ねこねこまいまい
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ねこねこまいまい
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こんなところでどうされましたか?🪁
数十年の長旅。
誰かのポケットに潜み電車の中や紅葉繁る森の中を共に旅もしたのだろうか。

これは古本ならではの楽しみなのだと感心させられた。
November 11, 2025 at 3:13 PM
本。君自身に歴史があり、その気配と作品が交錯しながら拡がり進む。

とても、こんなにもカジュアルに君はどこにいたのだろうね?

守衛室のデスクの上に投げ置かれたり。
就寝前の一服のお供に。
さもすれば丁寧に何度も何度も繰り返し読まれては遂に流れ着いたのか。
こんな栞の紐までぼろぼろになるほどにも。

到底気休めにはならない複雑な内容にも関わらず、しかし確実に扉の向こうへ隔絶される。
きっとそんな深みに向かう為携えられた君。
まるで痛みに痛みで誤魔化すようなそんな擬似人生の重厚。
November 11, 2025 at 3:13 PM
海が深い事を知る必要のない魚もいる

打ち上がった波に乗り、岩間の窪んだ小さな海に入ってしまったそんな君。

君からすれば、
私はそんな岩の上空を通りがかった鴎が落とした深海魚といったところか。
October 25, 2025 at 5:39 PM
とおの昔に阿修羅を生きる動物の世界を眺めてる場合ではなくなってんのよ、私たちも。

フィールドに放たれてるの。

360℃見渡してごらん。

あれがハイエナ、あれはキリン。
あれが私のトラクター。

綺麗な大輪の花が咲き誇る草原に
行きたいんだったわね?
生憎このトラクター、一人用だから
もうしわけないけど、この紐、貴方の乗ってきたその車に結んでくれない?
この紐?
何か鯨の横に浮いてた。
黄金色のロープなんて珍しいわよね?

絶対見とくべきよ。
あんな花畑、めったに見れないから。
ちゃんと今見ておくのよ。
October 8, 2025 at 1:19 PM
「誰!こんな所にこんな薄気味悪い汚い花を飾ったのは!花瓶の水が真っ赤じゃないの!」

まるで血液のような花瓶の水が磨り硝子越しに浮かび上がり、

「あのねぇ!私は芸術における感性だけはお父様譲りなの!こんな薄気味悪いものこんな所に飾って…!お父様が知ったらなんと仰るか…!」

そう言って花瓶を掴むとそのままゴミ箱へ放り投げた。
父親譲りの短気な性格のお陰で、メイド達は自分達の手を汚す事なく娘の手によって老人もこの件も闇へ葬られた。
September 16, 2025 at 3:26 PM
それは事件から数ヶ月して遺体付近から花が咲いたのをメイド全員で鋏を一つずつ持ち、
咲いた一本ずつを老人が1番花が美しく見えると言っていた鋭利で残忍な刈り方でその花を刈った。
そしてそれをいつもと同じように全員でキャビネットの花瓶に生けた。

それから週数間。

ちょうどその花が萎れかけてきた所に先の事情でこの娘が居合わせた。
September 16, 2025 at 3:25 PM
老人の車椅子が私有地の滝から見つかり、事件の予感もある中、遺産目当ての娘が、孤独から来る老人の自殺との一点張りで主張し続けてくれた為、メイド達に疑いの目は(少なからず表面上は)向けられる事はなく、田舎の資産家と地元の警察との穏やかな交渉が成立していった。

グロテスクな利害一致が本人が望まぬ所で結ばれていく結末に追い討ちをかけるように娘が父に歪な愛情のプレゼントをした。
September 16, 2025 at 3:24 PM
振り返り、殴られかけていたメイドに言った「もっと綺麗な花にね。育つ方法を私、知ってるわ…。」

すると殴られかけていたメイドが
「…ちょうど良かった。私ね、この世で1番美しい花を見てみたいの…。」

濁流の音と血に染まる滝壺を眺めながらメイド達はアリバイを示し合わせた。

運び出した遺体を盛り返していた花の辺りに埋めて、その上に種を蒔いた。

そして、老人からの言い付けと称して決めたルーティンを守り続ける事でメイド達以外の人を極力近づけないようにした。
September 16, 2025 at 3:23 PM
するとすかさずメイドは
「違うんです…、旦那様は刈る方が花がお綺麗だとおっしゃいますが、私共…、私はこちらの方が花が生き生き美しく長持ちするので、旦那様は美しい物がお好きですので…。なるべく枯らさぬよう、このように摘ませて頂いたのです…。どうか、お許しを…。」

「お前は俺にケチをつける上、まだその上をいこうと上から物をいうのか!!」
杖が振り上げられたその時、車椅子が急に動いた、
「何をする!はなせ!やめろ!!」
メイドの一人が車椅子を掴み急発進させたら近くの滝まで運び、崖から車椅子ごと突き落とした。
September 16, 2025 at 3:22 PM
そんなメイドの起点が悪夢に変わる時がきた。

いつものように裏山に老人とメイド達が花を刈りにきた際に、老人がある異変に気がついた。

「何故ここの土が盛り返しておるんじゃ?誰か答えよ!」

するとメイドの一人がスッと手を上げて
「私です…。」と答えた。

すると老人は持っていた杖でそのメイドの靴を突きながら、「何故、お前は私の命令に背いてそのような事をし、た、ん、じゃ!!
」と怒鳴り散らした。
September 16, 2025 at 3:20 PM
そんな生花が段々と色もくすみだし、首を垂れてきた

ある夜中、それに気づいた老人が持っていた杖でキャビネットを執拗に叩く。

物騒な物音に飛び起きたメイドが何があったのか尋ねる。
「私の家にこんな汚いものを何故置いておく!!さっさと片づけろ!!」

また次の週。

裏山にて、花を刈り、そして今度は夜中に癇癪が起きないよう、老人には知るよしもない暗黙のルーティンがメイド達で行われる事となった。
老人と同行する際は彼の指示に添い刈るが、メイドによる収穫は極めて花の扱いに生命を感じさせる心遣いがあった。
September 16, 2025 at 3:05 PM
花の収穫にも拘りがある。
裏山の広大な花畑にメイドと赴き、鋏を持ったメイドの手首をいきなり掴み、

「そんな刈り方では!花が色付かん!!」などと怒鳴り散らし、私有地ならではの傍若無人で泣かせては震えて刈れない自分の手の代わりにメイドに刈らすのであった。

花は摘むのではなく、刈る。

メイド達が、刈った後の花の根元に集まり、痛ましく刈られた後をまた次の季節に芽吹くように整えてそっと手入れを行った。

綺麗な花を車椅子の膝の上に乗せ、別のメイドに操作させながらそんな葬儀があるとも露も知らずこの老人は花に一度も視線を落とす事なく急いで帰路に向かった。
September 16, 2025 at 3:02 PM