濫造「リィコと超自然世界」
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濫造「リィコと超自然世界」
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飛行探査艇アレスを駆り、生まれ変わった世界を独り旅する少女の物語
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【新域日誌 - 5, 15, 2 N.W.E.】

 天まで届きそうな岩峰の足元、鬱蒼としたジャングルの開けた場所で透き通った夜空に浮かぶ星々の光を眺めていた。
 これほど空が綺麗であるとウーヌスにいた頃は気付かなかった。街の明かりが空を跳ね返していたからだろう。
 そんな気持ちも束の間、残りの食糧が底をつきかけている事実が焦りを呼び覚ました。何とかしなければ。
 
新域に出てからもう一ヶ月も経っていた。
April 16, 2025 at 4:34 AM
【新域日誌 - 5, 3, 2 N.W.E.】④

 わたしは装備をチェックし、キャノピーを開けるために機内圧力を外と同化させていく。すると装備が徐々に体を締め付けてくる。ここは16,000m。ヒトが生身で居続けられる限界。一つ一つの動作が慎重になる。
 キャノピーを開けて湖に近づく。湯気が立ち込め七色に染まったそれは、湖ではなく熱水泉だった。蒼黒い空と強烈な朝日に照らされたこの場所は、この世とは思えない幻想的な美しさと底知れぬ不気味さがあった。
 わたしが旅するこの世界は、ただ美しいだけではないことを強く実感した。

わたしはしばらく茫然と立ち尽くしていた。
April 3, 2025 at 4:20 AM
【新域日誌 - 5, 3, 2 N.W.E.】③

 大きな柱の上空をぐるりと一周し、湖水の周りにアレスを停めた。
16,000mという高度でありながら0℃前後で、酸素濃度は地上の50% もあり、気圧も地上の40% と表示されていた。
 通常ならありえないことだ。人間が生身で活動できる標高の限界を超えているのに、モニターで示している数値の結果からは、少しの時間なら生身でも問題ないことを示している。
 でも、正直わたしはその数値をすぐに信用することはできなかった。
しばらくのあいだ、モニターとカラフルな湖を交互に見て迷っていたが、昨日の決意を思い出した。
March 29, 2025 at 4:24 AM
【新域日誌 - 5, 3, 2 N.W.E.】②

 柱の周りを螺旋状に飛びながら上昇していく。表面のゴツゴツした岩肌を見て、確かに自然にできたものなのだと認識した。
 しばらく上昇していると、雲を抜けたはずなのに柱の頂上から雨粒が降ってくることに気づいた。そして高度16,000mにさしかかり、待ちに待った頂上の姿が目に入る。
 そこにはなんと七色に染まり、湯気が立ち込める湖が広がっており、湖水が柱の頂から絶えず溢れていた。
March 27, 2025 at 9:25 AM
【新域日誌 - 5, 3, 2 N.W.E.】①

 夜明け前の暗い空、目覚めるとあたりは雲霧で覆われていた。身支度を整えると、次第に雲霧は晴れて柱のようにそびえ立つ山の姿が顕になった。日の出前だというのに、空を突くように伸びる頂だけ先に朝日を浴びて荘厳な迫力を放っていた。飛ぶなら今が好機。今日はあの山の頂に行くんだという決意のもと、その場から離陸した。
 垂直離陸の浮遊感はまるで箒にまたがった魔女のようで、いつもワクワクする。そしてわたしはその山へと飛んでいった。
March 26, 2025 at 4:28 AM
【新域雑録 - 5, 2, 2 N.W.E.】②

 野営準備を始めてから寝るまで、昼間に見た柱のような山々の姿が頭から離れなかった。あれは一体何なのか。どうやってできたのか。頂上には何があるのか…。気になる一方であまりの壮大さや異質さに立ち入ってもいいのかという強い不安を感じていた。
 しかし、わたしはリビルの調査隊員。かつて人類の文明を躍進させた挑戦者たちのように、わたしも彼らに倣って進むんだ。調査対象は、「自身 が興味を持った対象すべて」なのだから。
March 21, 2025 at 4:25 AM
【新域雑録 - 5, 2, 2 N.W.E.】

 神域に来てから調査よりも野営準備に時間を使ってる気がする。毎日のように設営と撤収を繰り返すのがちょっと大変。
 でも今日のキャンプ地は生い茂る山林の狭いスペース。高地ゆえに風も強いから、テントは設営せずコックピットのシートを倒してマットと寝袋を敷いて寝ることにした。記録を済ませたら、糧食を食べて、好きなアニメを観て寝るのがわたしの夜の過ごし方。
March 16, 2025 at 12:30 AM
【新域日誌 - 5, 2, 2 N.W.E.】

 めくれた大地を後にし、さらに東へ飛んだ。大地の隆起が徐々に大きくなり、美しい山脈へ姿を変えていた。地上遠征隊はここで相当な足止めを喰らうだろう。なぜなら、ここに広がる山々の標高はゆうに8,000mを超えているのだ。だがそれだけはでない。さらに東へ目を向けると一際大きく聳え立つ、“柱”と呼ぶべき頂が連なっていたのだ。
March 10, 2025 at 10:21 AM
【新域日誌 - 4, 17, 2 N.W.E.】

 ウーヌスから離れて2週間が経った。めくれ上がった大地が広がるばかりで、わたしが知る世界の景色は道中どこにも無かった。建物の残骸を見かけたこともあったが、その朽ち様から途方もない時間が過ぎていることが伺えた。悲嘆にくれるいっぽうで____自然が生き生きとしている姿がこんなにもきれいだなんて!___と心奪われる瞬間もあった。
March 4, 2025 at 10:15 AM
都市から離れていく寂しさも束の間、その身へ伝わってくるあらゆる情報がわたしを魅了してしまった。

燃えるような朝焼け、
アレスがかき分けていく空気、
シートからカラダに伝わる振動、
いつもと違う空気の匂い、

目の前で起きていること全てが新鮮で刺激的だった。「おそらくこの惑星は、災禍前よりも遥かに壮大な世界になっているに違いない!」とわたしは高揚した。
March 2, 2025 at 12:01 AM
____遠い地平線から陽光が差し込んだ。

 発進はもう間もなく。カタパルト脇のモニターがカウントダウンを始めると、壮行会に集まった家族や友達、リビルの仲間たちもカウントダウンを唱え始めた。

 わたしは機体の出力を徐々に上げていく、モニターの数字が「0」を示したとき、カタパルトが爆発的なスピードで動き出し、わたしは無限の空へと飛びだした。

____行ってきます!
February 28, 2025 at 10:32 AM
 これは第一次先発隊のひとり、リィコ・ユンクティオ隊員による手記。広大な新域調査において、地形や環境の精密な測量・観測は飛行探査艇が行い、陸上(水中を含む)での調査は隊員と小型ドローンが行う。

 これより見ていくものは、ウーヌス以東の新域調査を担当するリィコ隊員が残した記録。

____彼女の物語。
February 27, 2025 at 10:00 AM
  「災禍」から2年、ウーヌスの人々は絶望に瀕しながらも復興に向けて動き回り、都市内政は落ち着きを見せた。そしてウーヌスは、再び“未開の地”となった都市の外側、通称「新域」へ目を向けた。

____特別調査機関「リビル」。

 見知らぬ世界へ希望を抱いた彼らはそう名付けられた。そしていま、大規模調査の足掛かりとなる先遣部隊、「飛行遠征隊」の第一陣がウーヌスから旅立った。
February 26, 2025 at 9:31 AM
 首都ウーヌスの防壁は、時限設定により解除され、人類は長い長い眠りから目を覚ました。しかし目の前に広がっていたのは、かつての面影を読み取れないほど、その姿を大きく変えた世界だった。
 人々は絶望し混乱を極めた。

 だが、過酷な状況下にあっても人類は血路を見出そうと足掻き始めるのだった。
February 25, 2025 at 9:46 AM
 人類が記録した文明最後の姿。●暦2084年7月20日16時34分、そのとき錯乱の扉が開かれた。平和の象徴たる偉大首都ウーヌスは、惑星生命種の最終保全プロトコルに従って、防壁を張り巡らした。空間すべてに「原子凍結(通称)」を実行し、人類は永きにわたる眠りにつくこととなった。

 当然、惑星環境が回復する見込みなどは無かった。
February 24, 2025 at 2:30 PM
 ●暦2084年、惑星規模の天変地異「災禍」が世界を襲った。これにより人類が培ってきた高度情報流通文明は突如として終わりを告げた。

 「災禍」を免れ、ながい眠りから目覚めた少女は、生まれ変わった世界を調査するため飛行探査艇アレスを駆り独り旅に出る。

____想いはそのカタチを自在に変える。
____熱に、香りに、味に、音に、貌に。
____想いは無限。
February 24, 2025 at 2:00 PM