#kotobanokakera
こわれてゆく世界の ちいさなまちで
心から尊敬する ひとりのおばあさんが
庭に植えた 小さな木から
ほんのすこし すだちが採れたのだと
サイダーに入れても
お風呂に入れてもいいのだと
ふた粒だけ 持ってきてくれた
ある秋の朝の 宝石のように

#kotobanokakera
December 9, 2025 at 4:43 PM
そしてまちはさびしむ
わたしたちをさびしむ
そしてまちはさびしむ
あなたたちをさびしむ

#kotobanokakera
December 9, 2025 at 9:19 AM
ゆきがふりおちるのをみています

ふりおちるゆきのうらがわの
蒼くすきとおった影を見ています

ふりおちるゆきのなかにともる
蒼くふるえるほのおを見ています

やさしくあろうとすればするほど
憎まれ蔑まれた経験があります

わたしたちの喪のあとに
ふりおちるゆきを見ています

#kotobanokakera
December 15, 2025 at 11:51 AM
手をつないで歩いてゆく
恋人たちを見ていました

あなたたちがふつうではないと
いったい誰が決めたの

小さな車椅子を走らせてゆく
車輪の軋みを聴いていました

あなたたちがこわれていると
いったい誰が決めたの

知らないことばの鮮やかなうたを
歌うかれらを見ていました

あなたたちを許さないなどと
いったい誰が決めたの

「やつらを高く吊るせ」と
あらゆる時代のふつうの人びとが叫ぶ

#kotobanokakera
December 9, 2025 at 11:23 AM
わたしたちは
みずべに出かけましょう

(叫び声が聞こえる
 炎が立ちのぼる
 子供達が死んでゆく)

晴れた空の下
あなたといっしょに
みずべに出かけましょう

(叫び声がやまない
 炎が立ちのぼる
 子供達が死んでゆく)

わたしたちは
みずべに出かけましょう

(叫び声がやまない)

あしたが訪れないとしても
みずべに遊びましょう

#kotobanokakera
December 9, 2025 at 10:56 AM
雪即興六句

風花やはにかむ子らの髪のうへ

通学路あなたのこゑは雪のこゑ

淡雪をてのひらにのせ恋を憶ふ

午前四時深雪のまちのうすらげる

ともに病む夜盗も雪女もやさし

雪あかりわたしたちが消えたあとの

#俳句
#kotobanokakera
December 15, 2025 at 12:31 PM
もうだめだよこの国 もうみんな
マンガやアニメを見る目でしか
世界を見ることができない
簡単に操られて戦争へ行進してゆく
大きな子供ばかりじゃないか

そんなふうにあなたが呟く
とても悔しいんだ
そう この国はもうだめかもしれない

でもそれを認めることは
いま踏みにじられている誰かに
そのまま踏みにじられていてと
言い捨てることにほかならないんだ

紅葉がいっせいに舞い散る
終わりゆく季節のなかで
そんな話をした

#kotobanokakera
December 9, 2025 at 4:39 PM