになって、この作品は最新だが、それまでにいくつか描いていて、この作品のなかでも過去作への言及があった。
わりと驚いたのは父親に対する愛憎の後者の部分をかなりはっきりと書いているところで、端的に言うと殺したい的な感じ。こういってはなんだが、ある種好感は持てた。長い話だが読み続けることができたのはそういったところもあったと思う。
December 1, 2025 at 9:24 AM
『Comme un chef』読了。もう一人のペータースことブノワ・ペータースの自伝的物語。特に料理とのかかわりで。興味深いのはこの方原作者なので当然作画は違う方がしているのだが、それで「自伝」と言えるのだろうか…。でも探してみるとこういうの結構多かったりする。
そもそも彼がこんなに料理ガチ勢だったことを知らなかった。普通に料理人になってたかもしれないレベル。それはそうと面白かったのは写真にあるように指導教員のロラン・バルトを家に招待した時のシーンで、バルトのお気に召さなかったらしく「お、おう…」的なリアクションをしている。
December 1, 2025 at 9:16 AM
『Une insatiable envie de douceur』読了。甘いものへの飽くなき欲求という感じだろうか。その名の通り甘いものをめぐっての取材の成果。作者の経歴が面白くて、研究者だったけどバンド・デシネが出したくて出した人のよう。いわゆるサイエンス・コミュニケーター。
普通に勉強になるし、ご自身がてんかん症状で薬に依存的なこともあって、では甘いものへの依存は? という問いから出発する感じも面白かった。それと作者自身が登場するのだが、自分の造形と実際の取材先の研究者等の造形がやや異なることが気になった。後者がよりリアリスティックになっている感じ。
December 1, 2025 at 9:09 AM
『青い薬』読了。こちらも翻訳。作者の彼女とその連れ後の男の子がHIVポジティブだったということで、その後の顛末を描いた自伝的作品。今とかつてで当該の病気に対する受け止め方はだいぶ違うから、今だったらどういう話になっていたのだろうと思うが、当時はやはり大変だっただろうな。
白黒ということもあって、何というかアフタヌーンとかに載っていそうな絵柄。非常に読みやすかった。やはり翻訳者の原さんにとってはマンガに近いという感じで翻訳されたのだろうか。
December 1, 2025 at 8:58 AM
『大発作』読了。今回は翻訳で。ありがたい。ダヴィッド・Bは今年新作が出たのでその予習として。てんかん発作を繰り返す兄に振り回される作者の自伝的作品。バンド・デシネを読み始めて脳卒中とてんかんはわりとあつかわれることが多いテーマだが、とくに後者は自伝的な話によく出てくる印象。
作者のもともとの画風なのだろうけど、いきなりリアリスティックではない幻想的ともいえるコマが急に出てくるのが印象的だった。あと桜沢如一の名前が急に出てきたのもびっくりした。そういえばフランスにいたんだっけ。
December 1, 2025 at 8:46 AM
『Une Obsession』読了。こちらは今年の賞レースにもノミネートされていたと思う。作者が自分の性的欲求を過去を振り返ることでその根源を問うという自伝的作品。
いくら何でもセックスのことばかりだろ…と思ってたら、終盤でこのページで、ぐうの音も出なかった…。自伝であろうと何だろうと物語は選択によって成り立っていて、一冊の本が一つの人生になることはない、という感じ。
November 27, 2025 at 1:21 PM
『Couma acò』読了。突然古いものだが、必要があって。アングレームの現在のFauve d'Orに相当する賞を1992年にとったとのこと。作者の祖父のことを語ったある意味で自伝的な物語。南仏の方言なのかおじいちゃんが何言っているかあまり分からなかった。
ちょっと面白かったのは子供の頃を語りながら急に執筆当時の湾岸戦争のコマとかが出てきて、急に語り手の実在のようなものを喚起してきたところだ。一瞬わかんなくって二度見してしまった。
November 27, 2025 at 1:12 PM
『Immatériel』読了。これはよかった。暑くて裸で暮らしていた人が孤独死して、その人の部屋に特殊清掃の人が住み込んで…という謎の話。特に最初の方はその死んだ人が自分が死んだと思ってなくて何勝手に住んでんだ的なことを言っているので、それがimmatérielなのだろう。
何より色遣いが素晴らしい。ムラのない単色が使われているが、リーニュ・クレールとは全く違う。視線誘導にも使われているし、白黒のページとのコントラストも面白い。この作者はほかにもいろいろ描いているらしいのでちょっと気にかけておこう。
November 27, 2025 at 12:51 PM
『La Semaine où je ne suis pas morte』読了。タイトルがネタバレになっている。なんか漠然とした悩みを抱えていて、小説を書いている(たぶん女子高生)が主人公の物語。森の中をさまよっていたら同級生の男子とばったり会ったが彼は何もしゃべらず彼女を描き続ける。
わりとシンプルというかあまりリアリスティックな造形ではないキャラだが、そのことによって主人公がフクロウになぞらえられるシーンに違和感がなくわりとストーリーにあってるなと感じた。
November 24, 2025 at 1:45 AM