定時に帰れそうだ。あとは経理にメール打って、発注かけたら終わり。今日は帰って何しようか。映画観るのもいいかもしれない、いつも通りのんびり動画観るのもいいかだろうし。
「ヤス、ここ間違えてるぞ」
背中側から、毛むくじゃらの太い指が伸びてくる。モニターに映るメールの文面、確かに誤字ってるなぁ。
ありがとう、と目配せをする。大柄な獅子、立派な鬣を頭の後ろで縛っている。逞しい体つきは、作務衣に包まれて胸なんかは少し覗けてしまう。。堀の深い顔で琥珀色の瞳がきれいだ。いつ見ても、シュウはかっこいいな。
定時に帰れそうだ。あとは経理にメール打って、発注かけたら終わり。今日は帰って何しようか。映画観るのもいいかもしれない、いつも通りのんびり動画観るのもいいかだろうし。
「ヤス、ここ間違えてるぞ」
背中側から、毛むくじゃらの太い指が伸びてくる。モニターに映るメールの文面、確かに誤字ってるなぁ。
ありがとう、と目配せをする。大柄な獅子、立派な鬣を頭の後ろで縛っている。逞しい体つきは、作務衣に包まれて胸なんかは少し覗けてしまう。。堀の深い顔で琥珀色の瞳がきれいだ。いつ見ても、シュウはかっこいいな。
活字でしか得られない栄養素、それも上質なもの。
ありがとうございます。
「おーい」
誰かの声がする。頭がはっきりしない。熱中症で倒れたときみたいに、上手く頭が回らない。
「しっかりしろぃ、兄ちゃん」
「えっ……あー」
ぼやける視界が、一人の男性を捉えた。堀の深い、虎男。見覚えがある気がする。
改めて辺りを見渡す。今は昼、そしてここは、駅に向かう歩道のようで。僕はここでぶっ倒れてたんだろうか。
「えっと、すみません」
「大丈夫か?随分ぼーっとしてたみてぇだが」
「はい、何がなんだか、ですけど」
「あー。兄ちゃんやっぱ覚えてないのか」
「覚えてないって、何がです?」
「オレたちゃあ、死んだんだよ」
活字でしか得られない栄養素、それも上質なもの。
ありがとうございます。