多分子爵なら偽名じゃなくて実際に貴族家で働いてた誰かの名前を使うと思うし、王家に取り潰しにされるような碌でなし貴族だったら次の家への招待状なんかも持ってないだろうから途方に暮れてる元使用人を伯爵家で雇うついでに名前ごと借りそう。全然顔違っても写真とかないから大丈夫だろうし

だがやや口が悪い仏頂面(ヴェ様に微笑まれると民の印象にめちゃくちゃ残りそうなのでと直属部下三人からNGが出た。部下たちは潜入なのにガチ恋勢を増やすのは危ないという想いだが、主人は「ああ、貴族の笑い方がいたについちまってるからな」と掠りもしてない納得方をしていた。そうじゃないけどそれでいいです)のバーテンダーは、相談事には真摯にアドバイスしてくれるし腕っぷしはそんなに強くないと言ってるのに屈強な酔っ払いの喧嘩も傷一つなくいつのまにか床に沈めたりしてるので町の人間にかなり気に入られている。当人は(人のいい奴らが多い町だな)とか思ってる

ポカンとした後腹抱えて笑う客「がはは！言うじゃねえか兄ちゃん気に入ったぜ！一杯奢ってやるよ！」「気前がいいね、なら遠慮なく」「コップを割りやがったら今日の給金はマイナスだからなヴェイン」「割らなきゃ問題ねえな」店主は正式に依頼を受けてるので最初は若干(貴族様に無礼講つったってな…)と若干戦々恐々してたが、馴染みの常連客相手に爆速で馴染んで軽口叩く子爵に(あ、こりゃ問題ないな)と思い直して普通に通りで拾った若い従業員相手の態度に切り替える。子爵は黒い長髪がトレードマークという印象があるので変装はりりーちゃんお手製の茶髪ウィッグだけで割と堂々と所作も仕事も丁寧

「あ、ブラ、乗せてけ」「もとよりそのつもりだよ、派手にやったな」「いや時間やばくてさ、こっちのが近いって思ったんだけど鞄忘れてきて」「持ってきてやったぞ」「お、さんきゅ！じゃあスーパーの方な」「良いけどよ、その格好で行く気か？」「？あ」ネは無傷だけどなんか血まみれと言うか何をしたらそんな返り血浴びる事になるんだってくらいシャツが汚れてる、時間やべえしか頭になかったなとここで漸く慌て始めるネの制服脱がせて上着を貸してやるブ

『てめえんとこのお気に入りは預かった』的な連絡を受けて、お気に入り？誰だ？ネ？と怪訝な顔するブ、預かったっつってもなぁ「ネいたか？」「いないっす」「教室にカバンはありました」「あー…じゃああいつか」どうすっかな、大人しくついてっただけなわけないし放っておいてもいいが…と少し考えて「げ」と言う「どうかしたんすか？」「今日特売日だ」「え」「うわあ」「ご愁傷様…」敵の心配である、いやあよりにもよって今日とは「はぁ、あいつの荷物は？」「持ってきてるっすよ」「よし」とりま乗り込んで居場所吐かせて向かったら丁度出てくるところだった。遅かったかぁ

1日デート券に顔色変えるオエ可愛いし、何でも買ってやるなんて言ったらすかんぴんにされるからやめておけって言っちゃうネはいつのどこの話を思い出してるのか詳しく聴きたい

それはそれとしてイベストの話だけど、オエの🎁中身の関係上魔力がダダ漏れなだけだったのか、他の🎁も魔法使いなら誰のものかわかったのかでボスの「ストップ」に理由があるのか気分だったのかで話が変わってくるから他の🎁も気になるんですよね…オエの🎁がオに行くように仕向けたのか、なんの魔力の残留もない🎁が賢者のものだと判断してネの手元に回った時に止めたのか…どう見ても手作りの券は魔法使ってない感じだから、自分らの手元に安全牌が来た時に止めたのか…あと騎士様の🎁やばすぎる、一日デート券やんけ…

金銀財宝に興味はなくても「盗みはダメ」って価値観があったら盗賊団にうん百年居れないだろうし、基本的には「盗みは別に良いだろ、盗まれる方が悪くねえ？」ってスタンスのネが好きです。盗んできたって言うと(ブ以外には)きっちり怒られると言うのを本人が理解してるし普段は宝石とか財布とかは盗もうと思わないけど盗んでくれって言われてるみたいなのはうっかり手が動くしスるって決めた時は躊躇しないし拾った財布の中身は抜く

「誰がモジモジしてんだ誰が！」経緯はわかったのでもう興味は特にないブがもう食って良いか？と言いながらもう食べてるので「もう食ってんじゃねえか」と呆れつつ料理を並べるネ、グラスは話聞いてる間にもうブが出してる。中央の市場で見たやたら財布に対する警戒が薄いやつの話題で大盛り上がりした

一番目立たねえ場所だろそこは！」「仕方ねえだろ！こんな感じのさあ(魔法)長えコートの足元近いこの辺りだぜ？」「そりゃ隠し場所になってねえな、ここに入れてるもんがあるって言って歩いてるようなもんじゃねえか」「だろ？！わざわざコート持ち上げて手突っ込んで財布出すしさぁ、ここにあるから持ってけよって言ってるようなもんじゃねえ？」「だからうっかり手出したのか？」「……うっかり落としたのを拾ってラッキーみてえな」「くく、『うっかり刃物が引っかかって切れたコートの隠しポケットから落ちた財布を拾った』つうわけだ」「うるせえ言い直してんじゃねえ」「良いじゃねえか別に、財布拾ったくれえモジモジしてんじゃねえよ」

珍しく晩酌に来たとか言うしなんかやたらと良い酒や食材使ってるから「豪勢じゃねえか、何かの祝いか？」と聞いたら若干モニョっと目を逸らしてから「なああんた、財布拾ったらどうする？」「金目のもん抜いて捨てる」「だよなぁ」「それがこれか？」「いや、まあ、一回落としてやったから拾ったっつうことになるっつうか」「んだよ歯切れが悪いな、どうせここに来たっつうことは証拠隠滅だろ、経緯くらい洗いざらい吐いちまえ」「……やたら目立つとこに置いてあったから、こう、気付いたらうっかり拝借してたっつうか」「ふぅん、そのやたら目立つ場所ってのはどこだよ」「あー…厚手のコートの隠しポケットん中」「だははは！

今思い出しましたとでも言わんばかりに赤い顔で絶句してる。なんだよ覚えてんじゃねえか、と口角をあげる

パチリと瞬くと「視線がうるせえんだよ、一枚だけだからな」とつまみ食いしたいんだろと誤解したネが呆れた声で言うので、別にそうじゃないけどまあ良いかと今度は自分が口寄せてパクッと食べる「噛みごたえはあるな、酒が飲みてえ」「飲むんじゃねえぞ。まあつまみになるっつうのは確かだが」「ガキ共は噛み切れねえだろうな」「流石にそこまでのお子ちゃまはいねえよ」はははって笑ってる顔見てまあ流石に覚えちゃいねえかとちょっとだけ目を細めてからもう一枚と手を伸ばすとズドンと包丁が手の横に刺さってる。あっっぶね、と手を引っ込めて一枚っつったろ！と怒鳴り声が飛ぶのを待ってたけど来ないので、「？」と顔上げると

今度はしっかり飲み込んだので同じように小さくした肉をもっかい渡すと今度は何も言わずパカッと口を開ける。餌付けの気分だな、とぼんやり思う。
ぼんやりしてた子ネが肉噛み切れないって延々と噛んでたのはこの一回だけで、次にこの肉硬えなって思ってチラッと見た時は普通にナイフで小さくしてたし、調理場に立つようになってからは硬い干し肉も柔らかくて美味い料理に変わるようになったので、そもそも成長してたので硬い干し肉だけでも普通に噛み切るようになる。(この干し肉雑な処理してんな)って顔して味見してんのを見て(デカくなったなこいつ)とじーーっと見てたら変な顔したネがちょっと切り分けて「ん」と差し出してくる