洛の坊主頭をざりざりっと撫でていく手。むっ!?と振り向けばタバコの匂いと一緒にひらひら振られている指の欠けた右手が見えた。……そんや。洛は撫でられた感触も鮮やかな頭部に手をやり、ふふっと笑う。アイツはよくこうやって、作業をしている洛の頭やら肩やらを撫でていく。本当はもっと深く触りたいんだぞ、と言わんばかりの態度で触れていく。可愛い、と思うし愛しい、とも思う、
もっと触れてくれ――と望んでしまうのは信不足の自覚ありなのか。とにかく、洛は作業に戻るけれど電線の上を視線が滑ってしょうがない。ああ、くそ!洛はその場で立ち上がった。煙草の匂いを追いかけ、走る。彼はまだすぐそこにいるはずだ。(信洛)
洛の坊主頭をざりざりっと撫でていく手。むっ!?と振り向けばタバコの匂いと一緒にひらひら振られている指の欠けた右手が見えた。……そんや。洛は撫でられた感触も鮮やかな頭部に手をやり、ふふっと笑う。アイツはよくこうやって、作業をしている洛の頭やら肩やらを撫でていく。本当はもっと深く触りたいんだぞ、と言わんばかりの態度で触れていく。可愛い、と思うし愛しい、とも思う、
もっと触れてくれ――と望んでしまうのは信不足の自覚ありなのか。とにかく、洛は作業に戻るけれど電線の上を視線が滑ってしょうがない。ああ、くそ!洛はその場で立ち上がった。煙草の匂いを追いかけ、走る。彼はまだすぐそこにいるはずだ。(信洛)