ふわふわとした意識の中、なんとか通話を切る
このまま繋げておけばよかったな、なんて思ったけど、もう手遅れだった
それでも彼女とのメッセージ画面に残る通話の履歴時間に、私はなんとなく安心を感じた

貴女…もう寝れないんじゃない？声、元気そうになってきてるわね
んーそうかも
無理に返信しなくてもよかったのに
…紗月は、どうして私に連絡しようと思ったの？
……寂しいなって、思ったから
！…えへへ…うれしいなぁ…そっか…寂しいって思って、私を選んでくれたんだ…
…そりゃ、恋人だもの…
…ん…

彼女の嬉しそうな声が、心地いい
ふと時計を見れば一時間ほどが過ぎていて、長く彼女の声を聞いていたせいか、眠くなってきた
私の眠くなった声に気づいたのか、彼女がもっかい寝る？と提案をしてくれる

そうね…
朝学校で会えるし、またその時にね
えぇ…
おやすみなさい、紗月
…おやすみなさい…

当たり障りのない返しをすれば、通話がしたい、と送られてきた
いいよと返すとすぐに電話がかかってきて、私は対応のボタンを押した

さつきからなんてめずらしいね
言ったでしょう、目が覚めてしまったの
えへへ、でもなんかうれしいな
眠そうね、貴女は
んー…ねおきはいつもこんなんだよ。いまめかえるのつらくて、めとじながらおはなししてる
また寝るのなら、切るけれど
わたしがさそったんだもん。ちゃんとおはなしする
そう

電話に出た彼女の声はいかにも眠そうで、通知で起こしてしまったのではと不安になる
それでも彼女は案外長く通話を続けてくれて、眠気はだんだんと抜けていってしまったようだった