夕食後、テレビを見ていると箱から出した手だけで恋人を当てるというゲームをやっていた。
その正解率の低さにこんなものかと思っていれば、隣で見ていた希が「えりちの手なら目隠ししててもわかるで」なんて言うから、驚くと共に嬉しくなって。
「手だけでも?」
「十分やろ」
自信ありげに返す希曰く、感触や温度、それに指の節の長さや爪の形など、「私」だと判別する要素は沢山あると。
「記憶力がいいのね」
そう感心すると「えりちのだけな」と横向けた顔から見える耳朶が赤く染まっていて。
彼女がどうやってその記憶を刻み付けたのかを検証すべく、まずはその両頬を包みにかかった。
夕食後、テレビを見ていると箱から出した手だけで恋人を当てるというゲームをやっていた。
その正解率の低さにこんなものかと思っていれば、隣で見ていた希が「えりちの手なら目隠ししててもわかるで」なんて言うから、驚くと共に嬉しくなって。
「手だけでも?」
「十分やろ」
自信ありげに返す希曰く、感触や温度、それに指の節の長さや爪の形など、「私」だと判別する要素は沢山あると。
「記憶力がいいのね」
そう感心すると「えりちのだけな」と横向けた顔から見える耳朶が赤く染まっていて。
彼女がどうやってその記憶を刻み付けたのかを検証すべく、まずはその両頬を包みにかかった。
30本溜まったのでアップ。
X(旧ツイッター)とBlueskyに載せていたSSです。大体140字と300字ですが、たまに書き足してます。
30本溜まったのでアップ。
X(旧ツイッター)とBlueskyに載せていたSSです。大体140字と300字ですが、たまに書き足してます。
毎年互いの衣装を選んで送り合うのだけど、袋の中は真っ白なシーツのみで。
これだけ?と首を傾げれば「おばけだもの」とあっさり返す彼女にそのままベッドへ押し倒された。
被ったばかりのそれを手早く剥ぎ取る絵里の頭上には私が選んだ狼の耳。
首のファーとお揃いの尻尾が妙に似合って見えるのは、剣呑な光を宿した瞳のせいか。
「まさか脱がせやすいからやないよね?」
「希こそ毎年猛獣類なのは襲って欲しいからじゃないの?」
偽物の牙を覗かせ笑う狼の首を生身のおばけが引き寄せる。
「さあ?どうやろ」
そうして来年は豹にしようと思いつつ、答え代わりのキスをした。
今年もかわいいのぞえりを見せてくださってありがとうございます!🥰🎃🦊👻🥰🍬🍬🍬
今年もかわいいのぞえりを見せてくださってありがとうございます!🥰🎃🦊👻🥰🍬🍬🍬
食事の後、分厚い本を読み進める彼女の隣で私も本を読むのが最近の寛ぎタイム。
いつもはお喋りな彼女が静かに文字を追う様は少し新鮮で、魅力的で。
そして、彼女を夢中にさせる本に少しだけ嫉妬を覚える。
『それ面白い?』『私より?』
そんな幼稚な文句を脳内で呟きつつ頁を捲っていれば、隣から感じる視線に顔を上げると、本に没頭していた知的な翡翠が真っ直ぐこちらを見ていて。
その眼差しにどきりとしつつ「なぁに?」と聞けば、「なぁんでも」と返る柔らかい声。
交わる視線と、頁を捲る音の代わりに軽く響きだすリップ音。
ほら、秋は読書だけでなく夜更かしをするのにも最適だ。
「もうちょっとね」
そう返すと待ちきれない様子でお茶の準備を始める姿にまた笑みがこみ上げた。
焼き芋を利用したそれは、我が家定番の秋のお菓子だ。
最初は高校生の頃、神社で希が焼いたお芋の余りを使って作ったのだけど。バイトを辞めた後もシーズンになると希が頻繁に買ってくるので自然と作るようになった。
「えりち天才」
そうして出来上がったそれを頬張り、あの頃と同じ顔で喜ぶ彼女へ「大袈裟ね」と返しつつ私も一口噛り付く。
これも確かに美味しいし、懐かしい味だけど。
あの時希が食べさせてくれた素朴なお芋の味にはきっと一生届かない。
何回眺めても早く進む訳でもないのにそうしてしまうのは、もうじき私の誕生日になるからだ。
去年までは電話で日付が変わると同時にお祝いを言ってくれていたけど、今年の夏から一緒に住むようになって初めての誕生日だから色々考えているのだろう。
それにしたって。
「希、落ち着かなさすぎ」
「ええの!」
あまりのそわそわ具合に思わず笑ってしまえば、真剣な顔で言い返されて。
その可愛さに耐えきれず、零時と同時に抱きしめた。
結果、お祝いの言葉は口移しとなったけど。
最初に貰ったプレゼントが彼女なら、それ以上のものはない。
そうして私の心配をよそに、数日後やっぱりふらっと帰ってくる。
どこか遠い街に行ってくる事もあれば、近くのカフェで時間を潰している事も。
それが希にとって必要な時間なのは理解しているつもりだけど、やっぱり数日いなくなるのは心配で。
希からそんな気配を感じると、進んで気分転換の旅行を企画するようになった。
「次はどこにする?」
そんな風に私が強引に付いていくうち、自然と出奔癖も収まったけど。カフェでの時間は邪魔しないと決めている。
だってこの先一生一緒にいるのだから、人生そのものが既に二人旅のようなものでしょう。