ブログ「星虹堂通信」 http://goldenpicnics.hatenablog.com
クイーンの『災厄の町』を中学生で読んで以来、映画化も観てみたいと思って数十年。ようやく観賞できました。さすがに犯人は覚えていたものの、やはり『八つ墓村』なみのアレンジがほしかったところ。
佐分利信と乙羽信子が主人の洋館に、招待客が渡瀬恒彦と小沢栄太郎、令嬢が栗原小巻で許嫁が片岡孝夫、勘当娘に小川真由美、謎の女が松坂慶子という豪華キャストだが、赤毛ものの舞台を観てる感じで画面が弾まない。
しかし芥川也寸志はなんで音楽にグリーグの「ホルベアの時代から」を選んだんだろ?
クイーンの『災厄の町』を中学生で読んで以来、映画化も観てみたいと思って数十年。ようやく観賞できました。さすがに犯人は覚えていたものの、やはり『八つ墓村』なみのアレンジがほしかったところ。
佐分利信と乙羽信子が主人の洋館に、招待客が渡瀬恒彦と小沢栄太郎、令嬢が栗原小巻で許嫁が片岡孝夫、勘当娘に小川真由美、謎の女が松坂慶子という豪華キャストだが、赤毛ものの舞台を観てる感じで画面が弾まない。
しかし芥川也寸志はなんで音楽にグリーグの「ホルベアの時代から」を選んだんだろ?
いろんな人が絶賛するだけあって、野球に心底興味がない私でも楽しめるザ・アメリカ映画な作品だが、細部でよくわからん点も多く、これは一種のファンタジーなんだろうと思っていたらリアルな話だったのでちょっと驚いた。原作はバーナード・マラマッドなのか!
冒頭、どう見てもベーブ・ルースな“強打者”の野球選手に、今年亡くなったジョー・ドン・ベイカーが扮していて(なぜか右打ちだったが)、やはり巧かったねぇ。
いろんな人が絶賛するだけあって、野球に心底興味がない私でも楽しめるザ・アメリカ映画な作品だが、細部でよくわからん点も多く、これは一種のファンタジーなんだろうと思っていたらリアルな話だったのでちょっと驚いた。原作はバーナード・マラマッドなのか!
冒頭、どう見てもベーブ・ルースな“強打者”の野球選手に、今年亡くなったジョー・ドン・ベイカーが扮していて(なぜか右打ちだったが)、やはり巧かったねぇ。
金髪ハンサムのスポーツ万能な上に文才も豊かなノンポリ男と、陰キャで不器量で才能は乏しいが、平和と平等を愛する意識高い系女子がなぜか惹かれあって結婚する。が、やっぱりうまくいきませんでしたな話。若い頃はレッドフォードが酷い男だと思ったが、今観ても最低だと思ったよ、この男。
参加者が「マルクス兄弟のコスプレ」で集まるパーティーというのが出てくるが、案の定、グルーチョとハーポだらけでチコはもちろんゼッポも見かけない。政治活動家のケイティ(ストライサンド)は、「君は“カール”になったら?」とからかわれるが、字幕には書かれてなかった。残念。
金髪ハンサムのスポーツ万能な上に文才も豊かなノンポリ男と、陰キャで不器量で才能は乏しいが、平和と平等を愛する意識高い系女子がなぜか惹かれあって結婚する。が、やっぱりうまくいきませんでしたな話。若い頃はレッドフォードが酷い男だと思ったが、今観ても最低だと思ったよ、この男。
参加者が「マルクス兄弟のコスプレ」で集まるパーティーというのが出てくるが、案の定、グルーチョとハーポだらけでチコはもちろんゼッポも見かけない。政治活動家のケイティ(ストライサンド)は、「君は“カール”になったら?」とからかわれるが、字幕には書かれてなかった。残念。
お岩が妖怪化して復讐するのではなく、悪党は悪党ゆえに自滅してゆく物語として解釈された『四谷怪談』。出演者もセットも豪華だが、小林正樹や勅使河原宏のような「作家」の眼が入らないと、映像が武満徹の音楽に負けてしまう気がした。
伊右衛門が背負っていた赤ん坊が、いつの間にか息絶えていた突然のアップがいちばんビックリさせられたぜ
お岩が妖怪化して復讐するのではなく、悪党は悪党ゆえに自滅してゆく物語として解釈された『四谷怪談』。出演者もセットも豪華だが、小林正樹や勅使河原宏のような「作家」の眼が入らないと、映像が武満徹の音楽に負けてしまう気がした。
伊右衛門が背負っていた赤ん坊が、いつの間にか息絶えていた突然のアップがいちばんビックリさせられたぜ
朝ドラ『ばけばけ』にも松江城が登場したけれど、来日したヘブン先生はトキと共に松江城天守を訪問するのだろうか?
番組でも触れていますが、『神々の国の首都』に松江城の印象も詳述しているラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。しかし、彼が見た天守は明治の修復が入る前の、ボロボロに崩れた姿だったはず……。
朝ドラ『ばけばけ』にも松江城が登場したけれど、来日したヘブン先生はトキと共に松江城天守を訪問するのだろうか?
番組でも触れていますが、『神々の国の首都』に松江城の印象も詳述しているラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。しかし、彼が見た天守は明治の修復が入る前の、ボロボロに崩れた姿だったはず……。
東京でも開催してください。
東京でも開催してください。
東京でも開催してくだされ。
東京でも開催してくだされ。
飛び抜けて面白かったのは、『ワン・バトル・アフター・アナザー』。公開直後の大絶賛でちょっと警戒していたが、なるほど『ザ・マスター』以来のオモシロPTA映画でした(『リコリス・ピザ』はいい映画だったけど、私はあまりノレなんだ)。
飛び抜けて面白かったのは、『ワン・バトル・アフター・アナザー』。公開直後の大絶賛でちょっと警戒していたが、なるほど『ザ・マスター』以来のオモシロPTA映画でした(『リコリス・ピザ』はいい映画だったけど、私はあまりノレなんだ)。
と思っていたら、こないだ製作中止になった周防監督の新作もアルタミラ製作だったらしい。しかもテーマは青春・小津安二郎。悲願の企画だったろうに気の毒だ。
しかし中国では今、小津は「戦争加害を隠匿した人物」とされているそうで、これには少し驚いた。日本では戦後の小津が戦争体験を直截に作品化しなかったことを、作家としての美意識の表れと捉える向きが多かったように思うのだが。
と思っていたら、こないだ製作中止になった周防監督の新作もアルタミラ製作だったらしい。しかもテーマは青春・小津安二郎。悲願の企画だったろうに気の毒だ。
しかし中国では今、小津は「戦争加害を隠匿した人物」とされているそうで、これには少し驚いた。日本では戦後の小津が戦争体験を直截に作品化しなかったことを、作家としての美意識の表れと捉える向きが多かったように思うのだが。
デヴィッド・ギルモアのバンドでピンク・フロイド曲をやられると、ギターが前面に出過ぎな違和感があったが、今回はギルモアフロイドとソロ曲が中心なので、しっくりきた。純粋にギターとエコーの響きに陶酔したい人向けのライブ。一方、ロジャー・ウォーターズのは音楽の力で社会にカドを立てるための総合的なパフォーマンス・ショー。
それにしてもソニーさん、ロジャーの『ディス・イズ・ノット・ア・ドリル』映像版には、歌詞に日本語字幕入れてくれたのに、なんでこっちはナシなんですか。せめてMCパートぐらいつけてもええやろ。
デヴィッド・ギルモアのバンドでピンク・フロイド曲をやられると、ギターが前面に出過ぎな違和感があったが、今回はギルモアフロイドとソロ曲が中心なので、しっくりきた。純粋にギターとエコーの響きに陶酔したい人向けのライブ。一方、ロジャー・ウォーターズのは音楽の力で社会にカドを立てるための総合的なパフォーマンス・ショー。
それにしてもソニーさん、ロジャーの『ディス・イズ・ノット・ア・ドリル』映像版には、歌詞に日本語字幕入れてくれたのに、なんでこっちはナシなんですか。せめてMCパートぐらいつけてもええやろ。
2013年の出版。面白い評論集を読み逃していたものだ。
共産党員で逮捕歴があり、戦時中には国策映画の監督として活躍、戦後は民主主義の啓蒙者として国民的監督に変貌した今井から、韓国人研究者が「転向」ではなく「一貫する視線」を見い出す試み。
1948年〜1959年の間ににキネ旬ベストワン5回という今井正は、作品の優等生ぶりから「転向民主主義者の癖に白々しい」といった非難をインテリから投げかけられることが多かった。しかし国策映画への協力と朝鮮での映画体験が戦後の作品群に大きな影を落としていたことを、丁寧に読み解いてゆく。
2013年の出版。面白い評論集を読み逃していたものだ。
共産党員で逮捕歴があり、戦時中には国策映画の監督として活躍、戦後は民主主義の啓蒙者として国民的監督に変貌した今井から、韓国人研究者が「転向」ではなく「一貫する視線」を見い出す試み。
1948年〜1959年の間ににキネ旬ベストワン5回という今井正は、作品の優等生ぶりから「転向民主主義者の癖に白々しい」といった非難をインテリから投げかけられることが多かった。しかし国策映画への協力と朝鮮での映画体験が戦後の作品群に大きな影を落としていたことを、丁寧に読み解いてゆく。
ちょっと前にウォーレン・ベイティの『レッズ』を再見したばかり。彼女のルイーズ・ブライアントも意識高い志と可愛らしさの同居がぴったりだった。
ただ、『レッズ』はさっさとスケジュールをこなす必要でもあったのか、ワンショットの切り返し演出が多くて、ヴィットリオ・ストラーロの撮影をもってしてもやや薄味な印象……。この辺、デヴィッド・リーンの『ドクトル・ジバゴ』だと、お話がどれだけ馬鹿げた内容でも、映像の豪華さだけで圧倒させられてしまうんだけどね。
ちょっと前にウォーレン・ベイティの『レッズ』を再見したばかり。彼女のルイーズ・ブライアントも意識高い志と可愛らしさの同居がぴったりだった。
ただ、『レッズ』はさっさとスケジュールをこなす必要でもあったのか、ワンショットの切り返し演出が多くて、ヴィットリオ・ストラーロの撮影をもってしてもやや薄味な印象……。この辺、デヴィッド・リーンの『ドクトル・ジバゴ』だと、お話がどれだけ馬鹿げた内容でも、映像の豪華さだけで圧倒させられてしまうんだけどね。
画像では9/28までとありますが、10/30(木)までやってるようです。入場無料。東京でもやってほしいですね。
画像では9/28までとありますが、10/30(木)までやってるようです。入場無料。東京でもやってほしいですね。
実は、私が撮影した取り壊し直前の安部公房邸の写真も展示されているのですよ。
www.city.bungotakada.oita.jp/site/dekigot...
実は、私が撮影した取り壊し直前の安部公房邸の写真も展示されているのですよ。
www.city.bungotakada.oita.jp/site/dekigot...
『ばけばけ』が始まる前に、ぜひ(内容は関係ないけど)。
『ばけばけ』が始まる前に、ぜひ(内容は関係ないけど)。
前回は二の丸で発掘された堀尾吉晴期石垣の取材だったのだけど(元小学校の土地)、今では整備されて立派な「どうする家康」大河ドラマ館が建っていた。しかしそこも今は空き家で解体を待つばかりとはもったいない。
しかし、なんで浜松でエヴァンゲリオンとのコラボが熱心に行われているのかと思えば、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の第3村に出てきた駅が、天竜二俣駅をモデルにしてるんだとか。城内アナウンスで「エヴァンゲリオンスタンプは〜」と連呼されるのは驚いた。
前回は二の丸で発掘された堀尾吉晴期石垣の取材だったのだけど(元小学校の土地)、今では整備されて立派な「どうする家康」大河ドラマ館が建っていた。しかしそこも今は空き家で解体を待つばかりとはもったいない。
しかし、なんで浜松でエヴァンゲリオンとのコラボが熱心に行われているのかと思えば、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の第3村に出てきた駅が、天竜二俣駅をモデルにしてるんだとか。城内アナウンスで「エヴァンゲリオンスタンプは〜」と連呼されるのは驚いた。
BS版は9/27放送予定です。
BS版は9/27放送予定です。
『塀の中の懲りない面々』シリーズの現場では、森崎東は称揚され、東映から来た鈴木則文には辛口なのも印象的。
「おっさん、殺したろか」と思わせた「社員のひと言」…金子修介、三池崇史、小林久三らが“助監督”時代に味わった屈辱的な体験
『塀の中の懲りない面々』シリーズの現場では、森崎東は称揚され、東映から来た鈴木則文には辛口なのも印象的。
「おっさん、殺したろか」と思わせた「社員のひと言」…金子修介、三池崇史、小林久三らが“助監督”時代に味わった屈辱的な体験
どうも時代劇や歌舞伎にあまり触れたことのない世代が、『鬼滅』や『国宝』を見ることで“ネイション”の自覚を発動されるようだ。彼らは『シグルイ』とか『切腹』とか観たらどう思うかな。
【歴史的快挙】『鬼滅の刃 無限城編』が北米でアニメ映画史上No.1のオープニング興収を記録! hotakasugi-jp.com/2025/09/14/a...
どうも時代劇や歌舞伎にあまり触れたことのない世代が、『鬼滅』や『国宝』を見ることで“ネイション”の自覚を発動されるようだ。彼らは『シグルイ』とか『切腹』とか観たらどう思うかな。
【歴史的快挙】『鬼滅の刃 無限城編』が北米でアニメ映画史上No.1のオープニング興収を記録! hotakasugi-jp.com/2025/09/14/a...
いつも明るく元気で、かつ淡々と仕事をこなしていた。あまり周囲とベタベタとした付き合いをされない方で、その辺の距離感も付き合いやすかった記憶がある。
映画ではやはり今村昌平『にあんちゃん』と大島渚『愛の亡霊』。NHKドラマ『新宿鮫/屍蘭』の殺し屋役も印象深い。
いつも明るく元気で、かつ淡々と仕事をこなしていた。あまり周囲とベタベタとした付き合いをされない方で、その辺の距離感も付き合いやすかった記憶がある。
映画ではやはり今村昌平『にあんちゃん』と大島渚『愛の亡霊』。NHKドラマ『新宿鮫/屍蘭』の殺し屋役も印象深い。
その後、駅近くの「黒やなぎ」で、母に卒寿祝いを振る舞う。
コースをすべて平らげ、酒もグイグイ飲んでいたので元気なんだろう。
名物の麦とろをようやく食べられた。胡麻豆腐も美味だった。
その後、駅近くの「黒やなぎ」で、母に卒寿祝いを振る舞う。
コースをすべて平らげ、酒もグイグイ飲んでいたので元気なんだろう。
名物の麦とろをようやく食べられた。胡麻豆腐も美味だった。
ダルトン・トランボが1939年(33歳)に発表して発禁になった小説を、1971年(65歳)に自ら脚本・監督で映画化。学生の頃にビデオで観ているが、なぜかモールス信号が通じるところでラストだと記憶していた。こんなに絶望的な結末だったとは!
黒澤明は戦争映画で戦場の悲惨さや被害状況をリアルに描写することには否定的で、反戦映画の最高傑作として挙げていたのが、『ジョニーは戦場へ行った』と『遠い雷鳴』だった。サタジット・レイの方も再上映してほしい。
ダルトン・トランボが1939年(33歳)に発表して発禁になった小説を、1971年(65歳)に自ら脚本・監督で映画化。学生の頃にビデオで観ているが、なぜかモールス信号が通じるところでラストだと記憶していた。こんなに絶望的な結末だったとは!
黒澤明は戦争映画で戦場の悲惨さや被害状況をリアルに描写することには否定的で、反戦映画の最高傑作として挙げていたのが、『ジョニーは戦場へ行った』と『遠い雷鳴』だった。サタジット・レイの方も再上映してほしい。