うた
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うた
@dgrutasann.bsky.social
好きな本と日常と。
「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」シーグリッド・ヌーネス 著 桑原洋子 訳 #読了

女友達に死を看取ることを頼まれたらどう返事をするだろうか。問われるかのように静かな語り口にて内省的に綴られる生と死の在り方。人の声のみが響く。
リーンインフェミニズムを想起させる階級での反出生主義的な呼応には辟易するが家族環境を鑑みれば死を前にした人間みな同等か。多用される文芸作品を追うのも楽しそうだ。

映画ではどこに焦点を合わせるのか、ティルダ様に期待したい。
January 29, 2025 at 5:29 AM
「ビジネス化する性暴力」キム・ボファ 著 影本剛 訳 #読了

出生率が日本より低い韓国。日本と同様の家父長制社会での女性の立場は双子の様。性暴力を政治的フェミニズムで解体し被害者の声を取り上げる一冊。終盤にたたみかけるフェミ哲学とケアは前を向く熱さ。とても勉強になる。

民主政治の公共領域が弱くなると司法が強くなり(社会問題が政治的やり方で解決不可の場合、法に期待する傾向が台頭する)、性暴力もまたネオリベラリズム社会では再私的化され政治的論争の対象から個別化された法的課題へと移動していく…ここを焦点に被害者の声を引き反対分析する後半は圧巻。
January 28, 2025 at 5:42 AM
「宝を集めるひと」ベッシー・ヘッド 著 横山仁美 訳 #読了

南アフリカに生まれ亡命後は一度も帰郷叶わず亡くなった著者。男尊女卑以下の女性の苦難を淡々と描く一編。短いながらも妙に心に残る。長編を是非読んでみたい。
同人誌って単行本を凌ぐ鋭さで刺してくる作品が多くて侮れないのだよね。
January 28, 2025 at 5:33 AM
「おだまり、ローズ」ロジーナ・ハリソン 著 新井潤美 監修、新井雅代 訳 #読了

英国初の女性下院議員となった子爵夫人に仕えたお付きメイドがその35年間を詳細に綴った回顧録。傍若無人で型破りなレディと丁々発止とやり合い階級を越えた関係を築いていく。レディの口癖である表題がもう優勝。終盤ウルっときます。

貴族階級に仕える各使用人の仕事ぶりや各国王室から著名人との膨大なエピソードを詳に語り歴史資料として値千金、大変素晴らしい側面を持つ読み物でもある。1900年代の貴族階級を描きたい創作者は是非本書にあたるべき。「日の名残り」と「ダウントンアビー」好きは是非読んでみて。
January 22, 2025 at 11:48 AM
「美は傷」エカ・クルニアワン 著 太田りべか 訳 #読了

一家三世代の女性たちを軸に、オランダ植民地時代から日本軍の占領、独立闘争を経て建国となった百年あまりを描く奇想天外な物語。「百年の孤独」インドネシア版といった風。もうね、書き出しから面白いのよ。

インドネシアという国の歴史や性質などを皮肉っぽくもユーモア溢れる描きっぷりで伏線もしっかり回収する構成の巧さよ。
全編男性性の特徴に満ち満ち、ホモソーシャルな世界観は感心するくらいお下品。女性に主体性を持たせないということの答えは見つけられなかったがこの表題が鍵かもしれない。堪能しました。
January 17, 2025 at 9:51 AM
「森の人々」ハニヤ・ヤナギハラ 著 山田美明 訳 #読了

たとえば史実を下敷きにしたとしてもこの物語の様な擬態、変態をするとは思いもつかない、クリスティがミステリで驚かせたような衝撃を孕んでいる。奇想天外な構成とまさかの帰結は興奮を呼ぶもの。
未開の土地の原住民の調査で不死を発見した主たる人物はその研究でノーベル賞を獲るが現地から連れ帰った子どもたちへの性虐待で逮捕起訴された。無実を訴える彼は自伝を書く、それが本書。散見される注釈も本文という、緻密に構成された創作世界は圧巻。傲慢を読む、大変面白かった。
January 14, 2025 at 12:47 PM
「夜の底を歩く」レイラ・モトリー 著 井上里 訳 #読了

あまりのリアリティに衝撃を受ける。有色人種差別、ジェンダー、公権力からの性虐待など様々な要素を描く今作。かつて娘だった母の叫びの件は鳥肌モノ。私たちは、とりわけ女たちは何のルールに則って生きているのだろうか。この本凄い。

前半部は辛いの連続だが実はこれは現実そのままなんだな。母娘関係の輪廻の如き人生とは、家族とはなにか。物語の終わりがとても良くて人生の哀しさを愛おしむ。
これは読む「LAW & ORDER」、著者あとがきまでが本文です。
January 11, 2025 at 12:02 AM
January 5, 2025 at 1:27 AM
Merry Christmas🎄
December 25, 2024 at 1:36 AM
「わたしはドナーを選んでママになる」ヴァレリー・バウマン 著 佐藤満里子 訳 #読了

ジャーナリストの著者が正規の精子バンクではなく非正規コミュニティで精子提供者を探す、その紆余曲折と体験者や子供たちの実情など生殖産業のリアルを語るルポルタージュ。驚愕。ここから議論を始めたい凄い本。
December 20, 2024 at 10:15 AM
「MAGGIE PIE」吉田育未 訳・著 
パイとマギーとマグバイのZine
Volume 1: The First Batch
#読了

翻訳者としてのお顔は知っておりましたが、やはり名訳文の書き手は物語も見事。
スタートの「マギーとの出会い」の現実と幻想の交差は仄暗い詩の様。「聖なる証」風ゴシックホラーも感じる。
ガザの詩の翻訳もまたいい。吉田氏訳の詩はとても客観に感じるのに読みながら私はガザの死体と同化する。
各編には何がしかの表象があり、読み手の人生を照射しながらマギーとは誰かという序盤の問いを解すラストの質疑応答へ繋がる。自己開示に辟易する私はおそらくマギーを見知っている。
December 14, 2024 at 2:19 PM
「ダイヤモンドの目覚め」
イローナ・アンドルーズ 著
仁嶋いずる 訳 #読了

ネバダ編三部作の後に位置する短編がやっと翻訳され嬉しい楽しい面白いの一気読み。原書で読んでいたが和訳の分かりやすさに感動。原書に追いつきこれで既刊全て翻訳されました。残るあと一人、著者もまだ未着手の三姉妹の末っ子ちゃんの物語を切に希望いたします。
December 12, 2024 at 12:37 PM
「世界の性と売買の歴史」ケイト・リスター 著 風早さとみ 訳 #読了

かつて性行為もその奉仕者も神聖視されていたがその行為は恥だとみなす文化へと変化。どのように変わったのか、性売買の歴史を遡って探る一冊。性関連の画像も多用し各国の性売買の時代背景を詳細に映す。面白くて一気読み。

「セックスワークの歴史とは、規制と搾取、そして権力者たちがセックスワーカーのために己で制定した権利に目をつぶってきた歴史だ。」
と当事者自身の声が欠けている点を指摘。
同性愛の性売買についても詳しく、同性愛嫌悪から性風俗産業が合法化されたなど偏見に対しても明記があり信用できる内容。
December 6, 2024 at 3:44 PM
「おきざり
にした
悲しみは」

原田宗典 著 #読了

思ったような生き方はできないが、隣にいる弱者を助け、我が家族を遠くから思う。理不尽もあり小さな幸せもあり、身近にありそうな話だが昭和をそこに感じるのは郷愁か。お母さん泣かすわあ。ほっこりと丸くおさまる物語が必要な時がありますよね。
December 4, 2024 at 11:51 AM
「鹽津城(しおつき)」飛浩隆 著 #読了

2022年の文藝秋季号にて表題作を読み衝撃を受けてから早2年、やっと短編集として読むことができた。もう素晴らしいのなんの。これまで感想には傑作という言葉は避けてきたが、いよいよ使う時が来たようである。SFで文学でロマンチックさえ感じる傑作、最高。
December 3, 2024 at 10:14 AM
「友近の思い立ったらひとり旅」友近 著 #読了

もうね、おっかしいの。一番好きなものが硫黄泉の匂いと五社英雄作品という姐さんは仕事の合間をぬって温泉へと列車でGO。温泉旅館に露天風呂やお料理、温泉街の様子に美味しいお店まで網羅。妄想の花魁道中で街並みを歩く友近姐さん最高。

とにかく表現が上手い。温泉質やお料理の生き生きとした描写と頻繁に入るユーモア溢れる文章が本当にお見事で温泉行きたくなるなる。いっぱいマークしました。
小さなことも見逃さず必ずどこか褒めていて友近姐さんの好感度益々アップです。
November 28, 2024 at 11:09 AM
「翻訳する女たち」
(中村妙子・深町眞理子・小尾芙佐・松岡享子)大橋由香子 著 #読了

副題にある女性翻訳者の道を作った四名の人生を紐解く第一部と、女性が女性を訳す困難に挑む翻訳者たちの第二部の構成。
"虎に翼"翻訳者版といった風。引き上げ背中を押した男性たちの名も一流であった。

私がクリスティにはまったのは中村訳のミス・マープルからだった。深町訳「ホームズ・シリーズ」、小尾訳といえば「アルジャーノンに花束を」。松岡訳の「しろいうさぎとくろいうさぎ」は今も大切にとってある。
先達の仕事が道を作り、いま読者が違和感のない翻訳を楽しめることを深く感謝したい。
November 27, 2024 at 1:50 PM
「フィフティ・ピープル」新版
チョン・セラン 著 斎藤真理子 訳 #読了

現在の社会に表現を合わせる修正はあれど初読の薄まった記憶を復元しつつ懐かしく読む。再読というより同窓会に参加しているようだった。
シュークリーム教授、また会えて嬉しいです。飛び石理論忘れてないですよ。

ある病院を中心地として交錯する人々をリレー方式でつなぐ連作短編集。実在事件なども下敷に細かく交差させる人間模様は見事で、日々の寂しさ辛さも身近に感じる。エンドロールのようなラストも印象深く、新訳解説は理解の助けとなるだろう。やはり素晴らしい短編集だと再確認した。
November 22, 2024 at 8:48 AM
「命はフカにくれてやる」
田畑あきら子のしろい絵
駒村吉重 著

司書で画家で詩人であるあきら子を開放する一冊。彼女を遺そうとする関係者の尽力があきら子の人生を表しているかのようだ。
November 16, 2024 at 4:29 AM
「庭に埋めたものは
掘り起こさなければならない」
齋藤美衣 著

胸にグッとくる。読んだ自分を褒めたいくらい良かった。
November 16, 2024 at 4:20 AM
「限界から始まる、
人生の
紆余曲折について」
November 16, 2024 at 4:14 AM
「ちくま」斎藤先生が永瀬清子に触れ姿勢を正し読む。岸本さんのエッセイは相変わらず爆笑す。最高か。
November 16, 2024 at 4:12 AM
「パミョ」
November 16, 2024 at 4:04 AM