らんどすぱいだー
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landspider.bsky.social
らんどすぱいだー
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1次創作をしています。Xはhttps://x.com/tsutigumo_
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「あのタルーンっておっさんの店の警備、道中の護衛すればいいんだろ？　さっきメシ食べながら約束してたのを流石にすぐ忘れる頭してねぇよ」
「商人は信用を大事にする。だから約束は守ってくれる」
「ああ」
「直接じゃないぞ？　ギルドを通すんだぞ？」
「わかったわかった、相棒とテオもいるんだ俺一人でやるわけじゃねえ何とかなる、じゃあなおっさん」
「またね！」「ピヨ！」「失礼します」
つづく。
November 7, 2025 at 7:04 AM
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「ああ、すまない息子のポールが体調を崩しているようなので今日は寝かせておこう。ささ、座ってくれ」
　ドム達はタルーン夫婦と他愛ない話をして昼食を摂った。ドムは吸血鬼の事を聞こうか迷ったがタルーンの妻に余計な不安を与えたくなかった。
＊＊＊
「さて……ここからは別行動になるかな。本当に大丈夫だろうな？」
　ドムは二人を見て言った。
「先行組と合流して情報を照らし合わせて報告書を作り王都に手紙を送るか伝令筒モン使うか帰って自分で伝えるかすればいいんだろ？」とセオ。
「金に困ったら仕事はどうするか解ってるよな？」
November 7, 2025 at 7:04 AM
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店の2階3階部分が住居スペースとなっている。
「あらあなた、お客さん？」キッチンでタルーンの妻が鍋を掻きまわしていた。
「ああ、新しくできた常連様だよ」
「まぁ、お客さんこの人に上手く乗せられてない？」
「大丈夫ですよ奥さん、この店の品は一級品だ、ちゃんと常連になりますよ」とドム。
「そう、それならよかった。さぁさそろそろ特製スープができますよ」
「おい、ポールは？　まだ具合が悪いのか？」
「そうなのよ……朝晩は調子良いみたい何だけどまだ完治してなくて」
「食欲は？」
「朝食は沢山食べたのよ、だから回復に向かってるはずよ」
　タルーンと妻のやり取りを聞いているドム達。
November 7, 2025 at 7:03 AM
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「剣！　剣が気になる！」
「俺は弾丸だ、とにかく弾が欲しい。剣は愛用のサーベルがあればいい」
「ピッピヨー！（一番高い金貨1万枚のジュエルチェストのサンプルを見ている）」
「なるほど……僕の変形の参考なりますね」
　ドムはレッグバッグに暗い所で光るナイフ。バジルはショートソード、セオは買えるだけの弾丸を購入した。
「昼食を一緒にどうかな？　昼食時は従業員にまかせて家族で食事をとる事にしてるのだよ」とタルーン。
「それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうか」「やったー！」「1食浮いたな」「ピヨ！」「ありがとうございます」
November 7, 2025 at 7:03 AM
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＊＊＊
「ここか」
金属と石で出来た堅牢な建物、大きく目立つ看板。『タルーンの武器防具店』はひっきりなしに人が出入りしていた。扉の前には二人雇われの冒険者であろう警備の者。店内にも二人。武器防具はサンプルの模造品のみで購入時に本物を触れる仕様だった。
「防犯対策が凄いな王都は窃盗防止の防犯音が鳴るタグが付いてるだけだったな。衛兵の数が違うのか」
　ドム達が店内を見ていると声をかけられた。
「おおーい！」
　カウンターの奥からタルーンが手を振っていた。
「君たち来てくれたか！さぁさぁゆっくり見てってくれおまけもつけよう！」
「そうだな……折角なら西都の質のいい防具と道具を買ってみるか」とドム。
November 7, 2025 at 7:03 AM
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「おいおい……俺はお前たちの方が心配だぞ。ちゃんと仕事をこなせるのか？無茶やってお尋ね者になんかならないだろうな？」
　ドムは頭を掻いて言った。
「なるようになるしかねぇ。先行組が俺たちを襲ってきたら迷いなく弾丸をブチ込むぜ？　洗脳されてたとか正常な状態じゃなかったとか後で言われても知らねぇ」
「難しい所だな。自分を守るかやって後悔するか」
「俺にとって最優先は自分と相棒の命だ。ババアに幾度となく窮地に追い込まれたが考えていたのはそれだけだ」
「そうか、俺はお前たちがこの世界で平和に過ごす事を願うよ」
November 7, 2025 at 7:02 AM
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「だといいがな。最悪なパターンってのはつい考えちまうんだが……もしビクターが他の人間を吸血鬼に変える力を持っているならS級バロンも……ってな。俺の世界の吸血鬼も相当に厄介だった、それが実力者の吸血鬼なんて現れたらよ……だったら今の時点で心臓を潰して死なせてやるのが良いんじゃないかってな」
「駄目だよセオ、それじゃあ只の人殺しだよ」
「だよな相棒、まぁ地下室に閉じこもってるしバロンも馬鹿じゃねえはずだ危険となったらビクターを完全に監禁するだろう」
November 7, 2025 at 7:01 AM
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治療薬の材料を集めるとかで出て行ったきりだ。洞窟やら廃鉱やらモンスターを狩る必要やら言ってたな」
「洞窟、廃鉱の場所は？」
「ギルドで買える地図に記してある。俺の地図の予備があるから貸してやろう」
　ビクターから地図を受け取ったドム達。次に商人タルーンの店に向かう事にする。
「どうなってやがる、先行組はあれか？　ゾンビ狩りがゾンビになっちまった的な。ギルドマスターが吸血鬼になりかけてるってよぉ大丈夫なのか？」
　セオは肩をすくめながら言った。「一応あの屋敷に待機してるS級のバロンが居る。何かあった時はバロンがビクターを殺すと言っていた」とドム。
November 7, 2025 at 7:00 AM
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「ふぅ……ようやく落ち着いたか。まだ1度目の満月も来てないというのに……すまなかった、知っている事を全部話そう」
　ビクターはユリシーズ達の事、シーモンドから聞いた吸血鬼の話などをドム達に聞かせた。
「……それで吸血鬼の治療薬を調べるためにサングィフェルム侯爵に手紙を出し返事は了承だった、バロンに行ってもらいクルガット治療薬のレシピをメモしてきて貰った。それを写したものをシーモンドに渡したんだ。ユリシーズは戻ってこない、シーモンドと付いて行ったブレン、メンデス＆マイオスも戻ってこない状況だ」
「シーモンドとギルドの三人はどこに？」
November 7, 2025 at 6:59 AM
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「西都より北東の領地を治めるエドワード・ヴェルナンデス伯爵の縁の者です」
「伯爵の縁の者がなぜユリシーズたちと？」
「詳しい話はビクターがするでしょう。こちらにどうぞ」
　屋敷の中に案内するバロン。地下室に降りていくと青白い顔をしたビクターがベッドに横たわっていた。何十本というワインの瓶が転がっている。
「誰だああああああ……シーモンドはどこだぁ……」
「王都ギルドから者だ話を聞かせてくれ」
「なんだと？　ユリシーズ達に聞いてないのか？　ユリシーズたちはどこいった？　シーモンドは？」
　ビクターは新しいワインを開け一気に飲み干した。
November 7, 2025 at 6:59 AM
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「食事が終わったらギルドマスターの自宅に向かう。それから来る途中に出会った商人のタルーンを探しに行くのはどうだ？」
「了解！」「いいぜ」
　ドム達は食事を終えギルドマスター・ビクターの自宅に向かう。
＊＊＊
「何か用ですかな？」
　声がした、上から軽い動きで着地したのは身綺麗な男。バロンであった。
「王都ギルドからきたドムだ」とタグを見せる。
「西都ギルドのバロンです。ビクターに用ですかな？」
「ああ、話を聞きたい。それと少し前にユリシーズ、ブレン、メンデス＆マイオスが来たはずだが？」
「ええ、来られました。シーモンドさんと一緒にね」
「シーモンドとは誰だ？」
November 7, 2025 at 6:59 AM
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シャンはぐいとグラスのワインを飲み干すと「じゃあな」手を上げてギルドの建物から出て行った。
「来て早々色んな情報が手に入ったな」とドム。
「ドムさん話巧いねぇ」とバジル。
「感心します」「ピヨー！」バジルのサラダをつつくグリムネと上品にフォークを使って食べるテオ。
「……さっきの話、Ｓ級達の事だよな？　でもジジイは誰だ？」
「本人達に会ってみない事にはな。俺は先行組の話を聞いたら別任務（吸血鬼伝承の捜査）に移る、後はバジル、セオ、テオ、グリムネに任せたぞ」
「頑張る！」「まぁ何とかなるだろ」
November 7, 2025 at 6:58 AM
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「俺の知ってるパーティーなら西都のギルドマスターに用があるとか言ってたが？」
「ギルドマスターのビクターねぇ～最近全然姿見せないんだよな。忙しいのかな？」
「そうなのか？」
「ああ、西都に神出鬼没の怪人が出るって噂でね。その調査でもしてるんじゃないか？」
「怪人か。そいつは西都で有名なのか？」
「いや、そんなに知られない。極一部の冒険者の間での噂だよ。ほら俺は商人の護衛であちこち付いて行くから耳に入ってくるのさ。怪人を目撃したってのは衛兵だから衛兵に話を聞けば怪人の事少しはわかるんじゃないかな？」
「はーいおまちどうさまー！」
　給仕が魚揚げとサラダと海鮮煮込みとエールと水を持ってきた。
November 7, 2025 at 6:57 AM
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「わざわざ王都からどうして？」
「調査の依頼でね。俺はこいつらの付き添いでもう一つ違う依頼があるんだ」
「へぇ調査かぁ……そういやちょっと前にも見慣れない連中が来てたな。雰囲気のある痩せ型の男。爺さんを背負ったガタイのいい男、双子の術師っぽい男」
「そうか、ひょっとすると王都ギルドの連中かもな。心当たりがある」
「爺さんを背負ったパーティーなんて印象的だから覚えてたんだ。なるほど王都ギルドのなぁ……」
「お爺さん？」「ジジイ？」バジルとセオは首をかしげたがドムが目配せした。
「そいつらは西都に何しに来たんだろうな？」とシャン。
November 7, 2025 at 6:56 AM
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「注文いいか？」
「はーいただいま！」
「この水筒に水を頼む、それとエールと何か軽い食事を。お前たちは？」
「俺は……サラダが食べたい！　旅の途中食べてなかったし！」
「水と……あそこのテーブルで男が食べてるあの煮込み料理でいい」
「はーい少々おまちくださーい！」
　ドム達は椅子で一息ついていると隣の席から戦士風の男が声をかけて来た。
「この辺で見ない顔だな？　何処から来たんだ？」
「王都から来た。俺はドム、アンタは？」
「俺はシャン。商人の護衛を主にやってるんだ。」
「バジル！こっちの男の子はテオ、鳥はグリムネ！」「……セオだ」
　シャンは微笑みながらドム達を眺めた。
November 7, 2025 at 6:56 AM
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「宿をとってギルドマスターのビクターと会っていたようです。あれから姿を見ませんね」
「……そうか。ギルドマスターは何処にいる？」
「自宅にいますよ、体調が優れないとかで。ユリシーズさん達もギルドマスターの家に行って話を聞きに行ったんですよ」
「わかった、ありがとう」
　ドムは踵を返す。すぐそばで話を聞いていたバジル＆セオはドムに付いて行く。
「嫌な予感がするぜ……」
「そうなの？」
「てっきり俺はどや顔のS級様が偉そうに任務終了を言いに来るかと思ってたぜ」
　ドムは待合スペースに座り給仕に声をかける。
November 7, 2025 at 6:55 AM
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「昔に来た時とえらい変わってるな……」とドム。
「凄い凄い！王都とは全然違う景色だね！」
「おいおい浮かれんなよ相棒、目立っちまうぜ」
　セオはバジル肩に手を乗せて言った。
「まずは西都の冒険者ギルドだな。観光はその後でも良いだろう？」
「うん！」「先行組の動きも気になるな」
　ドム達は西都の冒険者ギルドに足を運ぶ。
「王都から来た、俺はドム、コイツらはセオとバジルだ」
　西都受付嬢に声をかける。
「はいはい、お聞きしておりますよ。一昨日にユリシーズさん達が来ましたよ」
「で、そいつらは何処に？」
November 7, 2025 at 6:54 AM
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「殺しはせん」
　人影は言った。若い男の声だった。ユリシーズは茨に締め付けられ意識を失った。

＊＊＊

　ユリシーズ達が西都に入った翌々日、ドム達は西都に到着した。
「汽車ってのは驚いたな。景色が滑るように動くと変な感覚だったぜ」と、ドム。
「楽しかったねぇ！」バジルは何度も頷いて言った。
「馬車よりは断然良かったな……金はかかるが」セオは財布袋を覗いて言った。
「大変良い経験になりました」「ピッピヨー！」テオとグリムネ。
　一行は門番に身分証明書を見せて西都の壁を抜ける。
November 7, 2025 at 6:54 AM
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「何者だ！」
「フフフフフ……」
　人影が笑った次の瞬間、ユリシーズの全身を赤黒い茨の糸が巻き付く。
「なんだ……これ……は」
　強烈な力で締め付ける茨の糸。ユリシーズのレザーアーマーに食い込んでいる。
「く……」
　ユリシーズは力を振り絞りナイフの力で後方に移動。ユリシーズのナイフはエンチャントにより収縮性のある糸で繋がったような動きを可能とする。仰向けに倒れたユリシーズはどうにか動かせる左手でナイフを拾う。「これは……！」
　ユリシーズのナイフに付いた人影の血、それが茨のように尖っていた。
「そう……か、奴の血は……俺を拘束する為にわざと刺されたのか……」
November 7, 2025 at 6:54 AM
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「何……だと……!?」
　人影はナイフが刺さるのを物ともせずユリシーズに肉迫、肘に取り付けられた刃物がユリシーズの首を狙う。咄嗟に体を反らせ刃物は顎を掠めた。ユリシーズはそのままバック転、曲刀を横薙ぎして人影を牽制、人影は脛の刃物で受け流した。
「ハァ！」
　ユリシーズは左手で空中を掴んで引き寄せる動作。すると人影に刺さっていたナイフが傷口を抉りユリシーズのナイフホルダーへと戻って行く。
「首、脇腹、膝裏の急所を抉られて無事な訳ないよな？　普通ならな」
　膝をついて伏せる人影に言い放つユリシーズ。曲刀を向ける。
November 7, 2025 at 6:53 AM
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ユリシーズの体は何かに引っ張られたかのように急加速、屋根に着地すると今度はスライドするように人影に飛び掛かる。
「シャッ！」
　腰の曲刀を抜いて斬りつける。外套を切り裂いたが金属に当たった手ごたえを感じた。
「金属鎧を着込んで俺の速度についてくるだと？」
　連続攻撃を仕掛けるユリシーズ。人影は腕で斬撃を捌いていく。
「……!?」
　人影の下からの攻撃、足に取り付けられた刃物ユリシーズを襲う、咄嗟に下がって回避。
「強い……」
　ユリシーズは投げナイフを6本構えて投げつける。放射状に投げつけたナイフは軌道を変化させて全方位から人影に襲い掛かる。
November 7, 2025 at 6:52 AM
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「……なにかいるな」
　神経を逆立たせる冷たい気配、ユリシーズは飛び上がってその場を離れる。今までユリシーズがいた場所に湾曲する刃物が突き刺さっていた。それは鎌に見えた。
「どこだ？」
　次は足元に気配を感じ前転して振り返る。すると煙のように人影が現れた。
「コイツ……まさか吸血鬼か？」
「……」
　人影は灰色の外套をまといフードで顔は見えない。外套を翻した動作を見たユリシーズは大きく飛び上がる、そして投げナイフを人影に向かって投げる。羽毛のような軽い動きでナイフを避ける人影。空中にいるユリシーズに刃物を投げる。
「空中では自由に移動できないってか？　それはどうかな！」
November 7, 2025 at 6:52 AM
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「ビクターが斬ったのは友人のフィオンの弟。フィオンは行方不明、フィオン弟に襲われた被害者は誰だ？　シーモンドの話で引っかかったのは『クルガットは人をクルガットに変える事が出来る』と言った事だ。被害者はクルガットになる可能性もあるんじゃないか？　明日の朝まで待てないな……衛兵に被害者が誰だったか聞きに行くか」
　ユリシーズは遠征用の荷物を部屋に残し窓から飛び出して西都の城へと向かう。壁に吸い付くようなパスクール、驚くほど静かな足運びは伝説のシーフにふさわしかった。
　兵舎に近づいて来た時、強烈な殺気を感じたユリシーズは屋根の煙突の影に身を潜めた。
November 7, 2025 at 6:51 AM
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「シーモンドが信用できるか否かは今は置いておくのが良い。それよりもビクターが吸血鬼ネスフェリティアになった事の報告と原因を突き止めなければならないのではないか。まずはギルドに行き伝令筒モンを使ってビクターの事を伝えなければならない。あとはもう一種の吸血鬼クルガットの事だな。シーモンドの語る二種類の吸血鬼の特性の真偽は解らないがビクター自身の症状とビクターが切った怪物の話は衛兵も聞いている。二種類の吸血鬼がいる事は確実だ」
　ユリシーズは日記代わりのメモを書いていく。
November 7, 2025 at 6:50 AM
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ユリシーズ、ブレンとシーモンド、メンデス＆マイオスの３部屋を借りた。ユリシーズは装備を外さずにベッドに腰を下ろしてテーブルのランプを着けた。
「ビクターの話気になる点がいくつかあるな。それにシーモンドの老人……」
　1日半で怒涛の出来事と情報量。ユリシーズは落ち着いて思考をめぐらせる。
「まずは渓谷入口の山小屋で怪人バーンシュとの戦闘。渓谷を超えた先の村でシーモンドとの出会い。西都でギルドマスターのビクターに会って話をする。俺たちの任務は西都ギルドの調査である」
　いつの間にか吸血鬼の事件の渦に巻き込まれてると感じたユリシーズは改めて自分達が何をしに来たか、と王都ギルドからの依頼を意識する。
November 7, 2025 at 6:50 AM