壁際
壁際
@irazunb.bsky.social
熱を発散するための壁打ち夢垢 低浮上 20↑
「消しゴムはありきたりすぎるし授業中に何度も貸し借りできるようなものやないやろ。でもシャー芯やったら話すきっかけとして借りるのもすぐに実行できるし芯を返す口実でまた次も話しかけられるやん」芯をセットし終えたシャープペンから顔を上げて真っ直ぐ私の目を捉えたキタくんの口角がゆるりと持ち上がる「だからわざとやで」その意味を考えるのに脳髄が駆け巡る準備を始めたその時、キーンコーンとチャイムが鳴った「芯、ありがとな」綺麗に微笑むキタくんが落とした時限爆弾によって授業どころじゃなくなった。
May 5, 2024 at 12:02 PM
「消しゴムはありきたりすぎるし授業中に何度も貸し借りできるようなものやないやろ。でもシャー芯やったら話すきっかけとして借りるのもすぐに実行できるし芯を返す口実でまた次も話しかけられるやん」芯をセットし終えたシャープペンから顔を上げて真っ直ぐ私の目を捉えたキタくんの口角がゆるりと持ち上がる「だからわざとやで」その意味を考えるのに脳髄が駆け巡る準備を始めたその時、キーンコーンとチャイムが鳴った「芯、ありがとな」微笑むキタくんが落とした時限爆弾のおかげで授業どころじゃなくなった。
May 5, 2024 at 12:00 PM
手を伸ばしても届かないから、手の中に閉じ込めて俺だけのものにした。だけど不思議と満足感が薄い。思い出すのは少女の照れた顔、笑った声、清潔感のある香り。写真の中にはどれもなかった。恐らく同じ学校なのだからそのうち会えるだろう。次会ったら名前を聞こうか。また笑いかけてくれるだろうか。その時まで俺のこと、覚えてるかな。色んな思考を漂わせながら再び通学路を歩くスナがその日のHRで転入生として紹介された少女と再会するまであと少し。
April 7, 2024 at 2:55 PM
軽蔑される行為でもスナはその瞬間を切り取って残しておきたいと思った。手を伸ばせば届いたかもしれない距離に少女は立っていた。しかし初対面で名前も知らない少女に話しかける話題もなく人間関係に積極的な方ではない自分が手を伸ばしたところで虚無を掴むだけだとわかっていた。スナは写真のメモリを開いて少女の写真をタップした。きらきら露出補正と色彩調整で鮮やかな春の訪れを思わせる桜を見上げる少女の横顔。写真の中の少女はやっぱり少し特別で、いいなと胸の奥がギュッと締まった。
April 7, 2024 at 2:55 PM
「すみません!私邪魔でしたね」
「えっ」
「桜、綺麗ですよね」
ごめんなさいと照れた笑みをこぼす少女は可愛らしい印象だった。どうやら桜を撮影していると勘違いされたらしい。わざわざ訂正して己の犯罪を晒す必要もないのでスナは別にと応えてスマホで桜の写真を撮った。笑った少女の顔を見て、またいいなとスナは思った。桜の中で見せた雰囲気とは違う綿菓子みたいに柔らかな表情が目を惹きつける。特別さはどこにもなく思ったよりも愛嬌が強そうだ。ぺこりと会釈をしてそそくさと立ち去る少女の後ろ姿を見つめて、やはりスナはスマホを構えて少女にピントを合わせるとそのままメモリに保存した。
April 7, 2024 at 2:54 PM
無意識に手を伸ばす。その手の中にはスマホが握られていた。レンズを通して液晶に映る少女と桜の風景は相変わらず美しかった。ピントが少女に照準を合わせて、世界が少し明るく補正される。パシャリとシャッター音が鳴る。その時、こちらを振り返った少女の瞳と画面越しに合わさった。あ、やべ。これ盗撮じゃん。我に返ったスナはスッと何事もなかったように掲げていたスマホを下げた。しかしそんなことで誤魔化されるはずがないとスナ本人が一番わかっていた。やば、どうしよう。気持ち悪いよな、俺。ケイベツされたかもという焦りと気まずさで明後日の方へ目をやるスナに少女は目を瞬かせてあっと声を上げた。
April 7, 2024 at 2:52 PM
「…今?」「今!そしてこれからもっと貴方を好きになります!!」ときらきらした瞳で前のめり気味の宣言にぱちくり瞬きをするキタさんが初対面でお互いのことを何も知らないはずの彼女が実力も容姿も優れた数いる部員の中から自分を見つけて興味を持ち自分“だけ”を見てくれると錯覚するような熱意を当てられ腹の奥がゾワゾワするのを感じながら「そおか、ならよそ見させんよう俺も気張らんとな」て常に真顔だったキタさんが微かに口角を上げる一瞬の微笑みにきゅんとする。副題;キタさん執着を覚える。
March 31, 2024 at 3:31 PM