#イチコの読書録
April 14, 2025 at 11:00 AM
#イチコの読書録
住野よる「君の膵臓を食べたい」読了。
※あんまり良い事書けなかった、ごめん。好きな人は注意
この本に思い入れるには私は歳を取りすぎたし、面倒な大人になってしまった。

軽快な会話や透明感ある描写、そこに冷たく挿し込まれる死の予感。文章表現は若干くどさもあれども美しく、スゥと心に馴染んでくる。
しかし、心情の変化や成長は丁寧なわりに話の展開がわりとどこかで見たというか、深夜アニメというか、オタクのファンタジーだった。
他にも病気や主人公の性格など全般にリアリティが薄い。読みやすさや読後感のためだとしても、物語に死が絡んでくる以上その匙加減を間違えると気持ちが離れてしまう。↓
April 29, 2025 at 5:51 AM
#イチコの読書録
宮部みゆき「本所深川ふしぎ草紙」読了。江戸の下町で起きる事件を、情の機微と本所七不思議に絡めて描く時代短編集。
宮部みゆきの時代短編集は「堪忍箱」「幻色江戸ごよみ」に続いて三冊目だけど、一番読みやすかったし、好みだった。誰も幸せにならない憂鬱な結末や「ん?良い…話…カ、ナ?」みたいな腑に落ちない展開も無い。
個々の話の主人公や内容に関連性は無いが、回向院の茂七親分という岡っ引きが要所要所で登場し、うどんを締める冷水のごとくきちんと事件の幕引きまでしてくれる。親分の安心感が凄い。前二冊にも居て欲しかった。いや、前二冊も確かに面白かったけれども。
感想に戻ります。人情に重きを↓
April 14, 2025 at 8:25 AM
#イチコの読書録
澤村伊智「邪教の子」読了。
カルト教団を扱ったホラー。怪異系とはまた違う緊張感と圧で、ゼィゼィ言いながら読んだ。面白かった……。
情報の出し方や仕掛けが上手い作家さんだけど、今回も前半のもやっとした部分が、後半で答え合わせ的に埋まっていくので、気になって中々本を置けなかった。
余韻が欲しかった気もするけど、やっぱりバッサリ結論を出して終わるこのラストが正解なんだろうな〜。
次は「予言の島」が読みたい。
April 10, 2025 at 7:37 AM
#イチコの読書録
住野よる「青くて痛くて脆い」読了。
「君の膵臓を食べたい」はnot to meではあったけど刺さる部分もあり、他の作品も読んでみたくなった。個人的に「君の〜」より好き。構成も読みやすく、後半はグイグイ読んだ。
他人と関わりを持つ事を避けての学生生活を送る「僕」が正反対の性格の「今はもう居ない彼女」に振り回されつつ交流し……って、「君の〜」と一緒じゃねぇか〜!!ビックリしていきなり冒頭で本を投げそうになった。登場人物の年齢は上がっているけれど、主人公像がほぼ一緒だった。何コレ作者の癖?もしかして作品全部こんな感じ?まさか。
理想を失い、怠惰で不誠実な集団と化した組織を↓
May 14, 2025 at 1:38 AM
#イチコの読書録
澤村伊智「ししりばの家」読了。比嘉姉妹シリーズの3作目で、犬は死なない。犬は!死なない!よ!(大事なことなので2回)むしろ犬は癒し。

これまでの比嘉姉妹シリーズは「近づいてくる怪異」だったけど、今回は「近づいた相手で影響を及ぼす怪異」なので恐怖感は薄い。が、全編貫いてのテーマである「異常が日常になる異常」が、澱んだ不気味さであちこちから浸透してくる。ぼぎわんがアッパー、ずうのめがストレートだとしたら、ししりばは間違いなくボディで、展開の地獄加減もエピローグの具合の悪さも胃の腑にズッシリ効いた。
勢いが控えめな分、すべての変異に繋がる点があって本当に面白かった。↓
April 27, 2025 at 1:32 PM
#イチコの読書録
貴志祐介「黒い家」読了。
サスペンスホラーだけど、怖いというより「おぞましい」の一言につきる。ホラー小説を好んで読んでいるけれど、人間が恐ろしい系統のホラーはやはり精神面にダメージが来る。切断などのゴア表現があるし、子供も動物もバンバカ死ぬので苦手な人は注意。
綿密に描かれた生命保険業界と京都の情景の軸に、心理学と昆虫の生態を絡ませつつ、凄惨な物語は進んでいく。
どうやって調べているの!?ってくらい生保会社内部の仕事や実情、会話が生々しい。専門性も高い。それでいてするりと読めるのは凄い。登場人物のほとんどが方言なので、また人としての存在感がある。
もっともそれは↓
April 18, 2025 at 12:05 PM