美しいと思った。桜並木のそばで佇む少女の姿にスナは通学路を進んでいた足を思わず止めた。ひらひら踊る桃色の花弁は彼女を祝福しているように思えて、穏やかな日差しに照らされた少女の髪にはティアラの如く天使の輪っかが光っていた。新入生だろうか。自分が着ているものと似たデザインの制服も鞄も彼女が持っているものはどれも真新しく感じて少女の纏っている雰囲気をさらに特別なものへと形造っていた。ああ、いいな。スナは漠然と思う。今この瞳に映る視界の全てが、一生俺だけのものであればいいのに。眩くて、儚くて、暖かな光景は美術館に並ぶ絵画のようであった。