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主に読んだ本の感想を書きます。本は古めのものを中心に年間300冊くらい。その他クラシック音楽、ノベルゲームのことを書くことも。プロテスタントのクリスチャン。山口県下関市出身、北海道札幌市在住。気軽に絡んでください。

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ハインラインは、子供ヒロインを書かせると天下一品だ。「夏への扉」のリッキィ(フレドリカ)も愛らしいが、主人公との関係という点から見ると、今作のキップとパトリシアのコンビほど魅力的な二人はなかなかいない。恋まではいかない、でもそのうち恋に発展しそうな二人の信頼関係がそこかしこにちりばめられており、読みながら自然に目尻が下がる。

ハインラインが書く子供ヒロインは、単に可愛いだけでなく、物語のテーマと密接に結びつき、希望と未来の象徴であるように思える。だからこそ魅力的だし、読後も長く印象に残るのではなかろうか。良い物語の条件を悉く備えた名作だ。SFファンならずとも、一読をお薦めする。
December 17, 2025 at 1:18 PM
まあ、どうしてもそういう思いは湧きますよね。

私は、物語を書いているとき、作曲や編曲しているときが一番楽しく、その後のことは比較的どうでも良い感じです。物語を書いたり、作曲・編曲って、私にとって最高のストレス解消法なんですよ。

なので、公開した瞬間に、もう前の作品のことはさっさと忘れて、次の作品や曲のことを考えています。だから、DL数や感想の数を気にしたことは一度もないです。もちろん、DL(再生数)が伸びたり、感想がくると嬉しいんですけどね。
December 17, 2025 at 10:34 AM
バッハ平均律クラヴィーア曲集第1巻第24番のフーガ(つまり最後の曲)の楽譜の、最後の部分には「S.D.G.」と書いてあります。最近流行りの「持続可能な開発目標」のことではもちろんなく(笑)、「Soli Deo Gloria」の略です。これは「神にのみ栄光あれ」という意味のラテン語です。

つまり、「平均律は祈りの音楽である」というのは、勝手な解釈ではなく、「楽譜に書いている」のです。作曲者である大バッハが、そう宣言しているのです。

グールドの演奏には、作曲者が音に込めたその祈りが皆無です。有名な第1番のプレリュードなんて、神に対する冒涜としか思えません(笑)。
December 16, 2025 at 3:00 PM
なお、フルニエのチェロであれば、グルダではなくケンプと組んだ演奏の方が好みです。

そして探すと、なんとグレン・グールドがピアノを弾いた、この曲の第1楽章がありました。グールドのファンにはまことに申し訳ないですが、「グールドは黙ってバッハを弾いていてくれ」という感じの演奏です(笑)。

もっとも、そのグールドのバッハも私はずっと好きになれず、「まあ悪くないのでは」と思えるようになったのは、ごく最近のことなのですが。

ピアノで弾くバッハなら、私はペライアとかシフの方が好みです。
youtu.be/oytEdeD_riU?...
Glenn Gould - Beethoven, Sonata For Piano And Cello (A maj): I Allegro ma non tanto (OFFICIAL)
YouTube video by Glenn Gould
youtu.be
December 16, 2025 at 12:59 PM
「ヒットラー」。ヒットラーと配下のレーム、シュトラッサー、それに財産家のクルップの4人が登場。三島はヒットラーの芸術への傾倒にはある種の共感を持ちつつも、彼の狂気には反発しているように見える。

それを象徴するのが最後のヒットラーの台詞、「そうです、政治は中道をいかねばなりません」。凄い皮肉だ。ヒットラーにとっては、民主主義など関係なく、「俺様が中道だ」だったのだろうか。

自身もアンビバレンスを孕んでいた三島だからこそ、ルネの、そしてヒットラーの複雑な心情を、台詞だけでこれほど見事に描写できたのではないかと感じた。二篇ともさほど長くないのに、非常に濃密な内容を持つ戯曲だった。
December 11, 2025 at 1:37 PM
「大暗室」は、本来の乱歩らしい物語。親の代からの因縁を持つ、有明知之助と大曽根龍次。生まれながらの悪魔大曽根は、次々と人を陥れて金と命を奪う。そこに立ちはだかる有明だが、大曽根は、有明の恋人である星野真弓までも奪い去ってしまった。

乱歩の作品で言えば「パノラマ島奇談」や「孤島の鬼」のような、狂気を感じさせる物語。だが「パノラマ島」に比べるとずっと娯楽作品寄りで、ストレートな正義と悪のぶつかり合いに、美しい女性までも絡んできて、読み応えは抜群。

世評が高いのは「パノラマ島」の方かも知れないが、今作からは乱歩の「読者をとことん楽しませてやろう」という構成上の工夫が感じられ、これはこれで面白い。
December 11, 2025 at 7:34 AM