NanaseNoel
banner
nanasenoel.bsky.social
NanaseNoel
@nanasenoel.bsky.social
あたたかくなる箱推し、サンカラ推し
文字書いたりしています。
2.チートなしがもはや転生ものの鉄板だったりするしね!

宿舎に入って4日後の朝、俺は仕立て屋を訪ね、新しい服を手に入れていた。いやぁ、やっぱりなんていうの?俺は見るのは好きだけど、自分がコスプレすることにはあまり造詣は深くないんだけど、テンション上がるわ。というわけで、普段着を2セット、狩り用を1セット作りましたよ。〆て22000カレス。今俺の手元には20000カレス。発注時に前金5000カレス入金してるから、今日の支払いは17000カレス。宿舎で生活してたら、メシ代かかんないのは大きいね。4日ぶりに外に出たから太陽が目に染みる・・・。まぁー、君たちはこの4日間僕が何をしていたのかきっと気…
2.チートなしがもはや転生ものの鉄板だったりするしね!
宿舎に入って4日後の朝、俺は仕立て屋を訪ね、新しい服を手に入れていた。いやぁ、やっぱりなんていうの?俺は見るのは好きだけど、自分がコスプレすることにはあまり造詣は深くないんだけど、テンション上がるわ。というわけで、普段着を2セット、狩り用を1セット作りましたよ。〆て22000カレス。今俺の手元には20000カレス。発注時に前金5000カレス入金してるから、今日の支払いは17000カレス。宿舎で生活してたら、メシ代かかんないのは大きいね。4日ぶりに外に出たから太陽が目に染みる・・・。まぁー、君たちはこの4日間僕が何をしていたのかきっと気になっているだろう。きっと、チートやスキルや魔力量とか、そんな異世界の定番が全くなくて、さぞかし俺が気落ちしているだろうと思っていたに違いない。だが、この二代目赤、そんなにヤワではない。まぁ、ショックじゃなかったと言えばそれはそれで嘘になる。まぁ、さすがにね。しかしだ、まぁ君たち聞きなよ。 異世界転生ものが飽和状態と言っても過言ではないこのご時世、すでにチート持ちや、スキル鑑定、経験値アップとかはもはや使い古しのネタなのだよ。・・・まぁ、一応。一応ね?夜宿舎の部屋でやってみましたよ。いろんなポーズで。 “ステータスオープン!”を。えぇ、別に何も起きませんでしたけど。まぁ、強いて言えば、間接照明の明かりが少し明るくなったってくらいかな。「暗ぇなぁ」って愚痴ってたのがスタッフに聞こえてたらしい。なんかすみません。チートなしに「え!なんで!!」となって話が展開していく異世界ものだって多い。いや、今やこれが主流と言ってもいいかもしれない。やはりね、二代目赤が異世界転生するとして、そんなチートやスキルなど、そんなものがなくても立派に生き延びられるということを、証明する日が来たのかもしれない。おじいちゃんなんて言われて、なにやらぽんをするたびに、メンバーからもリスナーからも生暖かい目で見守られ・・・。 そんな日々とはおさらばだ!事実、俺の肉体は飛躍的進化を遂げているのだ。聞きたまえ、君たち。思い出してほしい。転生当日、僕は大冒険をしていたんだ。自宅から気が付けば大地に寝そべっていて、衛兵さんに連行され、ケーブルウェイでしゅーっと空を横切って、高層ビルの市民課でいろいろ手続きをして、宿舎に入る。二代目さんの普段の生活を考えると、明らかにカロリー消費過多だ。 それもスリッパで。それなのに、だ。身体がどこも、痛くない。どうだ?すごいだろう?1日お出かけするだけで、足が痛くなり、寝たき・・・動きづらくなる俺が!昨日一日スリッパで動き回っていたというのに! どっこも痛くない。 膝だってぱきぱき言わない。すごいことだよ、これ!というわけで、自室で朝、とてもすっきり目覚めたわけだ。 いや、ここのベッドなかなかいいぞ。後でどこで買えるのか聞いておこう。それで、だ。 ベッドの中で少しだけ思考を整理した。ステータスオープンで何も起きないということは、マンガやアニメや小説のような世界ではなく、どちらかといえば現実に寄った世界なのではないかと。え?何を言ってるかわからない?大丈夫だ。俺もわかってないからして。つまりだ。チートとかスキルとか、そういうので無双する世界ではなく、自分で何かを集め、少しずつできることを増やしていく、マイクラとか、7DTDとかの世界観というか、システムなのではないかと、推察するわけですよ。いや~、でも現代日本というか、俺がいた世界と全く同じってことはないと思うわけよ。さすがにね。少なくとも、魔法は存在しているみたいだし。 ただねぇ、生活魔法がほとんどって感じだな体感的に。俺も習いましたよ。火の付け方。暖炉のね、火の付け方。手のひら広げて「ひぃ~」つってね。いや、うそだよ。この世界の魔法は、基本的に道具を使うものらしい。魔法道具ってやつを使うんだ。これを使えば、簡単に火はつくし、水も手に入る。ホテルの宿舎には基本的な魔法道具は置いてあるから、ここで使い方を覚えろってことらしい。日々勉強ですよ、ほんとに。ところで。この数日間で、何個か分かったことがある。いろいろ考えてんだぁ、俺だって。ポケットにワイヤレスマウスが入ってただろ?あれの他にも何個か向こうから持ってきたものがあった。初日の夜、部屋のデスクにそれらを並べた。 まず、スマホ。充電はまだ生きてた。残り3%だったけど。まぁ、これは使えるわけがないからどうでもいいか、と思った。 次に、イヤフォン。これも、充電持ってた。スマホの充電が十分なら音楽聴けたんだけどなと少し残念だった。それに、タバコとジッポ。電子タバコはポケットに入っていたが、ヤニのほうを持ってきていなかった。残念だ。手元にあるのは、残り6本のタバコ。少ないねぇ。俺は思ったよ。この6本は大切に扱わなければ。ここに来るまでの道中、街中でタバコを吸っている人を見なかった。てことは、この世界にはタバコというものは存在しない可能性が高い。もしかしたら分煙化が進んでて、俺の知らないところに喫煙所がある可能性もゼロではないが。あとはリップクリームと、蒲焼さん太郎が1個。1個かぁ。でもないよりいい。大切にしよう。というわけで、その日1本のタバコを吸ってからベットに入った。次の日の朝、タバコは6本のままだった。 どういうことだ? 昨日数え間違えたのか?と思い、スマホを見た。いつもの癖でね。そしたら充電が復活してた。「えぇ!!」 と思わず声が出たね。 だって、昨日赤かったんだよ、電源マーク。 俺は試しにロックを解除してホーム画面を見た。 電波マークはもちろんついてないし、5Gマークもない。 そもそも世界が違うんだから、電波が立つわけない。 でも充電は増えてる・・・。「なんで?」俺はしばらくスマホを見つめて考えていた。結構な時間、考えてた。「いや、わからんわ」俺は考えることをやめた。 スマホの音楽アプリを開き、イヤホンと接続する。耳から聞き慣れた曲が流れてきてホッとする。 次はあたなるの歌みたを聴こう。耳馴染みのある曲を聞いて心を落ち着かせ、Tシャツとチノパンに着替えて、靴はご自由にお使いくださいから借りてきた靴を履いて、とりあえず食堂へ行ってみることにした。足を踏み入れると、すぐにスタッフがテーブルに案内してくれる。朝はセットメニューになっているらしい。ビュッフェなら好きなものだけ取れるのに・・・と少し残念だった。 運ばれてきた朝食は・・・健康志向という感じの、野菜多めのメニューだ。だめだ。二代目さんは肉を欲しているんだ。草なんて食えるか!と、パンをミルクで流し込み食事を終えた。「肉が食いてぇな」 そう呟くと、店の奥から、薄切りの肉を何枚か焼いたものが運ばれてきた。「お口に合わなかったですか、申し訳ありません」そう言って、美味しそうな肉が目の前に並べられた。「えぇ!いいんですか!!ありがとうございます」その時の俺は、誰もが見惚れるような笑顔をしていたに違いない。 声も弾んでいたことだろう。自分でもわかりやすくテンションが爆上がりしたのを感じた。追加でパンももらい、それをゆっくり味わって食べていると、近くのテーブルの客の話が飛び込んできた。「アステーの近くにわいていた魔物の群れ、討伐されたんだってな」「あぁ、聞いたよ。良かった、来週あの辺を通る予定だったんだ」「どうやったら1人であれだけの魔物を倒すことができるんだ」「そうだよなぁ、来たばかりの頃は、魔物の骨を使って自分で作った剣を使っていたんだろ?」「そうだってな。そんな発想どうしたらできるんだ。いやぁやっぱり、稀代の英雄って感じだよな」「彼を囲みたいと狙っている貴族がいるらしいぞ」「反王制派のやつだろう?」「でも彼がそっちについたらどうなるんだ?」「うーん。どうなるんだろう、相当やばいことになりそうだけどな」「英雄が一夜で反逆者になってしまうかもしれないのか」「いや、今のところ彼は全く相手にしていないという噂だ。興味はないんだと」「そうか。反王政派の奴らもこんなに噂になるくらい目立つ動きをして、何を考えてるんだか」「王都祭も近いっていうのにな」もぐもぐと口を動かして、肉の味を噛み締める。物騒な話してんなぁ。そうか。王政派と反王制派があるのか。 こんなに平和で、異世界から来た俺にも親切な政治を敷いている王様に俺はすごく感謝してるけどな。確かトワさんが、「異世界からの転生者にも幸せに暮らして貰いたいというのが転生者保護プログラムの根幹」だとか言ってたしな。よし、俺は全力で王制派に尽くぜ。 心の中でうんうんと頷いて、俺は席を立った。宿舎のフロントにあった【ようこそ!テリワース王国へ!】というリーフレットと、【テリワース絶景100選】という本を借り、自室に戻って、とりあえずこの世界のことを知ることにした。やはり、今いる場所について知る必要がある。王国の成り立ち、各都市の紹介、おすすめスポット、旅行案内所の連絡先―――連絡先? そこには番号の羅列ではなく、不思議なマークがあった。 「これ、なんだぁ?」 丸い・・・うーん、形としては碁石?碁石の真ん中がなだらかにへこんでる、みたいな。伝わるかな。これが異世界の電話番号的な何かなんだろう。俺も使えるようになんのかな、今度トワさんに聞いてみよう。リーフレットには地図が付いていて、それを広げて見ながら、絶景スポットの写真集を見ていった。地図とか結構すぐ覚えるんだけどね。・・・でも現地に行くと迷っちゃう。なんでだろ、フシギダネ!ここは、ヴァルティというテリワース王国の王都。年配の人だと、新都と呼ぶ人もいるらしい。ヴァルティは70年位前に遷都されてできた王都らしい。それまでは、オットーというオットー霊峰のふもとの街が王都だったが、今は学術都市として機能していると書いてあった。面白かったのが、リーフレットにも、写真集にも、王族のコラム?みたいなのや、王族を見た!的な記事があったこと。どうもこの国の王族はおもしろ集団らしい。俺も会ってみたいな。ヴァルティのこの古い町並みは昔から徐々に作られてきたもので、官公庁があるあの高層ビル群は遷都に合わせて張り切った王族が頑張った結果らしい。なんだそれ。この部分は〇〇王子が!ここは〇〇様が!ここは〇〇王が!実際に建築したんですよーって写真付きって。意味わからん。今度テリワース王国の歴史みたいな本を借りてこよう。魔物出没マップ、魔物分布図、などもあり、異変を感じたときは各自治体の生活安全課へ連絡を、と、さっきの変なマークが印刷してあった。街中に行って、これから住む家を決めるために必要な情報を集めたいが、いかんせん、服がまだできていない。受け取るまで出かけることはできない。これは、俺のこだわりだ。音楽を聴きながら備え付けの雑誌を読んだり、フロントに頼んで、テリワース王国についての本を持ってきてもらったり、俺としては結構充実した日々を送っていた。2日目に、タバコを2本吸ってみた。翌朝には6本に戻っていた。スマホの充電も満タン。3日目には思い切ってタバコを5本吸ってみた。蒲焼さん太郎ももし戻ってこなかったらどうしようと思いながら食べた。安定のうまさだった。翌朝には、タバコは6本に戻っていたし、蒲焼さん太郎もピカピカに輝いて机の上に鎮座していた。これは俺にとってはとても喜ばしい出来事だ。もとの世界から持ってきたものは消耗しない?どういう原理かはわからないが、とにかくそういうことらしい。ということは、俺の体も、1日経つと元の状態になるってこと?そういうことなら、まぁ、ありがたく・・・って、これをチートとは呼びたくない。これは、偶然だ!偶然!!いや、タバコはありがたいですけど。こうなると、封を切ってないやつポッケに入れてればよかったと思っちゃう。そう、俺の考察によると、俺がこっちに持ってきているアイテムっていうのは、気を失った瞬間に、身近にあったもの、より正確に言うと、体に触れていたものではないかと。多分あの時マウス握ってたし。身近にあったものになるとPCも含まれそうだからな。多分触れていたものだと思う。・・・キーボードに触れてなくてよかった。あんなん持って転生してたら、ほんと間違いなく不審者だよ!あとは、タバコを吸いに行ったときにカーディガンのポケットにタバコとジッポ、スマホを入れていたし、チノパンのポケットにはリップクリームが入ってる。寝る前の恰好だから、足元がスリッパなのも納得だ。いや、このスリッパもお気に入りなんだよ、肌触りがいい。まぁ靴下はいてるけど。蒲焼さん太郎は、覚えてないけど、ポケットに入ってたんだろうね。キッチンで食べようとでも思ってたのかな?ただ、その考察を終えた時、俺の心にとてつもない後悔が湧いてきた。俺はなんであの時、焼き肉弁当を食いきっていたんだ。まっさらの焼き肉弁当を持っていたら、今!ここに!焼き肉弁当があったかもしれない。毎日!焼き肉弁当がおはようございますとやってきてくれていたかもしれない!くうっ!まぁ、ちょっと話が横道にそれたが、ただただ部屋でダラダラしてたわけではないということは君たちに伝わっただろう。 二代目さんの鋭い観察眼があればこのくらいの考察はチョロいってもんよ。仕立て屋でお金を支払い、試着室で着替えさせてもらった。うん、俺的にはちょいひらひらしてる感があるけども、まぁ、いいんじゃないだろうか。鏡を見てうん、と頷いて試着室を出た。「ありがとうございました」「あらぁ、お似合いですよ、うん、やっぱりその色で正解でしたね」そうなのだ。俺は結構配色に悩んだのだ。そしてブラウスもかなり絞ってもらったり、袖口がリボンで引き絞るタイプだったのを、普通のワイシャツの袖口のようなデザインにしてもらった(伝わらなかったところを見るとこの世界ではあのデザインはないらしい)もちろん腰にはジップラインに乗るときにカラビナをくっつけるリングもつけてもらったし、ブラウスは深いえんじ色、ジャケットは黒に近いグレー、ベストは黒、ポケットやベルトにつけるタイプのポーチなども一式ドンだ。狩り用のほうは、やっぱりね、二代目さんと言ったら、射撃ですよ。木の上や茂みで、魔物が現れるまで何時間でも潜伏できる忍耐力を持っていますから。よゆーっす。 ってことで、少し丈夫な皮を使ったジャケットにズボン、ブーツに加えて、雨もしのげるローブ、矢筒に弓ベルト、弓用グローブ、ロープやナイフ、サーベルを結わえることのできるツールバッグなどもまるっと頼んでおいた。このね、皮の感じがいいんだ。これは、大事に磨いてあめ色にしたいよ。ちなみに、皮のお手入れは・・・って聞いたら、獣脂を使ってるって言ってた。獣脂・・・俺、たぶん、においダメそうだ・・・。あめ色の使いこまれた革製品とは巡り合えないかもしれない。ショップカードを手渡されたときに見覚えのあるマークを見つけた。「あの、これって・・・」「あ、これは、この店への連絡手段よ」「え・・・っと」「あ、そうか、まだ登録がすんでいないから支給されていないのね?」「・・・はぁ、そーなるのかな?ん?でも転生者登録はすんでますよ?」仕立て屋のおかみさんの話を聞くと、ストーンIDというものがあるらしい。これの登録にはしばらく時間がかかるそう。そして、確実に個人が特定できるらしい。市庁舎で権限を持っている人間が、IDの追跡ができるとか・・・。「え、監視されるってこと?」「え?監視?」「え?だって、自分がどこにいるのか把握されるってことでしょ?」「んー、どちらかというと、自分に何かあった場合に助けに来てもらえるっていう認識かしら」うーん。それは受け取り方の問題だな。俺はこの制度、いやだな、って思った。だって、見張られてるみたい。「でも、このストーンIDには、くらい街道を歩いている時とか、行く先の街頭が自動的に転棟したり、帰りが遅くなりそうなときの連絡とか、とにかく便利なのよ」「そうなんですね、すごいなぁ」他国の文化にいちゃもんを付けるのはよくない。自分が嫌だなって思うなら、使わなければいいだけの話だ。「今日はお金を持ってきてくれたけど、ストーンIDがあれば、それの中にお金を登録できるから、移動も楽だし安全よ」うぐぅ。 キャッシュレス社会に慣れた体にはすごい誘惑だ。まぁ、たぶんトワさんから受け取るだろうから、その時に確認すればいいか。宿舎には7日間しかいられないと言っていた。その間に住みたいと思う場所を教えてもらえば、空いている住居を提供します、とのことだった。太っ腹だねぇ。ただ、都心部にはほとんど空きはないそうだ。それはそうだろう。誰だって都心に住みたいだろうしね。住居案内という資料に提示されている場所は、いわゆる旧市街と言われている場所となっている。ヴァルティという都市は、都市防衛という意味では本当に意味不明なつくりをしている。たいていの異世界物では、王宮を囲むように円状、もしくは格子状に街は広がっていく。そして一番外側に城壁があるんだが、ここは街の西~南側に旧市街、東側、北側は新しく作られた街となっている。広さは・・・東京23区とか、そんくらいの規模。・・・いや知らんけど。そんで、真ん中があの高層ビル群。俺は西の大門から入ってきたらしい。大門は、それぞれの辺の中央にある。城壁は後で知ったんだが、2重になっていると。大門の部分は二つの城壁の間の空間が入場口の受付。俺は衛兵にここに連れてこられた、ということ。最初ね、最初。それで、その受付の通路には扉があって、そこを進むと入都市管理の事務所とか、衛兵の事務所、その他もろもろいろいろな施設があるらしい。チェリトリに会ったのも、この入都市管理エリアの警備局の事務所だったわけ。城門の間はそうだなぁ、利根川の川幅くらいあるかな。たぶんね。で、門を都市側に出ると、橋があって、堀が城壁に沿って張り巡らされている。あ、もちろん都市と逆側の城壁沿いにも堀があるよ。・・・たぶん、あったはず。なんか、記憶がさぁ、いまいちはっきりしないんだよ、こっち来たばっかりで、さすがの二代目さんも混乱していたんだろうね、はっはっは。で、おもしれーのはここから。どんな話を読んでも、王宮というか、王族が住んでる場所って街の中央、一番外敵から遠い場所、だったわけよ。だけど、ここは違う。この王都は城壁が四角形に囲っていて、その四隅に王族の住む家があるんだよ。俺、王都の地図見てて、マジでビビった。まぁ四隅に結構広い区画があったわけ。ここなんだろう~?って見てみたら、『王宮※現王グラディス様と王妃スーフィ様、第2王子のウィンセラ様、第3王子のアルトゥール様が居住』って。え!北東の、ほぼ城壁に隣接しているここが、王宮??ってなるよね?次に北西を見てみた。『皇太子宮※現在はサティラス様とアンカレス家のミント様が居住』南西は『王族宮※現在は王族タクティス様、ルーシア妃がとお子様方が居住』南東は『王族宮※現在は王族ハールド様、ミスラ妃とお子様方が居住』って。そう言うのって機密事項じゃないの?俺がこの都市を攻めるなら、まず北西の角から侵入して最速で王様の首を取るけど。そして、中央の官公庁の一つ外側の区画が貴族街らしい。官公庁から北に橋を一つ渡った正面にアンカレス家の邸宅、地図上で見ると、官公庁を三角形で囲む位置、東側にミンカレス家、西側にユンカレス家と、ひときわ大きな区画があった。これは、この国のお偉いさんの家かな?王都ヴァルティは、テリワース王国のほぼど真ん中に位置している。城壁の長さは1辺が25km、面積は625㎢らしい。3代前の王様の時に立案され、張り切った当時の皇太子が土方軍団(王族の別名らしい。マジでイミフ)を引き連れて測量をしたそう。この国にはカレスという一族がいて、魔法学術を一手に引き受けている。これは、あれかな?あの大きな区画のアンカレスとかミンカレスとかユンカレスとか、そこら辺の一族なのかな?まぁ、とにかく、この国は、建築と魔法に長けた国だそうだ。だが、俺は不思議に思った。こんなに魔法に長けている国と言われているのに、なぜ生活魔法しかないんだろう?俺がまだ知らないだけ?あ、そうか。この間の登録手続きの時の検査の器具、あれもよく考えたらすげぇ設備だ。すべての医療検査がいっぺんにできるんだもんな。そういうところに力を注いでいるってことか?それでも不自然だよな。攻撃魔法とかがないって言うのは。ま、それはおいおい知っていけばいいだろう。この国は、もとは、複数の家族が固まって暮らすのが当たり前だったそうだ。庭に屋根付きのキッチンダイニングがあり、そこで複数家族で食事をとる感じ。うえーマジで?なんか窮屈そう。料理はだいたいの国民がそこそこできるのだそうだ。みんなで食卓を囲み、大皿から取り分けて食べる。そうやって親睦を深めていたと。まぁ、うん、それはわかる。でも俺は、個食がいい。大皿から取り分けるって言うのは、ちょっと俺にはなじめない。今はさすがに核家族化というか、個々の生活が重んじられるようにはなったらしい。それまでは、レストラン、外食という概念自体がなかったというから驚きだ。そして、ちょいちょい目にするロンドという言葉。これは特に説明文はなかった。いったい何だろう?俺の想像するに、たぶん謎制度だと思うわ。うん、たぶん。まぁ、話がそれてしまったが、俺が何を言いたかったかというと、どこに家を構えるかって話だ。資料によると、ヴァルティ以外でも構わないということ。ただ、ほかの街がどんなものなのか全くわからないから、正味ヴァルティしか選択肢にない。最初の家以降の引っ越しについては、個々人でご自由にどうぞということだった。とりあえず家をもらって、いろいろ冒険してさ、気に入った場所があったらそこに仮拠点を作るって言うのも一つの手だよね、二代目さん、かしこい!というわけで、俺は街中歩いてみることにした。体力の回復があるって素晴らしいね。宿舎のフロントにどう回るのがいいかなって相談したら、各区の特色を教えてくれて、住みやすい場所とかいろいろ教えてくれた。ほんと手厚すぎる転生者保護プログラム。なんなんだいったい、この国は。俺の予想を簡単に裏切ってくれるよ全く。まずは王宮に行ってみることにした。ロードパイプという2階層交通手段を使ったんだが、俺にはまだストーンIDというものはないから、現金払いだ。1乗車10カレス。わかりやすい。とくとく切符のような概念はまだ内容だった。未熟だな。透明のパイプのような路線の中を、バス的な乗り物(レトロでかわいいんだこれが)が走っている。が、車輪はない。たぶんこれは、上のホットラインにあったエグモビルの大型版だなと思ったら、やっぱりエグモビルと呼ばれていた。パイプ自体に路線情報が組み込まれているんだろう。自動運転だ。快適。飛ぶように変わる景色を眺めながら、イヤホンで音楽を聴いている。結構最近までこれは夢だろうだからめいっぱい楽しもうと思ってたけど、リアルに転生したんだろうなと思い始めていた。そうなると、やっぱり、未練があるわけで。ピスパもあたなるも、もちろんリスナーにも。配信者として生活ができるほどになるまで、ずっと見守ってくれてたリスナー、最近知って応援してくれるようになったリスナーに、もう会えないんだなと、時々ぎゅっと心臓を鷲頭神にされたような気持になる、から、思い出さないようにしている。だって、そんなの、寂しいじゃんか。悲しいじゃんか。リスナーと軽口をたたきながらする配信も、のどの調子が安定しなくて、歌枠の後はいつも俺のザコ喉がよぉと思いながら見返したことも、企画配信のためにみんなと会議をして分担して、何度もやり遂げてきたことも、もう、それは自分のものではないんだと思うと、正直つらい。俺が急にいなくなって、りゅーじくんはすごく心配しているだろう。カズにぃや自由くんとか、関東組はうちに様子を見に来てくれているかもしれない。物理的に駆けつけられないメンバーも、きっと心配してくれている。それは、確信できる。だからこそ。いなくなってごめんな、一緒にやっていけなくてごめんな。その言葉を伝えられないことがすごくつらいし、その現実に心が折れそうだ。だから、俺は考えないようにした。前を向いていく。もし、これがめっちゃ長い夢で、目が覚めた時に余すことなくみんなに語れるように。俺は、そう、決めたんだ。
slp.v2012.coreserver.jp
December 18, 2025 at 2:09 PM
8.英雄の怖い話をしようか。
8.英雄の怖い話をしようか。
slp.v2012.coreserver.jp
November 30, 2025 at 10:47 AM
50時間配信を終えて~所感~

いやいやいや。なにから語ればいいのか。 私にとって初めてリアタイできる50時間配信。全部リアタイするぞ!と思ってたんだけど、まぁそんなことできるはずもなく。寝落ち寝落ちで全体的に寝不足で50時間+二次会を過ごしました。 当日、午前中ちょっと用事があって、早起きして出かけたから、仮眠もできなかったしね。食べ物をいろいろ買いこんできて臨みました。余談ですが、MOSの黄金ビーフバーガーだっけ?私あれあんまり好きじゃなかったな。やっぱりMOSチーズバーガーが最強ですね。次点でチキンバーガーです。チキンナゲットはMOSが一番好き。…
50時間配信を終えて~所感~
いやいやいや。なにから語ればいいのか。 私にとって初めてリアタイできる50時間配信。全部リアタイするぞ!と思ってたんだけど、まぁそんなことできるはずもなく。寝落ち寝落ちで全体的に寝不足で50時間+二次会を過ごしました。 当日、午前中ちょっと用事があって、早起きして出かけたから、仮眠もできなかったしね。食べ物をいろいろ買いこんできて臨みました。余談ですが、MOSの黄金ビーフバーガーだっけ?私あれあんまり好きじゃなかったな。やっぱりMOSチーズバーガーが最強ですね。次点でチキンバーガーです。チキンナゲットはMOSが一番好き。 私の最推しはサンカラですが、箱推しです。あたなるは、最推しがいて、箱推ししてる方が多いイメージですね。すごくあたたかい。もちろん歴が浅いので、まだまだ理解ができていない部分もたくさんあるのですがね。 所感として、まぁるくなったなぁって思いました。今までの50時間はアーカイブで拝見しましたが、オモロを奪い合っている印象がありました。ばちばちにやり合ってる感っていうか。でも今回は、オモロを分け合っているというか。伝わるかな、この感じ。もちろん、それぞれが切磋琢磨して、オモロを追及しているのは変わらないんだけど、まぁるく感じたんだよね。あたなるの時間は確実に過ぎていて、それが信頼関係という形で花開いているんだなって思った。たぶん、揶揄されているメンバーのリアクションとか、信頼関係があるからこそのものだと感じたからかもしれない。 アンケートランキングクイズの時に、カズくんが、「誰かが傷つくかもしれない設問を入れられなかった」と言っていたけれど、それも仲間を思いやるやさしさだし、信頼関係の上に立って、そう言う設問を入れていこうよ、っていうメンバーも、やさしさに溢れているなぁって。 誰かの感想配信で言及していたけれど、りゅーじくんがいないことをみんなでカバーし合って作られた50時間だったんだなって思ったよ。 こんな風に変わってきたあたなるをずっと見てきたわけじゃないけれど、これからも変わっていくあたなるを見ていきたいなって思った。 サンカラ推しとしては、サンカラの枠がかぶりまくっててうれしかったな。 いっこいっこの感想は見返しながら書こうかな。いろんなことがぶわーってなって、混乱しちゃうよ!というわけで、カズくんと和泉さんの配信見ながらボジョレー空けたいと思います^^ 皆さんも、ワインを楽しんで!
slp.v2012.coreserver.jp
November 27, 2025 at 11:53 AM
執筆をScrivenerに移植。使いこなせるかな。でも、いい感じ。Notionは使い勝手が合わなくて、WPにしたけど、それも、うーんって感じ。ONENOTEは昔はすごく使いやすかったけど、なんか違和感ある。1話から手直ししていこう!おー!早く、13人合流できるといいな^^
November 18, 2025 at 1:42 PM
手直しと、MIMESISといろいろ

ワイワイ楽しそうなMIMESISを見ながら、異世界生活の手直しをしています。 TVで二代目さんの配信を、iPadでカズくんの配信(イヤフォン)で見ています。忙しい!でも、どっち視点か選べなかったんだもん、しょうがない。時間があるときに今度はれおんくんと憐央くんを同じようにしてみようと思う。…
手直しと、MIMESISといろいろ
ワイワイ楽しそうなMIMESISを見ながら、異世界生活の手直しをしています。 TVで二代目さんの配信を、iPadでカズくんの配信(イヤフォン)で見ています。忙しい!でも、どっち視点か選べなかったんだもん、しょうがない。時間があるときに今度はれおんくんと憐央くんを同じようにしてみようと思う。 今週続きをアップできたらいいなって思ってたんだけど、うーんって感じです。もともと、Ⅰ転生編は、10話の予定だったのですが、13話になって・・・今、14話になりました。でも、キリよく15話にしようかと思う自分と、どうせ書いてたら20話くらいになるんじゃ?と思う自分がいる。 もともと大まかな都市設計はしていたんだけど、序盤は、早く先を書きたくて、表現を飛ばしていた部分があるので、その部分をちょこちょこ保管していきたいと思っています。 段ボール飛行機ではしゃぐお二人がとてもかわいい。れおんくんと燐央くんの方がどうなっているのか気になる。あ、合流した。無事でよかった。 このところ、いろいろなコラボ配信してくれていて、嬉しい限り。雑談枠も。ていうか、二代目さんのいきなり深夜に始まった配信が、朝起きた時にまだ続いていてびっくりしたよ。50時間を控えているのに、大丈夫かな?カズくん、のどの調子が悪かったって言ってたし、季節の変わり目は体調を崩しやすいからね。大事にしてもらいたいですね。和泉さんの24時間配信からなんか、みんなの感覚がぶっ壊れてきてる気がして面白い。でも、歌枠もあるし、カズくんなんて12月に現地ライブ控えているし、仕事量半端なさそうで、怖いよ。体調とメンタル面もしっかり気遣って、無事周年を迎えてほしいなって思います。 コンパス、買ってもらえてよかったね、二代目さん。
slp.v2012.coreserver.jp
November 14, 2025 at 2:11 PM
情報の波に溺れちゃって、記憶がない。

えーーーっと。なにから語ればいいかな。えーーーっと。 まず、カズくんのハロウィン配信(違)いや、その前に歌みたのサムネかな。わくわくするよね。歌みたの告知出ると。誰と歌ってるんだろう、何を歌ってるんだろう、どんな感じなんだろうってさ。そんで、カズくんのハロウィン配信では生ギター歌唱もあって、うっひょーって感じ。ギターに詰まってうんうん言いながら弾いて歌ってってしてるカズくん、楽しい。そこからの爆弾ですね。律可さんと燐央くん??しかも二代目さんとすりっぷさんも??二代目さんに至っては、3か月連続カズくんと歌みたじゃん!と。頭、スパーンですよね!…
情報の波に溺れちゃって、記憶がない。
えーーーっと。なにから語ればいいかな。えーーーっと。 まず、カズくんのハロウィン配信(違)いや、その前に歌みたのサムネかな。わくわくするよね。歌みたの告知出ると。誰と歌ってるんだろう、何を歌ってるんだろう、どんな感じなんだろうってさ。そんで、カズくんのハロウィン配信では生ギター歌唱もあって、うっひょーって感じ。ギターに詰まってうんうん言いながら弾いて歌ってってしてるカズくん、楽しい。そこからの爆弾ですね。律可さんと燐央くん??しかも二代目さんとすりっぷさんも??二代目さんに至っては、3か月連続カズくんと歌みたじゃん!と。頭、スパーンですよね! そして、「MadDinner」良き。速いテンポで、最初ついていくのに必死だった。何度かリピってかっこいいーかっこいいーみんないい声―!律可さん頬っぺたに血痕??あ、いや、チェリーかベリーの汁が飛んだ?とか考えている間に、歌みた雑談開始。 ここで私は(私たちは)重大な真実を知るのだ。 二代目さんが歌いたいって言ってたから、実現できてよかった。 星乃歌カズ~~~~~~!!!!なんていい人!ほんと、カズくんっていい人だよね。私、カズくんが怒るところの想像ができない。みんなに何を言われても、(ちゃんとわかり合っているからだとしても)不機嫌になったり、怒ったりしてるの見たことない。「なんでだろうね?」とか言って一緒に笑いにしちゃってるところとか、本当に好き。 歌みた1本作るのに決して少なくないお金が動いているはず。歌が好きだから、一緒に歌いたいから、そんな気持ちで動いてくれる人だって思えて、とてもうれしい。 二代目さんとカズくんって、サンセットカラーとしてっていうか、二人の間の信頼関係がもうほんとにゆるぎないもののような気がする。今回の歌みたの話をしているとき、「二代目さんが歌いたいって言ってたから」「カズにぃが歌みたの曲探してるから」って言える関係性って、すごいと思った。自腹を切る歌みた、グループとしてくくられていても、個人勢なわけだから。なんか、そういう利害関係を除外しした関係性に見えて、とても良いと感じるのです。ホロスタのお二人も楽しそうに話に参加してくださって、よい関係が築けてるんだなって、嬉しくなる。また、次、新しい歌みたや、コラボが見れるといいな。 そして、50時間配信、決定!ですよ。嬉しい~!25日、休みを取るか真剣に検討中。だけど、大きなプロジェクトの期限が12月の頭なので、むむむ・・・と思っている。アーカイブでも追うことを視野に入れて、ムリのない程度にリアタイしていこうかな!あたなる配信のデータベースを作りたい・・・時間がない・・・という無限ループ。50時間配信でまたアーカイブが増えてしまう・・・。嬉しい悲鳴! 発表があってから、過去のアーカイブをちょこちょこ見てる。歌枠は、仕事中のお供で聞いてる。あと、こないだのカズくんのギターの練習歌枠もとても良いお供になる。TRPGは長時間配信だから、ゆっくり見れることが少ない。聞くだけで大丈夫なら仕事中行けるけど、ダイスの出目見たいから、ムリだし。TRPGが負えないのが残念。今カズくんとぜろつーくんの留守番番を見てますが、そろそろタイムリミット、寝なくちゃ・・・。 あー、情報の波に溺れながら、幸せな11月が過ごせそうですね!(と、無理やり〆る) あたなるファンタジーは来週次のお話があげられたらいいなと思ってます。それでは。
slp.v2012.coreserver.jp
November 5, 2025 at 2:53 PM
あたたかくなる異世界生活 サブタイトル一覧

あたたかくなる異世界生活 プロローグ Ⅰ.転生編 1.異世界背転生なら俺に任せとけ! 2.チートなしがもはや転生ものの鉄板だったりするしね! 3.ようやく形になってきた異世界生活 4.いや~奇遇だね! 5.チョロい男と、おもしろい噂 6.英雄の怖い話をしようか 7.おいしい料理はハードルが高い 8.弱くて、強くて、優しくて、頼りになります 9.どんなふうに生活してたらそうなるの? 10.やっぱりそこ、行くよね 11.ずっとここにいたのかよ! 12.さすがとしかいいようがない 13.それぞれの異世界生活、これからの旅路
あたたかくなる異世界生活 サブタイトル一覧
あたたかくなる異世界生活 プロローグ Ⅰ.転生編 1.異世界背転生なら俺に任せとけ! 2.チートなしがもはや転生ものの鉄板だったりするしね! 3.ようやく形になってきた異世界生活 4.いや~奇遇だね! 5.チョロい男と、おもしろい噂 6.英雄の怖い話をしようか 7.おいしい料理はハードルが高い 8.弱くて、強くて、優しくて、頼りになります 9.どんなふうに生活してたらそうなるの? 10.やっぱりそこ、行くよね 11.ずっとここにいたのかよ! 12.さすがとしかいいようがない 13.それぞれの異世界生活、これからの旅路
slp.v2012.coreserver.jp
November 1, 2025 at 2:06 PM
1.異世界転生なら俺に任せとけ!

頬を風が撫でていく。心地よい風に吹かれて、俺はどこかふわふわとした気分だった。(あれ?ディスコ、切ったっけ?)そんなことを思いながら寝返りを打つ。(いたっ。かたっ。え、すげぇ堅いんだけど……ベッドじゃねぇの?床?)肩が痛い。俺はううっとしかめ面になって、ぐっと瞼を押し上げた。 うっすら見えた風景は――緑の森だった。(いや、夢の中で夢を見るんじゃないよ)自分に突っ込みつつ、もう一度眠い瞼を押し上げた。頬を撫でるさわやかな風。 少し遠くには緑豊かな森。 俺が寝てるのは、草の生えた乾いた土の上。子供のころ嗅いだ記憶のある土の匂いがする。 「……は?」…
1.異世界転生なら俺に任せとけ!
頬を風が撫でていく。心地よい風に吹かれて、俺はどこかふわふわとした気分だった。(あれ?ディスコ、切ったっけ?)そんなことを思いながら寝返りを打つ。(いたっ。かたっ。え、すげぇ堅いんだけど……ベッドじゃねぇの?床?)肩が痛い。俺はううっとしかめ面になって、ぐっと瞼を押し上げた。 うっすら見えた風景は――緑の森だった。(いや、夢の中で夢を見るんじゃないよ)自分に突っ込みつつ、もう一度眠い瞼を押し上げた。頬を撫でるさわやかな風。 少し遠くには緑豊かな森。 俺が寝てるのは、草の生えた乾いた土の上。子供のころ嗅いだ記憶のある土の匂いがする。 「……は?」 ぱちぱちとまばたきをして、ゆっくりと体を起こす。 堅い大地の上で寝ていたらしい俺の体は、ミシミシと悲しい音を立てた。「え、嘘でしょ?なにここ?どこ?え?」きょろきょろとあたりを見回し、首を傾げ、もう一度土の上にごろんと横になる。 目を閉じて、十数えてから、またゆっくりと開く。「変わんないんだけど? え?マジ?なにこれ!りゅーじくーん、俺のこと殴って起こしてーーーー!」大きな声で、2階にいるであろうりゅーじくんを呼ぶ。 だけど、どこか冷静なもう一人の自分が「いや、こねぇだろ」と呟いている。 だって――。 目の前には、結構大きな塀があるんだもん。 これはだいぶ立派なお屋敷の塀だな。 いや? だいぶ遠くまで塀が続いている。 しかもなんか、なんか……塀というよりも城壁という方がしっくりくる。 あれ、多分、上に通路があるタイプの壁だと思うんだよね・・・。「夢、だと思うんだけど。いや、夢じゃなきゃまずいんだけどさぁ、99パー夢だと思うけども、でも、この感じ、あれじゃない? 異世界転生じゃない?」そうつぶやいた瞬間、むくりむくりと期待感が頭をもたげる。「やっべ。夢でもいいわ。二代目さんの異世界転生ドリーム、始まっちゃう感じ??」夢なのか、現実に転生しちゃってるのか、まぁ夢に決まってるけど、ワンチャン現実の可能性もある。この先知らない世界で苦難が待っているかもしれない。 けれど――数多の転生物を読んできた二代目さんに死角はない! ・・・はず。 そう思いながら、俺は草の上に両手を広げて寝ころんだ。 空の青は、北海道で見上げていた空と同じくらい、青く澄んでいた。「やっばい、テンション、上がるぅ!」――だけど、俺はまだ知らなかった。 この“夢”が、どれほど長いものになるのかを。「さて、とりあえずは、ここがどこで・・・ふふっ。俺にどんなスキルがあって、どんなチートがあるのか、まずはそれを確認せねばならん」立ち上がり、尻についた草をはたき落として。足元が目に入りうわぁと思わず声が出た。「足元スリッパかよ、これで歩くの無理ゲーじゃん」まぁ、これで転生してしまったのなら仕方がない、とあきらめて、俺は塀を見上げる。「いや、これはやっぱり城壁か?・・・てことは、中世ファンタジーみたいな感じか。やべ、好みど真ん中じゃん」とりあえず入り口を探して、塀の――いや、城壁の周りを歩いていくことにした。城壁に沿うように石造りの堀があり、水が流れている。異世界好きとしてはテンションあがるだろ、これは。「いや〜夢に決まってるけど、いい夢だわ。次の配信で話すネタできたね。これは勝ち組よ。目が覚めるまで、しっかり満喫しないとな〜」などと、自分の記憶力のポンさ加減を棚に上げて、うきうきと歩を進める。 そのとき――。ガチャガチャと金属音と足音がして、鎧に身を固めた兵士たちに取り囲まれた。「何者だ!」「え?あ、僕ですか?僕は―――」……あれ、言葉が通じてる。 あ、そっか。夢だもんね。都合よくできてるよね。もしくは主人公チートか。「怪しいものじゃないです!二代目さんです!二代目赤です!!」両腕をつかまれているのに、のんきにそんなことを言っている自分に、(あやしさMAXだろ!二代目さんって、誰がわかるんだよ!)と心の中でツッコミを入れた。 連れていかれた先は、大きな――それはもう大きくて重厚な門をくぐった先にある事務所のような場所だった。 大きな跳ね橋が門の前に設えてあってそれを渡っていく。か、かっこいい~~~!城壁は石造りで重厚、門の内側にはホールがあって、そこに関所のように区切られた検問所があり、そこで身分証?のようなものを提示している人がたくさんいた。 そんな人たちにひそひそされながら通り抜けるのは、正直かなり恥ずかしかった。俺、部屋着!スリッパ!やべぇ、HP削れるぅ。 狭い部屋に入れられて、椅子に座るよう促された。 手ひどいことはされないようだ――よかった。 俺、勝てないよ・・・こんな屈強な人たちには。いや、意外とやれるかもしれないけどね!目の前に座った事務官?みたいな男が俺に話しかけてきた。「で、君は誰だ?どこから来た?」胡散臭そうにじろじろと見られる。 まぁ、確かにそうだ。 俺は今、上はグレーのTシャツにユニクロのチノパン、もこもこしたカーディガン。 手首にはじゃらじゃらいろんなもんが付いてるし、ネックレスも、指輪も何個かはめてる。 足元に至ってはスリッパだ。 ……だって、寝る前だったんだ。しょうがねぇだろ。「えぇと、僕は、ここじゃない世界から来ました。信じてもらえるかはわからないですが・・・」俺がおずおずとそう言うと、目の前に座った役人みたいな人がふんとうなずいた。「なるほど、転生者か」俺はその言葉に目をむく。「てっ!転生者をご存じなんですか??」思わず立ち上がって叫んでしまった僕を責めないでほしい。だって、転生者がポピュラーな世界なんて、競争率が高そうじゃないか!希少性って大事よ?ちやほやされるかされないかって、やっぱり大きいじゃない!「いや、数年に1回あるかないかだが、俺が転生者に会うのは初めてだ。俺は王都警備局の文官、チェリトリだ。君は―――二代目?二代目赤だったかな?」「え、あ、はい、そうです」「記録によると、転生者はこの地に馴染めずならず者になるケースも多いのだそうだ。なので、転生者の保護プログラムというものがあって、今から中央省に連れて行くから、そこで説明を受けてくれ」 「転 生 者 保 護 プ ロ グ ラ ム !!!」 俺はまたもや興奮を隠せず叫んでしまった。もちろん立ち上がりもした。これあれだよ!!転生者保護プログラムの説明の時に、魔力量とか、スキルとか、いろいろ調べられて登録して、「あなたは素晴らしい能力を持ってるのね」とか言われて、これ以上ないいい気分を味わえるやつだ!はっと我に返ると、チェリトリ・・・さんが俺を見て笑っている。「元気がいいね、君はとても気持ちのいい青年のようだ。ならず者になるとは思えない。ようこそ、テリワース王国へ。困ったことがあったら頼ってくれ」チェリトリ・・・なんていいやつなんだ!遠慮なく頼りにさせてもらうよ!「できるだけ、お手を煩わせないようにしますが・・・困ったときはよろしくお願いしまっす」そう言って、チェリトリに頭を下げた。―――まぁ、少しね、盛りましたよ。やっぱりね、初対面のイメージって大事。なんたって俺、城壁の外でひっくり返ってた異世界人だからね。部屋着を着てうろちょろしてて、しかも足元はスリッパ。今のところ心証は低空飛行よ。ここでの生活を安全なものにするためには、周りを利用していかないといけない。これ、二代目さん流異世界生活の基本ね。いや、だってさ、ドラクエであれ、7Days to Dieであれ、マイクラであれ、この手のゲームの基本は略奪よ。ずかずかと市民や村民の家に入り込んで「お、ラッキー」とか言って物資を集めていくんだからさ。そうそう目くじらを立てなさんな。別に悪人になるつもりはないよ、ただ、ただね?生きていくためには必要だっていう話なの。もし、チェリトリを殺さないと現実に帰れないって言われたら、殺すでしょ?そういうことですよ。 チェリトリに連れられて城壁から出る。そこには、自分が読んできた異世界転生ものの世界と、俺が知っている現代社会が融合したような街だった。「うわ、高っ」遠くに高層ビル群のような高い建造物が並んでいる。「すごいでしょう。テリワース王国の王都、ここヴァルティは周辺国の中でも一番素晴らしい街なんです!あのビル群は中央省で、国の主要な機関が集まっています。二代目のいた世界はどうでしたか?」言外に「うちの方がすごいだろ?」とにじませているチェリトリに、俺は営業スマイルで答える。「すごいですね!俺が住んでいたところなんて、掘っ立て小屋ですよ!すごく狭くて、夏はもう蒸し風呂のようになって、生きてるだけで褒められてもいいような・・・!うわぁ、僕、こんな素晴らしい街に来られて、幸せだなぁ!」頭に自作の防音室を思い浮かべながら適当にした返事に、チェリトリの機嫌は明らかに上向きになった。「そうか!君は大変なところで生きていたんだなぁ。二代目、腹は減ってないか?」周りを見回すと、かわいらしいお店の店先から甘くていい匂いが漂っていた。「あー、そういえば、・・・いや、そんなに減ってないかな」寝る前に焼き肉弁当食ったしな。「・・・そうか。ヴァルティには旨いものもたくさんあるんだよ・・・!また今度、ごちそうしてやるよ」目に見えて声のトーンが下がったチェリトリは角を曲がったところで急に立ち止まる。「中央省に行くにはここからケーブルウェイに乗るぞ」「ケーブルウェイ?」「あぁ」チェリトリが見上げた先を見てみると、相当高いところに丸いものがあり、確かに何かのケーブルがつながっているのが見える。・・・まさか、ジップラインみたいにしゅーって行くのか?やべぇ!おもろい!マイクラでいう水流エレベーターみたいなサイズの塔?に入るとふわりと体が浮き上がりすごい勢いで上がっていく。「うっわ、うっわ、まじか!」ぐんぐん上っていく感じ。エレベーターなんて比較にならないほどのスピード感。自分でも変だなって思うけど、俺はここで、改めて異世界に来たんだって思った。せっまい塔の中を上がっていく途中で。景色が見えるわけでもない、見えるのはびゅんびゅん過ぎていく建物の内側、茶色いレンガだけなんだけどね。徐々にスピードが緩んでいくのを感じた。上を見ると光が見える。到着が近いらしい。ひゅんと塔の先頭に飛び出して、この街の全貌が見えた。 あまりにも美しく、俺の想像を上回る、創造上の世界。「はわわ・・・!」思わずそんなつぶやきが口から零れ落ちた。「やばい、好みすぎる。なんなの、俺の夢、やっぱり最高じゃん」頭の中で、異世界転生もののオープニングが流れ始めた気がする。もちろん、主人公は、二代目赤!配信終わりにPC切ったら異世界に来てました、なんて、完璧じゃん。 そんなことを考えていると、ストンと床の上に着地した。 「二代目さん、こちらですよ。中央省までのホットラインです」チェリトリが身分証をタッチ端末にかざしていた。すると、ちかちかと透明のチューブが光る。「ケーブルウェイでいいかな?」「ん?」「あぁ、そうか、説明が必要だな。ホットラインは小型のエグモビルか、このワイヤーを選べるんだ。エグモビルは複数人で移動するときに便利だが、ルートによっては時間がかかる。ワイヤーだと一人で専用のケーブルウェイを使うから早いんだ」「はーなるほど」ところどころ走っている丸い乗り物がエグモビルか。その上を張り巡らされているケーブルにぶら下がっている人がいるが、あれがワイヤーで移動している人ってことか。おもろ。「ケーブルウェイで大丈夫です」俺は元気よくそう言った。 チェリトリが端末を操作していると、足を引っかけるタイプのワイヤーロープが2本出てきて、体に命綱を巻き付けるよう指示される。チェリトリのベルトにはワイヤーロープを固定する金具がついている。あれ、いいな。俺も欲しい。かっこいいし、こんなぐるぐるにロープ巻くのは嫌だ、かっこわるい。「ルートは、インプットされているからただ落ちないようにロープに乗ってろ」「りょーかいっ」俺は足をロープに差し入れ、ぐっとロープを握りしめた。その瞬間シューっと動き始める。「わっ、や、すげースピードだぁ!!ほーぅ」本当に空を飛んでいるみたい。 あー、この気持ちをだれかと共有したい!と強く思った。あたなるのメンバーはもちろん、リスナーのみんなにも。「俺、こんなことがあったんだぜ~」と、話せる場所があるって、大事な事なんだなって思った。 いや、しんみりしている場合じゃない。とりあえず、俺は主人公だ。バシッと異世界で魔王を討伐して、現実社会に凱旋せねば。 中央省のケーブルウェイの駅に降り立ち、チェリトリの後について行く。すれ違う職員?らしき人たちは制服なんだろうかっちりとしたしゃれた服を着ている。高級ホテルの制服みたいなやつ。女性もパンツなんだな、さっそうとしていてかっこよく見える。そうすると逆に周りの視線が気になってくる。や、やっぱりパジャマ代わりのTシャツとチノパンじゃだめ?でもこれ、結構いいところのよ?和泉ニキのジャージよりはだいぶましだと思うけど!それにこのカーディガン!これ肌触り最高なんだからね。しかもすんげぇあったかい。ポッケもついててさ。ポッケにはスマホも入って・・・ここじゃあ何の役にも立たねぇけど。いや、ワンチャン、このスマホでチート発動とか、なくもない?このままいけば、能力開放イベント間違いなしだし。テンション上がるっ、やべ、俺どんなチートあんだろ。一瞬で最強になるのも悪くないかもだけど、成長系の能力の方が楽しめるかな。あ、経験値が10倍で増えるから、ランクアップし放題!的な?異世界転生ギフトとかで予知能力とか、時間を止めるとか、できたり?そういうの、期待しちゃいますねぇ。 チェリトリの隣で壁に背を預けて、「市民課」の中を見渡した。まぁ、日本の市庁舎とは全然違うね。俺の読んできた異世界ものの役場とかギルドとかともなんか違う感じだけど。さっきの移動手段もだけどさ、なんかある一部分が突出してハイテクなんだよね。だって、道は石畳だし、馬車走ってたし、高層ビルあるけど、基本レンガとか石とかで、鉄筋コンクリートとかあんまりない感じ。なのに、ケーブルウェイだ、エグモビルだ、よくわからない端末の並んだオフィスとか。 はい、ここ重要ですよ!テストに出ます。“よくわからない端末”。いいですかー。“よくわからない端末”ですよ!つまり、これが、いわゆるチートとかレベルとか、能力を調べるやつですよ!! 俺は興奮を抑えるようにふぅと息をついて、ポケットに手を入れた。「あれ?」左のポッケに何か固いものが入ってる。「なんだ?」わしわしとポケットの中で触っていると、ダイヤモンドフィットする場所があった。これは、あれだ。俺の愛用している―――ワイヤレスマウス。なぜだ。なぜ俺はワイヤレスマウスを持っているんだ。がっくりと頭を垂れると、足元が視界に入る。「すりっぱ・・・」ていうかよくジップラインで落ちなかったな!!そんなことある?スリッパでジップライン乗って、スリッパ生きてるってある??まぁ、ここにあるんだから仕方ない・・・。認めるとするか・・・。お出かけするときは、気合を入れて身だしなみを整える俺としては・・・このいでたちは我慢ならん。後でここのお役人さんに服貰おう。保護プログラムかなにかで、服ぐらい貰えんだろ。 「お名前はどうされますか?」カウンターに座って受付の女性と向かい合う。「名前?」「はい、転生者登録証と市民登録のために、名前が必要でして、転生されてきた方は結構好きな名前を付けたいと言われることがあるので・・・」「え、そうなんですか?」「はい、ですので、今、登録する今でしたら、お好きな名前で登録できますよ。それ以降は変更することはできません」「なるほど」俺は少し考える。悠夕夜赤で登録する?それとも妄想ドリーム爆発の名前を付けるか。いや、やっぱりこのままが一番いい。「二代目、赤で、お願いします」「かしこまりました」お姉さんが手元の端末にどんどん入力しながらいろいろな質問をしてくる。身長体重、全身スキャン検査(なんか血液検査とかレントゲンとかCTとかMRIとか全部ひっくるめた検査っぽい!)を終わらせると、2時間ほどが経過していた。またカウンターに戻り登録証の説明を受けている時に、ふと思いついて聞いてみた。「そういえば、転生者って結構いるものなんですか?」「そうですね、昔から結構ありますね。一番古い記録だと150年位前だったかと思います。最近は結構多い印象ですね。一年くらい前に2名、半年前に1名、いましたね。彼らはこの地になじむことができたみたいです。二代目さんも一日も早くなじんでくださいね」お姉さんがにっこりとほほ笑んで、登録証を差し出してきた。「ん?」「はい?まだなにか?」「え、えっと、あの、俺のスキルとか、能力とか、レベルとか、そういうのは・・・?」これで終わりとか聞いてないよ!ほら、あるだろ!異世界転生にはつきもののあれが!思わせぶりな装置もあるじゃないか!ほら、もうもったいぶらずにさっさと俺に差し出せ!「すきる?能力?れべる?・・・えぇっと、ちょっとお待ちください、上司に聞いてきます」戸惑ったようにお姉さんが席を立ち、上席へ向かっていった。「え、嘘だろ?何もなし?いやいやいやいや、それはないわ、え、だって、あるわけないよね??」俺はいささか混乱した。いや、いや、俺でもね?混乱することもありますよ。あると思っていたものがないんだから。誰だってそうなるでしょ?まだ、慌てるような時間じゃない。多分、大丈夫だ。俺にはスキルがある。そうに決まってる。 「お待たせしました」目の前に体格のいいイケメンが座っていた。市民課課長のトワさんというらしい。「えぇと、うちの職員が勉強不足で申し訳ありません」ほらね!!やっぱりさっきのお姉さんが知らないだけだったんだ!思わず鼻の穴を膨らましてしまった。「いえ、そういうこともありますよね」「えぇ、申し訳ありません、説明不足だったようです。再度私の方から説明させていただきますね。転生者の方で時々、スキルやチート、能力、経験値、レベルアップなどの単語を出される方がいらっしゃいます。いろいろな転生者の方から話を聞きますと、どうやらそういう概念、不思議な力というか、があるのではないかと考えていらっしゃるようで」「え、えぇ・・・」なんだ?なんか雲行きが怪しいぞ。「それでですね、私共の国には、そのような制度はございませんので、ご希望に沿うことはできないというのが現状です」「ま、まじかぁ」「なんだか、そういう仕組みのある国があるとか?いずれの方も目をキラキラさせて話してくださるんですが、そのたびに私共は申し訳ない気持ちになってしまうんですよ・・・」しゅんとした顔で頭を下げるトワさんに俺は力なく首を振った。「いや、僕の勘違いだったようなので、ご迷惑をおかけしました・・・」目をキラキラさせて・・・と表現されると、自分がものすごく恥ずかしくなるからやめろや。「いえ、あの、これに失望せず、この国で幸せに暮らしてほしいというのが、わが国の転生者政策の根幹にありまして・・・大変心苦しいです」・・・っなんだよ、この国の人間はみんないいやつかよ。「そんな、大丈夫です。あこがれていた仕組みだったので、少し残念でしたが・・・」俺がそういって笑って見せると、トワさんはほっとしたように微笑んだ。「では、宿舎へご案内させます。支度金は5000カレス/日が7日分支給され、住居を決められたら、10年目の職員年俸1年分を一括で支給します。これからの1年の間にこちらでの生活基盤を整えてください。困ったことやわからないことがあれば、市民課の転生者政策担当がご相談に乗りますので、遠慮なくおっしゃってください」「・・・はい、ありがとうございます。えっと、早速ですが、このあたりに服屋ってあります?」「えぇ、ございますが、宿舎に簡単な衣服であれば置いてありますので、ご自由にお使いくださってかまいませんよ」トワさんがそう言ってくれたが、俺はきりりと言い切った。「身だしなみにはうるさい方なので」その言葉に、トワさんは少し驚いた顔をして、宿舎近くの仕立て屋を教えてくれた。「だいたい普段着1セットで4000カレス~10000カレスで作れると思いますが、仕立てには少し時間がかかるはずです」「あ、外にはあまり出る気はないので大丈夫です」「え?」「大丈夫です」「・・・は、はぁ」とりあえず仕立て屋に行って発注してから、宿舎の部屋で「ステータスオープン」を叫ばなければならない。いまや、チートなし、スキルなしの異世界転生ものだってけして珍しくはない。だが、そういう場合は、個人特有のスキルがある場合がある。その可能性を模索するという重要ミッション、そう、再重要ミッションが俺にはあるのだ!俺がそう思っていると、トワが革袋を持ってやってきた。「こちらが本日分の5000カレスです。仕立て屋に行かれるのであれば、前金が必要になりますので、持っていかれた方が良いかと思います」いやぁ、チェリトリいい、トワさんいい、この世界の人間は仕事ができるな!「ありがとうございます、助かります」俺が頭を下げて受け取っていると、頭上から爆弾が降ってきた。 「そういえば・・・ステータスオープン叫んでた転生者の方もいましたが・・・それも思ったような効果は得られなかったようですね・・・」 前言撤回だ。おい、トワ。俺のわずかな希望をたたきつぶすんじゃねぇよ!!!
slp.v2012.coreserver.jp
November 1, 2025 at 1:00 PM
自由くん、HappyBirthday!

二日連続で24時間いつでもお祝いし放題という、頭のおかしいグループ、あたたかくなるが大好きです。 皆様、満喫してますか?私は仕事の関係でほとんど自由くんの配信見れてないので、アーカイブで見るのを楽しみに、今鬼天極西麺を同時視聴しています。 なんて贅沢な時間なのかなぁ。と、しみじみと。 演者の方が自分たちのステージを見ながら恥ずかしがり、大笑いし、裏話をし、その時間を共有できる。この、お誕生日リレーのファイナルとしてこれ以上なくふさわしいと思います。 自由くんは、誤解を恐れずに言うならば、「普通の人」と、捉えています。…
自由くん、HappyBirthday!
二日連続で24時間いつでもお祝いし放題という、頭のおかしいグループ、あたたかくなるが大好きです。 皆様、満喫してますか?私は仕事の関係でほとんど自由くんの配信見れてないので、アーカイブで見るのを楽しみに、今鬼天極西麺を同時視聴しています。 なんて贅沢な時間なのかなぁ。と、しみじみと。 演者の方が自分たちのステージを見ながら恥ずかしがり、大笑いし、裏話をし、その時間を共有できる。この、お誕生日リレーのファイナルとしてこれ以上なくふさわしいと思います。 自由くんは、誤解を恐れずに言うならば、「普通の人」と、捉えています。 普通の人、というと、マイナス方向に取られやすいと思うのですが、この場合は、リスナーが安心できる人、という意味です。もちろん私の中では誉め言葉です。感性が、安心できる。リスナーと同じ場所からものを見てくれている、リスナーと似た受け取り方をしているんだろうな、と感じることができます。もちろん、天真爛漫なので、やんちゃだったり、クソガキだったり、下ネタ小学生なのですが、そういうところすら、安心して笑えるという愛おしさを感じます。 自由くんの言葉には裏がないと感じています。そういう面でも、安心できる人だと思っています。 そして、歌声が本当に好き!「コールボーイ」「新人類」で自由くんの歌声にノックされた勢なので。 歌枠はできなかったと同時視聴の冒頭で言ってたので、ちょっぴり残念な気持ちもありますが、3人並んで楽しそうに視聴していて、いいなぁ、本当に素敵な仲間だなぁと見てるこっちも嬉しくなります。 自由くん、お誕生日おめでとうございます✨ 今年が自由くんにとって素晴らしい年になりますように。 いっぱい楽しませてくれると信じられることが、とてもうれしいです。
slp.v2012.coreserver.jp
October 31, 2025 at 1:20 PM
Happybirthday 和泉さん

今日は、✨紺野和泉さんのお誕生日✨ですね。今日はいっぱい配信するっておっしゃってたの、回数のことだと思っていたのですが、夜寝て、朝起きてびっくり!いっぱいって、時間だったの?って!うれしいけれど、無理しないでほしいなぁと思います。私は個室で1人でPC仕事をしているので、イヤフォンでラジオのように聞いています。GOD打ってる時も、ゲーム始めた時も、「くっ画面が見たい!」と思いましたよ><✨ジオゲッサーの時が一番見たかった。大好きなんだもん、あれ見るの。 あと8時間くらいかな?仕事が終わったら画面を見ながら聴けるから、楽しみ♪…
Happybirthday 和泉さん
今日は、✨紺野和泉さんのお誕生日✨ですね。今日はいっぱい配信するっておっしゃってたの、回数のことだと思っていたのですが、夜寝て、朝起きてびっくり!いっぱいって、時間だったの?って!うれしいけれど、無理しないでほしいなぁと思います。私は個室で1人でPC仕事をしているので、イヤフォンでラジオのように聞いています。GOD打ってる時も、ゲーム始めた時も、「くっ画面が見たい!」と思いましたよ><✨ジオゲッサーの時が一番見たかった。大好きなんだもん、あれ見るの。 あと8時間くらいかな?仕事が終わったら画面を見ながら聴けるから、楽しみ♪ 改めまして、✨和泉さん、お誕生日おめでと~う!✨ 絵描きさんだったら、気の利いたイラストの一つでも準備するんでしょうけども。何もご用意できないのが心苦しい。あたなるファンタジーも、まだまだ和泉さんは出てこないし・・・。お話が整ってきたら、メンバーのお誕生日には、そのメンバーの転生時の様子をショートショートに仕立ててアップするのもいいな、って思った。とりあえず、今は本編を進めていきたい所存です。
slp.v2012.coreserver.jp
October 30, 2025 at 7:11 AM
昨日はワードプレスと戦い、今日はMoguraと戦っている。ワードプレスとの戦いには勝利したが、Moguraには完敗だ。もう戦う気力もない。なので、鉄砲バンバンしてる人たちを見ている。
October 26, 2025 at 12:49 PM
プロローグ

  画面を見ながらスーパーチャットを読み上げて、今日も雑談を見に来てくれたリスナーに挨拶をする。 「今日はこの辺で終わります。こんな時間まで、みんなありがとね。まぁたね、ばいばいっ」 話しすぎて少しかすれた声でそう言うと、俺は画面を待機画面にして配信を終了した。 OBSを切って、ディスコードの画面をチェックすると、あたなるサーバーには、何人かいるようだった。 「お疲れっすー」 俺が上がると、「二代目配信終わり~?」「おつかれー」と声が返ってくる。 「少し声がかすれてんね」 「そうなんよ、今日はちょっと盛り上がってさ」 「あー、聞いてた。二代目さん、すげー笑ってた」…
プロローグ
  画面を見ながらスーパーチャットを読み上げて、今日も雑談を見に来てくれたリスナーに挨拶をする。 「今日はこの辺で終わります。こんな時間まで、みんなありがとね。まぁたね、ばいばいっ」 話しすぎて少しかすれた声でそう言うと、俺は画面を待機画面にして配信を終了した。 OBSを切って、ディスコードの画面をチェックすると、あたなるサーバーには、何人かいるようだった。 「お疲れっすー」 俺が上がると、「二代目配信終わり~?」「おつかれー」と声が返ってくる。 「少し声がかすれてんね」 「そうなんよ、今日はちょっと盛り上がってさ」 「あー、聞いてた。二代目さん、すげー笑ってた」 「ちょっと今日は頑張っちゃったよ~」 いつでも、ここには誰かしらいて、それが当たり前になっていて、俺は恵まれているなぁと思う。 「今さぁ、例のアレの作業してんの。ちょっと進捗見てよ」 全体での大型企画配信の作業をしているぜろつーが声をかけてくる。 「あー、いいよ、共有して」 「うん」 アイコンを見ると、声はしないけど上がっているメンバーはほかにもいる。みんなそれぞれ作業をしているんだろう。 他愛もない話をしながら、ぜろつーの作業にアドバイスをしていると、メンバーの顔触れが変わっていて、ちょっとおかしい。 「あれ、参謀がログインした!」 「マジか!だいぶ寝てたなぁ」 「いやさすがに、途中起きたでしょ」 「どうかなぁ・・・」 話題に出している参謀がぴろりんと上がってきた。 「お疲れ~」 「参謀~枠を取れ!プリキュア以外にも配信をしろ!」 上がってきたとたんりゅーじくんが参謀に小言を言っている。 「明日、ゲームは毎日してるのに」と、れおんくん。 「参謀推しの子たち待ってるよ絶対」と、すりっぷさん。 「雑談でもいいんだからさ」と、ぜろつーくん。 「うるさいなぁ・・・そっちはそっちで真面目に作業してなよ、俺のことは気にせずにさぁ!」 参謀が不満そうにキャンキャン言っている。 「まぁ、参謀にはたる部があるからな」 「座組2人で始まるたる部な」 すりっぷさんの声に俺はすかさずつっこむ。 俺とすりっぷさんと参謀は、あたなるたるたる部として、FPSゲームを主にコラボ配信を行っている。 が。 参謀が遅刻する確率が高すぎて、もはやお約束となりつつある。 「あああー、ほんとすみません」 「目覚まし時計、買った?買うって言ってたよね?」 「・・・まぁ、それはいいじゃないですか」 「これは買ってないわ」 「俺の審美眼にかなう目覚まし時計がなくて・・・」 「おい~どんなんでもいいだろ、起きられれば!」 「いや、でも、やっぱりどういうインテリアを置くかって重要じゃないですか!」 参謀が口をとがらして反論しているのが目に浮かぶ。だが、二代目さんはそんな参謀の味方だぞ。 「そうだよな!インテリアは重要だ。やっぱりセンスあるものを置きたいよな!」 「二代目ぇ~~~」 そんなコントのような茶番を繰り広げていると、コーヒーを入れて戻ってきたれおんくんがそうだ、と声を上げる。 「ガチャ配信でもいいんじゃない?最近してないの?そんなわけないよね?」 「まぁ、ガチャはしてるけど、なんか、リスナーに引かれ気味っていうか、そういう空気をなんとなく感じてさぁ、やりずらいんだよ」 「でも俺参謀くんのガチャ配信好きだけどなぁ、いくらツッコむかマジで毎回期待してる。あれ見ると、俺もやってみたいって思うんだよね、やらないけど」 「あ、俺むしろカズさんのガチャが見てみたいっすね。馬鹿みたいに引くて20分くらいで終わりそう」 「あー、カズくんの豪運だとそうなりそう!」 参謀のぼやきに、カズにぃが声をかけ、ぜろつーくんが乗ってきた。 「カズさんのガチャ見たいのは同じだけど、見たら凹みそうだからやめてほしい」 「無意識に煽るからね、この人。え、すぐ出たけど。俺も課金してみたかったのに!とか言ってさ」 俺がそう言うとみんなが噴き出すように笑った。カズにぃだけが「えー?そうかなぁ?でもだいたい課金しないと出ないんでしょ?じゃあ俺も課金しなきゃ出ないよ」なんて言ってる。 「そう言って、出すのがあんたなんだよ!」 思わずそう突っ込むと、今度は耳がぐわんとなるほどの笑い声が響いてきた。 耳に残る笑い声と、遠くでカタカタ鳴るキーボードの音。 それだけで、この夜がどれだけ安心できるものかを思い知る。 “ああ、俺、こういう空気が好きだな”とぼんやり思った。
slp.v2012.coreserver.jp
October 25, 2025 at 4:59 PM
わかりみがすぎる
教祖乃歌カズ、法衣は神々しく美しいのに、ずっと俗悪で強健な表情なのが良い 野心と生命力に溢れたお顔
神聖な服が全然似合ってなくて、マジで「着てるだけ」感が凄いのが良いんだよ ねぇ(ろくろ)

そして死ぬ間際、二代目教祖の顔を見た最後一瞬の笑顔だけが法衣に似合う穏やかで儚げな顔なのが最高なんだよ
October 25, 2025 at 9:32 AM
れおんくんが推奨していたので、登録だけして稼働してなかったblueskyを動かすことにしたぜ。今一番熱いのは、あたなるです。昨日の鬼天極西麺ライブ楽しかった~!マグロはさすがに予想できないよ!
October 25, 2025 at 9:16 AM