散歩屋_文.絵.写真
▶︎works‥
_JACKJEANNEジャックジャンヌ▽ゲームシナリオ・小説「夏劇」「月の道しるべ」「七つ風」「玉阪の光跡」
_ノベライズ▽東京喰種_「日々」「空白」「昔日」▽ 東京喰種:re _「quest」▽NARUTO_「暁秘伝」「サスケ真伝」
_他▽小説・漫画・漫画原作etc
海堂はカイのことを入学した当初から好敵手に位置づけている。
「カイにはもっと可能性があるはずだ! 根地にもそう進言しているのだが……!」
ダンスを止め、ぐっと拳を握る海堂。
「カイに伝えとくよ」
そう言いながら、『華と器』という言葉がフミの頭を重たく巡る。
了
海堂はカイのことを入学した当初から好敵手に位置づけている。
「カイにはもっと可能性があるはずだ! 根地にもそう進言しているのだが……!」
ダンスを止め、ぐっと拳を握る海堂。
「カイに伝えとくよ」
そう言いながら、『華と器』という言葉がフミの頭を重たく巡る。
了
「しかし、お前とこうやって後輩について語り合うようになるとはな!」
「ん、どういうこと?」
「昔のお前は、どうすれば自分が舞台の上で輝けるかの一点に全精力を注いでいた! お前の世界にいるのは立花継希だけだっただろう!」
「……!」
「俺はあの時期のお前も嫌いではないがな! 今こうやって、後輩のことを、クラスのことを考えられるようになったお前も良いと思う! カイと組んだのも大きいと思うぞ! カイは優秀な男だ」
「しかし、お前とこうやって後輩について語り合うようになるとはな!」
「ん、どういうこと?」
「昔のお前は、どうすれば自分が舞台の上で輝けるかの一点に全精力を注いでいた! お前の世界にいるのは立花継希だけだっただろう!」
「……!」
「俺はあの時期のお前も嫌いではないがな! 今こうやって、後輩のことを、クラスのことを考えられるようになったお前も良いと思う! カイと組んだのも大きいと思うぞ! カイは優秀な男だ」
フミの最初のパートナー、立花継希。
ユニヴェールの至宝と呼ばれた人。
「クォーツの1年は、同期で組むことになるのかっ?」
「ん? ああ、どうだろな。なにせうちの組長はクロだからさ」
潜る思考を一旦止めて、今の話に戻る。
「先輩後輩で組む可能性もあるぞ。うちにはミツだっているし」
「あのトレゾールか! だが、アルジャンヌをやるなら司のような覚悟がいるぞ!?」
「今年度入ってから、あいつもちょっとずつ変わってきてんだよ」
「ほぉ……それも菅知に聞かせてやらなければ。あいつは白田美ツ騎を強く意識している」
フミの最初のパートナー、立花継希。
ユニヴェールの至宝と呼ばれた人。
「クォーツの1年は、同期で組むことになるのかっ?」
「ん? ああ、どうだろな。なにせうちの組長はクロだからさ」
潜る思考を一旦止めて、今の話に戻る。
「先輩後輩で組む可能性もあるぞ。うちにはミツだっているし」
「あのトレゾールか! だが、アルジャンヌをやるなら司のような覚悟がいるぞ!?」
「今年度入ってから、あいつもちょっとずつ変わってきてんだよ」
「ほぉ……それも菅知に聞かせてやらなければ。あいつは白田美ツ騎を強く意識している」
なにより、彼には隣に並ぶ人がいる。
「菅知もアルジャンヌの顔だな。元ジャックだなんて今じゃ思えねーよ」
「おお! お前にそう言ってもらえるのは俺としても嬉しい! 菅知も喜ぶだろう! 伝えておく!」
華やかなジャック生達に押され伸び悩む菅知にジャック転向を勧めたのは海堂だ。このダンスルームで二人稽古する姿をフミは何度も見かけた。
「だが、最良のパートナーというものは難しさもあるな!」
「難しさ?」
「俺はそのパートナーを残して卒業しなければいけない。そして菅知は残されなければいけない」
なにより、彼には隣に並ぶ人がいる。
「菅知もアルジャンヌの顔だな。元ジャックだなんて今じゃ思えねーよ」
「おお! お前にそう言ってもらえるのは俺としても嬉しい! 菅知も喜ぶだろう! 伝えておく!」
華やかなジャック生達に押され伸び悩む菅知にジャック転向を勧めたのは海堂だ。このダンスルームで二人稽古する姿をフミは何度も見かけた。
「だが、最良のパートナーというものは難しさもあるな!」
「難しさ?」
「俺はそのパートナーを残して卒業しなければいけない。そして菅知は残されなければいけない」
圧倒的なカリスマ性でオニキスを率いる海堂をオニキス生達はみな、尊敬の眼差しで見つめている。それは、海堂の同期であるオニキス76期生の生徒も同じだ。いや、恐らく同期だからこそ、一年の時から未来のジャックエース候補として舞台の上で活躍していた海堂を羨望の眼差しで見上げている。それがそのまま、海堂と同期たちの間に上と下を作った。海堂への尊敬が増せば増すほど、その差は大きくなる。孤独は広がる。
それを物ともしない強さが彼にはあるが。
圧倒的なカリスマ性でオニキスを率いる海堂をオニキス生達はみな、尊敬の眼差しで見つめている。それは、海堂の同期であるオニキス76期生の生徒も同じだ。いや、恐らく同期だからこそ、一年の時から未来のジャックエース候補として舞台の上で活躍していた海堂を羨望の眼差しで見上げている。それがそのまま、海堂と同期たちの間に上と下を作った。海堂への尊敬が増せば増すほど、その差は大きくなる。孤独は広がる。
それを物ともしない強さが彼にはあるが。
あまりにもすぐ返したもんだから海堂先輩は驚いていたけど、大声で笑って、いつものようにオレを真っ直ぐ見て、力強く頷く。
オレの考えてることがちゃんと伝わったと思ったし、海堂先輩が言いたいことがちゃんとオレに伝わったこともわかってもらえたはずだ。
でも……やっぱり、ちょっと辛いスね。
了
あまりにもすぐ返したもんだから海堂先輩は驚いていたけど、大声で笑って、いつものようにオレを真っ直ぐ見て、力強く頷く。
オレの考えてることがちゃんと伝わったと思ったし、海堂先輩が言いたいことがちゃんとオレに伝わったこともわかってもらえたはずだ。
でも……やっぱり、ちょっと辛いスね。
了
これだけ強く見える人なら尚更だろ。
強い人ほど、才能がある人ほど、理解されない苦しみがある。
海堂先輩が卒業する間近、オレは海堂先輩と少し、話す機会があった。
海堂先輩は本当にオニキスのことが大切で、ユニヴェールのことを愛しているんだなって伝わって来て、オレは寂しくなった。
オレもクォーツが大切で、ユニヴェールがめちゃくちゃ好きだから。
言葉にしなくても、顔に出さなくても、たとえ何も見えなくたってわかることはある。
これだけ強く見える人なら尚更だろ。
強い人ほど、才能がある人ほど、理解されない苦しみがある。
海堂先輩が卒業する間近、オレは海堂先輩と少し、話す機会があった。
海堂先輩は本当にオニキスのことが大切で、ユニヴェールのことを愛しているんだなって伝わって来て、オレは寂しくなった。
オレもクォーツが大切で、ユニヴェールがめちゃくちゃ好きだから。
言葉にしなくても、顔に出さなくても、たとえ何も見えなくたってわかることはある。
海堂先輩って誰に対しても、その人の中にある才能や希望を見出してくれているんだと思う。
オレには見えない、オレの中にある何かを、見つけてくれている感じ。
だから、背筋がピンと伸びて、そんなオレに海堂先輩が力強く頷く。
人を肯定できる人は、強くて格好いい。
オニキス生も言ってた。
海堂先輩を見てると強くなれるって。
海堂先輩みたいになりたいって。
でも。
人には見せない、人にはわかってもらえない、大変なことも多いんだろうな、と思ったりもする。
海堂先輩って誰に対しても、その人の中にある才能や希望を見出してくれているんだと思う。
オレには見えない、オレの中にある何かを、見つけてくれている感じ。
だから、背筋がピンと伸びて、そんなオレに海堂先輩が力強く頷く。
人を肯定できる人は、強くて格好いい。
オニキス生も言ってた。
海堂先輩を見てると強くなれるって。
海堂先輩みたいになりたいって。
でも。
人には見せない、人にはわかってもらえない、大変なことも多いんだろうな、と思ったりもする。
彼女を通してたくさんの人が行き交い、声が、感情が、響き合います。
彼女の『透明』を通して、ユニヴェールの『色』が見えてきます。
今回は、江西さんという視点も加わり、彼女の姿を見ることに。
鳳さんも鳳さんらしくしています。
司さんも、クォーツにはない響きがありました。クラスを背負う人特有の凄みがあります。
いつも以上に色んな人たちの声がきこえるのも、このドラマCDの醍醐味になっています。
彼女を通してたくさんの人が行き交い、声が、感情が、響き合います。
彼女の『透明』を通して、ユニヴェールの『色』が見えてきます。
今回は、江西さんという視点も加わり、彼女の姿を見ることに。
鳳さんも鳳さんらしくしています。
司さんも、クォーツにはない響きがありました。クラスを背負う人特有の凄みがあります。
いつも以上に色んな人たちの声がきこえるのも、このドラマCDの醍醐味になっています。
どんなに激しい雨が降ろうが、どれだけ酷い嵐が来ようが、彼には戻る場所があって、懐かしさと今が混じり合った声で名前を呼ぶのでしょう。
世長さんは、彼の歩んだ道筋が見える人。
こういうことがあったのだろう、ああいうことがあったのだろう、だから今、こういう感情になるのだろう。
不思議と理解出来る彼の姿が、「幼馴染み」である彼との近さになっているように思います。
それに、彼の心は揺れ動くことが多いけれど、いつも同じ場所にいる安心感もあるのです。
どんなに激しい雨が降ろうが、どれだけ酷い嵐が来ようが、彼には戻る場所があって、懐かしさと今が混じり合った声で名前を呼ぶのでしょう。
世長さんは、彼の歩んだ道筋が見える人。
こういうことがあったのだろう、ああいうことがあったのだろう、だから今、こういう感情になるのだろう。
不思議と理解出来る彼の姿が、「幼馴染み」である彼との近さになっているように思います。
それに、彼の心は揺れ動くことが多いけれど、いつも同じ場所にいる安心感もあるのです。
織巻さんはたくさんの人と出会い、様々な経験を積んでいて、織巻さんの視点を追っていると、その全てが共有されているように見えてきます。
でも、そのほとんどが「秘密」なのです。
彼しか知らない話や、彼しか持っていないものがたくさんあります。
たくさんの「秘密」が託されています。
でも、彼の明るく元気な声が「彼には隠しているものなんかなにひとつない」と思わせるのです。
織巻さんはたくさんの人と出会い、様々な経験を積んでいて、織巻さんの視点を追っていると、その全てが共有されているように見えてきます。
でも、そのほとんどが「秘密」なのです。
彼しか知らない話や、彼しか持っていないものがたくさんあります。
たくさんの「秘密」が託されています。
でも、彼の明るく元気な声が「彼には隠しているものなんかなにひとつない」と思わせるのです。
今回のドラマCDでは『傷のない彼』が垣間見えます。それが彼の傷を濃く浮き上がらせます。
白田さんの声には、言葉通りではない感情の揺らぎがいくつもありました。
哀しいものもあれば、温かいものも。
白田さんの表情は大きく変わるわけじゃないけれど、感情は驚くほど豊かでした。
それがわかる人たちがユニヴェールにいます。
今回のドラマCDでは『傷のない彼』が垣間見えます。それが彼の傷を濃く浮き上がらせます。
白田さんの声には、言葉通りではない感情の揺らぎがいくつもありました。
哀しいものもあれば、温かいものも。
白田さんの表情は大きく変わるわけじゃないけれど、感情は驚くほど豊かでした。
それがわかる人たちがユニヴェールにいます。
『器の中』の彼は、人の言葉1つ1つを丁寧にすくい上げ、綺麗に並べて、なにひとつ欠けることのなく連れて行こうとする。手からこぼれ落ちそうなら自分に刻んででも連れて行く。誰かの何かを持つために、自分の何かを捨てていく。
そうすればそうするほど、彼の陰は色濃く重たくなって、彼の歩みを阻むでしょう。
だからこそ、ユニヴェールでの出会いが、経験が、彼にどれだけ大きな影響を与えたのか、改めて感じられます。
『器の中』の彼は、人の言葉1つ1つを丁寧にすくい上げ、綺麗に並べて、なにひとつ欠けることのなく連れて行こうとする。手からこぼれ落ちそうなら自分に刻んででも連れて行く。誰かの何かを持つために、自分の何かを捨てていく。
そうすればそうするほど、彼の陰は色濃く重たくなって、彼の歩みを阻むでしょう。
だからこそ、ユニヴェールでの出会いが、経験が、彼にどれだけ大きな影響を与えたのか、改めて感じられます。
別の場所でも言ったのですが、高科さんが誰かを呼ぶときの声が個人的に好きです。呼びかける相手によって声色も違います。
「江西センセ」、「司」、「カイ」、高科さんが誰かの名前を呼ぶたびに相手との歴史を感じます。
歴史を疎みながらも歴史を尊ぶ、彼の美しさが滲んでいるのかもしれませんね。
別の場所でも言ったのですが、高科さんが誰かを呼ぶときの声が個人的に好きです。呼びかける相手によって声色も違います。
「江西センセ」、「司」、「カイ」、高科さんが誰かの名前を呼ぶたびに相手との歴史を感じます。
歴史を疎みながらも歴史を尊ぶ、彼の美しさが滲んでいるのかもしれませんね。