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酒飲んでゲームして絵を描くオタクの日常
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新しい帽子、深い緑色可愛い 今くらい明るい髪色なら濃い色が合う
January 3, 2026 at 4:33 AM
おやすみ世界 ダンジョン飯のボドゲ面白かったけどモロにネタバレ食らって草 ファリン……!?
December 30, 2025 at 5:05 PM
ダンジョン飯
December 30, 2025 at 2:12 PM
嫁とデートでしたわ〜 観音屋のチーズケーキ絶賛してくれて良かった​:ablobcat_love_uneune:​ いや美味いわデンマークチーズケーキ
December 30, 2025 at 6:53 AM
グランフロント大阪ちょい行きたい
December 30, 2025 at 1:02 AM
おはよう世界
December 30, 2025 at 1:02 AM
観音屋のチーズケーキ買いに行くついでに帽子屋行ってみようかな
December 29, 2025 at 1:24 PM
🗻
December 28, 2025 at 5:31 AM
今日は胃のあたりがずっとチクチクしてるな
December 26, 2025 at 3:52 PM
仕事納められるんかな今日 納めなきゃいかんが
December 26, 2025 at 12:53 AM
下書きした
December 26, 2025 at 12:22 AM
おはよう世界
December 25, 2025 at 11:12 PM
雨止んでるやんけ
December 25, 2025 at 12:26 PM
最寄りのイルミネーション、1本の木を赤のLEDだけ巻き付けてんの禍々しすぎるだろ
December 25, 2025 at 9:31 AM
口内炎の薬ってすげーな
December 25, 2025 at 5:47 AM
https://x.com/i/status/2004031239746211952 これいいじゃんぬい
December 25, 2025 at 5:47 AM
んいい〜〜〜〜〜口の中ってまじ繊細
December 25, 2025 at 1:30 AM
https://code27.co/pages/pre-makuake キャラクターデバイス。
最近マクアケさん推し活グッズ出してる 推し活グッズ探すようになったから目にはいるようになっただけかな
CODE27 Japan
テクノロジーで好きなキャラクターが現実に。CODE27は声・表情・反応をリアルタイムで再現する、次世代キャラクター体験
code27.co
December 25, 2025 at 12:36 AM
虫歯治療の時の器具当たってできた口内炎やら唇グジュグジュ痛すぎて無理…ちょっと午前病院なり行くか…
December 24, 2025 at 11:08 PM
カバランあった〜〜〜
December 24, 2025 at 1:15 PM
[ なぜ「何でも作れる時代」に私は作れないのか - じゃあ、おうちで学べる ]
https://syu-m-5151.hatenablog.com/entry/2025/12/22/135517
なぜ「何でも作れる時代」に私は作れないのか
## はじめに 年末、2025年を振り返る。フォロワーは7倍になった。副業も順調。書籍の執筆や翻訳にも関わった。登壇の依頼も増えた。どこからどう見ても、良い年だったはずだ。 なのに、胸の奥に澱のようなものが溜まっている。 コードは書いた。山ほど書いた。でもそれは、誰かに頼まれたコードだ。お金になるコード。評価されるコード。「これを作ってください」と言われて、「はい」と答えて、作ったコード。自分のためのOSSも、作った。公開もした。そこそこ使われもした。 でも、そこそこ止まりだ。「これが俺の代表作です」と言えるものが、ない。スターはついた。ダウンロードもされた。いくつかは今でも自分で使っている。完走した。自分なりに頑張った。でも、「代表作」と呼べるインパクトには届かなかった。 厄介なことに、nwiizoというアカウントは大きくなってしまった。フォロワーが増えた分、「代表作」のハードルも上がっている。昔なら「動くものを公開した」で満足できた。今は違う。期待値が上がった分、自分で自分の首を絞めている。 でも、諦めたくない。代表作を持つソフトウェアエンジニアに憧れて、この道に入った。あの人みたいになりたい、と思った先輩たちがいる。彼らのようにはなれていない。でも、まだ諦めたくない。 新しいプロジェクトを始めようとするたび、手が止まる。「既存のツールで十分じゃないか」「誰が使うんだ、これ」。もっともらしい問いを自分に投げかけて、そのまま手を下ろす。完走したプロジェクトはある。でも、次の一歩が踏み出せない。検証のふりをした、逃避だ。「作らなくていい理由」を探して、見つけて、安心している。 AIは「どう作るか」を教えてくれる。でも「何を作るか」は教えてくれない。技術力はもうボトルネックじゃない。足りないのは、決断だ。覚悟だ。「これを作る」と宣言して、不確実性の中に飛び込む蛮勇だ。 私は「隙間家具屋」を自称してきた。大きな家具は作らない。洗濯機と壁の間の収納。冷蔵庫の上のラック。誰も気にしないけれど、あると少し楽になる小さなもの。それを作るのが好きだった。はずだった。 2025年、隙間を見つける目は曇っていなかった。手も動いた。完走もした。でも、「これだ」という手応えが残らなかった。 副業は収入になる。登壇は評価される。ブログはフォロワーが増える。全部、目に見えるリターンがある。OSSは違う。作っても誰にも使われないかもしれない。時間を注いでも、何も返ってこないかもしれない。その「かもしれない」に怯えて、私は確実なほうへ流れやすかった。OSSは作った。完走もした。でも、賭け金を上げられなかった。時間を注ぎ込むより、確実なリターンがある副業や登壇に逃げた。結果、そこそこ止まり。「これだ」と言えるものは掴めなかった。 問題は、才能がないことだけじゃない。問題は、狂えなかったことだ。 どこにも振り切れなかった。副業も、登壇も、OSSも、全部やりたかった。全部にいい顔をして、どれにも本気を出せなかった。半端な賭け金には、半端なリターンしか返ってこない。当たり前のことだ。 このブログでは、「狂って量をやって、そこから引き算する」ための思考法を書く。 speakerdeck.com **結論を先に言う。まず狂え。量をやれ。そして、量が満ちたら、容赦なく削れ。** ## ポジティブケイパビリティとネガティブケイパビリティ 「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念がある。**不確実さ、不思議さ、疑いの中に、結論を急がずに留まる能力** のことだ。 これに対して、「ポジティブ・ケイパビリティ」というのもある。**問題を分析し、解決策を導き、実行する能力** だ。ゴールが明確なときに発揮される力。私はおそらくだがこれが得意だ。 生成AIは、ポジティブケイパビリティを劇的に強化した。「このAPIを叩いて、結果をパースして、DBに保存するコードを書いて」と指示すれば、動くコードが出てくる。「このエラーメッセージの原因を調べて」と頼めば、調査結果が返ってくる。ゴールが明確なタスクは、AIとの協働で驚くほど速く片付く。 私の2025年は、まさにこれだった。仕事のコードは書けた。クライアントから「これを作ってほしい」と言われれば、作れた。締め切りがあり、要件があり、ゴールが明確なタスクは、以前より速く終わるようになった。 **しかし、ネガティブケイパビリティは強化されなかった。むしろ、弱体化した気もする。** 以前なら、分からないまま3日間コードを書き続けることができた。今は、30分詰まるとAIに聞いてしまう。「分からない」という状態に耐える筋力が、確実に落ちている。 OSS開発には、ネガティブケイパビリティが必要だ。「何を作るか」は誰も教えてくれない。「これが正解」という保証はない。作っている途中で「これは違うかも」と思うことがある。それでも手を動かし続ける。完成するかどうか分からない。使われるかどうか分からない。その不確実さの中に留まり続ける力。 生成AIに「何を作るべきか」と聞いても、答えは出ない。AIは優秀なアシスタントだが、ゴールを設定するのは人間の仕事だ。 ゴールが明確な仕事が速く片付くようになった結果、私の中で奇妙なことが起きた。**「答えがすぐに出る」ことに慣れてしまった。** 仕事では、AIに聞けば数分で方向性が見える。それに慣れた脳は、「答えが出ない状態」に耐えられなくなっている。 では、どうすれば不確実さに耐えられるのか。いくつかの仮説がある。**ゴールを小さくする** (「Kubernetesのログ管理を改善したい」ではなく「Podの再起動ログをSlackに送る」)。**「完成」の定義を下げる** (動けば完成、READMEは3行でいい)。**公開してしまう** (不確実性の一部が確定に変わる)。**AIに頼らない時間を作る** (自分で考える筋力を維持する)。 ## 「狂う」とは何か 「狂う」という言葉を使うと、何か特別な才能や突飛な発想が必要に思える。しかし、私が考える「狂う」はもっと単純だ。 **狂うとは、常識的な量を超えて、時間と労力を注ぐことだ。** 天才的なアイデアは必要ない。奇抜な発想も必要ない。ただ、普通の人が「そこまでやらなくていいだろう」と思う量を投入する。これが狂うということだ。 しかし、ここまで書いて気づいた。「量をやれ」というアドバイスは、**ゴールが見えている人へのアドバイス**だ。これはポジティブケイパビリティの話だ。「OSSを20個作れ」と言われても、「何を作るか」が決まっていなければ、手は動かない。私の問題は、量が足りないことではなく、**ゴールが見えない状態に耐えられないこと** だった。ネガティブケイパビリティの欠如だ。 だから、「狂う」にはもう1つの意味がある。**答えが出ない状態に留まり続けること** だ。 「これが正解かどうか分からない」「誰にも使われないかもしれない」「もっといい方法があるかもしれない」。その不確実さの中で、それでも作り続ける。確信がないまま、手を動かし続ける。 普通の人は、不確実さに耐えられない。「これで合ってる?」と誰かに確認したくなる。確認できないと、手が止まる。狂っている人は、確認しないまま走り続ける。 生成AIは「確認」を容易にした。コードを書いたら、AIにレビューしてもらえる。設計を考えたら、AIに壁打ちしてもらえる。これは素晴らしいことだ。でも同時に、「確認なしで走り続ける」筋力が衰えた。 量を積むことと、不確実性に耐えること。この2つは、実は表裏一体だ。量を積めば、その中から「これだ」というものが見えてくる。不確実性に耐えていれば、やがてゴールが見えてくる。どちらも「狂う」ことでしか到達できない。 狂気の最も簡単な表現方法は、物量か時間を使うことだ。1日1時間を5年続ける。同じテーマのブログを100本書く。OSSを年間20個作る。なぜ20個か。月に1〜2個のペースだ。1つのツールを2週間で完成させる。完璧じゃなくていい。動けばいい。このペースなら、仕事をしながらでも無理がない。かつ、「そこそこ止まり」の自分とは明らかに違う場所に立てる。特別な才能がなくても、量を積めば、誰も追いつけない場所にたどり着く。 ここで「衝動」という言葉を使いたい。不便を見つけたとき、「あ、これ自動化できそう」と思う。その瞬間、手が動き出す。誰に頼まれたわけでもない。でも、気づいたらコードを書いている。これが私にとっての衝動だ。 「将来の夢」とは違う。他者の評価を求めている「有名なOSSメンテナになりたい」は、衝動ではない。衝動は、評価とは無関係に動く。10年経っても変わらない。「不便を見つけたら、すぐ直したくなる」。隙間家具を作るのは、この衝動の表れだ。 問題は、この衝動を他者の目で覆い隠してしまうことだ。「作っても誰にも使われないかも」。そう考えた瞬間、衝動が埋もれる。2025年の私は、まさにこれだった。 衝動は「発見」するものではなく「掘り出す」ものだ。他者の目や評価への恐れで覆い隠されている。それを掘り出すには、まず量をやる必要がある。考える前に手を動かす。作る前に悩まない。作った後に、何が自分を動かしているのかが見えてくる。 ## まず量をやる **私たちは、最初から量が足りない。** 2025年、私のOSSがそこそこ止まりだった理由は何か。作った。完走もした。でも、「代表作」と呼べるインパクトには届かなかった。振り返ると、1つに賭け切れていなかった。あれもこれもやろうとして、どれにも全力を注げなかった。 「ゴールが見えないから突き抜けられない」と思っていた。でも、それは逆だ。**一つに賭け切らないから、ゴールが見えない** 。作りはした。でも、広く浅く。一つに集中しなかったから、どれも「これだ」に辿り着けなかった。 私の経験を話す。以前、「Kubernetesのログをなんとかしたい」という漠然とした不満があった。何を作ればいいか分からなかった。とりあえず、Podの再起動を検知するスクリプトを書いた。動いた。使ってみた。すると、「再起動の直前のログが見たい」という次の不満が見えた。それを解決するコードを足した。使ってみた。今度は「Slackに通知したい」という欲求が出てきた。最初に「Podの再起動時に直前のログをSlackに送るツール」というゴールが見えていたわけではない。作っているうちに、ゴールが形成されていった。 ゴールは、作る前に見つかるものではない。作る過程で見えてくるものだ。量をやることで、初めて「自分が本当に作りたいもの」が浮かび上がる。 完璧な1つより、動く20個。磨き上げた1つより、荒削りな50個。これが私の2026年の方針だ。 **物量で狂う。** OSSを年間20個作る。完璧じゃなくていい。動けばいい。20個作れば、1個くらいは当たる。当たらなくても、20個分の経験が残る。 **時間で狂う。** 毎日30分、何かを作る時間を確保する。1年で小さなツールを20個作れば、5年で100個になる。100個のOSSを持っているエンジニアは、採用市場で見たことがない。 **試行で狂う。** 1つのアイデアに固執しない。「これは違うな」と思ったら、すぐ次に行く。打席に立つ回数を増やす。三振しても気にしない。次の打席がある。 私は30代で独身だ。守るべきものが少ない。狂えるうちに狂っておく。 量をやることで、初めて見えてくるものがある。どのアイデアに自分の熱量が続くのか。どのツールが使われるのか。作る前に「どれが正解か」を考えても分からない。作った後に、結果が教えてくれる。 ## 量だけでは足りないからセンスを磨く ここで反論が聞こえる。「量をやるだけなら、生成AIでもできるのでは?」 正しい指摘だ。そして、もう1つ重要な変化がある。**ソフトウェアは供給過多の時代に入った。** あらゆる領域で「フロンティアの閉鎖」が起きている。かつてソフトウェアには未開拓の荒野があった。問題はそこら中に転がっていて、誰かが手を挙げて解決すれば、それだけで価値になった。参入障壁が高かったから、作れる人が少なかった。だから「作った」という事実そのものに希少性があった。 今は違う。生成AIが参入障壁を破壊した。誰でも作れる。結果、供給が需要を超えた。ユーザーの時間と注意力が、ツールよりも希少になった。ツールが人を選ぶ時代から、人がツールを選ぶ時代へ。選ばれないツールは、存在しないのと同じだ。 これは「量で勝てた時代の終焉」を意味する。かつての戦略は「とにかく作れ、出せ、数で勝負しろ」だった。今、その戦略は逆効果になりうる。大量の凡庸なツールを公開すると、ノイズを増やすだけで、作り手の信用を毀損する。 つまり、**量を公開しすぎることが、むしろマイナスになる時代** が来ている。 では、量をやる意味はどこにあるのか。 ここで「センス」について考えたい。センスとは何か。私は、**意味よりも先に、形式やリズムを感じ取る能力** だと考えている。 普通、私たちは物事を「これは何を意味するのか」で理解しようとする。コードを見て「このツールは何をするのか」と問う。ブログを読んで「著者は何を主張しているのか」と問う。意味を求める。でも、センスの本質はそこにない。 センスとは、**意味の手前にある「リズム」を感じ取ること** だ。 リズムとは、反復と差異の織り成すパターンのことだ。赤ちゃんが「いないいないばあ」で喜ぶのは、不在から存在への移行、つまり0→1のビートを感じているからだ。予測があり、裏切りがあり、また予測に戻る。この往復運動が快感を生む。 あらゆる表現にリズムがある。音楽のビート。文章の緩急。コードの構造。APIの応答パターン。人間は意味を理解する前に、このリズムを身体で感じている。 **優れた表現は、セオリーを押さえた上で、あえてそこからはみ出す。** 反復の中に絶妙な差異を混ぜている。予測可能でありながら、どこか予測を裏切る。この「ズレ」がセンスだ。 ここで重要な逆説がある。**完璧を目指すほど、センスは死ぬ。** お手本を完璧に再現しようとすると、二つの問題が起きる。一つは、お手本との差異が「欠点」に見えてしまうこと。もう一つは、自分固有のリズムが消えてしまうこと。結果として、劣化コピーが生まれる。 逆に、お手本から離れることを肯定すると、「ヘタウマ」が生まれる。完璧ではないが、作り手固有のリズムがある。技術的には未熟でも、個性がある。その個性が、使う人に刺さる。 なぜ個性が刺さるのか。**人間は、パターンを認識する生き物だからだ。** 完璧にパターン化されたものは、最初は心地よい。でも、すぐ飽きる。予測通りすぎて、刺激がない。一方、パターンから少しズレたものは、脳に引っかかる。「なぜここでこうなる?」という小さな疑問が生まれ、それが記憶に残る。 AIは反復とパターンを生成できる。しかし、**その人固有の「どうしようもなさ」は生成できない。** 「どうしようもなさ」とは何か。個人の癖、偏り、こだわり。論理では説明できない選好。なぜか惹かれるもの。なぜか避けたくなるもの。この非合理な偏りが、人間の表現に陰影を与える。 私がツールを作るとき、そこには私の「どうしようもなさ」が刻まれる。なぜこの設計を選んだのか、論理的に説明できない部分がある。それは私の経験、私の好み、私の盲点が複合的に作用した結果だ。AIが同じ仕様で作っても、同じものにはならない。 **センスとは、リズムを感じ取る能力であり、同時に、自分固有のリズムを表現する能力でもある。** では、どうやってセンスを磨くのか。答えは逆説的だ。**量をやること** だ。 多様なものに触れると、最初は不安を感じる。「分からない」「理解できない」。この不安は、パターンを認識できていないサインだ。量を重ねると、パターンが見えてくる。不安が面白さに変換される。これがセンスが磨かれる過程だ。 ここで矛盾が生じる。センスを磨くには量が必要だ。しかし、量を公開しすぎるとマイナスになる。 答えは、**「作る量」と「公開する量」を分けること** だ。 20個作る。でも、公開するのは、センスが良いと判断した5個だけ。残りの15個は、センスを磨くための練習だ。公開しない。でも、作ったことに意味がある。 量をやることには、二重の意味がある。 1つ目は、センスを磨くこと。多様なものを作ることで、「何が良くて何が良くないか」を判断する回路ができる。リズムを感じ取る力が育つ。 2つ目は、自分の「どうしようもなさ」を発見すること。量をやると、自分のパターンが見えてくる。どういう問題に惹かれるか。どういう設計を好むか。それは私の固有性であり、AIには真似できない。 だから、量をやる意味は「AIより速く作る」ことではない。**量を通じて、リズムを感じ取る力と、自分固有のリズムを発見すること** だ。そして、センスが磨かれた後は、**公開するものを厳選する** 。 供給過多の時代に求められるのは、「たくさん作れる人」ではない。**「たくさん作った上で、良いものだけを選べる人」** だ。 AIは「どう作るか」を効率化する。でも、「何を作るか」「どれを公開するか」「どう判断するか」は、量を経験した人間にしか分からない。 ## そして引き算する 量をやった。20個作った。では、20個全部を維持できるか。できない。 私には経験がある。かつて、複数のプロジェクトを同時に走らせていた。イシューは溜まり、プルリクエストは放置され、READMEは古くなった。全部やろうとして、全部が死んだ。**量をやることと、量を維持することは違う。** 量をやるのは一時的な狂気だ。量を維持するのは持続的な負担だ。人間のリソースは有限だから、量をやった後には、引き算という別の問題が待っている。 **私たちは、量が満ちた後に引かなすぎる。** 量をやった後は、容赦なく削る。使われないツールは捨てる。熱量が続かないプロジェクトはアーカイブする。失うのは「いつかやるかもしれない」という幻想だ。守れるのは「今、本当にやりたいこと」への集中だ。 削らずに広げ続けた結果が2025年の私だ。副業も、登壇も、ブログも、OSSも、全部やった。全部それなりに成果は出た。でも、どれも「これが俺の本業だ」と言い切れない。器用貧乏の完成形だ。 ここで「引き算」の思考法が必要になる。シーナ・アイエンガー氏の有名な実験では、24種類のジャムより、6種類に絞った方が購入率は高かった。選択肢が多すぎると、人は「選ぶ」という行為自体ができなくなる。 選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫 S 13-1) * 作者:シーナ アイエンガー * 文藝春秋 Amazon アイエンガー氏は『THINK BIGGER』で、選択肢が多すぎて選べないときの思考法を体系化した。その本質は「引き算」だ。課題を選ぶ、分解する、誰のためかを決める、材料を集める、何を作らないかを決める、他者の目で検証する。すべて「絞る」プロセスだ。 THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法:コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (NewsPicksパブリッシング) * 作者:シーナ・アイエンガー * ニューズピックス Amazon 狂って量をやるフェーズでは、複数のアイデアが同時に走っている方が自然だ。順番通りに1つずつ片付けようとすると、むしろ手が止まる。どれかが熱を帯びてきたら、そこに集中する。足し算ではない。引き算だ。 **優れた開発者のOSSが失敗するのは、怠けているからではない。正しいことをしすぎるからだ。** ユーザーの声を聞く。機能を追加する。対応範囲を広げる。全部、正しいことだ。でも、正しいことを積み重ねた結果、複雑になり、重くなり、新しく登場したシンプルなツールに足元をすくわれる。 **私たちは「正しさ」に殺される。ユーザーの声を聞くのは正しい。だから聞く。機能を追加するのは正しい。だから追加する。テストを書くのは正しい。だから書く。ドキュメントを整えるのは正しい。だから整える。気づいたら、最初に解決したかった問題が見えなくなっている。正しいことの山に埋もれて、本質が窒息している。「正しさ」は麻薬だ。やればやるほど気持ちいい。やればやるほど、完成から遠ざかる。** 隙間家具を作るとは、引き算をすることだ。機能を削る。対象を絞る。スコープを小さくする。「これだけは解決する」を決め、残りは捨てる。 生成AIを使うとき、この引き算が難しくなる。AIは指示すれば無限に足し算を提案してくる。「この機能も追加しましょうか」「こういうオプションもあると便利です」「エラーハンドリングをもっと丁寧にしましょう」。全部、正しい提案だ。でも、全部受け入れると、隙間家具は大きな家具になる。 AIは足し算が得意だ。引き算は人間がやる。私がAIに「削らせる」ときに使う問いかけがある。**「この機能がなくても、最小限の価値は提供できるか?」** 。答えがYESなら、その機能は削る候補だ。AIの提案を聞いたら、「本当に必要か?」と問い直す。これが、AIとの協働における引き算の基本姿勢だ。 ## 「何を作るか」を決める ### 課題を選ぶ 引き算の最初は、「何を作るか」を1つに決めることだ。 私が2025年に「代表作」に届かなかった理由の1つは、課題が大きすぎたことだ。「Kubernetesのログ管理を改善したい」と思った。でも、それは「どのログ」「どう改善」「誰のため」が決まっていない。漠然としすぎていた。結果、インパクトのあるものが作れなかった。 「作りたいものはあるけど、何から手をつければ...」という状態は、課題が大きすぎるか小さすぎるかのどちらかだ。大きすぎると作りきれない。小さすぎると作る意味がない。「1つのツールで完結する」サイズを探す。 **課題が大きすぎる例** :「Kubernetesの代替」「CI/CDパイプライン全体の改善」「インフラ自動化ツール」 **課題が小さすぎる例** :「kubectl getのラッパー」「特定のエラーメッセージを整形するスクリプト」 **ちょうどいい例** :「Podが再起動したときに直前のログを保存するツール」「複数リポジトリのCIステータスを一覧表示するCLI」「Terraformの差分をSlackに見やすく投稿するBot」 ちょうどいいサイズの見つけ方は、**「自分が1〜3日かけて解決したこと」** を思い出すことだ。それは、深みがある。かつ、1つのツールで完結する気がする。 ### 隙間を見つける 大きなツールが解決していない小さな問題。それが「隙間」だ。 Kubernetes(コンテナオーケストレーション)は素晴らしい。しかし、Kubernetesが解決していない問題は山ほどある。Podが再起動したとき、前後のログを自動でSlack に送りたい。これはKubernetesの仕事ではない。Terraform(インフラ構成管理)も素晴らしい。ただ、差分をSlackに見やすく投稿したい。これはTerraformの仕事ではない。GitHubも同様だ。複数リポジトリのCIステータスを一覧で見たい。これはGitHubの仕事ではない。 隙間を見つけるヒントは5つある。 **自分の不便** 。「こういうツールが欲しいのに、ない」という体験。私が作った隙間家具の中で、最も使われたものは、自分自身の問題を解決するために作ったものだった。自分が不便を感じているとき、そこには片づけたい「用事」がある。でも、それを片づける手段がない。 私のGithub リポジトリからのスクショ ここで疑問が浮かぶ。「自分の不便」が特殊すぎるときはどうするのか。自分だけが困っている問題を解決しても、誰も使わないのではないか。だから2026年、私はこう決めた。**最初は特殊すぎて構わない** 。なぜなら、特殊な問題を解決するツールでも、自分が本当に使うなら完成する。「誰かが使うかも」で作ったツールは、途中で手が止まる。まず完成させることが最優先だ。公開してみれば、同じ問題を抱えている人が意外といることに気づく。特殊だと思っていた不便が、実は普遍的だったというケースは多い。仮に本当に特殊で誰も使わなくても、自分の問題は解決している。それで十分だ。 **繰り返しの手作業** 。同じコマンドを何度も打っている。同じ手順を何度も実行している。毎回「面倒だな」と思いながら、やっている。 ここで立ち止まる。この問題は「自動化すべき問題」か、それとも「慣れるべき問題」か。ツール化することで、本当に人間の負荷は減るのか。自動化によって、別の複雑さを生んでいないか。 判断基準は、その作業が月に何回・何分発生しているかだ。月に1回、5分で終わる作業なら、自動化ツールを作るより慣れた方が早い。週に10回、毎回10分かかる作業なら、自動化する価値がある。感覚で判断しない。数字で判断する。 例えば、複数のGitHubリポジトリのCIステータスを確認するとき、1つずつページを開いていた。毎回、5分くらいかかる。週に5回やっていた。月に100分。年に1200分。ツールを作る価値がある。作った。5分が10秒になった。 **コンテキストスイッチ** 。ある情報を得るために、複数のツールを行き来している。Slackを見て、Grafanaを見て、ログを見て、またSlackに戻る。情報を一箇所に集めるツールを作れば、コンテキストスイッチが減る。頭の負荷が減る。判断が速くなる。 **暗黙知** 。「あの人に聞けば分かる」「Slackのどこかにある」「この手順は、前にやったことある人しか知らない」。暗黙知をツールに埋め込めば、誰でも同じことができるようになる。 **複雑さ** 。「このツールは高機能だけど、使いこなせない」「設定項目が多すぎて、何を設定すればいいか分からない」。高機能なツールが、その機能を使い切れていない人たちを置き去りにしている。彼らに、シンプルで分かりやすい選択肢を提供する。これも隙間家具の仕事だ。 ### 課題を分解する 課題が決まったら、5つまでに分解する。 私がよくやる失敗は、分解せずに作り始めることだ。「ログ保存ツールを作ろう」と思って、いきなりコードを書き始める。途中で「保存先どうしよう」「認証どうしよう」「エラーハンドリングどうしよう」と考え始める。そのたびに手が止まる。最初に分解しておけば、こうはならない。 「〇〇を作ろう」だけでは手が動かない。サブ課題に分解して、5つまでに絞る。5つに絞るのは、正直、苦しい。あれもこれも入れたくなる。でも、ジャムの法則と同じだ。サブ課題を10個、20個と出すと、どれに注力すべきか分からなくなる。 **例** : 「Podが再起動したときに直前のログを保存するツール」 1. Podの再起動を検知する仕組み 2. 直前のログを取得する方法 3. ログを保存する先(S3など) 4. CLIのインターフェース 5. エラーハンドリング 分解した項目が、そのまま実装の順番になる。「これは本当に必要か?」と自問すると、いろいろ見えてくる。実は同じことをしている項目。なくても動く項目。別のツールに任せた方がいい項目。削ることで本質が見える。 5つに分解したら、次に優先順位をつける。何を基準に「残す1つ」と「後回しにする4つ」を決めるか。私の基準は、**「これがないと、ツールとして成立しない」** だ。技術的な実現性でも、ユーザーの感動でも、自分の興味でもない。「ツールの存在意義に関わるか」だ。例えば、「Podの再起動を検知する仕組み」がなければ、ログ保存ツールは成立しない。これが最優先だ。「CLIのインターフェース」は後でもいい。最初はハードコードでも動く。 ここまでで、「何を作るか」と「どう分解するか」が決まった。でも、まだ足りない。「誰のために作るか」が決まっていない。 ## 「誰のために作るか」を決める ### 望みを比較する 同じツールでも、誰向けに作るかで設計が変わる。自分用なら雑でいい。他人に使ってもらうなら、READMEが必要だ。コミュニティに貢献したいなら、テストも書く。 私が2025年に「代表作」に届かなかったもう1つの理由は、「誰のため」が曖昧だったことだ。「これ、公開したら使ってもらえるかな」と考えた瞬間、設計が複雑になる。「あの人はこういう使い方するかも」「この環境もサポートした方がいいかも」。考えれば考えるほど、作るものが膨らむ。膨らめば膨らむほど、作れなくなる。 3つの望みがある。自分が作りたいもの。ユーザーが使いたいもの。コミュニティへの貢献。全部満たそうとすると、どれも中途半端になる。 だから2026年、私はこう決断する。**まず自分の問題を解決するツールを作る** 。当たり前すぎるかもしれない。でも、これが私の経験則だ。自分が本当に困っている問題なら、熱量が出る。熱量のあるツールは、ユーザーにも伝わる。 これは「プロダクト」ではなく「道具」として十分に割り切れているか。プロダクトは他者のためにある。道具は自分のためにある。隙間家具は道具だ。自分の問題を解決するために作る。他者が使ってくれたらラッキー、くらいの気持ちでいい。 汎用性を上げようとして、複雑さを持ち込んでいないか。持ち込みがちだ。「S3だけじゃなくGCSにも対応しよう」「Kubernetes以外でも使えるようにしよう」。その瞬間、道具がプロダクトになろうとする。複雑さが増す。完成しなくなる。 READMEは「思想」ではなく「使い方」を語っているか。思想を語りがちだ。「なぜこのツールが必要か」「どんな設計思想か」。でも、ユーザーが知りたいのは「どう使うか」だ。インストール方法、実行方法、オプション。これだけでいい。 自分以外の利用者がゼロでも、このツールは成立しているか。成立している必要がある。自分の問題が解決しているなら、それで十分だ。他者が使うかどうかは、結果論だ。 ### 「まだ誰も使っていない人」を見る 自分が不便を感じているとき、同じ不便を感じている人は他にもいる。片づけたい用事があるのに、それを片づける手段を持っていない人。私はこの人たちを「まだ誰も使っていない人」と呼んでいる。自分がその一人だったなら、同じ境遇の人が他にもいるだろう。隙間家具は、この人たちに届ける。 ここで注意が必要だ。ツールを公開すると、ユーザーからフィードバックが来る。「この機能が欲しい」「ここが使いにくい」。これは嬉しい。でも、ここに罠がある。 **既存ユーザーの声を聞けば聞くほど、既存ユーザーのためのツールになる。そして、「まだ誰も使っていない人」を見落とす。** 既存ユーザーの声に応え続けると、隙間家具は大きな家具になろうとし始める。機能が増え、複雑になり、最初のシンプルさを失う。新規ユーザーが求めているのは、高機能ではなく「すぐ使える」「分かりやすい」だ。 ### 「声」と「用事」を区別する フィードバックを受けるとき、「声」と「用事」を区別する。 私も失敗したことがある。あるCLIツールを公開したとき、「設定ファイルで動作を変えたい」というフィードバックを複数もらった。嬉しかった。使ってくれている人がいる。だから、設定ファイル機能を実装した。YAMLで書けるようにした。オプションを増やした。結果、設定項目が20個を超えた。新しいユーザーは「設定が多すぎて何を設定すればいいか分からない」と言い始めた。シンプルさが売りだったツールは、複雑なツールになっていた。 「声」は、ユーザーが言語化したものだ。「この機能が欲しい」「ここが使いにくい」。「用事」は、ユーザーが本当に片づけたいことだ。なぜその機能が欲しいのか。なぜそこを使いにくいと感じるのか。この「なぜ」の先に、本当の用事がある。 例えば、CLIツールに「YAML出力オプションが欲しい」というフィードバックが来たとする。声をそのまま受け取れば、`--output yaml`フラグを実装することになる。でも、「なぜYAMLが欲しいのか」を問うと、「他のツールにパイプしたい」「設定ファイルとして保存したい」という用事が見えてくる。用事が分かれば、YAMLだけでなくJSONでも解決できるだろう。あるいは、標準出力をそのままパイプできる設計にすれば、フォーマット変換はjqに任せられるだろう。 「この機能が欲しい」と言われたら、「なぜ」を問う。その人の用事は何か。その用事を片づける方法は、言われた機能だけか。もっとシンプルな方法はないか。 ツールがヒットすると、「汎用化」の要望が必ず来る。「S3だけでなくGCSにも対応して」「Kubernetes以外でも使えるようにして」。これに応えると、隙間家具は大きな家具になる。 だから私は、こう決めている。**READMEが複雑になるなら、その機能は入れない。** 機能を追加するとき、READMEがどう変わるかを見る。説明が長くなるなら、別のツールにする。READMEがシンプルなら、ツールもシンプルだ。これが私の制約であり、美学だ。 ここまでで、「何を作るか」「誰のために作るか」が決まった。次は、作る前に調べる。 ## 調べて、削る ### 箱の中と外を探す いきなり作り始めたくなる。でも、その前に下調べをする。 私は以前、「これ、俺が作らなくても既存ツールで十分だな」と気づいて手を止めたことがある。それ自体は正しい判断だった。でも、その後「じゃあ俺の経験は何に使えるか」を考えなかった。既存ツールを調べて終わり。それでは何も生まれない。似たツールはあるか。どんなアプローチがあるか。先人の知恵を借りる。 「箱の中」は同じ領域の情報だ。公式ドキュメント、他の人の同じテーマのツール、GitHub Issues、Stack Overflow。正確性を担保し、抜け漏れを防ぐ。「箱の外」は自分の経験だ。実際に試した結果、ハマったポイントと解決策、自分なりの工夫や改善。これがオリジナリティの源泉になる。 **ここで重要なのは、インプットだ。** 本を読む。既存のOSSのコードをちゃんと読む。何のライブラリが使われていて、どのように問題を解決しているかを理解する。これが「箱の中」を深く知ることだ。 例えば、Kubernetesのログ保存ツールを作るなら、既存の類似ツールのコードを読む。どのKubernetesクライアントライブラリを使っているか。どうやってPodの再起動を検知しているか。ログの取得にはどのAPIを使っているか。保存先との接続はどう抽象化しているか。 コードを読まずに作り始めると、車輪の再発明をする。既に解決されている問題を、苦労して解き直す。あるいは、先人が避けた落とし穴にハマる。 インプットの具体例を挙げる。 * **本を読む** :技術書だけでなく、設計思想やアーキテクチャの本も読む。『A Philosophy of Software Design』『The Art of Unix Programming』。隙間家具を作る視点が変わる。 * **OSSのコードを読む**:GitHubで似たツールを探して、main.goやlib.rsを読む。README だけでなく、実装を見る。「なるほど、こう解決するのか」という発見がある。 * **ライブラリの使い方を学ぶ** :使おうとしているライブラリのexampleを全部読む。ドキュメントを端から端まで読む。「こんな機能もあったのか」という発見が、設計を変える。 「既に同じようなツールがある」は気にしない。同じ課題を解決するツールでも、価値を出せる理由はある。環境が違う。文脈が違う。深さが違う。切り口が違う。あなたのツールにしかない価値は、あなたの環境で動いた事実、あなたがハマったポイント、あなたの言葉での説明だ。「n番煎じ」でも、**あなたの経験を加えれば価値になる** 。 「箱の外」の材料を増やすために、私が意識的にやっていることがある。**「自分の仕事を観察する」** だ。エンジニアリング以外のインプットも大事だが、それ以上に、自分が日常的にやっている作業を観察する。「今、何に時間を使っているか」「何に苛立っているか」「何を繰り返しているか」。この観察が、隙間を見つける材料になる。 ### 選択マップで削る 材料が揃ったら、「何を作り、何を作らないか」を選ぶ。 私は「全部入り」を目指しがちだ。ログ保存ツールを作るなら、S3もGCSもAzure Blobも対応したくなる。Slack通知もメール通知もつけたくなる。そうこうしているうちに、何も作れなくなる。 選択マップとは、集めた選択肢を視覚的に整理し、最適な組み合わせを見つける方法だ。課題から分岐して選択肢を並べ、各選択肢のメリット・デメリットを可視化する。 **例** : 「OOMKilled(メモリ不足による強制終了)の調査方法を紹介するツール」 調査方法は複数ある。kubectl top(リソース使用状況確認)、Grafana(可視化ダッシュボード)、pprof(プロファイリングツール)、サードパーティツール。読者に最も役立つのはどれか。kubectl topは簡単ですぐ使えるが、瞬間値しか見られない。Grafanaは履歴を見られるが、セットアップが必要。pprofは詳細に分析できるが、設定が必要で学習コストは高い。 選択結果:読者の多くは「まず何が起きてるか知りたい」→ kubectl top + Grafanaを中心に作る。pprofは発展編として軽く触れるか、別のツールにする。 足し算の発想だと、全部の方法をサポートしようとする。焦点がぼやける。誰にも刺さらない。引き算の発想だと、「これだけは作る」を決める。残りは捨てる。刺さるツールになる。 **良いツールは「何を作らないか」で決まる。** ### スコープを絞る勇気 隙間家具は、**特定の問題を解決する** 。汎用性を追求しない。「このコンテキストで、この問題を解決する」に集中する。 例えば、「KubernetesのPodが再起動したとき、直前のログを自動でS3に保存するツール」。汎用的ではない。Kubernetesを使っていて、ログをS3に保存したい人だけを対象にする。でも、それでいい。**特定の問題を、特定のコンテキストで、確実に解決する** 。これが隙間家具の価値だ。 汎用性は、使われてから考えればいい。最初から汎用的に作ろうとすると、要件が膨らみ、複雑になり、いつまでも完成しない。 ここまでで、何を作るか、誰のために作るか、何を作らないかが決まった。いよいよ作る。 ## 小さく作って、見せる ### 第三の目で検証する 作った。動いた。自分では完璧に見える。でも、それは危険なサインなんだ。 私にも経験がある。あるCLIツールを作って、自分では「完璧だ」と思った。README も書いた。インストール方法も書いた。でも、同僚に見せたら「これ、何をするツールなの?」と聞かれた。私には当たり前すぎて、説明を省略していた。「前提知識がないと、何も分からない」。そのツールは結局、私しか使わなかった。使い方を説明する手間を惜しんだ結果だ。 作った本人には見えない穴がある。「当然わかるでしょ」と省略している。専門用語を説明なしで使っている。論理の飛躍に気づかない。自分では完璧に見える。だから、他者に見せる。使ってもらう。フィードバックをもらう。 隙間家具を必要としている人は、探していない。問題を抱えているが、解決策があるとは思っていない。だから、「検索してたどり着く」ことを期待できない。 では、どうやって届けるか。**自分の体験を語る。** 「私はこういう問題を抱えていた。だから、このツールを作った。」「まだ誰も使っていない人」は、同じ問題を抱えているだろう。ブログやTwitterで体験を語れば、「あ、自分もこの問題を抱えている」と思ってもらえる。READMEに機能を列挙するだけでは届かない。「なぜこのツールを作ったか」「どんな問題を解決するか」を語る。 「まだ誰も使っていない人」は、自分の不便を言語化できていないことが多い。だから、**状況を描写する** 。「毎朝、Slackを開いて、Grafanaに移動して、ログを確認して、またSlackに戻る...この作業、面倒じゃないですか?」。機能ではなく、状況を語る。「あ、それ自分だ」と思わせる。ツールの説明ではなく、問題の描写から始める。これが、言語化できていない不便に気づかせるストーリーテリングだ。 ### 入り口を簡単にする インストールが面倒だと、人は離れる。設定が複雑だと、人は離れる。最初の一歩を、できるだけ簡単にする。 `go install` 一発でインストールできる。設定ファイルは最小限。デフォルトで動く。これが理想だ。なぜなら、新しいツールを試すとき、人は「動かすまでの時間」を無意識に測っている。5分で動かなければ、「また今度」になる。設定が多いツールは、5分では動かない。だから、試されずに終わる。パワーユーザーは細かい設定を求めるだろう。でも、パワーユーザーは「まだ誰も使っていない人」ではない。最初に届けるべきは、5分で動くシンプルさだ。 新しいツールは、最初は既存のツールより「劣っている」ことが多い。機能が少ない。パフォーマンスが低い。でも、シンプルで、分かりやすくて、すぐに使える。それでいい。隙間家具は、シンプルでいい。1つのことを、確実にやる。それが、「まだ誰も使っていない人」に届く。 「ジャムの法則」をインターフェースにも適用する。CLIツールなら、フラグを減らす。理想は、引数なしで動くこと。`mytool`と打てば、最も一般的なユースケースが実行される。設定が必要なら、対話的に聞く。フラグは上級者向けのショートカットだ。最初から覚えてもらうものではない。選択肢を減らすことで、ユーザーは「考える」から「使う」にすぐ移れる。 このツールは「技術的に正しい」より「現場で生き残る」設計になっているか。技術的に正しい設計は、しばしば複雑になる。すべてのエッジケースに対応する。すべてのエラーを丁寧にハンドリングする。でも、現場で使われるツールは、シンプルで、雑でも動く。 エッジケースを切り捨てた理由を説明できるか。説明できる必要がある。「このケースは月に1回しか発生しない。手動で対応すればいい。だから、ツールでは対応しない。」こう言い切れるなら、切り捨てていい。 例外処理より「何も起きないこと」を優先していないか。優先していい。エラーが発生したとき、丁寧なエラーメッセージを出すより、そもそもエラーが発生しない設計の方がいい。入力を厳しくする。想定外の状態を作らない。 現場の雑さ・曖昧さ・不完全さを前提にできているか。現場は綺麗ではない。設定ファイルにtypoがある。環境変数が設定されていない。ネットワークが不安定。この雑さを前提に設計する。「完璧な環境でしか動かないツール」は、現場では使われない。 ### 小さく始める 6ステップを踏んでも、完璧なツールは作れない。だから、小さく始める。 最初から完璧なツールを作ろうとしない。自分の問題を解決するスクリプトから始める。それが動いたら、少し整えて公開する。私の場合、多くの隙間家具は、最初はただのシェルスクリプトだった。自分の問題を解決するために、ちょっと書いた。それが便利だったので、もう少し整えた。それを公開した。 完璧を目指すと、いつまでも公開できない。「もう少し機能を追加してから」「もう少しドキュメントを整えてから」。そうこうしているうちに、作る気力がなくなる。動くものを、まず作る。公開する。使ってもらう。フィードバックをもらう。改善する。このサイクルを回す。 隙間家具を1つ公開したら、終わりではない。むしろ、ここからが始まりだ。 ## 探索を続ける ### 捨てやすく作る ここからが、私が一番伝えたいことだ。 隙間家具には寿命がある。状況が変われば、不要になる。だから、**捨てやすく作る** 。 このツールは「自分が将来保守したいコード」になっているか。正直に言えば、保守したくないコードの方が多い。だから、捨てやすく作る。保守したくなるほど愛着が湧くツールは、20個に1個くらいでいい。 半年後の自分が読んで理解できる設計になっているか。なっていなくてもいい。半年後に必要なら、そのとき書き直せばいい。必要なければ、捨てればいい。 機能追加ではなく「削除」するとしたら、どこを真っ先に消すか。この問いを常に持っておく。削除できる部分があるなら、それは最初から作らなくてよかった部分かもしれない。 このコードは、使われなくなったときに綺麗に捨てられるか。捨てられる設計にしておく。依存を少なく。外部サービスとの結合を弱く。捨てるときに、誰にも迷惑がかからないように。 私が作ったツールの中で、すでに捨てたものがある。Kubernetesをインストールするツールを作っていた。当時、Kubernetesのインストールは複雑で、手順を間違えると動かなかった。だから、自動化ツールを作った。便利だった。でも、kubeadmがリリースされて、インストールが簡略化された。ツールは不要になった。リポジトリをアーカイブした。悲しくはなかった。むしろ、「自分の問題意識は正しかった」と思えた。Kubernetesの開発者も同じ問題を認識していたのだから。 このOSSは「本流に取り込まれる未来」を想定できているか。想定しておく。もしKubernetesやTerraform本体に同等機能が入ったら、どうするか。喜んで捨てる。それは「失敗した」のではなく「役目を終えた」のだ。 本流に吸収されるために、意図的にやっていないことは何か。汎用化だ。本流は汎用的になろうとする。隙間家具は特殊なままでいい。特殊だから、本流が取り込みにくい。特殊だから、生き残れる。 隙間家具は、状況が変われば不要になる。Kubernetesのバージョンが上がって、その問題が解決されるだろう。別のツールが登場して、より良い解決策を提供するだろう。だから、依存を少なく、シンプルに作る。捨てやすく作る。 大きな家具は、捨てにくい。多くのリソースを投入している。多くの人が使っている。捨てることが難しい。隙間家具は、捨てやすい。役目を終えたら、捨てる。そして、新しい隙間を見つけて、新しい隙間家具を作る。 「隙間」が「本流」に飲み込まれるリスクもある。Kubernetesのサイドカー機能が進化するように、プラットフォーム自体が隙間を埋めてしまうことがある。これに対する私の戦略は2つだ。1つ目は、**捨てやすく作る** こと。本流に飲み込まれたら、素直に捨てる。自分の問題意識が正しかった証拠だと喜ぶ。2つ目は、**本流が手を出さないニッチに特化する** こと。Kubernetesは汎用的になろうとする。だから、特定の会社の特定のワークフローに特化したツールは、本流が取り込みにくい。汎用化できないほど特殊なニッチを狙う。これも生存戦略だ。 捨てたツールから得られる学びもある。単なる「失敗」で終わらせず、次の探索に活かせる知見を抽出する。私がやっているのは、**「なぜこのツールは役目を終えたのか」を言語化する**ことだ。本流に取り込まれたのか。別のツールが出てきたのか。そもそも問題設定が間違っていたのか。この分析が、次の隙間を見つける精度を上げる。「問題設定が間違っていた」が一番の学びだ。次は同じ間違いをしない。 ### 深化と探索 隙間家具を1つ作ったら、終わりではない。 隙間家具の開発には、2つの仕事がある。**「深化」と「探索」** だ。「深化」は、既存の隙間家具を改善すること。バグを直す。パフォーマンスを改善する。ドキュメントを整える。「探索」は、新しい隙間を見つけること。新しい用事を発見すること。新しい隙間家具を作ること。 問題は、「深化」へ偏りやすいことだ。既存のツールへイシューが立つ。プルリクエストが来る。対応すると達成感がある。でも、これだけやっていると、最初に見つけた隙間だけを相手にし続けてしまう。 競争のないところに宝がある。既存の競合がひしめく場所ではなく、誰も見ていない場所を探す。だから2026年、私はこう決めた。**小さな実験を続ける** 。1つの隙間家具に全力を注ぐのではなく、複数の隙間家具を作り、どれが使われるか見る。全部が使われるわけではない。むしろ、使われないものの方が多い。でも、それでいい。使われなかったツールからも、学びがある。その学びが、次の探索に活きる。 ### チーム開発での引き算 ここまでの話は、一人で作る「隙間家具」を前提にしてきた。では、複数人で開発するときはどうか。「引き算の哲学」をチームで共有できるのか。 私の経験では、**スコープを最初に合意する** ことが鍵だ。「このツールは何を解決し、何を解決しないか」を、開発を始める前にドキュメントへ書く。機能追加の提案が来たら、このドキュメントに立ち返る。「このスコープ外です」と言える根拠になる。 チームでの合意形成は、一人のときより難しい。でも、**「1つのREADMEで説明できる範囲」** という制約は、チームでも使える。「この機能を追加したら、READMEはどう変わるか」を問う。READMEが複雑になるなら、その機能は入れないか、別のツールにする。この基準は、チームメンバー全員が判断できる。個人の好みではなく、客観的な基準だ。 ## おわりに ここまで読んでくれた人に、正直に書く。 この文章を書きながら、私は何度も手を止めた。「こんなこと書いて意味あるのか」「誰が読むんだ」「もっといい構成があるんじゃないか」。書いている最中に、書くのをやめる理由を探している自分がいた。「代表作」に届かない理由と、まったく同じ構造だ。笑えない。 2026年、私は隙間家具を20個作ると決めた。完璧じゃなくていい。動けばいい。使われなくてもいい。作ることそのものに意味がある。そう自分に言い聞かせている。 本当にできるかは、分からない。来年の今頃、GitHubにリポジトリが20個並んでいる保証はどこにもない。また「時間がなかった」「優先順位が」と言い訳しているかもしれない。その可能性は、正直、かなり高い。 でも、書いた。こうして宣言してしまった。 「何を作ればいいか分からない」という人へ。それは正常だ。ゴールは最初から見えているものじゃない。作っているうちに、少しずつ輪郭が浮かんでくる。だから今日、30分だけ時間を取って、最近「面倒だな」と思った作業を1つ書き出してみてほしい。それを解決するスクリプトを書く。動いたら公開する。それだけでいい。 20回繰り返す頃には、自分が本当に作りたいものが見えてくる。たぶん。見えてこなかったら、そのときはまた考える。 ところで、ここまで偉そうに書いてきたが、私は孤独な独身男性だ。家族はいない。守るべきものが少ない分、狂いやすい環境にいるとも言える。歯止めをかけてくれる人がいない分、自分で自分を律する必要がある。友達との飯の予定。ジムの予約。強制的に「コードを書かない時間」を作らないと、際限なく沈んでいく。独身には独身の戦い方がある。 OSSより大事なものはある。友達と話す時間。体を動かす時間。コードは逃げない。隙間家具はいつでも作れる。でも、友人との関係は放っておくと薄れる。健康は一度壊すと戻らない。狂うなら、余裕のあるときに狂え。順番を間違えると、人生ごと壊れる。 ......と、説教じみたことを書いたが、たぶん来年の今頃の私は、この文章を読み返して頭を抱えている。「狂う」とか言って、結局また「そこそこ」で終わったじゃないか、と。 nwiizoというアカウントは、また少し大きくなっているだろう。「代表作」のハードルも、また少し上がっているだろう。自分で自分の首を絞める構造は変わらない。 それでも、諦めたくない。憧れたエンジニアたちがいる。彼らのように、「これを作りました」と胸を張れる日が来るまで、手を動かし続ける。 だから、書いておく。 **まず狂え。量をやれ。そして、量が満ちたら、容赦なく削れ。** 答えが出ない状態は、苦しい。でも、その苦しさの中を泳ぎ続けることでしか、本当に作りたいものは見つからない。完璧を待たない。不完全なまま公開する。恥をかく覚悟で、手を動かす。 2026年は、そういう年にする。できるかどうかは知らない。でも、やると決めた。 隙間を見つけたら、小さく狂おう。 このブログが良ければ**読者になったり**、**nwiizo** の**X**や**Github**をフォローしてくれると嬉しいです。 ## 参考文献 人生にコンセプトを (ちくまプリマー新書) * 作者:澤田智洋 * 筑摩書房 Amazon センスは知識からはじまる * 作者:水野学 * 朝日新聞出版 Amazon センスの哲学 (文春e-book) * 作者:千葉 雅也 * 文藝春秋 Amazon 人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20 * 作者:山口 周 * ダイヤモンド社 Amazon 「面白い!」を見つける ――物事の見え方が変わる発想法 (ちくまプリマー新書) * 作者:林雄司 * 筑摩書房 Amazon THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法:コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (NewsPicksパブリッシング) * 作者:シーナ・アイエンガー * ニューズピックス Amazon わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ (光文社新書) * 作者:西林 克彦 * 光文社 Amazon 知ってるつもり 無知の科学 (ハヤカワ文庫NF) * 作者:スティーブン スローマン,フィリップ ファーンバック * 早川書房 Amazon 私が間違っているかもしれない * 作者:ビョルン・ナッティコ・リンデブラッド,キャロライン・バンクラー,ナビッド・モディリ * サンマーク出版 Amazon 不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法 * 作者:オリバー・バークマン * かんき出版 Amazon 熟達論―人はいつまでも学び、成長できる― * 作者:為末大 * 新潮社 Amazon 新版 いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。 * 作者:ジュリア・キャメロン,エマ・ライブリー * サンマーク出版 Amazon いくつになっても恥をかける人になる【DL特典 恥克服ワークシート】 * 作者:中川諒 * ディスカヴァー・トゥエンティワン Amazon 増補改訂版 スマホ時代の哲学 なぜ不安や退屈をスマホで埋めてしまうのか (ディスカヴァー携書) * 作者:谷川嘉浩 * ディスカヴァー・トゥエンティワン Amazon 自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学 * 作者:しんめいP * サンクチュアリ出版 Amazon 人生のレールを外れる衝動のみつけかた (ちくまプリマー新書) * 作者:谷川嘉浩 * 筑摩書房 Amazon 行動する人に世界は優しい―自分の可能性を解き放つ言葉― * 作者:佐藤航陽 * 新潮社 Amazon
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