夢の中の俺はどういう訳か左腕がない。現れるシーンによって左手があるが、それは義手で鋼の掌だった。あったりなかったりする左手とは逆に必ず聞こえる声がある。どこかの草原の丘、どこかの瓦礫の山、どこかの街の中。いつも俺の名を呼んでくれる女の子の声。いつも呼ばれる度に救われた気持ちになる。呼ばれて顔を上げるが、顔が思い出せない。
待ってくれ。今行くから…!
夢はいつもそこで途切れてしまう。
左腕の義手、俺を呼ぶ声、触れてくれる手、思い出せない顔
どうせ夢で現実に探そうとしてもそれは無理。冷たい空気を感じながら煙草を吐くまでそう思ってた。切羽詰まった声で通話してる彼女の声を聞くまでは
夢の中の俺はどういう訳か左腕がない。現れるシーンによって左手があるが、それは義手で鋼の掌だった。あったりなかったりする左手とは逆に必ず聞こえる声がある。どこかの草原の丘、どこかの瓦礫の山、どこかの街の中。いつも俺の名を呼んでくれる女の子の声。いつも呼ばれる度に救われた気持ちになる。呼ばれて顔を上げるが、顔が思い出せない。
待ってくれ。今行くから…!
夢はいつもそこで途切れてしまう。
左腕の義手、俺を呼ぶ声、触れてくれる手、思い出せない顔
どうせ夢で現実に探そうとしてもそれは無理。冷たい空気を感じながら煙草を吐くまでそう思ってた。切羽詰まった声で通話してる彼女の声を聞くまでは
プレイボーイと噂をきいて、それなら興味が削がれる─ もう纏わりついてこない─ようにやる気のない服装で向かうことにした。ブラックのニット、ホワイトワイドデニムにブラウンのスニーカー。デートをするには味気ない。我ながら色味がない。
当日、目の前に現れた彼は、私をみて「私服はカジュアルなんだな。すごく好きだ」なんて言って面の良い顔でふにゃりと微笑み、一輪包まれた花を差し出した。別に褒められたからじゃない。服装を褒められた事が多くないから少しだけ嬉しかっただけだ
プレイボーイと噂をきいて、それなら興味が削がれる─ もう纏わりついてこない─ようにやる気のない服装で向かうことにした。ブラックのニット、ホワイトワイドデニムにブラウンのスニーカー。デートをするには味気ない。我ながら色味がない。
当日、目の前に現れた彼は、私をみて「私服はカジュアルなんだな。すごく好きだ」なんて言って面の良い顔でふにゃりと微笑み、一輪包まれた花を差し出した。別に褒められたからじゃない。服装を褒められた事が多くないから少しだけ嬉しかっただけだ
「行った。帰ってそのまま寝てたよ」
「寝てろ」
「トイレくらい行くんですー」
「…熱は?」
「そこまでない」
「どれ、確かに」
「んふふ冷たいあったかいが半分こ」
「全く…他は?」
「まあ少し寒気がするくらい」
「どこだ?どこが寒い?」
「腰?」
「そうか、もう横になれ」
「ああーはいはい」
「行った。帰ってそのまま寝てたよ」
「寝てろ」
「トイレくらい行くんですー」
「…熱は?」
「そこまでない」
「どれ、確かに」
「んふふ冷たいあったかいが半分こ」
「全く…他は?」
「まあ少し寒気がするくらい」
「どこだ?どこが寒い?」
「腰?」
「そうか、もう横になれ」
「ああーはいはい」
昔はそういえば女の子は喜んだ。勿論嘘じゃない。まぁウケが良かったんだ。
でも今、あの頃より随分いや、かなり時代は変わった。勿論時代のせいではないことは分かってる。
「俺は、お前に出会う為に生きてきたんだ」
本当にそう思ってる。嘘なんて微塵もない。それくらい彼女が心の底から愛おしい。なのに、
「いい?バッキーはこれからまた色んな人に会って、別れて、泣いて笑って怒ってまた笑って。その為に生きてきたんだよ」
私のためなんて大袈裟大袈裟!と戯けて笑う。
ああ、どうしたら俺の気持ちが伝わるのだろう。彼女の肩を掴んで違うと叫びたくなる。嬉しいのに、苦しくて堪らない
昔はそういえば女の子は喜んだ。勿論嘘じゃない。まぁウケが良かったんだ。
でも今、あの頃より随分いや、かなり時代は変わった。勿論時代のせいではないことは分かってる。
「俺は、お前に出会う為に生きてきたんだ」
本当にそう思ってる。嘘なんて微塵もない。それくらい彼女が心の底から愛おしい。なのに、
「いい?バッキーはこれからまた色んな人に会って、別れて、泣いて笑って怒ってまた笑って。その為に生きてきたんだよ」
私のためなんて大袈裟大袈裟!と戯けて笑う。
ああ、どうしたら俺の気持ちが伝わるのだろう。彼女の肩を掴んで違うと叫びたくなる。嬉しいのに、苦しくて堪らない
バッキーに毎年一番に誕生日祝いたいって言われてすごく恥ずかしいけど嬉しかったの。ありがとう、って返したらその、あれは絶対…指輪のケース。多分。でももしそう見せかけて開けたら爆弾の起爆スイッチ的なオチだったかもしれない。あの後すぐ敵襲があってお互いチームで散り散りになったし、結局ちゃんと返事返せてないし、勘違いかもしれない。でももし違ったら本当にプロポーズだったら…?
うわああどうしようサム!
バッキーに毎年一番に誕生日祝いたいって言われてすごく恥ずかしいけど嬉しかったの。ありがとう、って返したらその、あれは絶対…指輪のケース。多分。でももしそう見せかけて開けたら爆弾の起爆スイッチ的なオチだったかもしれない。あの後すぐ敵襲があってお互いチームで散り散りになったし、結局ちゃんと返事返せてないし、勘違いかもしれない。でももし違ったら本当にプロポーズだったら…?
うわああどうしようサム!
上目遣いで小首を傾げて見つめる。割とこれが通用する。使えなかったことは少ない。なのに
「ダメ」
彼女には全く効かない。むすっとした顔に口を真一文字にしてNO以外何も言わない。そしてダメな理由をつらつらと並べる。
「そうか」
なのに、どうしてかそれがすごく嬉しい。顔じゃなくて中身を好んでくれてる気がして堪らなく喜びが湧き上がる。
「なんで嬉しそうなの」
「別に?」
上目遣いで小首を傾げて見つめる。割とこれが通用する。使えなかったことは少ない。なのに
「ダメ」
彼女には全く効かない。むすっとした顔に口を真一文字にしてNO以外何も言わない。そしてダメな理由をつらつらと並べる。
「そうか」
なのに、どうしてかそれがすごく嬉しい。顔じゃなくて中身を好んでくれてる気がして堪らなく喜びが湧き上がる。
「なんで嬉しそうなの」
「別に?」
ティチャラの声にハッとした。顔を上げると少し向こうの草原で子供たちと花冠を作る彼女が目に飛び込んだ。
「そんなつもりは…」
そんな気持ちを抱いている場合じゃないのことは分かっている。ただ、
「ただ、彼女といると和むんだ」
血に塗れたこの手も、彼女が触れると汚れたことさえ忘れてしまえる気がして、まるで魔法だ。
「今は、どうこうなりたいとは思わない」
このままでいい。
ティチャラの声にハッとした。顔を上げると少し向こうの草原で子供たちと花冠を作る彼女が目に飛び込んだ。
「そんなつもりは…」
そんな気持ちを抱いている場合じゃないのことは分かっている。ただ、
「ただ、彼女といると和むんだ」
血に塗れたこの手も、彼女が触れると汚れたことさえ忘れてしまえる気がして、まるで魔法だ。
「今は、どうこうなりたいとは思わない」
このままでいい。
しばらくランチを一緒に取れない。そう言われて3日たった。家に帰れば会えるじゃないかとサムは言うがそれとこれとは話が全く違う。
仕方なく妻が準備してくれたサンドウィッチを口にする。一緒に取れない分、俺の好きな具材にしてくれた。美味い。でも彼女と食べたい。会いたい。君の顔が見たい。
スマホのロック画面を点ける。仕事が終わらないと連絡は返せないからこの時間に彼女からテキストも送られる事もない。仕方なく彼女の後ろ姿の写真をぼんやり眺めてサンドウィッチを全て食べつくした。
しばらくランチを一緒に取れない。そう言われて3日たった。家に帰れば会えるじゃないかとサムは言うがそれとこれとは話が全く違う。
仕方なく妻が準備してくれたサンドウィッチを口にする。一緒に取れない分、俺の好きな具材にしてくれた。美味い。でも彼女と食べたい。会いたい。君の顔が見たい。
スマホのロック画面を点ける。仕事が終わらないと連絡は返せないからこの時間に彼女からテキストも送られる事もない。仕方なく彼女の後ろ姿の写真をぼんやり眺めてサンドウィッチを全て食べつくした。
「ヒドラを裏切るのか。この売女め」
「裏切るなんて!最初から信用してないから裏切りにはならない」
内部情報を外部に漏らした犯人がいる。それを探すのも殺すのも容易い事だ。
「それに私が頼んだんだよ。必ずあんたを送り込んで欲しいって」
「きっとあなたにも光が見つけてくれる時がくる」
そう信じてるよ。女は清々しく笑うとこめかみに当てた銃の引き金を引いた。
ウィンターソルジャー。冷凍保存され目覚める度に記憶を消される暗殺者。消されても女の気配は消えなかった。
「ヒドラを裏切るのか。この売女め」
「裏切るなんて!最初から信用してないから裏切りにはならない」
内部情報を外部に漏らした犯人がいる。それを探すのも殺すのも容易い事だ。
「それに私が頼んだんだよ。必ずあんたを送り込んで欲しいって」
「きっとあなたにも光が見つけてくれる時がくる」
そう信じてるよ。女は清々しく笑うとこめかみに当てた銃の引き金を引いた。
ウィンターソルジャー。冷凍保存され目覚める度に記憶を消される暗殺者。消されても女の気配は消えなかった。
「あ?そういや聞いた事ないな」
「ふうん」
妙に部隊の女に聞き分けがよい自我を失われた暗殺者。任務も円滑に進むので必ず出動に選出される。
「私が女の子だから?はは、なんてね」
ミスを冒し負傷して動けない状況になっても手を貸す。紳士的ではないけど。
たまたま近くにいたから助けた。それだけだ。
「わぉ喋った」
会話すると思わなかったので、暗殺者の声は初めて聞いた。尖って冷たい端的な言葉選びの音の奥になにか見えた。
一晩待機を命じられ、仮眠から目を開けると目の前に顔があった時は心臓が飛び出るかと思った。氷を張ったような薄い青。
「あ?そういや聞いた事ないな」
「ふうん」
妙に部隊の女に聞き分けがよい自我を失われた暗殺者。任務も円滑に進むので必ず出動に選出される。
「私が女の子だから?はは、なんてね」
ミスを冒し負傷して動けない状況になっても手を貸す。紳士的ではないけど。
たまたま近くにいたから助けた。それだけだ。
「わぉ喋った」
会話すると思わなかったので、暗殺者の声は初めて聞いた。尖って冷たい端的な言葉選びの音の奥になにか見えた。
一晩待機を命じられ、仮眠から目を開けると目の前に顔があった時は心臓が飛び出るかと思った。氷を張ったような薄い青。
呻きに近い嬌声にも耳を貸さず、まるで一生に一度しか交わえない獣のように一心不乱に背中を抱き掴む。荒い息遣いと静止に伸びる手には力が入らずただ己の手に添えた事に高揚して、一際柔らかい肢体を一滴も取りこぼさぬ様に抱き締めた。唇を啄み、尚も乱れた息は鼻息を荒く通る。
もう誰にも触れさせない。誰にも渡さない。
まだ己を抜き出せないまま、頬を寄せてまた抱き締めた
呻きに近い嬌声にも耳を貸さず、まるで一生に一度しか交わえない獣のように一心不乱に背中を抱き掴む。荒い息遣いと静止に伸びる手には力が入らずただ己の手に添えた事に高揚して、一際柔らかい肢体を一滴も取りこぼさぬ様に抱き締めた。唇を啄み、尚も乱れた息は鼻息を荒く通る。
もう誰にも触れさせない。誰にも渡さない。
まだ己を抜き出せないまま、頬を寄せてまた抱き締めた
タイムスリップした令和の女子高生。瀕死重傷で人間としてはもう生きられないので狐の妖力(尻尾1本分)を分けて貰い半人半妖の身となる。恩を返したくて兄や達同様、若だんなの世話をすることに。人間目線になれるので離れでの一太郎の強い味方。帰ることはもう考えてない
タイムスリップした令和の女子高生。瀕死重傷で人間としてはもう生きられないので狐の妖力(尻尾1本分)を分けて貰い半人半妖の身となる。恩を返したくて兄や達同様、若だんなの世話をすることに。人間目線になれるので離れでの一太郎の強い味方。帰ることはもう考えてない
ああ冬が寒くて本当に良かった
ああ冬が寒くて本当に良かった
「要素盛りすぎ」
「そして血が吸いたい」
「突然だな。いててて噛むの早い」
「もっと欲しい」
「いや私死ぬよ」
「…なぁ、血ってこんなに甘いのか?」
「んー?分からんけど糖血かな」
「少し他のヤツ吸ってみる」
間
「どうだった?」
「クソまずい」
「じゃあやっぱり糖血かな」
「吸うのはお前だけがいい。美味い方がいいからな」
「死なない程度で」
…
「という夢を見た」
「超人兵士に義手に吸血鬼って流石に要素盛りすぎ」
「要素盛りすぎ」
「そして血が吸いたい」
「突然だな。いててて噛むの早い」
「もっと欲しい」
「いや私死ぬよ」
「…なぁ、血ってこんなに甘いのか?」
「んー?分からんけど糖血かな」
「少し他のヤツ吸ってみる」
間
「どうだった?」
「クソまずい」
「じゃあやっぱり糖血かな」
「吸うのはお前だけがいい。美味い方がいいからな」
「死なない程度で」
…
「という夢を見た」
「超人兵士に義手に吸血鬼って流石に要素盛りすぎ」
「鵺野鳴介、私はお前をいつか殺す者だ。勝手に死ぬなよ」
「鵺野鳴介、私はお前をいつか殺す者だ。勝手に死ぬなよ」
こちらに向ける彼女の小さな手。右手を合わせると温もりがじわりと伝わってくる。確かめる様に壊さない様に指を絡めて握った。
「左もする?」
「それならこうがいい」
義手を背中に回して腰に掴んだ。小さく抗議する彼女を聞かず、そのままベッドに倒した。
ああ、そうだ。あれは夢でこっちが現実。
そうに違いない。それなら彼女の血はこんなに芳しい訳がない。彼女の肉はこんなに甘美な訳がない。
ナァソウダロ
もう眠ってしまったのか。なんだか温もりが冷めていく気がする。目が覚めて眠くないんだ。話をしよう。目覚メて、おレノ、いトしイねむりヒメ
こちらに向ける彼女の小さな手。右手を合わせると温もりがじわりと伝わってくる。確かめる様に壊さない様に指を絡めて握った。
「左もする?」
「それならこうがいい」
義手を背中に回して腰に掴んだ。小さく抗議する彼女を聞かず、そのままベッドに倒した。
ああ、そうだ。あれは夢でこっちが現実。
そうに違いない。それなら彼女の血はこんなに芳しい訳がない。彼女の肉はこんなに甘美な訳がない。
ナァソウダロ
もう眠ってしまったのか。なんだか温もりが冷めていく気がする。目が覚めて眠くないんだ。話をしよう。目覚メて、おレノ、いトしイねむりヒメ
「いいタックルだったぞ」
「今のはよろけたの。鳥の巣があって…はぁ〜踏まなくてよかった〜!」
「(鳥の巣に感謝しないと)おいおい、俺は心配しないのか?」
「アンタずっと頑丈でしょ!それにバッキーがいけない。煽ったりするから!」
「その安い挑発に乗ったのはどこのどいつだ?ん?」
「うううう」
「まだまだ鍛錬が足りないな」
「…おしゃる通りです」
「でも筋は良くなった。このまま王の親衛隊に入ったらどうだ?」
「到底無理だし隊長がなんて言うか…それに…」
「それに?」
「(スキンヘッドはちょっと嫌かも…)」
「いいタックルだったぞ」
「今のはよろけたの。鳥の巣があって…はぁ〜踏まなくてよかった〜!」
「(鳥の巣に感謝しないと)おいおい、俺は心配しないのか?」
「アンタずっと頑丈でしょ!それにバッキーがいけない。煽ったりするから!」
「その安い挑発に乗ったのはどこのどいつだ?ん?」
「うううう」
「まだまだ鍛錬が足りないな」
「…おしゃる通りです」
「でも筋は良くなった。このまま王の親衛隊に入ったらどうだ?」
「到底無理だし隊長がなんて言うか…それに…」
「それに?」
「(スキンヘッドはちょっと嫌かも…)」
「いや、いつも通り」
「…トニーが心配?」
「目の前で消えてくれたら、少しは諦めたかもね」
何度もフライデーに信号を検知させては、肩を落とす彼女の曇る顔にかける言葉を言い尽くした。それでもなお言うしかない。
「生きてるさ。ただじゃ死なない男だよ。」
「…同感だよ」
あの人しぶといからね、と彼女は小さく息をついて呆れ顔で笑う。「そうだな」
彼女の肩を寄せる。崩れ落ちそうな体を立たせるように。温かい季節のはずなのに、腕は少し冷たかった。
「さぁご飯にしよう。早くしないとナターシャがテーブルに足を上げちゃうよ」
出来上がったスープの鍋を持って彼女はダイニングへと歩き出した
「いや、いつも通り」
「…トニーが心配?」
「目の前で消えてくれたら、少しは諦めたかもね」
何度もフライデーに信号を検知させては、肩を落とす彼女の曇る顔にかける言葉を言い尽くした。それでもなお言うしかない。
「生きてるさ。ただじゃ死なない男だよ。」
「…同感だよ」
あの人しぶといからね、と彼女は小さく息をついて呆れ顔で笑う。「そうだな」
彼女の肩を寄せる。崩れ落ちそうな体を立たせるように。温かい季節のはずなのに、腕は少し冷たかった。
「さぁご飯にしよう。早くしないとナターシャがテーブルに足を上げちゃうよ」
出来上がったスープの鍋を持って彼女はダイニングへと歩き出した
「もっと人と関わらなきゃね」
たまに言うその言葉に胸が苦しくなる。何故、そんなことを言う?
己にはもう、誰かをお前以上に想う娘なんて現れないのに。
「いつも言ってるが、お前は俺にとって…」
俺にとって、最後の恋なんだ。
過去は乗り越えたはずなのに、やっと前に進んでいるはずなのに、ポケットにいつも仕舞ってる指輪を差し出せないでいた。
どうか、そんな事言わないでくれ。俺の最後の恋。
「もっと人と関わらなきゃね」
たまに言うその言葉に胸が苦しくなる。何故、そんなことを言う?
己にはもう、誰かをお前以上に想う娘なんて現れないのに。
「いつも言ってるが、お前は俺にとって…」
俺にとって、最後の恋なんだ。
過去は乗り越えたはずなのに、やっと前に進んでいるはずなのに、ポケットにいつも仕舞ってる指輪を差し出せないでいた。
どうか、そんな事言わないでくれ。俺の最後の恋。
一輪の薔薇の意味を知らぬ訳ではない。嬉しい。本当に嬉しかった。私の世界にはこんな素敵な物は貰えないし、こんな素敵な言葉はかけられないから。
でもそれと同じくらいの気持ちがよぎった。
(私のこと好きなんて頭おかしい)
何故。私よりもっともっと素敵な人はたくさんいるはずなのに。
なんでイカれた人だ。きっと趣味が悪いんだ。何かの罰ゲームかもしれない。
真っ直ぐな目で放った言葉を真っ直ぐ受け取れない捻くれ者の手の中にある一輪の薔薇。それさえ憐れに感じてしまった。
一輪の薔薇の意味を知らぬ訳ではない。嬉しい。本当に嬉しかった。私の世界にはこんな素敵な物は貰えないし、こんな素敵な言葉はかけられないから。
でもそれと同じくらいの気持ちがよぎった。
(私のこと好きなんて頭おかしい)
何故。私よりもっともっと素敵な人はたくさんいるはずなのに。
なんでイカれた人だ。きっと趣味が悪いんだ。何かの罰ゲームかもしれない。
真っ直ぐな目で放った言葉を真っ直ぐ受け取れない捻くれ者の手の中にある一輪の薔薇。それさえ憐れに感じてしまった。
「あ、この前寝言聞いたよ」
「寝言?そんな長く寝てるのにか?」
「魘されてる様子じゃなかったから安心したけど、それにしてもね…ふふ」
「?」
「寝言で「マイラブ」だってさ、夢の中でも女の子口説いてるとはとんだプレイボーイじいさんだね」
「あー、それは」
それは多分お前のことだよ、クスクス笑う彼女にサムは言葉を濁した
「あ、この前寝言聞いたよ」
「寝言?そんな長く寝てるのにか?」
「魘されてる様子じゃなかったから安心したけど、それにしてもね…ふふ」
「?」
「寝言で「マイラブ」だってさ、夢の中でも女の子口説いてるとはとんだプレイボーイじいさんだね」
「あー、それは」
それは多分お前のことだよ、クスクス笑う彼女にサムは言葉を濁した