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映画とブラジル音楽が好きです。ノー残業で映画を観たり、ライブへ行くのが楽しみ。
Amazonアソシエイト・プログラム参加者。
『ジャグラー/ニューヨーク25時 』鑑賞。4Kといってもフィルムのざらつきが残り、くすんだ色合いで70年代アメリカ映画らしさが残った修復。望遠レンズによる疾走する場面の躍動感に目を奪われ、最近の映画では観ることができない激しいカーチェイスに興奮させられる。登場人物達が恵まれた境遇ではない人々が中心なのも当時のニューヨークのリアルさがあり、娘を取り違えられて身代金を要求される富豪が不動産で儲けているトランプみたいな人物なのも何とも皮肉。動く映像を終始観させられた後エンドロールはフィックスで締めるのも良い。撮影監督のビクター・J・ケンパーは『ハズバンズ』や『マイキー&ニッキー』も撮った人ですね。
December 13, 2025 at 11:14 PM
『落下の王国』鑑賞。もっとカルトっぽいと思ってましたが、ストーリーテラーと語られる奇想天外な物語の同時進行は『ネバーエンディング・ストーリー』みたいな感じもあり、子供が観ると喜びそうなファンタジー映画だった。色彩豊かな映像はCM出身の監督らしく非常に凝っていて、世界遺産のロケ地はアニメーション的とも言えるが活劇性は希薄。皮肉にもラストが最も活劇的に感じられた。
December 9, 2025 at 12:17 AM
『ジルベルト・ジル ゴッド・イン・ヒズ・ガーデン』鑑賞。インタビュー部分もあるのかと思ってたら全編ライブのみの音楽映像でした。ライブはファミリーで構成され、着座スタイルでの落ち着いた演奏のなので、昨年の来日ライブの前半部分に近い感じ。冒頭から「Palco」で始まり、自身の曲だけでなくボサノヴァやボブ・マーリーのカバーなども。初めの方はジルベルト・ジルもマイクのバランスなど気にして細かな指示を出してたり、中盤からは満足そうに演奏しつつも息子のBem Gilのギターに対して最後のフレーズ以外は良かったなど厳しい面も。孫のFlor Gilのコーラスやボーカルがまだ幼いのに堂々たるものでした。
December 8, 2025 at 12:34 AM
ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団『Sweet Mambo』@彩の国さいたま芸術劇場。初めて観ましたが、結構な割合で日本語の台詞になっていて観客側にも話しかけたりするのに驚かされる。「私の名前を忘れないでね。ナオミよ。」と話しかける若きダンサーはトランス・ジェンダーのようで妖艶なキレのある舞踏に魅力される。白い布が天井からぶら下がるシンプルさながら、風にたなびいたり、古い映画を投影したり、寝床になったりと変化に富んでいる。休憩を挟み後半は老若男女の出演者達がそれぞれ踊りをみせる圧巻のパフォーマンスで、舞踏団の歴史の重みを感じる素晴らしさ。
November 30, 2025 at 11:43 PM
『燈台守』鑑賞。ロバート・エガースの『ライトハウス』はこの映画を参照してるのだろうけど、グレミヨンの方が圧倒的に面白い。時化た海の荒波と風、立ち昇る煙など自然が視覚だけでなく五感に訴えてくるような効果と、燈台の回転装置の動きと光のマシニックさが対比的。腕に残った牙の痕からフラッシュバックの回想シーンへ移行する場面転換もスムーズで、犬がその後どうなって行くかの転末がそのまま息子の命運を示唆するあたりの演出も巧い。Phewによる電子音のライブ・パフォーマンスはこの映画と見事に嵌まっていて、古典的な映画と現代音楽との緊張感のあるコラボレーションにより驚くべきアクチュアリティを獲得していたと思う。
November 30, 2025 at 2:51 AM
横浜聡子監督がわざわざ埼玉まで来るならばとOttOで『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』鑑賞。青森が舞台の52分の中編ながら、主人公ののり子の視点を中心に、複数の人物の状況が積み重ねられて段々と何がある/あったのか見えてくるのは『海辺へ行く道』とも共通するように思える。最初に撮った自主映画から撮りたいものが明確なのと、驚くべき結末はクリシェに収まらない自由さを感じた。アフタートークでは、美学校時代の事や主演の鈴木由美子をスカウトしたエピソードだったり、思い入れのある自身の監督作などを教えていただく貴重な機会でした。
November 29, 2025 at 12:23 AM
ヴァネッサ・モレーノ&サロマォン・ソアレス@Billboard Live横浜1st。前半はマルセロ木村、海堀 弘太の演奏で場を盛り上げながら40分位のライブ。桃太郎の童謡カバーはトニーニョ・オルタみたいなギター奏法で驚いた。後半いよいよヴァネッサ・モレーノ&サロマォン・ソアレスのデュオのライブが始まり、冒頭から珠玉のボーカルとピアノの演奏に圧倒される。ヴァネッサ・モレーノは活発な感じでマイクスタンドは脇に除けて踊るように歌う姿が印象的。スキャットが特に素晴らしかった。サロマォン・ソアレスのピアノはアンドレ・メマーリを思わせる芯のある響きを聴かせて、とりわけエルメートのカバーの演奏が見事でした。
November 28, 2025 at 3:33 AM
『大疑問』鑑賞。国立映画アーカイブでのフィルムはとても綺麗なプリントで4K上映より感動的。ストーリーはご都合主義的だったり夜の場面が明るいなど大らかな時代性を感じるが、馬車とかアメリカの田舎の村が舞台と見てると不意に潜水艦が現れたりして驚かされる。見どころは幽霊が現れる場面で、カーテンが揺れる風のショットが素晴らしい。帽子を被ったリリアン・ギッシュはまるで妖精みたいな可憐さで、感情が昂るとブルブルと震える痙攣的な動きも凄い。
November 25, 2025 at 11:45 PM
『陪審員2番』鑑賞。TAMA CINEMA FORUMにて。何はともあれスクリーンで観られて良かった。目隠しをしたテミスの像からニコラス・ホルトの妻にベビールームのサプライズで目隠しをしたショットへ移行する冒頭から見事。イーストウッドといえばダーティーハリーを始めとし法で裁けない「アウトロー」をテーマとしてきた作家だけに、この映画では法廷内でのダブルバインドを描いている事自体に感慨が。ニコラス・ホルトが決定的な場面で何かを落とすショットの反復がとにかく素晴らしい。
November 23, 2025 at 6:27 AM
山本精一@POLARIS tokyo。リハが押して19:30頃からのスタート。「約八十分間次元旅行」というタイトル通りぶっ続けで80分ほどライブでしたが、Mac2台からリズム・トラック中心に音源データを流し、エレキギターを独奏する独り「想い出波止場」状態でドンピシャの方向でした。前半はギターのループを活かしたアンビエントで始まり、中盤からポエトリーリーディング的なボーカルも交えながら強烈に鋭角的なギターのカッティングが凄まじく、波動を感じるほどの音像はライブならではの体験でした。
November 23, 2025 at 2:09 AM
『沼地という名の町』鑑賞。傷口を洗う腕や泥のついたスニーカーを洗う足など即物的に手足などの身体の一部が切り取られた様なショットや、フレーム内に多数の人物がいて俄には何が起きているか判然としない感じ、画面が細かく切り替わり安定しないまま進行するのがユニーク。ブルジョア家族内の世代間と使用人でそれぞれ異なった世界が自律していて、ストーリーよりも状況の積み重ねにより関係性が垣間見える展開が面白かった。流血や転倒、血縁内での性的な仄めかし、子供が猟銃を振り回す危うさなど、不穏な空気が通底している。
November 22, 2025 at 2:06 AM
Twitterの調子も悪いけどヒューマントラストシネマのサイトも見られない。『旅と日々』のトークイベントは蓮實重彦と佐野史郎の両名とも来たら面白いと思ったけど、それぞれ別日なのね。
November 18, 2025 at 1:32 PM
名古屋へ来たものの観たい新作映画は時間が合わず、久しぶりに川島雄三の『しとやかな獣 』を伏見ミリオン座で。改めて観ると新藤兼人の脚本がいささか理屈っぽい感じもするけど、外連味ある役者陣の演技とフレーム内の切り取り方に圧倒される団地映画。
November 15, 2025 at 7:04 AM
『旅と日々』鑑賞。個人的には2つの原作を繋ぐオリジナルの部分が面白かった。敢えてメタ構造にした批評的な語り口や、まさかのドッペルゲンガーという悪戯っぽさ、小津安二郎のDVD -BOXが背後に映ったあの御方の自宅を思わせる感じ、ムルナウの『都会の女』のようにアパートの窓に列車の光が明滅するショットなど、単なる漫画の映画化に抗う三宅唱らしいユーモアが出ていたように思う。
November 12, 2025 at 11:28 PM
『サターン・ボウリング』鑑賞。視点が変わる3つの構成だったが、とりわけ最初のアルマンのパートは出色の出来栄えで赤と黒を基調とした色彩にサイレントでも成り立ちそうなショットで観る者を震撼させる。『走り来る男』と同じく兄弟が主軸となるが、ステレオタイプな関係性には陥らず言語化できないような情念の発露が的確に演出される。終盤での猟友会の会合とボウリング場での映像はザイドルの『サファリ』を思わせるおぞましさ。パトリシア・マズィの息子のアシル・レジアニによる複雑な感情が綯い交ぜになった顔芸が凄まじい。
November 8, 2025 at 1:40 AM
『旅人の必需品』鑑賞。会話が気がつくと危うい方向へ向かったりユーモラスになったりするスリリングさや、イザベル・ユペールとの関係性が見えない中でのやり取りとか奇妙な繰り返しなどの異化効果もあり、ホン・サンスしか出せないミニマルな味わいが堪らない。キムチ鍋(?)を食べながら話す場面は、敢えて食べてる側は背中のみを映す固定ショットが良かった。
November 8, 2025 at 12:46 AM
『イン・アイ・イン・モーション』鑑賞。2007年のジュリエット・ビノヒュによるダンスと演技による舞台のドキュメンタリー映画で、練習風景と本番での舞台から構成される。相手役のアクラム・カーンが舞踏家なのでビノヒュにダンスを教え、ビノヒュがアクラム・カーンに演技を指導する関係が興味深く、トレーニングと議論を重ねながらパフォーマンスを練り上げていく過程に目が離せない。本番では殆ど出ずっぱりのビノヒュの身体能力の高さに驚かされた。
November 4, 2025 at 12:08 AM
『愛殺 レストア版』鑑賞。色彩が赤、白、黄、青と原色で、壁の色や布もそうなので明らかにゴダールなんだけど、超ロングショットの挿入や後半でのスラッシャー的なジャンル映画の混淆など理知的な面とそれらを逸脱した情念が綯い交ぜで面白かった。マーク・ロスコの絵画に加えてルネ・マグリットの「恋人たち」が展示された美術館の場面があったけど、終盤の頭部を布に覆われたショットで反復されるのは唸らされた。レストア版でも画質的には厳しい箇所が複数あったので、マスターの状態は相当良くなかった事が想像される。監督自身が保有していたベータカムらしき素材の部分も確認できた。
November 3, 2025 at 1:52 AM
『マスターマインド』鑑賞。実際に起きた事件から着想しているみたいだけど、時代設定である1970年代のアメリカが丁寧に再現され、細部の表現も含めて画面に惹き込まれる。犯罪もので全編にジャズが流れる(Chicago Underground Duoのクレジットも)ので何となく大和屋竺の映画も想起したが、流石にそういう方向ではなく主役のジョシュ・オコナーの日常性に焦点を当てたライカートらしい展開だった。ベトナム戦争の反戦デモやニクソンの映像など現在のアメリカとの照応性を含意しているであろう面もあり、単なる強盗事件に収まらない皮肉が利いている。
October 31, 2025 at 12:25 AM
Arooj Aftab@ビルボード東京2nd。エレキギター、ウッドベース、ドラムのみのシンプルな編成だったが、各プレイヤーの力量が高くソロパートもたっぷり聴かせてくれた。Arooj Aftabは終始サングラスに黒っぽい姿で強めな印象だが、美しく独特な節回しのボーカルが圧巻でしっとりとした雰囲気を醸し出していた。観客にウイスキーを振る舞って「whiskey」を歌うきっぷの良さや、前日に続き青葉市子のゲスト参加と小川慶太は後半出ずっぱりの嬉しいサプライズ。終盤の「Aey Nehin」「Bolo Na」がとりわけ素晴らしかった。
October 29, 2025 at 11:24 PM
『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は 』をようやくアマプラで。スタンダードサイズで冒頭から縦の構図とバンド演奏の繋ぎが鮮やかで、映画が進行するうちに意味も分かってくる巧みな演出。さっちゃんを始めとしたとても長い台詞の演技と撮影の拮抗した感じは生々しいリアルさがあった。犬の毛玉が浮遊する場面は2人の関係の転換点となっていて『勝手にふるえてろ』における赤い付箋との符合を感じた。
October 26, 2025 at 11:22 PM
ジミ・ヘンドリックス『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン&アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』鑑賞。前者の作品はスタジオができる背景から工事中の難航した状況、ジミヘンの急逝後のスタジオの維持を関係者のインタビュー中心。ジミヘン自体の映像素材はほぼ無いため音楽史やスタジオ音響の関心が無いと敷居が高いのか鼾をかいて寝てる人も。。カーリー・サイモンのデビューアルバムが録音されヒットしたのが大きかったようなので彼女の曲もかけて欲しかった。後者のライブ作品については有名曲が矢継ぎ早に演奏され、ジミヘンの絶頂期を体験。ギターを爪弾く手元や横顔のアップもあるため観客も乗り乗りでした。
October 20, 2025 at 12:29 AM
『ワン・バトル・アフター・アナザー』鑑賞。長尺ながらもヴィスタビションによる画面を存分に堪能した。革命を志向するフレンチ75というグループでの行動は『ミュンヘン』を思わせるし、ラストのカーチェイスは『激突』なので、スピルバーグが絶賛というのも納得。ディカプリオの人間臭さが板についた芝居は見事で、ド頭からクレイジーなショーン・ペン、凄まじいスピードでの疾走が鮮烈なテヤナ・テイラーなどキャラの濃い役者陣が的確に配置されていた。着地についてはペルフィディアの両義性を考えると少しウェルメイド過ぎるかも。
October 16, 2025 at 9:47 AM
『グランドツアー』鑑賞。アジア各地で撮ったドキュメンタリー的な光景とフィクション部分が渾然一体となった構成。時代設定の飛躍やモノクロとカラーも織り交ぜる辺りはミゲル・ゴメスらしい手法だけど、いつもの法螺話的なユーモアよりは1918年の植民地主義という軸があるためか些か生真面目な生硬さを感じた。横転した列車から蒸気が立ち上るショットやモリーがダンスする場面は良かった。
October 12, 2025 at 11:57 PM
Gia Margaret@自由学園明日館。フェルトで覆った様なアップライトピアノと電子音やミュージック・コンクレート的なサウンド・コラージュの組み合わせによる静謐な雰囲気の演奏だった。『Romantic Piano』からを中心にしながらも、自身のボーカル曲では囁くようにひっそりと歌う姿が印象的でヴォコーダー的な音の処理も施される。新曲のお披露目や高木正勝のゲスト参加で会場が盛り上がりつつ、アンコール1曲を歌い1時間強にて終了。小さな声でポツリと話すMCでチャーミングなお人柄でした。
October 9, 2025 at 12:37 AM