万城目学『ザ・万歩計』
エッセイ集。エッセイに抱いている苦手意識を払拭したいと思い、なるべくコミカルな語り口のものを選んだ。
非常に短く、内容も軽妙でテンポ良く面白く読めた。やはり好きな作家さんの本を「エッセイだから」と読まずにおくのはもったいなかったと思う。
他人の赤裸々な信条を読むのが苦手なのでひとまず本書のような話の組み立てを楽しめるエッセイを読むようにしたい。
万城目学『ザ・万歩計』
エッセイ集。エッセイに抱いている苦手意識を払拭したいと思い、なるべくコミカルな語り口のものを選んだ。
非常に短く、内容も軽妙でテンポ良く面白く読めた。やはり好きな作家さんの本を「エッセイだから」と読まずにおくのはもったいなかったと思う。
他人の赤裸々な信条を読むのが苦手なのでひとまず本書のような話の組み立てを楽しめるエッセイを読むようにしたい。
私市保彦『幻想文学の文法』
幻想文学に頻出するモチーフに宿る文脈について解説する本。
子供の頃に読んだハイファンタジーかほんの少しの日本の近代(幻想)怪奇物程度しか触れて来なかったので、神話やゴシック小説を軸に解説する本書は覚えがあるようなそうでもないような気持ちで読み進んだ。
時代も国も様々な作品に共通するモチーフについて考えると人間の夢の源泉がおぼろげに見えるようで面白かった。
一方でキリスト教的な背景ありきのモチーフは解説されてもピンとこないものも多く、翻訳物を読む難しさを感じた。
私市保彦『幻想文学の文法』
幻想文学に頻出するモチーフに宿る文脈について解説する本。
子供の頃に読んだハイファンタジーかほんの少しの日本の近代(幻想)怪奇物程度しか触れて来なかったので、神話やゴシック小説を軸に解説する本書は覚えがあるようなそうでもないような気持ちで読み進んだ。
時代も国も様々な作品に共通するモチーフについて考えると人間の夢の源泉がおぼろげに見えるようで面白かった。
一方でキリスト教的な背景ありきのモチーフは解説されてもピンとこないものも多く、翻訳物を読む難しさを感じた。
渡辺友左『隠語の世界』
隠語をはじめとした集団語について、具体例を挙げながらその成り立ちや性格を検討する本。
集団語の区分や言語に関する「べき論」めいた言説については著者のスタンスには必ずしも同意できず、時代遅れだと感じる部分も多かった。しかし隠語の成り立ちについては読んでいて面白く、特に学生のスラングなどは微笑ましくもあった。
最近の若者言葉やスラングに比べると造語法のバリエーションが貧弱で、若者言葉などはほとんどその世代だけで使用するにも関わらず常に新規性を要求するのだな、と感心した。
渡辺友左『隠語の世界』
隠語をはじめとした集団語について、具体例を挙げながらその成り立ちや性格を検討する本。
集団語の区分や言語に関する「べき論」めいた言説については著者のスタンスには必ずしも同意できず、時代遅れだと感じる部分も多かった。しかし隠語の成り立ちについては読んでいて面白く、特に学生のスラングなどは微笑ましくもあった。
最近の若者言葉やスラングに比べると造語法のバリエーションが貧弱で、若者言葉などはほとんどその世代だけで使用するにも関わらず常に新規性を要求するのだな、と感心した。
藤森栄一『縄文式土器』
縄文土器の特徴や分布を年代順に紹介する本。出版元が中央公論美術出版で、図や造形についての言及が多く、とても分かりやすかった。
製造の粗さが必ずしも新しいものほど良いものになっているわけではない事や、最初期の土器は恐らく平面上に置いて使用されたわけではないらしいという事など、意外性があって面白い内容が多かった。
あまり新しい本ではないので、同じテーマの最近の本も読んでみたい。
藤森栄一『縄文式土器』
縄文土器の特徴や分布を年代順に紹介する本。出版元が中央公論美術出版で、図や造形についての言及が多く、とても分かりやすかった。
製造の粗さが必ずしも新しいものほど良いものになっているわけではない事や、最初期の土器は恐らく平面上に置いて使用されたわけではないらしいという事など、意外性があって面白い内容が多かった。
あまり新しい本ではないので、同じテーマの最近の本も読んでみたい。
セップ・リンハルト『拳の文化史』
題名の拳はじゃんけんの「けん」。中国から伝わった数拳に始まり、現在でも祇園で遊ばれているという虎拳のような酒の場での遊びとしての三竦み拳・大衆化してバリエーションを増やしてゆく様子などを紹介する。
歴史的な流れに関する記述が多く今我々がするじゃんけんについてはあまり触れられていないが、大衆化して風刺などに使われる様子などなかなか興味深かった。
また「拳」の大本にあたるらしい数拳などは現代には伝わらなかったものの、指を使った数当てゲーム自体は現在も遊ばれているのが面白く感じた。
セップ・リンハルト『拳の文化史』
題名の拳はじゃんけんの「けん」。中国から伝わった数拳に始まり、現在でも祇園で遊ばれているという虎拳のような酒の場での遊びとしての三竦み拳・大衆化してバリエーションを増やしてゆく様子などを紹介する。
歴史的な流れに関する記述が多く今我々がするじゃんけんについてはあまり触れられていないが、大衆化して風刺などに使われる様子などなかなか興味深かった。
また「拳」の大本にあたるらしい数拳などは現代には伝わらなかったものの、指を使った数当てゲーム自体は現在も遊ばれているのが面白く感じた。
中野重治『梨の花』
作者の経験をもとに書かれた自伝的小説。作者の本を今まで一度も読んだことが無く、漠然とプロレタリア文学の人だったな、と身構えて読んだが、少なくとも現代の価値観としてはかなり引っ掛かりがなく読めるように思った。潔癖なまでに丁度人間一人分の視野で語られる世界のわからなさは読んでいて小気味良かった。
筋としては北陸の農村で暮らす少年の記録というようなものだが、あまりにも心理描写が本物に見えて『アルジャーノンに花束を』を読んだ時に感じたのと同じ驚きがあった。不可逆に大人になった人間にどうしてあんな文章が書けるのだろう。
中野重治『梨の花』
作者の経験をもとに書かれた自伝的小説。作者の本を今まで一度も読んだことが無く、漠然とプロレタリア文学の人だったな、と身構えて読んだが、少なくとも現代の価値観としてはかなり引っ掛かりがなく読めるように思った。潔癖なまでに丁度人間一人分の視野で語られる世界のわからなさは読んでいて小気味良かった。
筋としては北陸の農村で暮らす少年の記録というようなものだが、あまりにも心理描写が本物に見えて『アルジャーノンに花束を』を読んだ時に感じたのと同じ驚きがあった。不可逆に大人になった人間にどうしてあんな文章が書けるのだろう。
H・ヴェント『物語世界動物史』
近代生物学の中で世界中の生物がどのように「発見」・分類・虐殺・理解等されてきたのかを紹介する本。
原著は50年くらい前のものなので、現在の生物学的には誤っている箇所もあるだろうと思う。また著者は少なくとも極東の文化には疎いようで明らかに誤った推測もある事から、文化に関する記載は鵜呑みにしない方が良いだろう。
しかしそれらを差し引いても歴史の一側面を語る読み物として充分に面白かった。本書には沢山の絵や写真が収められているが、登場する動物の中には名前を出されてもピンとこないものもあったので、最新の動物図鑑と合わせて読めばより理解しやすかっただろうと思う。
H・ヴェント『物語世界動物史』
近代生物学の中で世界中の生物がどのように「発見」・分類・虐殺・理解等されてきたのかを紹介する本。
原著は50年くらい前のものなので、現在の生物学的には誤っている箇所もあるだろうと思う。また著者は少なくとも極東の文化には疎いようで明らかに誤った推測もある事から、文化に関する記載は鵜呑みにしない方が良いだろう。
しかしそれらを差し引いても歴史の一側面を語る読み物として充分に面白かった。本書には沢山の絵や写真が収められているが、登場する動物の中には名前を出されてもピンとこないものもあったので、最新の動物図鑑と合わせて読めばより理解しやすかっただろうと思う。
西川長夫『国境の越え方』
「文化」「文明」「国際化」などをキーワードに国民文化とは何なのかを問う本。
私にとっては未知の領域の話が多くまだ上手く噛み砕けていないが、文化を私文化という個人の単位まで切り分けて考えることや、国際化が結局のところ国家の枠組みに拘った考え方を助長しているという話など覚えておきたい点が多かった。
本書では国民意識から私文化までの距離を対比の形で一足跳びにしていたが、個人の帰属意識については地域・家族などより細かく考えることによって、所属する文化への愛着の正体についてもっと考えてみても面白いだろうと思う。
西川長夫『国境の越え方』
「文化」「文明」「国際化」などをキーワードに国民文化とは何なのかを問う本。
私にとっては未知の領域の話が多くまだ上手く噛み砕けていないが、文化を私文化という個人の単位まで切り分けて考えることや、国際化が結局のところ国家の枠組みに拘った考え方を助長しているという話など覚えておきたい点が多かった。
本書では国民意識から私文化までの距離を対比の形で一足跳びにしていたが、個人の帰属意識については地域・家族などより細かく考えることによって、所属する文化への愛着の正体についてもっと考えてみても面白いだろうと思う。
松山利夫 山本紀夫編『木の実の文化誌』
世界各地での木の実の使い方について、複数の著者が自身の見聞に基づいて紹介する本。
各章はかなり短く、写真や絵図も多く分かりやすい。
古代の専売特許のように感じていた採集によって食物を確保する生活が案外現在でも続いていたり、日本でもごく最近まで広範囲で行われていたりしたことを事がわかり自分の中にあった偏見に気付かされた。
また、同じ木の実でも地域によって扱われ方が異なるものもあり、面白かった。これについては地学的な見方も出来ればより楽しいのかも知れないと感じた。
松山利夫 山本紀夫編『木の実の文化誌』
世界各地での木の実の使い方について、複数の著者が自身の見聞に基づいて紹介する本。
各章はかなり短く、写真や絵図も多く分かりやすい。
古代の専売特許のように感じていた採集によって食物を確保する生活が案外現在でも続いていたり、日本でもごく最近まで広範囲で行われていたりしたことを事がわかり自分の中にあった偏見に気付かされた。
また、同じ木の実でも地域によって扱われ方が異なるものもあり、面白かった。これについては地学的な見方も出来ればより楽しいのかも知れないと感じた。
植原路郎『新聞雑誌語事典』
昭和16年発行当時の新語解説書。流行語辞典と言うよりは新聞的な硬い用語解説であることに加え、太平洋戦争突入寸前の時期だけあり政治・軍事的な項目が多い。
項目によってはかなり私見が入った書き方をしているのも今読む人間としては面白かった。
この本のおよそ30年前に出版された『や、此は便利だ』と比べながら読むのも楽しかった。どちらも新語辞典の類だが同じ語が立項されている事もあり、言葉の定着について考えさせられる。
植原路郎『新聞雑誌語事典』
昭和16年発行当時の新語解説書。流行語辞典と言うよりは新聞的な硬い用語解説であることに加え、太平洋戦争突入寸前の時期だけあり政治・軍事的な項目が多い。
項目によってはかなり私見が入った書き方をしているのも今読む人間としては面白かった。
この本のおよそ30年前に出版された『や、此は便利だ』と比べながら読むのも楽しかった。どちらも新語辞典の類だが同じ語が立項されている事もあり、言葉の定着について考えさせられる。
フェルナンド・バエス『書物の破壊の世界史』
戦争・災害・過失や経年劣化など様々な要因で破壊されてきた本の世界史。キリスト教世界の度重なる焚書はもちろん、始皇帝の焚書坑儒・ポルポト政権まで幅広い内容を扱っている。
本が失われる次第を読むごとに悲しさや当時の人々を責めたくなるような気持ちが起こる。しかし電子書籍のような新しく非常に儚い媒体が増える今を考えると、書籍の破壊も増えていくのだろう。
何千年も書物を破壊してきた人間にとって希望と言えるのは、それでも我々は今なお書物を作り続けているということだと思う。
フェルナンド・バエス『書物の破壊の世界史』
戦争・災害・過失や経年劣化など様々な要因で破壊されてきた本の世界史。キリスト教世界の度重なる焚書はもちろん、始皇帝の焚書坑儒・ポルポト政権まで幅広い内容を扱っている。
本が失われる次第を読むごとに悲しさや当時の人々を責めたくなるような気持ちが起こる。しかし電子書籍のような新しく非常に儚い媒体が増える今を考えると、書籍の破壊も増えていくのだろう。
何千年も書物を破壊してきた人間にとって希望と言えるのは、それでも我々は今なお書物を作り続けているということだと思う。
青木清『動物行動の謎』
様々な実験を通して、ある動物の行動が惹起される要因や、生得的であるかどうかなどを実験の手法なども含めて紹介する本。
脳の仕組みに関する箇所は難解な点も多く、全て理解できたわけではないが、一つの結論を導くための実験が丁寧にテンポよく書かれており読んでいて楽しかった。
青木清『動物行動の謎』
様々な実験を通して、ある動物の行動が惹起される要因や、生得的であるかどうかなどを実験の手法なども含めて紹介する本。
脳の仕組みに関する箇所は難解な点も多く、全て理解できたわけではないが、一つの結論を導くための実験が丁寧にテンポよく書かれており読んでいて楽しかった。
山城祥二編『【仮面考】シンポジウム』
アジアの仮面を中心にその役割や形態の意義など幅広く議論したシンポジウムの様子をおさめた本。
遠く離れた場所で類似点の多い仮面が出現していること、面をつけることが人に及ぼす影響について能の専門家をまじえた議論など興味を引かれる内容がたくさんあった。
西洋の仮面や化粧などの仮面以外に顔を隠すものについての本も探してみたい。
山城祥二編『【仮面考】シンポジウム』
アジアの仮面を中心にその役割や形態の意義など幅広く議論したシンポジウムの様子をおさめた本。
遠く離れた場所で類似点の多い仮面が出現していること、面をつけることが人に及ぼす影響について能の専門家をまじえた議論など興味を引かれる内容がたくさんあった。
西洋の仮面や化粧などの仮面以外に顔を隠すものについての本も探してみたい。
前川道介『アブラカダブラ奇術の世界史』
およそ年代順に奇術に関するトピックが並んでいる本。新聞向けの原稿をもとにしているらしく、一つずつの章は短い。
読んでいると多くの奇術師がエンターテイメントの為に工夫をこらし、他者に対して奇術師たるべく振舞っていた様子が伺え、ポジティブな気持ちになれる。
脚色が多く記録としての信用性はかなり疑わしいようだが、奇術師の自伝もいくつか読んでみたいと思う。
前川道介『アブラカダブラ奇術の世界史』
およそ年代順に奇術に関するトピックが並んでいる本。新聞向けの原稿をもとにしているらしく、一つずつの章は短い。
読んでいると多くの奇術師がエンターテイメントの為に工夫をこらし、他者に対して奇術師たるべく振舞っていた様子が伺え、ポジティブな気持ちになれる。
脚色が多く記録としての信用性はかなり疑わしいようだが、奇術師の自伝もいくつか読んでみたいと思う。
縫田清二『ユートピアの思想』
ユートピア研究者の論集。前半はユートピア的思想についての目録など、研究の手引きとしての性格が強い。後半はイスラエルのキブツを中心にユダヤ人の歴史に触れている。
本書の発行は2000年だが各論の初出はより古く、中東の実情などはかなり現在と異なるように感じた。また著者はかなりユダヤ人に肩入れしているようでその全てを鵜呑みにする訳にはいかないだろうとも思った。
全体的に求めていた内容とは違ったものの、これまで触れてこなかった分野を含んでおりとても興味深かった。また日本人によって論じられたユートピアに関する本はそう多いわけではないので、その点からも良い本だった。
縫田清二『ユートピアの思想』
ユートピア研究者の論集。前半はユートピア的思想についての目録など、研究の手引きとしての性格が強い。後半はイスラエルのキブツを中心にユダヤ人の歴史に触れている。
本書の発行は2000年だが各論の初出はより古く、中東の実情などはかなり現在と異なるように感じた。また著者はかなりユダヤ人に肩入れしているようでその全てを鵜呑みにする訳にはいかないだろうとも思った。
全体的に求めていた内容とは違ったものの、これまで触れてこなかった分野を含んでおりとても興味深かった。また日本人によって論じられたユートピアに関する本はそう多いわけではないので、その点からも良い本だった。
大下宇陀児 角田喜久雄『日本探偵小説全集3 大下宇陀児 角田喜久雄 集』
罪にまつわる葛藤などの心理描写に優れた大下宇陀児とハードボイルドな格好良さのある角田喜久雄の傑作集。
探偵小説の中でもかなり雰囲気の違う二人の作を一冊で読めるのがとても良かった。特に角田喜久雄の探偵小説は初めて読んだが、映画を見ているような筋や描写の運びがとても好みだった。
大下宇陀児 角田喜久雄『日本探偵小説全集3 大下宇陀児 角田喜久雄 集』
罪にまつわる葛藤などの心理描写に優れた大下宇陀児とハードボイルドな格好良さのある角田喜久雄の傑作集。
探偵小説の中でもかなり雰囲気の違う二人の作を一冊で読めるのがとても良かった。特に角田喜久雄の探偵小説は初めて読んだが、映画を見ているような筋や描写の運びがとても好みだった。
泡坂妻夫『乱れからくり』
以前に読んだ『しあわせの書』が面白かったので購入した本。
どちらかと言うと本格味の強い作品で、作者の特色である奇術的なトリックも素晴らしい。『しあわせの書』では淡白に感じた文体も登場人物と噛み合っているように感じた。
総じて好みの話だったのでこれからも作者買いしていこうと思う。
泡坂妻夫『乱れからくり』
以前に読んだ『しあわせの書』が面白かったので購入した本。
どちらかと言うと本格味の強い作品で、作者の特色である奇術的なトリックも素晴らしい。『しあわせの書』では淡白に感じた文体も登場人物と噛み合っているように感じた。
総じて好みの話だったのでこれからも作者買いしていこうと思う。
宮本忠雄『言語と妄想』
精神病理やその傾向と言語表現の関連について論じた本。
稀に現代では差別とされるような記述もあるものの、全体的に興味深く読めた。しかし精神病についての知識がないため、内容が現代においてどの程度妥当なのかがわからない。
関連するもっと最近の本を読んでから再読したい。
宮本忠雄『言語と妄想』
精神病理やその傾向と言語表現の関連について論じた本。
稀に現代では差別とされるような記述もあるものの、全体的に興味深く読めた。しかし精神病についての知識がないため、内容が現代においてどの程度妥当なのかがわからない。
関連するもっと最近の本を読んでから再読したい。
東浩紀 永山薫 斎藤環 伊藤剛 竹熊健太郎 小谷真理『網状言論F改』
オタクは何に「萌え」ているのか、セクシュアリティとどのような関係があるのか等について語る本。
今となっては「オタクとは何者か」について知るというよりは、昔のオタクたちはこんな事を考えていたらしいという事を知るという点に価値を感じる。
著者がそれぞれのオタク的体験に基づいて持論を述べる箇所は面白かったが、対談の部分になると途端に用語の意味が錯綜し、まともな議論として成り立っていないと感じる所もあった。
東浩紀 永山薫 斎藤環 伊藤剛 竹熊健太郎 小谷真理『網状言論F改』
オタクは何に「萌え」ているのか、セクシュアリティとどのような関係があるのか等について語る本。
今となっては「オタクとは何者か」について知るというよりは、昔のオタクたちはこんな事を考えていたらしいという事を知るという点に価値を感じる。
著者がそれぞれのオタク的体験に基づいて持論を述べる箇所は面白かったが、対談の部分になると途端に用語の意味が錯綜し、まともな議論として成り立っていないと感じる所もあった。
藤井貞和『日本語と時間』
日本語における時間のあり方について考える本。前半では古文における過去の助動詞の意味や役割について定説から更に考察を試みている。
後半は現代語の「た」を範疇に入れ、現代語の過去形がどのように定着したのか、その本質は何なのかについて論じている。
途中いくらか納得のいかない論の飛躍もあったが、日本語の時制についての主張として読みやすくまとまっている。
引き続きこの方向の本を読んでみたいと思えた。
藤井貞和『日本語と時間』
日本語における時間のあり方について考える本。前半では古文における過去の助動詞の意味や役割について定説から更に考察を試みている。
後半は現代語の「た」を範疇に入れ、現代語の過去形がどのように定着したのか、その本質は何なのかについて論じている。
途中いくらか納得のいかない論の飛躍もあったが、日本語の時制についての主張として読みやすくまとまっている。
引き続きこの方向の本を読んでみたいと思えた。
スチュアート ヘンリ『「トイレと文化」考』
多彩な地域についてトイレのありようと文化の中の位置付けを考察する本。
著者はいわゆるエスキモーの研究者らしく、極寒の地での事情に詳しいのが興味深い。
かなり平易な文章だが、過度に俗っぽい書き方をしていないのでとても読みやすかった。
なお著者は日本人ではないが、翻訳を通さず日本語で書かれている。
スチュアート ヘンリ『「トイレと文化」考』
多彩な地域についてトイレのありようと文化の中の位置付けを考察する本。
著者はいわゆるエスキモーの研究者らしく、極寒の地での事情に詳しいのが興味深い。
かなり平易な文章だが、過度に俗っぽい書き方をしていないのでとても読みやすかった。
なお著者は日本人ではないが、翻訳を通さず日本語で書かれている。
小泉和子『室内と家具の歴史』
元は学習漫画のコラム的なコーナーだったらしく、取り扱う内容の各文量がほぼ均一で満遍なく知ることができるのが良かった。
暮らしに関わる物事は大衆的・一般的なものであればあるほど残っていないものだが、絵巻などに偶然にも描かれているものから当時の様子が今も伝わっているというのも興味深い。
また、昔の暮らしにおける明かりの取り方もあまり想像してこなかったので新鮮に感じた。今後機会を見て物語絵巻についての本や照明器具の歴史についての本を購入してみたい。
小泉和子『室内と家具の歴史』
元は学習漫画のコラム的なコーナーだったらしく、取り扱う内容の各文量がほぼ均一で満遍なく知ることができるのが良かった。
暮らしに関わる物事は大衆的・一般的なものであればあるほど残っていないものだが、絵巻などに偶然にも描かれているものから当時の様子が今も伝わっているというのも興味深い。
また、昔の暮らしにおける明かりの取り方もあまり想像してこなかったので新鮮に感じた。今後機会を見て物語絵巻についての本や照明器具の歴史についての本を購入してみたい。
布目潮風『中国喫茶文化史』
概ね近代以前までを範疇に中国における喫茶のありかたについて論じた本。
てっきり烏龍茶だとか、急須の役割も果たすような蓋つきのコップだとか、そういう話が出てくるのだと思ったが、どうやらそのあたりはかなり新しい文化らしい。あまり馴染みのない塊状のお茶の話などがあって面白かった。
布目潮風『中国喫茶文化史』
概ね近代以前までを範疇に中国における喫茶のありかたについて論じた本。
てっきり烏龍茶だとか、急須の役割も果たすような蓋つきのコップだとか、そういう話が出てくるのだと思ったが、どうやらそのあたりはかなり新しい文化らしい。あまり馴染みのない塊状のお茶の話などがあって面白かった。
山田宗睦 色川大吉 牧田茂 今井金吾 宮本常一 渡部忠世 田村圓澄 水野祐『道の文化』
道をキーワードに日本の文化を形作る様々なものについて論じた本。
もとは何かの講演会で発表されたものらしく、平易で親しみやすい表現が多い。内容についても興味を惹かれるものはあったが、参考文献が無いためどの程度信用できる情報かは不明で、次の本選びの参考にしづらいのは難点。
山田宗睦 色川大吉 牧田茂 今井金吾 宮本常一 渡部忠世 田村圓澄 水野祐『道の文化』
道をキーワードに日本の文化を形作る様々なものについて論じた本。
もとは何かの講演会で発表されたものらしく、平易で親しみやすい表現が多い。内容についても興味を惹かれるものはあったが、参考文献が無いためどの程度信用できる情報かは不明で、次の本選びの参考にしづらいのは難点。