波と海を見たな@読書垢
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幼少期よりホラー小説の世界に浸ってきました🫠 皆様にその魅力を少しでも伝えられたらと思っています👻 たまに書いたりもします✍️ 無言フォロー失礼します。本系のフィードだけ読んでいます
読了
ホラー小説紹介

山吹静吽 『迷い家』

大戦末期、霧が満ちた山奥の屋敷に囚われてしまった少年が織りなす冒険譚。

屋敷には遠野物語をはじめとした伝承の妖や霊宝がこれでもかと詰め込まれ、作中のおどろおどろしい解説を読むだけで心が躍る。

後半に訪れる怒涛の展開に、ページを捲る手が止まらない。

戦時下の狂気的思想と、化け物屋敷での
ゲーム的展開が混ざり合う、一気読み必至の強烈な一冊。
February 28, 2024 at 12:33 AM
読了
ホラー小説紹介

滝川さり ゆうずどの結末

角川ホラー文庫から刊行された小説
『ゆうずど』を読んだ者に訪れる、容赦ない結末を描いたホラー長編。

それは、抵抗も虚しくなるほど理不尽極まりない呪い。

終始悍ましいのに、その筆力と構成力にページをめくる手が止まらない。

紙の本であること自体が恐怖を倍増させ、そして呪いをも拡散させていく。

読後は誰も読めないように厳重保管したくなる、呪われた一冊。
February 24, 2024 at 3:08 PM
読了
ホラー小説紹介

森見登美彦 『夜行』

学生時代に仲間たちと訪れた鞍馬の火祭りで、忽然と姿を消した長谷川さん。
十年ぶりに鞍馬の火祭りに集まった仲間たちは、それぞれ謎の銅版画「夜行」と出会っていた。
彼らは旅先で、その不思議な体験を語り始めるが…。

夜行列車や降り立った町から眺める息を呑むほどに美しい風景と、永遠に思える夜の深さ。

秘めた思いが「夜行」に描かれた顔のない女性を介し、朝と夜の世界の扉を開く。

決して交わらない世界を思い、喪失感の中でそれでも曙光を望む一冊。
February 21, 2024 at 11:30 AM
読了
ホラー小説紹介

原浩 火喰鳥を、喰う

南方で戦死した大伯父の日記が突然届いた事に端を発し、周囲に次々と怪異が押し寄せる長編ホラー。

じっとりとした田舎の夏の空気を存分に味わいながら、悪夢に苛まれじわじわと日常が侵食されていく過程が堪らない。
生への渇望と人の悪意が現実をも凌駕する執念深き一冊
February 18, 2024 at 3:47 AM
読了

柿村将彦 隣のずこずこ

村に突然現れた伝説の権三郎狸と狸憑きのあかりさん。
あかりさんは権三郎狸が一ヶ月後に村を破壊し、村人を全員丸呑みにすると伝え…。

あっさりと終わりを受け入れた村人の緩やかな日常と、確実に広がっていく歪み。

絵が浮かぶ田舎の情景描写に対し、酷くぼんやりとした全体像が不安を煽られる。

不条理な世界で終末と忘却に抗う主人公の思考回路が振り切れていてまた良い。

思い出の意味を強く考えさせられる不思議な一冊。
February 14, 2024 at 8:21 AM
読了
ホラー小説紹介

梨 かわいそ笑

著者が収集したネット上に散らばる複数の怪談を読み解くホラーモキュメンタリー。

気味の悪い怪談に、じわじわと確実に侵食していく怪異。

目の前に迫る程の強烈な情景描写と、それでいてなお見渡せない得体の知れなさが、読み手の恐怖を増幅させていく。

無自覚さの何と恐ろしいことか。
その罪は知らず知らずのうちに報いとなって返ってくる。

誰かの悪意と呪いの連鎖が取り返しのつかない事態を引き起こす、終わりなき一冊。
February 12, 2024 at 11:55 AM
読了
ホラー小説紹介

尾八原ジュージ みんなこわい話が大すき

押し入れにいる秘密の友達をいじめっ子に見せたことで、それまでの環境が一変した少女の不穏な日常と、全盲の霊能者に舞い込んだ呪い絡みの事件が交差するホラー長編。

じわじわと何かに侵食されていく女の子達の日常の裏で、巧みに切り替わる視点が人間の醜悪さを存分に炙り出す一冊。
February 11, 2024 at 1:36 PM
読了
ホラー小説紹介

斜線堂有紀 本の背骨が最後に残る

言葉で物語を紡ぐ人間が「本」と呼ばれる国で、同じ物語を刻んだ「本」同士が、自身の物語の正しさを証明するために言葉をもって競い合う「版重ね」を描いた表題作ほか六編を収録。

全編を通してその根底には痛みがある。

端正な文体と背徳的な情景描写が読み手の内なる嗜虐性を呼び覚まし、正視に耐えないのにいつの間にか魅入られてしまう。

痛みの愉悦で美しく歪む、耽美で退廃的な世界に存分に溺れることができる一冊。
February 10, 2024 at 12:51 PM
ホラー小説紹介
読了

矢部嵩 紗央里ちゃんの家

遊びに行った叔母の家で僕が遭遇する恐怖を描いた長編ホラー。

違和感のある文体に、脈絡のない会話のオンパレード。
登場人物は誰もが歪んでいて、常軌を逸した言動を繰り返す。
それなのに、僕を含めて実に淡々と物語が進んでいくのが不気味でクセになる。

読んでいるうちに、いつの間にか自分自身までおかしくなっていく感覚を味わえる、奇妙で不穏な一冊
February 9, 2024 at 12:12 PM
読了
ベストホラー2023

背筋  『近畿地方のある場所について』
小田雅久仁 『禍』
芦花公園  『食べると死ぬ花』
知念実希人 『ヨモツイクサ』
梨     『6』
貴志祐介  『梅雨物語』
北沢陶   『をんごく』
大島清晴  『最恐の幽霊屋敷』
原浩    『蜘蛛の牢より落つるもの』
沖方丁   『骨灰』
斜線堂有紀 『本の背骨が最後に残る』
澤村伊智  『一寸先の闇』
川野芽生  『奇病庭園』
三津田信三 『歩く亡者』

2024も楽しみだ。
February 8, 2024 at 2:28 PM
ホラー小説の紹介

小林泰三 ΑΩ―超空想科学怪奇譚

旅客機の墜落事故で肉片となるも、プラズマ生命体「ガ」の力で蘇った諸星隼人が、白い巨人となってあらゆる生命体を複製する「影」と戦うSFホラー長編。

緻密な設定で描かれた生命体の生態が、この作品の魅力を何倍にも引き上げる。

壊れゆく世界の中で、肉体を崩壊させながら多種多様で冒涜的な外見のレプリカントと人類などお構いなしに血みどろの戦いを繰り広げる。
殺伐としながらも間に挟まる小ネタがシュールでまた良い。

残虐で悍ましいのにクスッと笑え、生々しくてど迫力。怒涛の後半は疾走感が溢れ出す。

終始混沌とした中にも美しい余韻を残す贅沢な一冊。
February 7, 2024 at 12:59 PM