黃金虫亭
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黃金虫亭
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、思案混田家路浮樂 無門の閾は天井の 裹板押して黃金の虫の罷り通る宿り  さはさは 『桃たらふ』:@WagumaW  『大エレクトラ』:@ElektraU 『猩々三夜』:@HanamuguriF (座)黃金虫亭(こがねむしてい):@KibaraX 『猩々三夜』:wagumaw.bsky.social
【猩々三夜・石刃の丘】
こと、ことと。山裾に黃緑色の汽車が光った。こと、ことと。新緑を映す車窓に、男の頭がごつりと会した。また、ごつり。隣のボックス席で氷菓を掬っていた娘らが、喉を震わせて笑った。木の匙に水の滴った。ブツっ、と車内音声が入り、車掌が案内を喋る。「閒もなく、ご乘車の汽車は、猫の目驛に到着します。到着は二番ホーム‥‥‥」娘らがうたた寝の男の肩を叩いた。「おぢさん!起きろ!」「この驛だよう」「さうさう。猫の目さんの驛よ」「猫の目さん。起きろ~」鄙びた駅の短いホームへと汽車が止まると、恰幅のいい男が押し出された。男はトランクを下ろすと、太い両腕を眞昼の空へと上げた。シャツの釦が跳んだ。
August 1, 2024 at 8:45 PM
「どうぞぉ。どうぞぉ」藪の中につけられた小路を進むと、右手の木立に、朽ちて通路の落ちた鉄橋が見えた。
  *
男は階段の段を踏みながら、事務所で見た男の頭を思った。駐車場に車を止めてから案内所を経て「観光課」に至るまで、男しかいなかった。足で男一頭を踏む。段の半ばを踏む足はカウントなしで、また足で男一頭を踏む。ス ース。また、ス ース。
  *
空に丸い影が通った。男の頭を踏み終えた男は、丸い影を探った。いったい幾つの爆弾を載せているのかと、それも探った。

完 (k.240801)
August 1, 2024 at 6:01 PM
切った。ハンドルのビニールがしゅと鳴り、カートの速度が上がった。
  *
カートの止められた所には、新しい物と古い物と、二つの看板が並んでいた。右の看板は錆びと穴が来て何ものも読み取れはしなかったが、左の看板は真っ新だった。青地に白抜き文字で「村営・世界 階段」と書かれてあった。記名した同意書類にも、事務所の看板にも市営とあったので男は尋ねた。「ここは市営でしたよね?」「あ。市営ですよ」「このぉ看板が、古いんですぅ」「古い?」「え。古いですね」近くの港を発った影が空を過ぎった。「こっちの、もっと古い看板は?」錆びた看板のことを尋ねると、「あ、はは」、「うふふぅ」と笑われた。「え。こちらへ」
August 1, 2024 at 5:55 PM
結局のところ、階段を利用するに当たっての同意事項はなかった。
  *
書類にサインして事務所を出ると、新品のカートに乗せられた。濃いグレーのパンツの男が、「あ。出しますよ」と言ってハンドルを回すと、ハンドルに被せられたビニールがしゅと鳴った。後ろの席に座った茶色のパンツの男が、「あのぉ」と言うので、「はい」と言って振り向くと、「―長いロープ・ウェーも、寄付金を頂きましてぇ」と、茶色のパンツの男はアスレチック設備の一つを指差した。長いロープには子供らがぶら下がって遊んでいた。「また世界で、仮称ですか?」と尋ねた。「あ。そのようなことはございません!」濃いグレーのパンツの男は勢いよくハンドルを
August 1, 2024 at 5:53 PM
パンツの男が言い掛けて口を噤んだ。
  *
同意書類の一頁めには、階段を利用する側についての事項はなかった。階段の施工を請け負った業者の名称とその業者の沿革、この階段の設営に関わった政治家の業績の記述に終始した。二頁めを捲ると、「仮称・ 園地について」との見出しが打たれた。「園地」の上に一文字分のスペースがあって、そこで「世界」の下にもスペースがあったな、と一頁めのヘッド・ラインを見返した。「あのぉ」「読み飛ばせ、と?」「あ」「はい。読みます」読むも何もなく、二頁めも施工請負沿革と地元有志家の誉れだった。三頁めには「市営アスレチック・クラブ」なる見出しで、屋外アスレチック設備の図面が並んだ。
August 1, 2024 at 5:37 PM
【猩々三夜・ス ース】
男はこの階段のどこかで立ち止まった。そのどこかとは、階段の始まりでも半ばでもなく、また終わりでもなかった。
  *
その階段を利用するには、事務所に提出する同意書類に記名しなければならなかった。三枚つづりの同意書類の一頁めの見出しは、「仮称・世界 階段」だった。男がその見出しにペンを当てていると、「あ。気にしないでください」と、濃いグレーのパンツの男に言われた。「何を?」「あ。世界、とか」「とか?」灰色のテーブルの向かいには二人の男が腰掛けていた。もう一人の茶色のパンツの男が、「あのぉ。そこはそのぉ、飛ばして読んでください」と言った。「そこって?」「あ」と、濃いグレーの
August 1, 2024 at 5:31 PM
十八時となるその少し前に、麦酒の栓を開ける。腰のくびれたグラスを満たす。暗い泡立ちを鼻で啜った。
July 28, 2024 at 9:03 AM
エアコンの送風口を覗いてみたところ、ハエトリグモが踏ん張っておりました。 風口談話
July 23, 2024 at 5:42 AM
と思ったら、もう一回行った。奴のところの温度を下げるべく、水槽に掛ける布の向き、エアコンの冷気を調整す。
ワグマ、7:49、日向ぼっこ終了。水没す。そりゃそうだ。この陽差し、亀にも耐えられない。
July 19, 2024 at 11:10 PM
ワグマ、7:49、日向ぼっこ終了。水没す。そりゃそうだ。この陽差し、亀にも耐えられない。
July 19, 2024 at 10:56 PM
時折、紙から転げ出るCDと出会うのだが、紙にCDを入れたあちらではプラスチックを廃したエコなることを標榜するものらしい。しかし結局のところ紙コロコロのこちらではプラスチック「など」のケースに入れ替えるのだから、あれらの標榜は考えものだ。
July 19, 2024 at 1:21 AM
田舎というものは速い。物がないことへの焦りが強く、何かが来ると慌ててそれを取り込もうとする。山陰人である私もいつとはなしに焦っていたと思う。浅慮を競い、気触れを喜ぶ、そのような様が今日にも続いているものだから、この気付けにと相づちを持ち出すようになった。たまに変なところを打つのは目的の相違による。
それは、とある七十年代生まれの女性の口から聞いたのだが、彼女は先づ名前を述べた。「あんなの」と言い、私が分からない面をしていると、段々と時事に即した話となった。そこでようやく私は、彼女の言わんとしているところに追いついた。ああ、この人は某女性議員の名前を述べたのだな。ここはいったん話を聞いておこう、と考えた。彼女の話は速くなり、またはあちらこちらへと飛び立った。「で、それは?」と、急いで相づちを打たないことには、それも離陸した。
あとになって、そういえば旅先で出会った人から聞いていた話だな、と思い出す。その旅先というのも、私の場合は鄙びたところをふらふらしているわけで、まさかね、ほうほうなどと聞き流していると本当になったりする。実話は怖いものですね。 実話談話
July 18, 2024 at 3:00 PM
それは、とある七十年代生まれの女性の口から聞いたのだが、彼女は先づ名前を述べた。「あんなの」と言い、私が分からない面をしていると、段々と時事に即した話となった。そこでようやく私は、彼女の言わんとしているところに追いついた。ああ、この人は某女性議員の名前を述べたのだな。ここはいったん話を聞いておこう、と考えた。彼女の話は速くなり、またはあちらこちらへと飛び立った。「で、それは?」と、急いで相づちを打たないことには、それも離陸した。
あとになって、そういえば旅先で出会った人から聞いていた話だな、と思い出す。その旅先というのも、私の場合は鄙びたところをふらふらしているわけで、まさかね、ほうほうなどと聞き流していると本当になったりする。実話は怖いものですね。 実話談話
July 14, 2024 at 8:48 AM
あとになって、そういえば旅先で出会った人から聞いていた話だな、と思い出す。その旅先というのも、私の場合は鄙びたところをふらふらしているわけで、まさかね、ほうほうなどと聞き流していると本当になったりする。実話は怖いものですね。 実話談話
July 13, 2024 at 7:25 AM
「どうしてうちの戸を壊したんですか?」「戸は直った。あと払いでいい」「鍵だって違います。その鍵ぢゃ、この戸は開かないんです」「鍵ならある」「だから」「お前、おもしろいな。ほら、これが鍵だ。受け取れ。礼ならいいよ」 ほら談話
July 12, 2024 at 5:32 PM
肩、板椅子。 肩板椅子談話
July 11, 2024 at 3:56 AM
鍵を鳴らす者は鍵を忘れる。
July 9, 2024 at 10:30 PM
Boku rots from the head.
July 8, 2024 at 7:51 AM
神話、男、嘯くコピーたち。そしてそれが続くのを見過ごす腹の減った人々。詩の根が育つ。
July 7, 2024 at 10:38 PM
腐った頭の僕が、男の振りをしてものを言った。死に損ないの振りをして、黙れと言った。僕は朽ち掛けた木箱の隅に踞り、誰の言葉も知らない、知りたくもないと言った。 男の振りをして談話
July 7, 2024 at 9:09 PM
その名前を見て、私は古傷を思い出した。いつかもこうだったと。今日の客人はそれを記しただろうが、明日は別の話となる。渡したペンが戻された。 談話の談話
July 7, 2024 at 8:54 PM
その魚も男だった
July 5, 2024 at 9:28 PM
僕は頭から腐る
July 5, 2024 at 9:25 PM
20150716
July 5, 2024 at 10:51 AM
詩を吟ずるに音が育つ。詩を作る者の名札ではなく音が育つ。詩と同じくの育ての親を持つ政治は似ているだろうか。それ故に育つのは政治の家の名札ではなく、政治を論ずる者の声だろうか。育つ声に耳を傾ける。
July 3, 2024 at 12:28 PM