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わく

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@wakstr1.bsky.social

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きらめきの話をします　ウマ娘とかスタァライトとかの話をします

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わく

@wakstr1.bsky.social

プリステ44r無配のポケフジです　エアグルーヴさんとバブルガムフェローちゃんもいます（2/2）

ウマ娘、エアグルーヴだ。
　エアグルーヴは注がれる熱い眼差しを、涼しい顔で受け止めている。
　ジャングルポケットは気圧されたくなくて、思わず腹に力を入れた。激戦のクラシックを走り抜いてきた自負はもちろんあったが、経験からくる凄みが目の前の二人にはある。
「懲りずに挑戦者をやるつもりか？」
「夢はどんどん、どこまでも膨らませないと。それに今年は、舞台を盛り上げる最高のエンターテイナーも帰ってきてる。そうでしょう？」
　バブルガムフェローはパチンとフーセンガムを割って、真っ直ぐにフジキセキを見つめた。エアグルーヴも大きく頷いて彼女に倣う。
　絡んでいたフジキセキの腕が、身構えて少し硬くなる。見上げると、浮かべている完璧な笑みは舞台の上のためのもので、ジャングルポケットは邪魔にならないよう、さりげなく手を外した。
「光栄だね。大人しく客演の座に収まっているつもりはなかったけれど……観客が望んでくれるのならば、最高の煌めきで魅せるのが役者の務めだね」
　フジキセキは真正面から受けて立っている。白い、冷たい、射抜くようなスポットライトが見えるかのようだった。ここは観客席で、だからこそ今のフジキセキは綺麗だ。でも……。
　ジャングルポケットはなんとなく何かを振り払うような気持ちで尻尾をばさりとなびかせた。ここは、どうしたって自分には上がれない舞台だ。
　世代の近いウマ娘たち特有の空気、というものがある。そこに逆立ちしたって立ち入れないのはよく分かっていて、けれど少しだけ、埋められない穴を思って切なくなった。

その時予鈴が、張りつめた空間に間の抜けた不協和音で鳴る。
　その場の全員がハッと現実に引き戻されるような心地になったのが分かった。
「授業始まっちゃうね！　私、ポッケを教室に送ってくるよ」
「走るなよ。急いで歩け」
「あ、ねえ、ポッケ、ちょっとだけ！」
　バブルガムフェローが、こっそりとジャングルポケットにだけ聞こえるように耳打ちしてくる。
「ありがとう……君が来てから、フジは随分元気になったんだよ」
　キョトンとして見つめ返すと、バブルガムフェローはただニコリと笑う。
「君がフジをまた舞台に引き上げたんだ。君は本当にすごいウマ娘だと思う」
　バブルガムフェローは小さく拳を作って、顔の前で掲げてみせた。
「宣言するよ……感謝を込めて、フジと、私と、エアグルーヴで、最高のレースをしてみせるって」
　バブルガムフェローは明るく笑って、軽やかに手を振った。
「君といつかターフに立てることも、楽しみにしてるよ！」
　
　◇◇◇

「……君を二人に紹介できて、よかったな」
　ジャングルポケットの教室に向かう道すがら、フジキセキはポツリと呟く。
「付き合い、長い人たちですよね」
「うん。デビュー前からだから。二人とも優しいから、怪我の後もただ側にいてくれたんだけど、随分心配させたと思うんだよね」

自分の知らない、一人怪我と闘っていただろうフジキセキのことを思った。側にいられれば良かったのに。でも、実際に側にいたバブルガムフェローは、新しく現れたジャングルポケットこそがフジキセキを引き上げたのだという。
　タイミング。巡り合わせ。そんな言葉が頭をよぎる。
　遅刻して行った弥生賞のあの一瞬、光も、風も、全てをまきあげるように駆け抜けていったフジキセキに心奪われた一瞬を逃していたら、今、この人の隣にはいられなかった。
「秋天、あの二人も出るんすね」
「うん。負けたくないんだ……」
　フジキセキの語尾が微かに震える。
　思わず顔を覗き込むと、フジキセキは泣いても、怯えてもいなくて、ただ……昂っていた。
「証明したいんだ。かつて道を鎖された私こそが……とことん弱くて、情けなかった私こそが……だからこそ、ターフで一番煌めけるって」
　窓から入ってきた風が、フジキセキの豊かな黒鹿毛を煽る。
　昼下がりの穏やかなはずの日差しが、フジキセキの青い瞳を焔のように揺らめかせた。好戦的な魂そのもののような笑みがほんの一瞬浮かんで、でも、ジャングルポケットの微かな動揺を敏感に感じ取ったのか、それはあっという間に引っ込められてしまった。今はいつもの穏やかな、抑制された笑顔を安心させるようにこちらへ向けている。
　ジャングルポケットの胸はたまらない強さで締めつけられた。
　
　恋心って、本当に不思議なものだ。
　この人がこんなに綺麗なことを、誰にも内緒にしておきたい、と思うのに、同時に、それ以上に、世界中の人に知って欲しくて、叫び回りたくて仕方がない。

ジャングルポケットはそっと、フジキセキの制服の袖をつまんで引き寄せた。

「フジさん」
「何？」
「あの、今日夜、部屋に行ってもいいですか」
「いいよ。何かあるの？」
「何かっつうか……フジさんデビューしたばっかの頃とか、よくレース前に寝る前のケアとか手伝ってくれてたじゃないですか。同じことしたいなって。それに……」
　折よく誰もいないのをいいことに、ジャングルポケットは少しだけ身を寄せて、尻尾でさらりとフジキセキの脚を撫でた。手指のように細やかな動きはできないけれど、そっと、慈しむような力で滑らかな毛並みを沿わせる。フジキセキは微かに身じろいだ。
　どきどきして欲しい気持ちと、安心して欲しい気持ちと。両方をこめて、ジャングルポケットはニカッと笑ってみせながら、フジキセキの手を取る。ギュッと握ってから、すっと息を吸いこんだ。
「フジさんのこと、好きだなって！」
　恥ずかしくなって、ジャングルポケットは教室に滑りこむ。扉を閉める前にサッと振り返って手を振ると、フジキセキはちょっとだけ悔しそうに手を振り返してくれた。珍しく顔が赤くなっていたのがあんまり可愛らしくて、午後の授業は案の定上の空で過ごしてしまった。
　花飾りが髪に揺れている。教壇からも、コスモスの花がこちらを見ている。
　好きだ、という気持ちが、何度も何度も胸に咲く。ターフに煌めいていた、苦しい挫折をした、誰よりも優しかった、諦めないでいてくれた、自分と出会ってくれた、手を取ってくれた、今のフジキセキが、大好きだった。

November 9, 2025 at 1:28 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

改めて本日はプリステ44rお疲れさまでした！　素敵な本たくさん！　ご挨拶もお喋りもたくさん！できて嬉しかったです！　今日頒布したポケフジちゃんの無配です（1/2）

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。

画像情報：generated by 新書ページメーカー / Photo by Jei Lee on Unsplash / フォント：BIZ UD明朝

以下は本文の内容です。

コスモスと渡り廊下
　
　
　
　秋の数学のクラスは、呪文めいて眠たい。一コマを必死で睡魔と戦いながらなんとか終えたジャングルポケットが机にのびていると、ダンツフレームのやわらかい声が頭上から降ってきた。
「ポッケちゃん、お客さん来てるよ」
「誰ー」
「フジさん」
「えっ？！」
　ガバリと身を起こすと、確かにフジキセキが教室の入り口からこちらにひらひらと手を振っている。ブンブンと尻尾を振りながら駆け寄ると、教室中からくすくすと笑い声が聞こえた。どこからともなく、犬か、なんて声も聞こえた気がしたけれど、嬉しくて構っている場合ではない。
「フジさんこんちわっす！　どうしました？！」
「お疲れ。秋のお裾分けだよ」
　フジキセキが足元の籠を持ち上げて示すと、中には白、薄紅、紫と色とりどりのコスモスがあふれんばかりに咲いていた。
「エアグルーヴが毎年咲かせて各クラスに配ってるんだよ。委員の子に渡してあげてもらえる？」
「了解です！」
「ありがとね」
　フジキセキは手際よく花を何本かまとめて抜き取ると、その場で新聞で包んで簡単な花束を作った。手渡されたコスモスは細長い形をした葉が豊かに繁っていて、鮮やかな花の色がよく映えている。
　係のクラスメイトにそのまま渡すと、わあっと嬉しそうな歓声が返ってきた。
「エアグルーヴ様のコスモスだあ！」

「これそんな有名なんか？」
「有名だよ！　秋のレースシーズンにはね、『皆頑張るように』って先輩自ら裁って下さるんだから！　今日これネタにしてお話しに行っちゃおっと」
　クラスメイトはいそいそと花瓶を取りに出て行った。
　いい反応に気をよくして戻ると、フジキセキは意味深な笑みを浮かべて頬をトントンと指さしている。
「書いちゃってるよ」
「あー……さっき数学まじ眠くて」
　赤ペンを手に持ったままうつらうつらとしていたので、心あたりはありすぎるほどあった。適当に擦ってみせると、フジキセキは微笑んで小さく頷く。
「取れました？」
「うん。かっこいいよ。じゃあ、仕上げもしようか」
　フジキセキはスッと手をジャングルポケットの頬のあたりにかざす。パチン、と指が鳴ると、空だったはずの手の中には淡い紫色をしたコスモスが現れた。
　目を丸くしていると、フジキセキは編みこみにそっと花を飾ってくれる。
「ポッケ、淡い色も似合うねえ。花の妖精みたいだよ」
　星が飛びそうな見事なウインクにポーッとしているうちに、フジキセキはテキパキと荷物をまとめてしまっている。
「教室での君も見られて良かった。元気に過ごせてるみたいだね。……じゃ、またトレーニングの時にね」
「また……あ、や、フジさん」
「うん？」
　呼び止めたフジキセキはくるりと振り返る。両手で提げた籠には、まだたくさんの花が残っていた。
「それ、俺手伝いますよ。半分やります。そしたら休み時間全部潰さないっしょ」
　フジキセキはパチパチと瞬きをした。
「いいの？」
「もちろん！」

「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな。よろしくね、私の妖精さん」
　ジャングルポケットは髪飾りにしてもらった花をつけ直しながら、大きく頷いた。

『エアグルーヴ様のコスモス』は本当に秋恒例になっているようで、あちこちで歓迎を受けた。頭に花までつけて現れるのは少し気恥ずかしいような気もしたけれど、フジキセキに付けてもらったことを自慢できるのは悪くなかった。
　付き合っているのを学内で公言してくれているとはいえ、相手はファンクラブができるほどの人気者だ。周りを牽制したい気持ちがないと言えば嘘になる。
　無事に空になった籠をぶら下げてフジキセキの学年の方へ戻ると、向こうは何やら親しげに誰かと話している。目を凝らしてみると、相手は鮮やかな赤に染まった鹿毛のウマ娘、バブルガムフェローに、あちこちで「様」づけで慕われていた、背筋のピンと伸びたウマ娘、エアグルーヴだ。
　元々フジキセキとは付き合いが長いらしく、三人の間には砕けた空気が漂っている。フジキセキが大きく口を開けて笑っているのになんとなく声をかけかねていると、バブルガムフェローがこちらに気づいて、ひょい、と手を上げて招いた。
「やあ、君、ジャングルポケットだよね？　直接は初めましてだね。私はバブルガムフェロー。フジからよく話は聞いてるよ」
　どんな話をされているのかは気になりつつ、フジキセキの横に並んで一旦ぺこりと頭を下げる。さばけた対応をしてくれた彼女だ。敬語でなくてもいいだろう。
「初めまして。ポッケでいい」
「オーケー。ふふ、可愛いの付けてるね」
　ジャングルポケットの編みこみに咲いているコスモ

スを見つけて微笑む眼差しは、快活な印象とは裏腹に随分と柔和だ。右手に提げている花束がよく似合う雰囲気だった。
　フジキセキは花が無くなっている籠をちらりと見て、優しく頭を撫でてくれる。
「ポッケ、お手伝いありがとうね。おかげで随分早く終わったよ」
「こんくらいよゆーっすよ！」
　ジャングルポケットは一気に有頂天になって、にこにことフジキセキの腕にまとわりついた。
　隣で喋っていたエアグルーヴは、少し呆れたように腕を組みつつ、こちらへ向き直る。
「教室を回るのを手伝ってくれたそうだな。礼を言う。自ら出向くべきだったのだが、急用ができてしまってな」
「気にすんなよ。大した手間じゃねーし。皆喜んでたぜ」
　機嫌よく答えると、エアグルーヴは少し嬉しそうに顔をほころばせる。バブルガムフェローは彼女にうんうんとしきりに頷いてみせて、コスモスを一本引き抜いた。
「毎年素敵に咲かせているよね……私も楽しみにしているんだ」
　ジャングルポケットには、バブルガムフェローが呼吸を変えたのが分かった。
　含みのある彼女の視線が、エアグルーヴにまっすぐに向けられる。
「ああ、秋のレースの季節だなあって……ワクワクする」
　バブルガムフェローはニヤリと挑発的に笑ってフーセンガムを膨らませている。彼女がクラシック期のウマ娘として異例の早さで天皇賞・秋を制したのは有名な話だ。翌年には同じレースで激闘の末の二着、勝ったのは今、まさにここに凛とした佇まいで立っている

November 9, 2025 at 1:28 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

ポッケちゃんフジさん、あんこがあったかいって本当に素晴らしいことだね……

お汁粉を背景にしたジャングルポケットとフジキセキのアクスタの写真です

November 9, 2025 at 11:03 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

スペースできた！　今日はよろしくお願いします！　バラいい匂い！！！

スペースの写真です

November 9, 2025 at 2:25 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

明日なので改めて！　プリステ44r【ウマ22】にポケフジのweb再録+書き下ろし小説本を持っていきます☺️　花がテーマなのでどのお話にも花が出てきます！　書くのメチャ楽しかったです　お取り置きご希望あればお声がけください🙆

プリステ44rのお品書きです
新刊「花と、たくさんの」のみ　頒布価格1000円　テキストデータ付　読み上げや翻訳にご活用ください！

新刊目次です　収録作品のタイトルが記載されています

November 8, 2025 at 11:36 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

池袋にいたパツパツもちもちのシャオへちゃんを見て　パツパツだねえ

ロシャオヘイセンキのキャラクターシャオヘイのエアバルーンの写真です

November 8, 2025 at 9:30 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

友達が脱稿祝い！って毛糸のぬいぐるみをくれた　カワイイ！！！　ポケフジカラーの馬チャン！！！！！　ヒャッホウ！！！！！

イエローの身体に黄緑色の鐙をつけた手のひらサイズのウマの毛糸の人形の写真です

November 7, 2025 at 2:18 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

糸賀さんから伝説のツルヤのジャムをもらった　うれしい！！！！！ので掲げもっています　うれしい　パンをたくさん焼く！！！！！

ツルヤのりんごジャムと栗バターの写真です

November 3, 2025 at 11:38 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

糸賀さんのお家の男爵と地底の巨人にも囲んでもらって愉快な時間を過ごしているちびちかわさん

タコのぬいぐるみとタローマン、地底の巨人、水差し男爵のフィギュアの写真

November 3, 2025 at 11:34 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

表紙をお友達のすみすさんに描いてもらいました　めーっちゃ可愛い！　これを見てもらえるのが何より嬉しいってやつです　後日ちょこっとですが通販も予定しています　また、書き下ろし分も含めて後日webで公開予定です　よろしくお願いします🙆✨

ポケフジ小説本新刊お品書きです　内容は本文と同じです

November 2, 2025 at 2:32 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

フジさんがポッケちゃんにメイクしてあげるポケフジの話を書きました　とっても楽しく書きました！（2/2）

印刷された本の体裁で画像化されたテキストです。本文は最後のリンク先から読めます

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November 2, 2025 at 1:07 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

フジさんが本番前のポッケちゃんにメイクしてあげるポケフジのお話を書きました（1/2）　11/9発行のプリステ44rで頒布する本に収録しています

印刷された本の体裁で画像化されたテキストです。本文は最後のリンク先から読めます

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November 2, 2025 at 1:06 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

太郎氏おもろかったねポッケちゃんフジさん……

岡本太郎美術館の入口の看板を背景にしているフジキセキとジャングルポケットのアクスタの写真

November 2, 2025 at 10:13 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

ふふ

岡本太郎のロゴマークが入ったコーヒーカップと、その前で寝そべるポーズをしているタローマンのフィギュア

November 2, 2025 at 10:11 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

他の質問の回答マジでそっけないのに競馬のとこだけ文字数すごいのウケるね……

2003年の吉野朔実インタビューのスクショです　内容は一つ前のツイートのリンク先から飛べます

October 27, 2025 at 11:04 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

アー！！！！！　カワイイネエ！！！！！　カワイイネエ！！！！！

クリスマス衣装のメジロブライトちゃんがガチャで来た画面のスクショです

October 25, 2025 at 12:14 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

はい　ありがとう来てくれて　全然いいです　待ってたよダンツちゃん……！

ダンツフレームをガチャの天井で引き換えた画面のスクショです

October 18, 2025 at 12:33 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

タキオンちゃんメインのお話です　（3/3）書くに当たって育成シナリオ読み返したらかわいくてびっくりしました

印刷された本の体裁で画像化されたテキストです。本文は最後のリンク先から読めます

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October 11, 2025 at 11:31 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

タキオンちゃんメインのお話です　タキオンちゃんがお茶に詳しいのいいな……って思います（2/3）

印刷された本の体裁で画像化されたテキストです　本文は最後のリンクからどうぞ

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October 11, 2025 at 11:30 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

タキオンちゃんメインの扉01組4人本編後のお話を書きました　旧理科準備室でだべってます　ポケフジ前提ですが要素としては薄いです（1/3）長いのでまとめて読む方は最後のリンクからどうぞ！

印刷された本の体裁で画像化されたテキストです　本文は最後のリンクからどうぞ

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October 11, 2025 at 11:29 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

今日はポッケちゃんとフジさんとおにぎりの形をした芋ようかん？を食べました　芋ようかんっていうかお芋をマッシュしておにぎり型にはめたやつ……って感じだったけど芋芋してておいしかったです

ポケフジのアクスタと芋ようかんの写真

October 6, 2025 at 1:27 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

ナベさんとポケフジのお話です　ナベさんをたくさん出したい　ナベさんが好きだから……（2/2）

してやると、フジキセキは軽い声をあげて笑った。

「ごめんね。ナベさんの顔を潰したくはなかったんだけど、後で咲かなかったな、なんてがっかりしちゃ可哀想かなって」
「まあな」
「それにね、持ち帰ったこと自体は正解だよ。竜胆って涼しいところが好きみたいだから。長く目を楽しませてくれる花なんだよ」
　フジキセキは竜胆をバケツに挿し入れる。そのまま生けるのかと思いきや、水の中に沈めた茎先を、手で勢いよくぶちぶちとねじり切りはじめた。
　二人の動揺を感じ取ったのか、フジキセキはおおらかに説明する。
「こうするとよく水を吸うから。あとね、ポッケ。ここ持ってごらん」
　ジャングルポケットはフジキセキに言われるがまま、花がついた節の上のあたりに爪を立てた。軽く力を入れると、太さのある茎は意外なほどあっけなくぽきりと折れる。
　ジャングルポケットが目を丸くしているのを見て、フジキセキは嬉しそうに笑っている。
「面白いよね」
「うす。ちょっと気持ちいい」
「ねえ。そしたら、今折ったくらいの長さに残りの花も揃えてくれる？」
　頷いたジャングルポケットが黙々と花を折っている間に、フジキセキは台所からしまい込んでいたグラスを出してきた。
「ナベさん、これ使っていい？」
「構わんよ」
「ありがとう」

フジキセキはジャングルポケットが束ね持っていた竜胆を受け取って、薄く水を張ったグラスに生けた。
「おや、ちょうどいいみたい」
　草花を裁断したあとのみどりの香りが、まだ辺りに淡く漂っている。持て余すほどの長さのあった竜胆は今は大人しくコップの中に収まって、やわらかな葉の緑と螺旋を描く花弁の鮮やかな青紫が、午後の食卓を彩っていた。
「ポッケ、ありがとね」
　ジャングルポケットは小さく頭を下げる。タナベには彼女が纏っていた倦怠感が、今は少しだけ薄くなっているのを感じられた。
「花びらが開くわけじゃないけど、これから脇の小さい蕾も膨らんでくると思うよ。きっと思いもよらない、いい変化がある。楽しみにしよう」
　俯いているジャングルポケットの頭を、フジキセキは優しく撫でてやっている。
「じゃあ、おはぎ食べちゃいな。課題、サッと終わらせて明日からのトレーニングに備えよう」
「サッと終わるんすかね……」
「終わる終わる。ポッケならできるよ」
　教え子たちはいつも通りの学生らしいやりとりをしている。
　フジキセキの教え方は辛抱強く、丁寧で、机に向かうこと自体が苦手らしいジャングルポケットも投げ出すことなくテキストに向かっている。ボソボソと言葉を交わしている二人のやりとりを聞くともなしに、タナベも横で雑務を片づけていた。
　ふと会話が途切れ、どうやらあとはジャングルポケットが集中して回答をこなせばよいようだった。

手元の書類を片付けたところだったタナベは、やれやれと視線を上げる。
　フジキセキを労ってやろうと口を開きかけ、そのまま、声をかけることができなかった。

　屈みこんで問題集と格闘しているジャングルポケットを見つめる、フジキセキの瞳。しばらくぶりに会った時はずいぶんと大人びさせてしまったと思えた、静かな湖のような瞳。そこに、いつもと異なる、複雑に移ろう光が宿っている。
　どこかもどかしげに軽く握られた指は、しかし思い切ってジャングルポケットの方に伸ばせないでいるようで、やがて視線はためらいがちに下に落ちてしまった。
　ほんの一瞬の出来事だ。
　次の瞬間には、できた、と、パッと顔を上げるジャングルポケットにどれどれ、と応じていて、あのさざなみ立つような光は無くなってしまった。
　
　どうにも気持ちが据わらなくて、タナベは長らく禁煙しているのを久しぶりに惜しく思った。代わりに手元にあった麦茶を一口飲んで、ふうと息を吐く。
　フジキセキの中に何が渦巻いているのか、タナベには分からなかった。内心をあまり打ち明けない性質の彼女のことであれば尚のことだ。そもそも、これほど隙のある態度を人前で見せること自体珍しいことだった。
　だが、必ずしも悪い変化ではないだろう。ジャングルポケットよりは年長であるとはいえ、フジキセキもまだ子供なのだ。揺らぎを隠し切って大人のふりをするには早すぎる。

ウマ娘の走りには、人の心の奥底を照らす力がある。
　ダービーでのジャングルポケットの疾走は、それは凄まじいものだった。失望、焦燥、怒り、期待、憧憬。クラシック期のまだあどけなさの残る身体に、持てるもの全てを全て詰めこんで、燃えあがらせたようなあの走り。
　フジキセキの魂だって、震えなかったわけがないのだ。
　きっと少しずつ、苦悩しながらも、彼女の中の何かが変わろうとしている。
　
　ふと気づけば、まだまだ夏の色の濃い午後の日差しが竜胆とガラスの器を透過して、手元に細かい散光を投げかけている。
　口をつぐんでいるかのような形の花は、まだもう少し大きく、緩やかに解けていきそうに見える。
　待とう、と、タナベは思う。
　信じて、待とう。今までだって、何十年と繰り返してきたことなのだから。
　彼女たちの心の中で芽吹き、膨らんでいくものが、美しく結実するまで。
　

　朝靄を切り裂く黒い流星のように、きらめくプリズムの光跡を引いて、勝負服をまとったフジキセキがジャングルポケットの元へと駆けていくのをタナベが目撃するのは、それから数ヶ月後のことだ。

September 30, 2025 at 11:17 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

ナベさんとポケフジがジムでゆったり過ごしてるお話を書きました　扉作中の夏合宿のあとのお話です（1/2）

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。

画像情報：generated by 新書ページメーカー / Image by ivabalk from Pixabay / フォント：BIZ UD明朝

以下は本文の内容です。

竜胆とガラスのコップ

　うだるような暑さの中、身内の墓参りを終えて、タナベは花を持て余しながらジムへと帰っていた。深い青紫の、いくつもつぼみをつけた花だ。
　花屋からは竜胆だと言われた。何も考えずに三本ほど、予め束になっていたものを買い求めた。ずいぶん長いな、と気づいたのは、抱えて歩いてからしばらく経ってからだ。花屋の深い器に生けられていた時には分からなかったが、脇に抱えても腕の中に収まりきらない。終始耳元でカサカサとセロファンが音を立てていた。
　まあ墓前に生けてしまえば、すらりと伸びた姿も見栄えはするだろうと目論んだものの、遅い八月とは到底思えないほどの猛暑で、日差しをまともに浴びた墓石は手のひらを焼くほどに熱い。花筒に水を入れても、これでは花は煮えてしまうだろう。それはどうにも忍びなかった。まだ開いている花が一つもないのだ。
　とはいえ、どうしたものか……。
　大汗をかきながらやっとの思いでジムにたどり着いたタナベは、ひとまず持って帰ってきてしまった竜胆をエアコンの風があたるちゃぶ台の上にそっと寝かせてみた。冷たい麦茶を飲んで人心地つけ、そして、つくづくと眺めて、困った。
「やっぱり長いのお……」
　花は、ちゃぶ台の直径よりなお長い。子供の多い空間であるとはいえ、無骨もいいところのスポーツジムだ。気の利いた花器など用意がなかった。とりあえずアイシングに使うバケツにでも挿

しておこうかと包装を剥がしていると、フジキセキとジャングルポケットが連れ立って入ってきた。

「ナベさんお疲れ様。その竜胆、どうしたの？　綺麗だね」
　フジキセキがひょいとしゃがんで花の向こうから覗きこんできた。
　清潔なほどに青い、開かないままでいる花。彼女との取り合わせにどういうわけかギクリとする胸を抑えながら簡単に経緯を話してやると、フジキセキはナベさんらしいや、と言って笑った。
「私、バケツに水張ってくるよ」
　フジキセキはサッと立ち上がって外へ出ていく。
　常ならば何かとフジキセキと一緒にいたがるジャングルポケットは、ふと横を見ると、ただぼんやりとした顔で頬杖をついて座っていた。
「お前さん、トレーニング再開は明日からじゃよ」
「ん……分かってる。今日は、フジさんが学校の課題教えてくれるって」
「そうか。大事じゃの」
「ん……」
　ジャングルポケットは覇気なく頷いて、そのまま畳にころんと転がってしまった。行儀が悪い、と叱りつけてやる気にならなかったのは、微かに息を吐く彼女が、本当に疲れているように見えたからだ。
　三着に終わった札幌記念の後、夏の疲労が抜けるよう休養期間を設けてはいたが、どうもまだ身体が重たそうだ。思い切ってもう少し休ませるか思案して、いや、と、考えなおす。
　元来浮き沈みのある子なのだ。今糸の切れた凧にしてしまっては、いよいよターフに立てなく

なってしまうかもしれない。それよりは、側についてやって、じっくり見守りながら立て直させてやった方が良い。幸い、動けなくなっている姿を晒せるくらいには、こちらを頼りにしてくれる気持ちはあるのだ。

「ポッケ。お土産あるから食べなさい」
　タナベが声をかけてやると、ジャングルポケットはのろのろと身を起こした。
「なに？　甘いもん？」
「おはぎの良さそうなのがあっての。お彼岸にはちと早いが」
「おー……ナベさんあんがと」
　キッチンから取り皿とコップを取って戻ってくるジャングルポケットの足取りはやはり軽やかとは言えない。それでも一口あんこをかじりとると彼女の顔つきは少し明るくなったので、タナベの胸のつかえはわずかながら軽くなった。
「あんこのとこが分厚くてウマい」
「そうか。良かったの」
「うん」
　ジャングルポケットはゆっくりとしたペースでもそもそと咀嚼している。半分ほど食べ進めたところで箸をとめ、麦茶のポットの方へ伸ばした手で、卓上に広げたままでいた竜胆を一本拾い上げた。
「蕾めちゃたくさんついてる」
　誰に言うでもなくごちて、コテンと机に頭を預けたまま、彼女は傘ほど長いまっすぐな花をもてあそんでいる。茎をたどり、中ほどの節でやわらかく茂った葉を指でそっと、撫でるようにしてかき分けて、青い花の先端をつんつんと突く。

ぽつり、と、ジャングルポケットは呟いた。
「……咲くんかな、ちゃんと」
　竜胆そのものの心配、だけではないことは明らかだった。
「咲くよ。咲くもんじゃよ、花は」
　タナベはキッパリと言い切ってやる。脳裏には苦い、花開かせてやれなかったたくさんの記憶が過っている。だからこそ、トレーナーとして復帰したのであれば、どんな子にも断言するのだと決めている。
「そうじゃなきゃ、なんのためにこの暑い中ヒイヒイ言って持って帰ってきたんか分からんわい」

「それはどうだろう？」
　不意に、水の満ちたバケツを携えて戻ってきたフジキセキが、妙にハキハキと会話に参加してきた。
「あのね、二人とも。はじめに言いそびれちゃったんだけど……この竜胆、多分これでもう咲いてる状態だと思うんだ」
「おお？」
「ベルみたいな形に開く竜胆ってもっと秋のものだから……この子はね、こういう花だと思うよ」
　フジキセキは花を痛めないように、慎重に竜胆の束を持ち上げる。
「詳しいのお……」
「演劇をやってれば多少は知識がつくから。花を扱う機会も多いしね」
「ナベさん、せっかくカッコつけてたのに」
「うるさいわい！」
　こんな時ばかり元気を取り戻してからかってくるジャングルポケットに安堵を覚えつつ怒鳴り返

September 30, 2025 at 11:16 AM

わく

@wakstr1.bsky.social

フジさんとマベちんマヤちゃんボノちゃんのお話です　マベちんの育成シナリオでこの四人で『栗東寮を元気にし隊！』を組んでるのがメチャ可愛くて……（2/2）

のケークサレ見て！　キレイでしょ！　ちょっとオトナっぽいでしょ！」
「うん。それにバターがいい香りだね」
「でしょ！　味もとってもおいしいんだから！」
「マヤノ！　最後の仕上げしなきゃ☆」
「そうだね！　さあフジさん、テーブルについてよ！」
　言われるがままに座ると、三人はイタズラっぽく笑いながら、後ろに隠し持っていたクラッカーをポン、と引く。パン、と、控えめな音と共に、色とりどりの紙吹雪が舞った。
　ポカンとしているフジキセキに、三人がせーので声を揃える。
「フジさん、トウィンクルシリーズ復帰おめでとう！」
「……あ、そういうことか！」
「そうだよ☆！　さあフジ、食べて食べて☆★☆　とってもおいしいよ★」
　マーベラスサンデーはイキイキとフジキセキの小皿にサンドイッチやケーキを乗せていく。どれも手作りで、一つ一つは小さいサイズだとはいえ、ずいぶん時間と手間がかかっただろう。
　まずはマヤノトップガンが作ってくれたというケークサレからフォークを入れると、しっとりとした生地にチーズの濃厚さとパプリカの爽やかな甘さがよく合っていた。やさしい味だ。
「おいしいね」
「でしょー！　ボノちゃんのレシピだけど、マヤが全部一人で頑張ったんだから！」
　マヤノトップガンはえへんと胸を張る。
　勧められたきゅうりのサンドイッチも、パンナコッタも、さっぱりとした味で食が進んだ。合間にたわいないお喋りをしつつ、サーブしてくれるミントティーが昼間汗をかいた身体に染みわたるようで、最後のベリーのタルトまでしっかり食べ切ってしまった。

賑やかなパーティーもひと段落だ。フジキセキはふう、と息を吐いて、改めてお礼を言う。
「ありがとう、三人とも。こんなに素敵なお祝いをもらえるなんて思わなかったよ」
　今になって復帰した私に、という台詞は飲み込んで笑う。卑屈はこの場には相応しくない。
　三人とも同期ではあるけれど、結局クラシックレースを一度も一緒に走ることができなかったのだ。ただひたすら、復帰の目もないまま、治療とささやかな未練がましいリハビリを重ねる日々の横を、彼女たちは本当に眩しく駆け抜けていった。
　菊花賞を制し、一世代上の伝説、ナリタブライアンと激闘を繰り広げたマヤノトップガン。
　何度も故障して、それでも不屈の精神で復活をとげ、最後には宝塚記念を勝ったマーベラスサンデー。
　スプリンターズステークスを大外から差し切って、見事な体躯で電撃戦の短距離路線を盛り上げたヒシアケボノ。全員が全員、懸命で、美しかった。
　あのきらめくクラシックを走ってみたかった。とはいえ、過去は変えられない。口に出しても詮ないことだ。

「フジ」
　マーベラスサンデーが、座っているフジキセキの膝に乗って正面からぎゅっとしがみつく。マヤノトップガンもそれに続いて、ヒシアケボノは後ろから抱きしめてくれた。
「フジの中にね、たくさんのマーベラスがあるのをアタシ、知ってるよ」
「うん」
「悲しいと苦しいをいっぱい乗り越えた分の、キラキラのマーベラスの音がたくさんたくさん、フジの胸から聞こえてるの」
「本当？」

「本当だよ。だからね……」
　マーベラスサンデーは、がばりと身を起こして、キラキラと輝く瞳をこちらに向ける。なんの屈託もない、ひかるような、満面の笑みを見せた。
「アタシたち、今のフジと走れるのがすごく嬉しい！　苦しさの果ての、喜びときらめきに満ちた、今のあなたと！　今アタシたちが立つターフはね、どんな夢だって！　叶えるためにあるんだよ☆★☆！」
　マーベラスサンデーはフジキセキから目を逸らさずに続ける。
「ねえ、どうしようね、フジ★　ボノと短距離路線を走っちゃう？　アタシと中距離で走っちゃう？　それともそれとも、マヤノと三千二百メートル走り抜いちゃう？　芝だってダートだって、なんだってできちゃうね★」
「マベちん、ダートはマヤたちきついよー」
「アハッ☆　頑張らないとだね★」
「もー」
　子供たちの体温が、抱きすくめてくれるヒシアケボノの腕が熱い。
　少し泣きそうになりながら、フジキセキはこの三人が今日、結局なんのために自分を招いてくれたのか、すとんと納得できるような気持ちになった。

「……私、焚きつけられてる？」
　冗談めかして伝えると、三人は揃って、少し照れくさそうに笑う。
「マヤたちね、フジさんともこれからいっぱいいい勝負したいなーって……」
「フジさん、どお？　マーベラスでボーノになれた？」
「うん、なれた。……負けないよ！」
　くしゃくしゃと腕の中の子供たちの髪をかき混ぜながら抱き締めかえしてやると、二人はきゃらきゃらと笑いながらくすぐったそうに身を捩る。後ろのヒシア

ケボノのほうへ手を伸ばすと、彼女はぎゅっと握り返してくれた。
　
　子供たちの髪に、遠い日の芝の匂いを感じる。握り返す手のひらの厚さに、あの日のターフにだけ降りそそいだ日差しの熱を感じる。今だけはその全てごと抱きしめるつもりで、フジキセキは腕に力をこめた。
　かつてを一緒に走れなかった彼女たちの、だからこその、本当に優しい夜だった。

September 27, 2025 at 12:26 PM

わく

@wakstr1.bsky.social

ぱかライブ本当にこわい……なので、書けるうちに95世代のお話を書きました　フジさんとマベちんマヤちゃんボノちゃんがいます　扉のフジさん復帰後の話のつもりです（1/2）

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。

画像情報：generated by 新書ページメーカー / Image by shell_ghostcage from Pixabay / フォント：BIZ UD明朝

以下は本文の内容です。

ひまわりと夜のティーパーティー
　
　
　
　制服が夏服に変わって間もない季節のことだ。トウィンクルシリーズへの復帰を公表したフジキセキは、この所少しずつトレーニングを増やせるようになってきた。
　午前中のクラスを終えてテキストをまとめていると、目の前に現れたサクラローレルがにこにこと声をかけてきた。
「フジちゃん。かわいいお客さんたちが来てるよ」
「お客さん？」
「そう。見て見て」
　教室の入り口を見遣ると、小さな頭が二つ、ぴょこりとのぞいている。マヤノトップガンに、マーベラスサンデーだ。揃って勢いよくこちらに向かって手を振っている。明るい栗毛と、豊かにまとめ上げられた栃栗毛を思いきりぴょんぴょんと弾ませている姿は確かに可愛らしくて、横を通り抜けていくクラスメイトたちも頬を緩めていた。
「やあ、お二人さんどうしたの」
　側へ寄ると、マヤノトップガンとマーベラスサンデーは楽しそうに笑っている。
「フジさんこんにちは！　あのね、マヤたち招待状を作ったの！」
「へえ、どれどれ」
　差し出された封筒には、花や星のシールがたくさん貼ってある。ひまわりのシールの封を剥がすと、二つ折りの招待状には『栗東寮を元気にし隊！　サマーパーティー！』と、カラフルなペンで大書きしてあった。
「アタシたちの夏が来たお祝いだよ☆　フジがいなきゃ始まらない☆★☆　出席希望の日時にサインをく

ださいな☆」
　マーベラスサンデーが期待のこもった眼差しでこちらを見上げてくる。よく読んでみれば、カードの下半分にはずらりと日時のリストが並んでいる。
「これだけあると、すり合わせが大変じゃない？」
「大変じゃないよ？　マヤたちの調整は終わってるもん！　あとはフジさんがマルをつけた日にパーティーするだけ！」
「うわ、ありがとう……じゃあ、明後日の夜のこの時間！　どうかな？」
「やったー☆★☆」
「わーい！　みんなでパーティーだ！」
　パーティーだパーティーだ、と二人はその場でぐるぐる腕を組んで回りだす。
　
　さりげなく邪魔にならなそうなスペースまで二人を誘導して興奮が落ち着くのを待つと、フジキセキはしゃがんで目線を合わせた。
「それで、今回は私はどんなお手伝いをしたらいいかな？」
『栗東寮を元気にし隊』は、寮で落ち込んでいる子や困っている子がいるときに突発的に結成されるものだ。主にマヤノトップガンとマーベラスサンデーが目敏く誰かがしょげている雰囲気を捉えて、先輩としてフジキセキやヒシアケボノが手を貸すのが常だ。
　今回も誰かを励まそうとしているのだろうと尋ねると、マヤノトップガンとマーベラスサンデーはお互い顔を見合わせて、ニンマリと何か企むような顔で笑っている。　
「フジさんは、なーんにもしちゃだめ！　でーす！」
　マヤノトップガンが腕で大きくバッテンを作る。
「ええ？」
「フジさんは今回はゲストなの！」
「……私、今凹んで見えるかい？　元気だよ？」

「そう、今フジはノーべラスじゃないね☆　でもまだまだ！　もっともっと元気バクハツ☆★☆　マーベラス！　になって欲しいの☆」
「ボノちゃんとごちそう作るから！　お腹減らしてきてね！」
「お楽しみにッ♪」
　言い残すなり、二人はあっという間に駆けていってしまった。

　
「フジさんいらっしゃーい！　準備できてるよぉ」
　パーティー当日、のんびりとした声でヒシアケボノが迎え入れてくれた。
　招かれたのは、ヒシアケボノがいつも趣味で料理を振る舞っているキッチンスペースだ。
「お招きありがとう。……大変じゃなかった？」
「ううん？　楽しかったよ！　二人とも、とっても頑張ってくれたの」
　ヒシアケボノが示す先には、見事に盛りつけられたアフターヌーンティーのスタンドがある。セイボリーが多めなのは甘すぎるものが苦手な自分に対する気遣いだろう。
　小さなテーブルにはきちんと生成りのクロスが引かれている。卓上にミニひまわりまでちょこんと飾られていて、夏らしくて爽やかだ。確かに彼女の言う通り、とても頑張ってくれたのだと思えた。
「あたしもね、フジさんにはとってもとってもマーベラス！　で、ボーノ！　になってほしいなあって思ってたよ。だから二人が誘ってくれて嬉しかったんだ」
　頭上でヒシアケボノがぽつりと呟く。フジキセキがきょとんとした表情で見上げるのに、ヒシアケボノはにこりと微笑んで返した。
「あ★　フジが来た！」
「フジさんいらっしゃい！　ねえマヤが作った夏野菜

September 27, 2025 at 12:25 PM